風は垂てに吹く 公演情報 風は垂てに吹く」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.3
1-12件 / 12件中
  • 満足度★★★

    憧れ
     基本的には、空、否宙に憧れるメンタリティーを描いた作品であったが、吉祥寺シアターの空間処理に気を使いすぎたか、シナリオの内実が浅い。

    ネタバレBOX

     憧れを強く訴えるためには、その惨めさを強調しなければならない。ライカ犬のメンタリティーなどは伝わるものの、これは個的なレベルのセンチメンタリズムに過ぎず、可哀そうだな、ふ~~~ん程度の感情移入しかできないのである。作家に普遍性への拘りが無いか殆ど無いかということなのであろう。その証拠に物語の基本的な命題をサンテクジュペリの「星の王子様」に負っているのは、情けない限りである。憧れが大それていれば居るほど、他人からバカにされ、白眼視されるというフェーズを体験するのが常なのに、主人公が出かけた旧天文台では案外あっさり受け入れられてしまう所で、シナリオとして失敗である。作家は、自分で悩み抜き、己の世界と異なる所、世界と衝突する所を深めることで、己自身の絶対的な孤独と向き合う。そうすることによってしか、新しい物を作る為の足場などできはしないのだ。その覚悟がないなら表現する者の場からは去るべきであろう。
     演出の空間表現には見るべきものがあり、広く天上タッパの高いこの劇場空間をうまく活用していたし、舞台美術も羅針盤のような図が床に描かれそこから延びるロープや観客席上に伸びた紗の使い方も予想はできるものの
    良い出来であった。
     役者陣には、もっと個性が欲しい。
  • 美しさ
    確かにグライダーは飛んだし、奈落の存在などおもしろい演出が多かった。
    ラストの演出など圧巻で、大変に美しい舞台だった。

    残念だったのは、登場人物の心情が伝わってこないこともあり、感動というよりは感心で終わってしまったこと。

    ライカ犬、みどり、幸吉のはざまに来る前の苦悩や孤独などはしっかり伝わってきたのだけど。

  • 満足度★★★★

    映像的空間を演劇的に演出...見事!
    「飛ぶ」「狭間(はざま)」という2つのキーワード、それを色々な人物等を登場させ「あの人」に思っていること、伝えたいこと、そして聞きたいことを描き出した感動作。その描き方はもちろん、舞台セットは映像の世界のようである。一見抽象的に観えるが、それが自分の中では想像する楽しみになっていた。
    演劇は、観客に楽しんでもらうことが大切。自分にはとても魅力的な芝居であった。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、吉祥寺シアターの天井の高さを利用した空間処理が巧い。セットは、羅針盤かローマ字時計のような円形の中にグライダー模したものが置かれている。そこにはいくつもの太紐が吊るされ、結ばれている。また円錐台形の向月台のようなものもある。それら全体を半囲いするようなドーム型骨組み。客席上部には帯状の薄布4枚。

    梗概は、黄昏時の天文台の廃墟-そんな場所へ彼女はきた。夜明けに現れるという伝説の雲、モーニング・グローリーの絵を描くため。そして、TLS(難病)によって「(意識は体に)閉じ込められた」夫との「つながり」を取り戻すために...。日が落ちて、夜が訪れるその逢魔ガ時、廃墟は活気ある工房に変貌する。

    色々な人達等...特攻隊員や翼の発明家、しゃぼん玉を吹く少女(野口雨情・作詞)、世界的女性パイロットとナビゲーター、宇宙船に乗り込んだ犬(!?)、砂漠に不時着した飛行士(星の王子さま)など、国籍、年代などバラバラ。そこに共通するのは「飛ぶ」である。

    それぞれが抱えた(忘れたい、記憶に封印したい)想いが語られる。ネガティブな面は夕暮れから現れる。ポジティブな面(実は楽しかった思い出、「しゃぼん玉」2番歌詞など)は夜明けから、という1日を昼夜という大括りで描く。順番は「暮れ」から「明け」という推移に喜びが感じられ印象的。それらの感動はラスト...病室シ-ンへ引き継がれる。先に記した「飛ぶ」と「狭間」の意味が氷解する様が観てとれる。

    昼夜の狭間...「光」と「闇」が溶け出す瞬間、その薄暮時だけに見る夢のような物語。その演出はカット・バックするような時空または異空間を往還する。その観せ方は、映像のコマ送りのように時間軸を巻き戻す際、小刻みにステップを踏みコミカルな動作で体現させる。また「ポジ」「ネガ」の関係は映像イメージそのもの。そして舞台美術に合った照明効果の演出は見事。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★

    風は垂てに吹く
    吉祥寺シアターの高い天井から奥行きまで使った舞台装置や、モーニンググローリーに見立てた布の使い方など演出はとても良かったです。しかし、演出でこうと言われたら役者はそうやると思いますが、あれは結構負担なのではないでしょうか?いや、プロにはなんてことないんでしょうか?なんだか大変そうだなと思ってみてました。生と死 朝と夜のハザマの世界のお話だったと思いますが、詰め込み過ぎて中途半端な感じがしました。シャボン玉は「風 風 吹くな シャボン玉飛ばそ」ですから。

  • 満足度★★★★

    空のファンタジー
    サーカス小屋の中のような舞台で繰り広げられる、空の狭間に消えたひとたちの群像劇ファンタジー。ちょっとつかみにくい世界観でしたが、終盤は仕掛けもあって盛り上がりましたね。ギターの語り引き生演奏よかったです。

  • 満足度★★★

    ありがとう、ライカ!
    タテよりもヨコに目が向く。モーニング・グローリーを目にした感は持てなかったけれど、光るシルクロードを翔け昇るラストは美しい。 闇を知ることで光を識る、無念の想いが浮遊する狭間から僕たちがテイクオフできて、良かった。

  • 満足度★★★

    フワフワした感覚の作品でありました
    金平糖というよりも綿菓子のような世界観でありました

    白と黒とで表された舞台美術に
    終盤での綺麗な演出は評価できるが

    全体としてフワフワ感が
    あんまし合わなかったかなぁと思えた2時間の作品

  • 満足度★★★

    不思議な世界
    ロープが張り巡らされた舞台。開演前、何が始まるのかと思った。最初、何を言っているのか分からず、ただ「飛行士が砂漠に…」と言う展開から、「星の王子さま」にインスパイアされた作品かと。。。シンプルな舞台、身体表現、生演奏の歌、個性的な登場人物、いくつかのキーワードを基に、ロープを使って様々なことを表現する不思議な世界でした。これも演劇なんだ。

  • 満足度★★★

    パイロットや特攻隊、ライカなど、
    空の狭間に消えた人たちはいいんだけど、肝心のTLSの夫とその妻の話が、愛や奇跡なんていう言葉で語られ安っぽい感動に終始しちゃうのが残念。

  • 満足度★★★

    モーニング・グローリーは・・・。
    ロープを使った空間作りは面白く、タマルさんの歌も楽しめた舞台でした。
    以下、公演中なのでネタバレで。

    ネタバレBOX

    主人公の女性が展望台に幻の風(モーニング・グローリー)を求めて来て、不思議な人達と出会い、つながりや絆を再認識する舞台でした。
    だが、前半部分は聞き取りにくい台詞もあり間延びしてしまったように感じられた。後半に向かって登場人物達の謎等が解かれていくが、少し既定路線っぽく感じてしまった。


  • 満足度★★★

    空の世界
    不思議な世界でした。

    ネタバレBOX

    前半がまったりとした感じで、声がやや聴きとりにくかったので、集中しずらかったですが、途中からはその独特な雰囲気に引き込まれました。最後のほうで穴から黒のナイロンorビニール?が出てきて人を覆うのですが、カサカサという音が耳に障りちょっと集中できなかったです。最後の最後は、引き締まりした。音楽もよかったです。
  • 満足度★★★★

    吉祥寺シアターが狭く感じた。
    毎回志向を凝らした演出というか、演出のために脚本があるというか、そんなイメージのテトラクロマット。今回もファンタジーに「空」を絡め、坂口理子お得意の世界観をシンプルで大胆な美術と役者の感情を体現する演出で最後まで楽しみました。
    パンフレットに脚本家の「思い」が書いてありましたが、その思いは全編ににじみ出ており、ああさすがだなあーと思いました。
    ハザマ、すきま、あそび、余白。作家の思いを見事に演じた役者は凄い。
    特に男か女かわからない天羽尚吾さん、不思議な空気感に最初から目が離せませんでした。
    なんか一人だけ違う生き物みたいな感じで良い意味での違和感は新鮮でした。ああいう存在感は稀です。

    後半、感情に押されるように次々と変化する舞台美術はとても素晴らしかったです。

    ネタバレBOX

    ★★内容に関して非常に重要なネタバレをしています。
    どうぞ未見の方はご遠慮ください★★



    デハケがないので舞台が狭く感じ、前半は感情の動きも少ないため、いささかダレた部分がなきにしもあらずでした。
    ですが後半一気に「ああそういうことだったのか」的種明かし(つまりいわゆる夢オチ)と、そのうえでひねったラストとさらに衝撃的な選択という脚本、その感情に押されるように次々と変化する舞台美術で怒涛の後半はとても素晴らしかったです。

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