クライングメビウス 公演情報 劇団虚幻癖「クライングメビウス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/02/08 (水)

    良く鍛えられた役者さんが多く、熱量が伝わってくる舞台。
    台詞で説明し尽そうとするかのような、怒涛の台詞の応酬は迫力あるが
    設定と世界観が面白いので、もっとシンプルな展開でもよいと思う。
    乞食の二人のキャラが面白かった。
    人間は性悪説ということか。

    ネタバレBOX

    階段状になった無機質な舞台。
    革命軍が政府軍と闘い続ける荒廃した世界と、平和だが麻薬が蔓延する世界。
    二つの世界は重なって存在し、人は死んだら別の世界の同じ場所で目を醒ます。
    そしてごくたまに、別の世界に住む者同士が一瞬クロスすることがある。
    カメラマンの男と、戦火の中を逃げ惑う女のように・・・。

    全体的に大声で相手の発言を制するパターンが多発。
    ストーリー展開を台詞に頼るよりも、エピソードの積み重ねの方が
    登場人物の人間像に奥行きが出る気がする。
    例えばアリスの母親のキャラや、二人の芸術家など、
    あの言動に至る過去の出来事やいきさつが具体的に語られたら
    もっと共感できると思った。

    二人の乞食のキャラは、その点興味深い。
    “堕天使”のような二人の過去、立場の逆転など、
    怒鳴るだけでない台詞で紡がれるのが良かった。

    ノートという儚いアイテムも効いている。
    もっとその良さをアピールできるエピソードがあれば尚良かった。

    せっかく自由な発想が許される分野である “この世とあの世”の話なのだから
    作者の世界をもっと私たちに聞かせてほしかった気がする。
    別の世界へ移動できる人はいるのか、どうやって移動するのか、
    ノートはどんな人が手にできるのか、終わったノートはどうなるのか、
    生まれ変わった記憶はどこかに残らないのか、何かの拍子に記憶が蘇らないか、
    先に死んで行った者たちが生まれ変わったという証拠はあるのか…。
    そういう小さな情報が積み重なることで、世界はリアルに立ち上がってくる。

    芸術論よりも、作者の頭の中の世界を存分に語り表現してほしい。
    こういうテーマを選んだ以上、時に宗教者の如く
    観る者聴く者を惹きつけ、死生観を揺さぶって欲しいのだ。

    それがあれば、おのずと“賑やかし”キャラは減って
    核となるストーリーがくっきりするような気がする。



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    2017/02/08 20:39

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