余計者 公演情報 余計者」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.6
1-20件 / 21件中
  • 満足度★★★

    鑑賞日2016/05/21 (土)

    昨夜(21日)、足を運んだ舞台の受付で、作品に関わるスタッフの方々(受付のデスクに並べられた、ちっちゃなぬいぐるみ3体)とお会いしました。演出・演出助手・制作のお三方だそうです(笑)
    こういうウイットに富んだイタズラ?大好きなんです♪
    でぇ、作品わぁ…なんですが、こんな愛くるしいぬいぐるみの皆さんが作ったとは、とても思えないシリアスドラマ!

    ネタバレBOX

    2年前の4月、池袋で初めて拝見して以来、teamキーチェーンさんの舞台、本公演も番外公演も、ほぼ欠かさず拝見しています。
    脚本・演出のAzukiさん、面と向かうと思わず照れてしまうほどの美人さんですが、そのテーマは一貫して、親子や兄弟姉妹の情愛。「家族」というものに、かなり思いを寄せてらっしゃる方のようです。
    ただ、思いが強過ぎるのか、伏線が未回収だったり、「このヒト、必要?」って登場人物が見受けられたり…といった細かなアラ、贔屓目に見てもスルーできないぐらい、感じられたのも事実です。
    とはいえ…とはいえなんですけど、(あくまでも私見ですが)スマートで緻密な構成を好む傾向にある関東のヘビーな観客層と違い、東京キー局でなく、在阪各局の人情ドラマに接する機会の多かった、西日本出身のオイラ、どうやらAzukiさんと同じ文化圏に属しているヒトのようです。
    細かな文脈的瑕疵や伏線未回収などは今後の課題として、パッションを感じさせる芝居、これからも期待しております。
  • 満足度★★

    鑑賞日2016/05/20 (金)

    内容の濃いサスペンス?でしたが、わかりにくかった点も所々に。役者さんの名前につられての観劇でしたが、いろいろ気持ちよくない場面があり、少々めげました。

  • 余計者
    部屋のような舞台セット。
    扉が4つぐらいあり、それがうまく使われているところもよかったです!

  • 満足度★★★★

    初体験!
    まるで映画を見ているような感覚で楽しませていただきました。
    事件が起きているその場所と、連続した空間にまさに今いる、っていうゾクゾクした感覚を味わえたのは、ほんと貴重な体験でした。
    舞台にするには扱いにくい題材だと思いますが、、ほんとスゴイ!と思いました。

    今回、サスペンスを基調として、人間ドラマ的要素も多く取り入れられていましたが、ほんと素敵な役者さんが揃っていらっしゃるので、すっきりとサスペンスに重点を絞っておやりになっても十分、人間味のあふれる作品になったのではないかと思いました。

  • 満足度★★★★

    【Bチーム】観劇
    ドロドロしたストーリー作りは流石でした。

    ネタバレBOX

    とあるマンションに出入りする人や住人が殺される事件があり、父母を自殺に追いやった取り立て屋と付き合っていた女に連れ去られた妹を取り戻そうとした兄の犯行だと明らかになっていく話。

    暗転し、その後明るくなると何人かが倒れていて、友人の大学生がスパナを持って立っているシーンが出現する手際の良さは素晴らしかったです。

    ただ、そのシーンは友人がうなされながら見る夢を表現したもので、一種の予知夢のようなものでしたが、結局は犯人を分かりづらくするためのものとしか思えず、そのミスリードさせるような演出は少し不満でした。
  • 満足度★★★★

    もっと熱くても?
    物語のベースはよくある話の一つであるが、
    タイトルにある通り「余計者」は一体誰なのか?
    面白いプロットは興味深く物語の構成も中々良かった。
    しかしながらもっと丁寧に個々のディティールを作り込み、
    役者のセリフの説得性をコントロール出来たら、
    更に深みのあるサスペンスに仕上がっていたのではと思う。
    美術装置セットも考えられ面白い演出であったが、
    一つの部屋を全ての関係者の共有とするには、
    少々変化を入れるなり説明なりがあっても良かったかもしれない。




    ネタバレBOX

    挑戦的で面白い舞台だったからこそ、
    もうひと工夫と丁寧な描写を期待したい。
    役者さんの実力差も大きかったようで、
    演出で芝居の統一感を出してほしかった。

    最終的には妹にも認識されず、彼が余計者だったんだろうな…。
    もう少し泣かせてくれても良かったかな。
  • 満足度★★★

    よかった
    暗示的で思わせぶりな展開でおもしろかった。

  • 満足度★★★★

    結局誰が・・・
    結局誰が余計者だったんだろう?物語の中の言葉を額面通り受け取っていいのか,それとも守られるべき者,平和に生きている人にとって余計者なのか,いろいろ思っているうちに自分の中でこんがらがってしまいました。でも,面白かったですよ。舞台装置も良いし,演出も工夫されているなぁって思いました。ただ,予知夢?の部分は現実的ではないのでやめた方が良かったとは思います。それにしても,この観劇では観客の中に「余計者」がおらず,心落ち着いて観れたのが嬉しいです。

  • 満足度★★★★

    余計者とは…
    公演の外形とも言える舞台美術、照明・音響などの技術は、印象深く効果的であった。優れた舞台美術はジャンルや好みが異なっても、その視覚からさまざまな感覚が生まれ、開演まで想像力豊かにしてくれる。

    物語は時系列に沿った回想録のようでもあるが、その範疇を超えて一種の異形が展開される。しかし自分の中では、納得性に欠け物足りなさが残った。

    さて制作サイドは、主宰で作・演出のAzuki女史が客席案内するなど、丁寧な対応をしていた。

    ネタバレBOX

    会場に入ると、しっかりした舞台セットが組まれている。それは上手・下手を大きく2分割し、上手にアパートと思しき室内。座卓、TV、整理BOXが置かれており、3つのドアが見える。別室、キッチン、玄関に通じるイメージである。下手はこのアパート前の路地。そして奥にはこの劇場の高さを利用した長階段があり、アパートの外ドアに通じる。この左右非対象の構図は、登場人物の屈折した精神構造を見るかのようだ。

    この作り込んだ室内と路地という大きな空間は、物語の情景をより鮮明にする。と同時にその不均衡は、冒頭や途中に挿入される群集独話の不気味で不安定な感情を示しているようだ。

    梗概...カエデ(マナベペンギン サン)は、両親との「約束」に縛られ...我慢強く、父親の言うことを守って妹を助け出そうとする。その話は、17年前に遡る。両親はその叔(伯)父の借金の肩代わりのため自殺。赤ん坊であった妹(三ッ井夕貴羽サン)は、借金取りの情婦(秋山ひらめサン)に連れ去られる。時は下り現在...中学時代の友・大学4年生のハジメ(岡田奏サン)と再会する。その頃、ハジメは自分が周りの人をスパナで殺している夢(幻覚)を見る。

    この物語の納得性に欠けるのが、この場面である。この幻覚はカエデが見ているのであれば、カエデとハジメが同一人物で、劇中で語られる分身(ドッペルゲンガー)のように、2人がお互いを照らし、過去の清算と未来に対する希望を炙り出す、そう思っていたが2人は存在する。
    そうであれば、久しぶりに会った友とシンクロして、ハジメが幻覚を見るという設定に疑問が生じた。余計者はもう一人の自分...心の問題に観客(自分)の想像力を駆使して真正面から向き合う、そんな投げかけがあっても良かったのではないか。意識下に刷り込まれた「約束」は、狂気となって体とともに成長(大きく)した。

    もう一つ疑問...カエデが、借金取りの情婦の部屋に侵入した際、すぐに相手が認識できたこと。17年前であれば5歳前後である。その子の顔に覚えがあったとは思えない。その妹は、純真のようだが醜業しているという歪さ。

    冒頭の舞台美術に戻るが、その造作が内容に溶け込んで現実と夢想が混然一体となる。物語に突っ込み所はいくつかある。Azuki女史にしてみれば、想定内かもしれない。リアリティを追及することは大切であるが、それが過度になれば観客(自分)の想像力の幅を狭めるような気もする。観客によって想像力の幅は異なり、受け取り方も様々。そこに芝居の面白さ魅力があると思う。

    頭で考える理論か、心に刻む感情か…この公演は、人の心にある歪な感情、自分自身でも持て余す…この心の在りようこそ、余計者のように思えるのだが…。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★

    悪くは無い!が・・・
    ストーリー的には、展開が気になる。“?”と感じる部分が多々。この劇場としてはかなり広いセット。それが寒々とした人の心を表しているようにも感じられる。
    しかし、欠落した部分が多いというか、そうなってしまった原因的なものがわからない部分が落ちているのが残念!人の動きも感情を考えるならば、こう動くのでは?と爪が甘い部分が残るのも惜しい。とはいえ、この劇団の作品三回目だが、今回が一番完成度が高い気がする。

    ネタバレBOX

    余計というより・・・うーーん上手く言えないが、カエデからすれば“削除もしくは排除”的なものではないかと・・・。またどう考えてもセットが形にならない。どう考えても出演者の動きを考慮してみると玄関から入って部屋、考えられる位置どれをとっても台所のスペースが存在しない事になる。また人の関連性を考えると、やはりもう一部屋あれば、もっと理解を得られるのではないかとも思う。ニートの親子の断絶は何故起き、何故父の行動を知ったのか?そういう類のことが多い。また先に書いたが、人の動きと感情、妹がカエデがおかしいという兄の話の後、カエデと二人っきりになった際。内心恐怖を感じたが、それと悟られぬようにと部屋へ逃げ込む。この際、内側からのロックのかかる音、これは欲しかった!悟られないようにと思いつつも、恐怖に駆られる行動。これは在ったほうが、妹が殺される夢をみた兄に繋がる。さらにかえではどうやって生きてきたのか?親戚はいなくなった二人の子供の不在をどうしたのか?→保険金の事も有り、探れば両親が死んだ理由、子供の行方もわかりそうなものだが・・・。
  • 満足度★★★★

    着想・ストーリーは面白い
    と思うのですが、それを構成するために必要であろう“肝要なプロット”が少々足りないという気がしました。

    人間が“壊れていく過程”などは、物語を成立していく上で必要不可欠ではないでしょうか。

    演者の演技力によって、出来不出来はあると思いますが、それぞれの人物造形はよく出来ていると思いました。

    細部を見つめ直すことにより、より良い作品になるのでは、と感じました。





  • 満足度★★★

    後半は切ないけど
    後半切ないけど良かったのではないでしょうか。セットの使い方が最初よく理解出来なかったけど途中からなるほどと思いました。
    前半がもっとうまくまとまるともっと良くなるかと思いました。

  • 満足度★★★★

    面白かったです
    サスペンス好きなので、楽しめました。
    舞台の作りがよかったです。

  • 満足度★★★★

    サスペンス
    重い内容のサスペンスで、緊迫感があり楽しめました。主催としては、深いテーマがあったのかもしれませんが、それは感じられませんでした(よくテレビでやっている感じのサスペンスという印象)役者さん達の演技も良かったし、舞台セットもよく出来ていました。人が殺されすぎるのは、個人的にあまり好みではないのですが、王道サスペンスとして楽しめる舞台でした。

  • 満足度★★★★

    観てきた!!!
    良サスペンス。舞台美術も大変素晴らしかった。
    全体的に完成度の高い作品だと感じました。
    ただ、まだ丁寧に作り込む余地はあったと思う。

    できれば
    当パンには役者さんの名前と役名が分かるように記載して欲しいです。

    ネタバレBOX

    犯人が分からないまま徐々に周りの人間が死んでいく展開は緊迫感があって良かったです。
    ストーリー自体は王道的なパターンですね。
    変に奇をてらうよりも良いと思います。

    舞台セットがとても良かった。
    特に玄関と部屋の中(ドアホン)の配置が好きです。

    刑事役とヒナタをさらった女性役の役者さんの演技が特に良かった。

    気になったのは
    ・すべての家庭で同じ家具、配置、レイアウトなので最初戸惑いました。
     何か1ポイントでも違いがあると良かったと思う
    ・年齢設定が良く分かりませんでした
     両親の自殺は17年前。同級生が今大学卒業直前ってことは22歳。
     当時5歳ってこと?そうは見えなかった。
    ・暗転が多すぎると思う
    ・ニート親子のくだりはあまり必要性が感じられませんでした
     そういえば、台車が無くなったのは何かの伏線だったのかな?
  • 満足度★★★★

    「余計者」
    何も考えず、フライヤーも気にせずに観てきましたが、濃い内容で2時間ドラマのようなサスペンス要素あり、兄弟や家族、友人との話しで・・・愛が歪んで、後半は特に切なくて辛かった。泣ける作品ですが色々詰まった作品。凄い良かったです。

  • 満足度★★★

    作品の要求するものを描くべき
     まだ、勉強と思索が必要。(追記2016.5.22 01:56)

    ネタバレBOX

     先ず、この作家の日本語についてだが、助詞の使い方がめちゃくちゃ。フライヤーに印刷された細かい文字を苦労して読んでみたがもう少し日本語を勉強した方が良い。言葉が不正確だから、役者の滑舌が悪く聞こえる。更に、余計者という言葉の正確に意味する所が、作品の中に無い。これは、言葉そのものが正確に理解できていない為に、作家の内部に哲学が成立していないからである。サルトルが、何故、実存主義を選んだか? 彼が余計者という意識に悩んだからだ、そう自分は考えている。余計者と自己認識する以上、主体は、社会の埒外に在るか、少なくともそれに非常に近いレベルに在る。そして、その次元とは、狂気との境界領域でもあろう。20世紀構造主義哲学を代表するフーコーの定義では、狂気とは純粋な錯誤である。自分如きの認識とフーコーの定義を同列視するのは僭越であるが、自分の考えを述べさせてもらう。余計者は、純粋錯誤の境界領域にその精神を置く者である。従って、自分が定義するレベルでの余計者は今作には登場しない。どんなにありきたりの人間にでも、近いとイメージされそうなのは、引き籠りの息子だが、彼の主張も単なるモラトリアム人間のそれで極めて陳腐。他の出演者たちが、人が殺されるシーンの度に呟いているフレーズも総てモラトリアム人間の発しそうなフレーズで、思考のレベルが総て同じ。キャラの立ちようがない。社会階層の底辺を生きて来た、楓一家の挿話が、唯一その悲劇性に於いて異相を為しているわけだが、楓自身は妹を救うミッションを抱えて居る為に余計者という設定には当てはまるまい。楓が観客の目の前で余計者として屹立する為には、妹を娼婦に仕立て「母」と信じさせて育てた仇である青木を殺した後、状況を正確に理解できない妹を殺してこそその資格を得ると知るべきだろう。ちょっと説明しておくと、兄が、彼女が母だと思っている人間を殺したとき、妹は、その死を(認識できずにいるわけだが、兄の説明で漸く死んだということを理解した彼女には兄が認識できない。乳飲み子だった彼女が結果的には、仇である青木に引き取られて育てられ、いきなり17年後の兄を初めて見て分かる訳もない。だが、自殺した父母との約束を己のミッションと信じて多くの人間を殺害してきた楓にとっては、この時点で初めて、自らが余計者であるという実感を抱くことになる訳だ。そのショックで妹を殺害することになって悲劇が完結するというのが、普遍性に近い展開なのではないか? こういって悪ければ、作品の要請に近いと信じる。作家にはこのことを自らが書ける程度のリアルな観察眼が必要である。残念乍ら、作・演出は極めて甘い。
     筋の展開にも工夫が欲しい。ほぼ時系列に沿った展開だが、観客の想像力を信じて展開の仕方を入れ替え、エッジの立った筋立てにした方が、同じ内容でも映えるだろう。この辺り作・演出は同一人がやっているのだから視座さえキチンとすればできるハズ。頑張って欲しい所だ。また、舞台大道具、予算が許すのであれば使用頻度の低い下手側は階段を取っ払ったりしたうえで、もう一つか二つ、簡単な部屋を作ってもいいし、現状のままであればマンションの部屋などということにしたりして、科白でキチンと説明をつけるのも良かろう。間取りが同じで、以上指摘したようなノウハウなしに風俗店も和馬兄妹宅も土井親子宅も楓一家宅まで全部同じ部屋を使いまわす。これでは芸に乏しい。何より観客に分かり難い。 
    こういう、本来言外で分からせるべき部分は、キチンと作って観客に過不足なく理解させ、シナリオの表す劇的なものや登場人物の心理の掘り下げを更に深く訴えて欲しいのだ。
     良かった点も挙げておこう。観客席の椅子は間隔を充分とった上で半身ずらしに置かれており、非常に舞台が観易い。この配慮は有難かった。
     
  • 満足度★★★★

    余計者
    タイトルと中身がそぐわない感じでした。タイトルと説明から余計者ってこの人のこと?と思った人は違ってました。でも、作者の意図からははずれていると思いますが、サスペンスドラマみたいで面白かったです。

    ネタバレBOX

    引きこもり少年はともかく、みさおちゃんは助けて欲しかったです。最後の会話の所で「みさおちゃん、早く意識がもどるといいね」くらいは聞けるかなと思っていたのでした。簡単に17年と言っていましたが、楓がどんな経緯で育ち、悪徳金貸しにたどり着いたかの説明がほしかったです。和馬がどうして自分が犯人のような、予知夢みたいな光景を見ることになったのかの理由づけを聞きたかったのに忘れました。Azukiさん、もしこれを読むようなことがありましたら教えてください。
  • 満足度★★★

    あまりに重い
    重い物語、あまりに重い物語でした。ちょっと辛かったです。

    ネタバレBOX

    特に、両親の自殺現場のシーン。ロープが2本、ぶら下がっているだけで、本当に重々しい感じが表されていました。
  • 満足度★★★

    脚本の風通しの悪さは家族愛のとらえ方に問題か?
    昨日から日暮里のd-倉庫で上演しているteamキーチェーン第11回本公演『余計者』の招待券が当たったので出かけてきた。この団体を観るのは初めてで、知り合いの役者も一人としていない。

    ネタバレBOX

    幼い時、借金に追われ幼い妹は借金取りに連れて行かれ、両親はその借財を生命保険で返すために自殺を図った。その少年が17年を経て、両親と別れ際に約束した「自分も妹も幸せになる」という約束を果たすため、妹を奪った借金取りカップルの住む地元に戻ってくる。地元だから、当然ながら幼なじみもいて、その幼なじみの家に出入りしながら借金取りカップルや妹を金で買っている会社員(その息子は引きこもりで借金取りの家を盗聴・盗撮している)、そして自分の正体を知られた幼なじみの家で知り合った女性までも殺してしまう。そして念願の妹を救い出した・・・と思った時、彼のことも本当の両親のことも幼すぎて記憶に残っていない妹は、自分を育ててくれた借金取りの女性の遺体にすがり「お母さん」と泣き崩れる。それを見た兄である元少年は、こんなはずじゃなかったと呆然と立ちすくむ。


    借金取りカップル、妹を買う会社員一家、そして幼なじみ兄弟一家という3つの家族といえるべき人間関係に刑事も加わる複雑な人間関係は、脚本家が考えていたというか計算していたようには風通しの良い整理がなされておらず、どこか混沌として見ていてしっくりこないのが最大の問題点。特に、幼なじみの事件の真相を知っているようなそぶりをさせる理由や、引きこもり少年の存在意義というものが明確に示されていないのが気になった。
    役者たちは皆熱心に演じていのには好感が持てたが、細かい仕草や個々の人物設定やその仕草の違い(使い分け)が乱雑であったような気がする。例えば、少年がいつもメモ用紙をなぜ持ち歩いていたのか、刑事が借金取りカップルの女性にだけは連絡先名刺を渡さず女性自身に連絡先電話番号を書かせたのか、警察手帳を上着のポケットではなくズボンのポケットに雑に持ってたのかなど、細かい点までもっと丁寧に演出すべきだろう。
    主役とも言える少年や幼なじみの学生やその同級生たちの演技全般は、見ていて一応手応えがあった感じ。

    この数週間充実した団体の舞台を見続けてきたせいか、今回はそうした細かな点で若干失望したと言わざるを得ない。

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