最悪な大人 公演情報 最悪な大人」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★★

    バカな男と計算高い女
    乗りの良いギャグと筋の通ったマジ話が心地よく混在する親子物語。作者の私小説的なエピソードを基に組み立てられた物語は、笑いを誘いながらも人間の持つ醜い部分を曝けあう。
    最悪な大人というより、
    人間そのものの最大公約数がそろった現代社会の縮図のよう。
    自分自身はどうなんだろう。誰に近いのだろう。
    笑いの中にふと振り返る様に様々な思いが交差した。
    狂気と歓喜の共存は楽しい。

    あのセットは素晴らしく面白い。装置も転換も。

    ネタバレBOX

    泣かせる話。泣くシチュエーション。ながらも、
    アウトサイドボクサーのようにヒット&ウエイで、
    涙腺はくすぐれど涙は流させない。
    いつまでも三歩進んで二歩下がる感じが少々歯がゆい。
    しっかり泣かせて笑い飛ばせる展開にも期待。
    涙の処理が嫌いなのか?
  • 満足度★★★★

    最悪な大人
    面白くて笑った。勢いを感じた。

    ネタバレBOX

    猫を捨てに行ったときに赤ちゃんを拾った加瀬は
    そのままその子を育てる。
    フードファイターとして人気が上がり有名になりかけるも
    結局変なトラウマ(ご飯を二合以上食べれない)を抱えただけで、
    その後、運送業者の雇われ所長におさまる。
    ある時、その営業所に近所に越してきたチンピラが怒鳴り込んできて…。

    とにかくギャグが多く、チンピラ役の高木さん、
    配送員役の古賀さん、木村さん、奥村さんらが絡んでくるとまず面白くなる。

    親子のところは不器用で互いに思いを伝えられない
    親父と息子のところに共感を覚える部分もあった。
    息子役の東さんは引きこもり役が上手く、
    真に迫っているように感じられた。

    結局あらゆる問題というのは向き合わないことから
    起こってしまっているんだな、ということに
    改めて気付かされた気がする。

    向き合いたくない現実を敢えてスルーすることは
    大人がよくやることなのかもしれないし、
    その姿が時として最悪と映ることもある。

    ただそれでも伝えられるものなら伝えたいという思いを持ちながら
    不器用にでも生きて、生き様を晒してることは
    時として最悪ではないのかもしれないなと思った。
  • 満足度★★★★

    縦横無尽な人間観察
    冒頭、夫婦でネコを捨てるシーンがあるが、バカバカしい設定で、これからの芝居に危惧を抱いた。しかし場面転換した途端、物語性が強くなりストーリーに絡みつくようなギャグが味わい深く感じられる。
    主宰・奥村徹也氏が実際働いた経験を基に描いたシチュエーション・コメディは秀逸。

    ネタバレBOX

    舞台セットは、奥の舞台を遮るように仕切板(衝立)が何枚か立っている。この仕切板を背に夫婦がネコを捨てに来る。猫を捨てに来たのに人間の赤ん坊を拾って連れ帰るところから始まる。この時1995年秋。

    舞台転換は、この仕切板を折りたたむようにして後ろ舞台の壁を作る。その手際の良さは素晴らしい。そこに出現したのが、運送会社(営業所)の事務室。上手にはロッカー、その横のドアは発送室へ通じるらしい。中央奥は外部への出入り口、下手には所長机、女性社員の机。pc、棚、白板、スケジュールボードも見える。けっこうリアルである。

    父は、TVで一時話題になった大食い番組で、フードファイターとして有名になりかけていた。しかし、そのTV番組を真似た子が大食いで事故死するに至り、父の生活は一転。同時に夫婦の間に亀裂が生じて離婚。
    拾われた息子はかつてヒーローだった父の面影を探すが、現実は思うようにいかず引き籠りに...。どうにか、今は父親が勤める運送会社(営業所)でバイトをしている。捨てられていた日から21年...息子は21歳(2016年)
    その営業所に、ある日一人の客が怒鳴り込んきて、ドタバタ騒動が...。

    この男をヤクザと勘違いし、そのクレーム対応に見られる人間の本性。どこにでもいそうな人物を責任逃れ、自己本位、傍観者などに類型化して笑いに包みながらシニカルに描く。ちなみに、迷惑な性癖もあるようだ。
    さて、クレーム対応のシュミレーションを繰り返し、その虚実が分からなくなる。この繰り返しという演出はどうだろうか。観客によってはくどく、飽きることにならないだろうか。確かにシュミレーションは違うがクレーム相手は同じ。
    また上階の女性の登場も関係性において...劇中台詞にもあったが関係者ではない。できれば、クレーム相手やその内容に変化があると面白かった。例えばクール便の放置、時間指定のルーズさ、アダルト商品を奥さんへ渡して夫婦騒動へ発展など...。その中でより人間の本質が見えるようだが。

    この会社(社会)と父子(家族)という極大と極小という単位の間を目まぐるしく往還するような滑稽無稽な作術があってもよかった。それによってギャクの連発も底流にある物語性に支えられてキレも増すような気がした。そして奇妙なリアリティも生まれるのでは...。物語は続き、或出来事を経て5年後…息子・太陽26歳と父の関係に未来が見える。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★★

    ストーリーとギャグ
    “りゅうちぇるを普通にしたような”26歳の奥村徹也さん率いる劇団の勢いを感じた。
    若いが力のある役者陣の“全力でやってる感”が清々しい。
    ナンセンスコメディと謳っているが、ナンセンスなだけではなく、
    コントのようにガツガツと笑いをとりに行くだけのノーテンキな作品でもない。
    ストーリー性とギャグが共存する作風は大好物だ。
    アフタートークでビチチ5の福原充則氏が言った言葉が、
    現在のこの劇団を的確に言い表していると思った。

    ネタバレBOX

    冒頭、大家に見つかって泣く泣く猫を捨てに来た夫婦が登場。
    猫を捨てに来たのに人間の赤ん坊を拾って連れ帰るところから始まる。
    父親はフードファイターだったが、あるトラウマから食べられなくなってしまい、
    その後夫婦の間に亀裂が生じて母親は出て行ってしまう。
    拾われた息子はかつてヒーローだった父親の面影を探し続けるが
    現実は上手くいかず引きこもりになって10年、
    今は父親の勤める運送会社の営業所で仕分けのバイトをしている。
    その営業所に、ある日客のひとりが怒鳴り込んでくる…。

    アフタートークで奥村さんが
    「ギャグだけの作品でなく、何か1本ストーリーを持たせたい」
    という意味のことを仰っていたが、そこがただのナンセンスでないと感じる所以。
    親子の物語があって、そこからギャグの枝葉が伸びている印象だが
    特に、引きこもりでコミュニケーションが不得手な挙動不審息子が
    ほとんど笑えないほど痛々しくリアルだったからだ。
    (これは演じた東直輝さんが上手かったから)

    ストーリー性とギャグ、この両極端な二つを併せ持つスタイルが好きなので、
    個人的には評価したい。
    ポップンマッシュルームチキン野郎みたいに、衝撃的なほどシリアスな部分と
    役者がすっぽんぽんになるようなおふざけが同居する劇団はすごいと思う。

    あとはバランスの問題で、ビチチ5の福原氏が“個人的好み”として言ったように
    「途中挿入される妄想シーンで話を止めない、そこで勢いも止まってしまうから」
    という意見に賛成する。
    もっと削ればストーリーが浮き彫りになる反面、笑いのパターンは絞られる。
    やりたいことをどこまで絞れるかが今後の課題かなと思った。
    今回の親子の物語は、時間の経過と変化が良く出来ていると思う。

    役者陣の力加減が上手く、キャラの立った登場人物も面白かった。
    「ストライプ」のはるはるさん、新卒総合職の二見香帆さん、
    チンピラの高木健さんらに存在感があって素晴らしかった。

    次の作品も楽しみにしています。
    進化する献身をまた見せてください。




  • 満足度★★★★

    この植民地終わってる
    今作も一種のディストピアという印象を持った。

    ネタバレBOX

     3.11以降のこの「国」の為政者共の対応を見て、まともな神経を持ち、まともな感性と思考力を持つ者なら総てが、終わっていると判断するだろう。ハッキリと狂っているのが分かるのが、この植民地の奴隷共だ。
     以上のような状況で暮らす若者達の絶望の詰まった作品ということができる。但し、彼らもまた年を取る。そのことを充分に知った者が書いたシナリオであるから、屈折している。ヒーローは自分の親父でフードファイターとして新チャンピオンになりかかるものの、この熱狂をTVで見ていた子供たちが真似て死亡事故が起きたことからブームはあっという間に萎み、父はヒーローらしさを失って運送会社の所長に収まった。だが、部下の殆どは使えない連中ばかり、そこへヤクザ紛いのクレーマーがどうやらシャブを密送したらしい。その荷物にクレームがついて大変なことになった顛末。内実は観てのお楽しみ。

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