クライングメビウス 公演情報 クライングメビウス」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.3
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★

    役者の一人一人の演技を目を見張るものがあり興味を引けたのであるが、
    何かが足りなかったと思われる、それは観客の幸せかなと今回は思いました。

  • 満足度★★★

    鑑賞日2017/02/10 (金)

    座席2列

    モチーフは最高。
    並行世界に生きる2人の恋物語。と書くとファンタジーぽく聞こえてしまうけれど、ダークどころか、まさに残酷劇。この並行世界の描き方が秀逸で、女性の世界は社会劇として、おそらく圧政下での革命運動を描きながら、男性の世界は極私的な閉ざされた世界を描いていく。この恋する2人はけして善男善女ではないところもよい。特に男性は、傲慢でエゴイスト、芸術至上主義で人の心を解することをしないという存在で、女性も娼婦崩れ(この「崩れ」というのは、その運命を受け入れるでもなく、そこから逃れるでもなく、ただ漫然としているという意味)、革命に同調するでもない。
    結果、物語は悲劇を迎えるのだが、そこに作者の死生観を見ることもできて、その価値観も悪くない。並行世界を結ぶ2人の乞食の存在、そして彼らが渡す、恋する男女2人を結ぶノートが制限付き(使える期日が限られており、かつ伝えられる文字数が日々減っていく)ということも(理由は不明、ただの意地悪と思えなくもないが)悲劇性に拍車をかける。
    女性の世界の始まりは、暗殺者の登場で高い緊張感で始まり、男性の世界の始まりはゆるーい空気とユーモアで始まる対比は、最後への道筋を思うと意外性をはらませる意図ととらえられ、気に入りました。とてもよいです。

    ネタバレBOX

    男性は上述のような性格ゆえに、恋人にも、芸術家仲間にも、仕事の後輩にも裏切られ、非業の最期を迎えます。女性は妊娠・堕胎の悪夢を振り払えないまま死への旅路に向かっていきます。さて、2人はまた会うことができるのか、、、ここまでは、最高。
    乞食2人は、神とサタンの比喩なんだろうけど、人類の不幸を喜ぶロココことサタンが神を嘲る場面は、さながら黙示録を想起させる。朝倉さんの前半のお茶目な演技から、ここに至っての鬼気迫るセリフ回しは大きな見せ場です。

    さて、ここからは????ということを上げさせていただきます。
    ・まず、何で女性マリアは娼婦なの?他に娼婦がいる描写はないので、革命組織の資金源でもないようだし、組織トップの妹であることを考えると、その立場はないよなあ。
    革命組織の1員ということでよかったのでは、より不幸な境遇にしたかったのかなあ。
    また、この母親は物語のキーマンでもあるのだが、なんで娘に寄生している生活しているのだろうか。そもそも、革命というのはお金がかかるもので、それなりの資金源(海外の支援とか、政府転覆を図るパトロンとかいないと、成立しないでしょ)

    ・2人の男女の恋愛は、一瞬の世界の交錯をきっかえとするものなのだけれど、進藤さんごめんなさい、女性がそれほど魅力的に思えない。男性の真京さんはっそれなりの魅力を湛えているのだけれど。

    ・両方の世界を行き来する暗殺者、そして、マリアを懐妊させたがる男の存在っていったい何?

    ・そして、この舞台の世界観を見事に破壊してくれたのは、2人がノートでやり取りをしたいる際に、マリアの後ろで革命組織の皆々が躍る恋ダンス。恋愛要素があるだから、2人の心のトキメキを描くのは当然。しかし、これは悪乗り以外の何でもない。先ほどまで、命のやりとりをしていた人々が、いちゃいちゃしながら恋ダンスとは。

    余計なものが骨太の設定をとんでもなくしてくれています。
  • 満足度★★★★

    堕天使のロココが唐突に本性を表して二つの世界を破壊するに至る過程が、よくわからなかったが、狂気となる二つの世界でも絆が切れない二人の心。最後にもう一度二人を合わせてあげたく思いました。同じ世界に転生できればいいですね。
    リリーと恋人の二人が物語に必要な訳もわかりませんでしたが、重くなった空気が不思議と和らぎました。

  • 満足度★★

    鑑賞日2017/02/11 (土)

    怒鳴ったり叫んだりする際のセリフがきちんと聞き取れる・・・演じ手達の日頃の修練が察せられます。
    でぇ、観客の大半はこうした怒鳴り・叫びを「芝居の熱量」と受け取ったようですが、ゴメンナサイ!偏屈なオジサンの率直な感想は「劇場で激情を表現するのに、大声あげるしか能がないの?」。
    登場人物の皆が皆、同じ反応(感情が昂る→大声を上げる)をするんじゃなしに、せめて一人ぐらいは、観客の心胆を寒からしめるほどに冷静(冷酷?)なキャラである、とかいったバリエーションが欲しかったなと。
    パラレルワールドをつなぐ小道具(ノート)とか、アイデアは良いのですが、感情表現がどうも一様に「ぬいぐるみの演技(注.役者でなく脚本や演出の問題)」で深みや凄みに欠けるため、申し訳ないのですが、私はあまりストーリーに没入出来ませんでした。
    なお、役者陣の中では、狂言回し役でもあった、若い浅倉祐太さんと、兎団でもお馴染みのベテラン・清水敏夫さんのお二方が印象的でした。

  • 満足度★★★★

    Aを観劇。
    見終わってから熱演!という言葉がとても似合う劇団だなぁと思った。
    声が通る演者さんが多いので聞き取りやすく、演技もスムース。
    2つの世界が交差するという内容だが、少し難解なのでハンダラさんのネタバレを読んでから見るとわかりやすかった。
    これからも楽しみな劇団さんです。

  • 満足度★★★

     輪廻する場は、ピタリと重なっているという前提で永劫回帰論が展開する形。

    ネタバレBOX

    偶々何かの偶然で二つの世界が交差した瞬間、異世界のカメラマンをしている男と娼婦を生業としている女が邂逅する。一瞬の出来事であったが、男は女を写した。女も男を見、何かを感じた。
     ところで、この男女には浮浪者身を窶した神と堕天使が異次元通信の可能なノートと筆記具を渡して、ノートの性質と用い方、それぞれのプロフィールを教えた。ノートは1日に1ページしか書くことができず、書かれた文字は相手に届くと同時に書いたノートからは消える。また、文字数を勝手に増やすこともできない。必ず一マス一文字。而もページは日を追う毎に小さくなる。二人はこの通信を通じて互いの世界を知ってゆく。が、男の世界は平和ではあるものの、平和の毒が蔓延しており、麻薬を常用する者、嫉妬や劣等感に狂い他人の破滅を画策する者、何事も無いかのように傍観する者たちで溢れており、この現実に絶望した者たちは、負のスパイラルに陥って、明日を夢見ることもできない。
     一方、女の暮らす世界は、為政者の腐敗に抗した民衆が革命を目指して内戦状態が続いており、政府、革命勢力双方権謀術策が、更に相互不信を起こし始めていた。女は足の悪い母や革命運動リーダーらの生活費を捻出する為に身をひさいでいたのである。
     こんな状況の中、政府サイドの殺し屋が女に懸想、子を産ませようとする。彼は種無しと考えられていたのだが、彼女だけは妊娠させることができる、と好都合なことになっている。何れにせよ、異なる世界で生きるこの男女は母子だった、ということになっており、妊娠中に、足の悪い母の企みによって胎児は殺されてしまった。その生まれ変わりが件の男であり、現在は成人してカメラマンになっているという訳だ。
     何れにせよ、この男と同じ世界の彼女が、嫉妬心に駆られて、異世界の彼女が書いた文章を読み、恋人を刺してしまう。これらの狂言を仕組んだのが、浮浪者に身を窶したサタン、神はいつもの如く、人を生かすべきか滅ぼすべきかの判断をする為に観察しており、サタンにしてやられる。
     物語として、以上の説明は自分が想像力で補った部分があるのだが、それぞれの挿話を更に徹底した方が面白くなるだろうし、カメラマンが女の写真を撮った時、目が合ったと言っている科白自体おかしい。何故ならカメラマンはファインダーを覗いているのであるから、一瞬の邂逅の際にはファインダー越しに彼女を見ていたのであり、彼女が消えた後裸眼で彼女を探した訳で、その時、彼女は異世界へ戻ってしまって見える訳もなければ、目と目が合うことも在り得ないからである。このような細部をキチンと無矛盾で書き込まなければ良いシナリオにはならない。
     演技に関しては、序盤・中盤の求心力が弱い。これは、浮浪者達の性格づけが、暗示されていないことにもあろう。こういう超常的存在をそれとなく感じさせることや、終盤の展開への布石としておけば、舞台が締まるのである。
     また、二つの世界の住人達の棲み分けを明かすタイミングと仕掛けについても、神・サタンとの関係と絡ませて更なる工夫が欲しい所だ。
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/02/08 (水)

    良く鍛えられた役者さんが多く、熱量が伝わってくる舞台。
    台詞で説明し尽そうとするかのような、怒涛の台詞の応酬は迫力あるが
    設定と世界観が面白いので、もっとシンプルな展開でもよいと思う。
    乞食の二人のキャラが面白かった。
    人間は性悪説ということか。

    ネタバレBOX

    階段状になった無機質な舞台。
    革命軍が政府軍と闘い続ける荒廃した世界と、平和だが麻薬が蔓延する世界。
    二つの世界は重なって存在し、人は死んだら別の世界の同じ場所で目を醒ます。
    そしてごくたまに、別の世界に住む者同士が一瞬クロスすることがある。
    カメラマンの男と、戦火の中を逃げ惑う女のように・・・。

    全体的に大声で相手の発言を制するパターンが多発。
    ストーリー展開を台詞に頼るよりも、エピソードの積み重ねの方が
    登場人物の人間像に奥行きが出る気がする。
    例えばアリスの母親のキャラや、二人の芸術家など、
    あの言動に至る過去の出来事やいきさつが具体的に語られたら
    もっと共感できると思った。

    二人の乞食のキャラは、その点興味深い。
    “堕天使”のような二人の過去、立場の逆転など、
    怒鳴るだけでない台詞で紡がれるのが良かった。

    ノートという儚いアイテムも効いている。
    もっとその良さをアピールできるエピソードがあれば尚良かった。

    せっかく自由な発想が許される分野である “この世とあの世”の話なのだから
    作者の世界をもっと私たちに聞かせてほしかった気がする。
    別の世界へ移動できる人はいるのか、どうやって移動するのか、
    ノートはどんな人が手にできるのか、終わったノートはどうなるのか、
    生まれ変わった記憶はどこかに残らないのか、何かの拍子に記憶が蘇らないか、
    先に死んで行った者たちが生まれ変わったという証拠はあるのか…。
    そういう小さな情報が積み重なることで、世界はリアルに立ち上がってくる。

    芸術論よりも、作者の頭の中の世界を存分に語り表現してほしい。
    こういうテーマを選んだ以上、時に宗教者の如く
    観る者聴く者を惹きつけ、死生観を揺さぶって欲しいのだ。

    それがあれば、おのずと“賑やかし”キャラは減って
    核となるストーリーがくっきりするような気がする。



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