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クライングメビウス
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公演情報
劇団虚幻癖「
クライングメビウス
」の観てきた!クチコミとコメント
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ハンダラ(10439)
満足度
★★★
輪廻する場は、ピタリと重なっているという前提で永劫回帰論が展開する形。
ネタバレBOX
偶々何かの偶然で二つの世界が交差した瞬間、異世界のカメラマンをしている男と娼婦を生業としている女が邂逅する。一瞬の出来事であったが、男は女を写した。女も男を見、何かを感じた。
ところで、この男女には浮浪者身を窶した神と堕天使が異次元通信の可能なノートと筆記具を渡して、ノートの性質と用い方、それぞれのプロフィールを教えた。ノートは1日に1ページしか書くことができず、書かれた文字は相手に届くと同時に書いたノートからは消える。また、文字数を勝手に増やすこともできない。必ず一マス一文字。而もページは日を追う毎に小さくなる。二人はこの通信を通じて互いの世界を知ってゆく。が、男の世界は平和ではあるものの、平和の毒が蔓延しており、麻薬を常用する者、嫉妬や劣等感に狂い他人の破滅を画策する者、何事も無いかのように傍観する者たちで溢れており、この現実に絶望した者たちは、負のスパイラルに陥って、明日を夢見ることもできない。
一方、女の暮らす世界は、為政者の腐敗に抗した民衆が革命を目指して内戦状態が続いており、政府、革命勢力双方権謀術策が、更に相互不信を起こし始めていた。女は足の悪い母や革命運動リーダーらの生活費を捻出する為に身をひさいでいたのである。
こんな状況の中、政府サイドの殺し屋が女に懸想、子を産ませようとする。彼は種無しと考えられていたのだが、彼女だけは妊娠させることができる、と好都合なことになっている。何れにせよ、異なる世界で生きるこの男女は母子だった、ということになっており、妊娠中に、足の悪い母の企みによって胎児は殺されてしまった。その生まれ変わりが件の男であり、現在は成人してカメラマンになっているという訳だ。
何れにせよ、この男と同じ世界の彼女が、嫉妬心に駆られて、異世界の彼女が書いた文章を読み、恋人を刺してしまう。これらの狂言を仕組んだのが、浮浪者に身を窶したサタン、神はいつもの如く、人を生かすべきか滅ぼすべきかの判断をする為に観察しており、サタンにしてやられる。
物語として、以上の説明は自分が想像力で補った部分があるのだが、それぞれの挿話を更に徹底した方が面白くなるだろうし、カメラマンが女の写真を撮った時、目が合ったと言っている科白自体おかしい。何故ならカメラマンはファインダーを覗いているのであるから、一瞬の邂逅の際にはファインダー越しに彼女を見ていたのであり、彼女が消えた後裸眼で彼女を探した訳で、その時、彼女は異世界へ戻ってしまって見える訳もなければ、目と目が合うことも在り得ないからである。このような細部をキチンと無矛盾で書き込まなければ良いシナリオにはならない。
演技に関しては、序盤・中盤の求心力が弱い。これは、浮浪者達の性格づけが、暗示されていないことにもあろう。こういう超常的存在をそれとなく感じさせることや、終盤の展開への布石としておけば、舞台が締まるのである。
また、二つの世界の住人達の棲み分けを明かすタイミングと仕掛けについても、神・サタンとの関係と絡ませて更なる工夫が欲しい所だ。
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2017/02/09 01:32
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