満足度★★★★★
脚本も演出も演技も素晴らしいの一言
前回を観た時に完璧な仕上がりだと思ったのですが、今回もやっぱり凄いと感じました。
特に今回は折しも生前退位が話題となっている時期なだけに非常にセンシティブで、何時もチョコレートケーキの舞台は過去の話、他国の話と油断していると今現実の日本の話だと喉元に突き付けてくるのが、今回は特に感じられました。
ただ、これは自分の問題ですが、登場人物の内面描写と夫婦愛及び親子の愛憎が掘り下げて語られているのを、話を知っている故に長いと感じてしまいました。
満足度★★★★★
自由に芝居が掛かる時代に感謝
ちょっと『リチャード2世』を思わせる政治・歴史劇ですが、「天皇」が家業である家庭の物語でもあった。時折、客席からすすり泣きが聞こえてくるほど、普通に感涙を誘うのが馴染みの薄い人(当時は神)だけに、自分には意外な感じがした。台本の作りが、また秀逸な演技がなせる技であろう。ただし、舞台上は、過去を振り返る凛とした皇后(松本紀保)の存在が、全体の目線を乾いたものにし、クールであった。上つ方だけの世界を描いていて、同時代を生きた臣民を思うと、悲しみ、やるせなさを感じないわけでもなかった。
満足度★★★★★
護りたい笑顔がそこにあった
明治、大正、昭和という3つの時代、3人の天皇がそれぞれ自らのありようを示し、その使命を全うしようとする
生まれ持って背負わされたものが、その国の歴史や文化、国民の想いというような、例え自分の資質と異なっていても捨てることも逃げ出すこともできない種類のものだったら。
とにかくそういう状況の中で、それでも自分なりに模索し、切り拓き、自分自身を心から身体から全てをぶつけて、その器の上に乗せていく大正帝。
笑顔が素敵で、慕わしくて護りたいと思わせる人物造形で、苦難に有っていく状況では観ているこちらも苦しくて悔しくて哀しくて。
この劇の土台としてあるのは、登場人物それぞれが折り目正しい所作と台詞で厳格なる空気感を作り上げている部分。そしてその上でそれぞれの信念や感情や想いが、はっきりとした輪郭の登場人物を作り上げていく
重厚な感情や想いをぶつけられ、観てるこちらも感情を揺さぶられずにはいられなかった
天皇が題材ではあるが、けして政治的な考えを押し付けては来ない、観た人が考えてくれという。歴史を知っているがゆえに、正しくも思えたり、間違っているようにも思えたり。
満足度★★★★★
演劇作品の成長
もちろん3年前も観ましたが、また違う落ち着きというか品格というか…とにかく「礼」の仕方から「立ち方」から、もうね、いいんですよ。考えながら観る演劇。面白いかったです。観劇直後はただただため息と「良かった」の言葉しか出ませんでした。出会えてよかったありがとう。
満足度★★★★★
骨太・重厚作品…素晴らしい!
「天皇とは何か」劇中の台詞である。多くの臣下はその問いに答えられない。大隈重信だけが…。シンプルな舞台セットであるにも関わらず、骨太な内容を濃密な会話で紡いでいく。謁見の間であろうか、その場は緊張感に包まれているが、役者は生き活きと演じている。その一言ひと言の台詞に史実(フィクションと説明)が透けて見えてくる。明治はもちろん、大正時代も遠くなったと思っていたが、最近11月3日を「明治の日」にしようと祝日法改正運動が進められているらしい。
本公演は、戦争と平和、天皇家における父親と息子、さらには疾病への偏見(新聞報道)など、現代に通じる問題提起をしている。
満足度★★★★★
人間として・・・。
西尾さんの大正天皇にとても親しみを覚え、その孤独と苦悩と使命感にうたれました。そして、松本さんの皇后の気高さと思慮深さ、温かな心が、天皇の孤独な生活の光だったと感じました。
出演されていたキャスト皆さんが、その役を生き、その時代を生きていました。
満足度★★★★★
人間味あふれる姿
人間味あふれる大正天皇像を描いて感動的な舞台でした。皇后は割と受身な姿で描かれていましたが、宮中某重大事件が出てくれば、皇后の見せ場になったと思ったけど、牧野宮内大臣・内大臣以外はみんな良い人として扱うには、難しい事件なのかな。
満足度★★★★★
孤独な職業
2013年の初演で衝撃を受けたあの作品にまた会えることが嬉しい。
明治・大正・昭和の“時代を丸ごと担う天皇という職業”の過酷さと孤独が
厳選された台詞と、側近たちの的確なキャラ造形によって浮き彫りになる。
お辞儀の雄弁さをこれほど感じさせる作品を私はほかに知らない。
原敬、四竈、有栖川宮のお辞儀には深い慟哭があり、どうしても涙が止まらない。
満足度★★★★★
治天ノ君
トラムのベンチ席で二時間半休みなしは拷問かと思っていたが、俳優熱演でこの劇場ではそれがよく見え面白かった。天皇家をホームドラマで見せるという卓抜なアイディアでそれが現代史の根幹にかかわっているところが素晴らしい。もっとも私は政治的テーマにつられないよう、気をつけて見た。どの家でもタブーはあってそれを抱えながら肉親の関係はできていくのだ。そのドラマを的確に見せた脚本と俳優陣、ことに大正天皇夫妻は特にすばらしい。松本紀保のうまさとガラがこのように生かされた舞台は初めてだろう。間違っても肉親の情につられて帝劇なんか出るな!
満足度★★★★★
時代の鑑
象徴であるため、良くも悪くもその時代を映す存在で、その存在を「目的」とするか「手段」とするか、為政者の思惑も大きなファクターとなる。そしていま、きな臭いこの時代にこの象徴はどのような役目を果たすのか。
今を生きる人間として、しっかり見届けたい。
満足度★★★★★
感動
天皇家に生まれた為にその人生は稀有なものであったのだろう。
生まれた時代には早すぎたが、開けた考え方をした大正天皇に親しみを覚えた。途中何度も涙が出そうになり堪えるのが辛いほど。
良い役者さんばかりなので発声が素晴らしく舞台中に響き渡り見ていて感動したほど。
他の方も賞賛していたが特に松本紀保さんが素敵だった。
またぜひ見たいと思える舞台でした。
満足度★★★★★
最後列だったけど・・・
面白かった。席は最後列だったけど、グイグイ芝居に引き込まれた。
内容が内容だけに途中で飽きるのではと心配してたけど、いろんな人の感情に引き込まれた。あの方の事も勉強してみようかな
演劇の面白さ、硬い内容でここまで面白いとは・・・
満足度★★★★★
鑑賞日2016/11/06 (日)
三年前の初演からの待望の再演。初演の際の衝撃そのままに終盤は泣きっぱなしになる。宿命を受け入れ、それを全うしようと直向きに努力する神ならざる男の姿とそれを支えた周囲の人々の物語。何度観ても素晴らしい逸作。
大千穐楽。ラストは納得のトリプルコール。観れてよかった。こういった作品に出会えて再演を目の当たりにして、観劇の楽しみを再確認出来た。
満足度★★★★★
時代のうねりや歴史の必然にもまれ、翻弄されながら生きていく個人の想い。いや、個人と言ってしまうには重過ぎる定めを背負って生まれ、生きて、そして亡くなったその人の想い。
自由で優しい気性のその人が、一国の器とも言うべき役割をどう受け止め、どう果たそうとしたか。2時間半休憩なしの会話劇が静かな緊張感に満ちたまま、観る側の集中も途切れずに、気が付けばカーテンコールとなっていた。
初演の評判に違わぬ、見応えのある作品だった。
満足度★★★★★
未だに感動を引きずってます
一人の人間としての大正天皇はとても人間味に溢れていて、愛おしい人物でした。皇后節子に向ける笑顔が優しい人柄を表していて、冒頭の二人のシーンが素敵でした。
それだけに後半の苦悩、怒り、無念さに涙が抑えきれなかった。
キャスト皆さんが役に生きて、こんなにも上質な舞台をあの値段で観させていただいて申し訳ない気持ちです。
素晴らしい舞台をありがとうございました。