風は垂てに吹く 公演情報 テトラクロマット「風は垂てに吹く」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    憧れ
     基本的には、空、否宙に憧れるメンタリティーを描いた作品であったが、吉祥寺シアターの空間処理に気を使いすぎたか、シナリオの内実が浅い。

    ネタバレBOX

     憧れを強く訴えるためには、その惨めさを強調しなければならない。ライカ犬のメンタリティーなどは伝わるものの、これは個的なレベルのセンチメンタリズムに過ぎず、可哀そうだな、ふ~~~ん程度の感情移入しかできないのである。作家に普遍性への拘りが無いか殆ど無いかということなのであろう。その証拠に物語の基本的な命題をサンテクジュペリの「星の王子様」に負っているのは、情けない限りである。憧れが大それていれば居るほど、他人からバカにされ、白眼視されるというフェーズを体験するのが常なのに、主人公が出かけた旧天文台では案外あっさり受け入れられてしまう所で、シナリオとして失敗である。作家は、自分で悩み抜き、己の世界と異なる所、世界と衝突する所を深めることで、己自身の絶対的な孤独と向き合う。そうすることによってしか、新しい物を作る為の足場などできはしないのだ。その覚悟がないなら表現する者の場からは去るべきであろう。
     演出の空間表現には見るべきものがあり、広く天上タッパの高いこの劇場空間をうまく活用していたし、舞台美術も羅針盤のような図が床に描かれそこから延びるロープや観客席上に伸びた紗の使い方も予想はできるものの
    良い出来であった。
     役者陣には、もっと個性が欲しい。

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    2016/08/27 13:10

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