最悪な大人 公演情報 劇団献身「最悪な大人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ストーリーとギャグ
    “りゅうちぇるを普通にしたような”26歳の奥村徹也さん率いる劇団の勢いを感じた。
    若いが力のある役者陣の“全力でやってる感”が清々しい。
    ナンセンスコメディと謳っているが、ナンセンスなだけではなく、
    コントのようにガツガツと笑いをとりに行くだけのノーテンキな作品でもない。
    ストーリー性とギャグが共存する作風は大好物だ。
    アフタートークでビチチ5の福原充則氏が言った言葉が、
    現在のこの劇団を的確に言い表していると思った。

    ネタバレBOX

    冒頭、大家に見つかって泣く泣く猫を捨てに来た夫婦が登場。
    猫を捨てに来たのに人間の赤ん坊を拾って連れ帰るところから始まる。
    父親はフードファイターだったが、あるトラウマから食べられなくなってしまい、
    その後夫婦の間に亀裂が生じて母親は出て行ってしまう。
    拾われた息子はかつてヒーローだった父親の面影を探し続けるが
    現実は上手くいかず引きこもりになって10年、
    今は父親の勤める運送会社の営業所で仕分けのバイトをしている。
    その営業所に、ある日客のひとりが怒鳴り込んでくる…。

    アフタートークで奥村さんが
    「ギャグだけの作品でなく、何か1本ストーリーを持たせたい」
    という意味のことを仰っていたが、そこがただのナンセンスでないと感じる所以。
    親子の物語があって、そこからギャグの枝葉が伸びている印象だが
    特に、引きこもりでコミュニケーションが不得手な挙動不審息子が
    ほとんど笑えないほど痛々しくリアルだったからだ。
    (これは演じた東直輝さんが上手かったから)

    ストーリー性とギャグ、この両極端な二つを併せ持つスタイルが好きなので、
    個人的には評価したい。
    ポップンマッシュルームチキン野郎みたいに、衝撃的なほどシリアスな部分と
    役者がすっぽんぽんになるようなおふざけが同居する劇団はすごいと思う。

    あとはバランスの問題で、ビチチ5の福原氏が“個人的好み”として言ったように
    「途中挿入される妄想シーンで話を止めない、そこで勢いも止まってしまうから」
    という意見に賛成する。
    もっと削ればストーリーが浮き彫りになる反面、笑いのパターンは絞られる。
    やりたいことをどこまで絞れるかが今後の課題かなと思った。
    今回の親子の物語は、時間の経過と変化が良く出来ていると思う。

    役者陣の力加減が上手く、キャラの立った登場人物も面白かった。
    「ストライプ」のはるはるさん、新卒総合職の二見香帆さん、
    チンピラの高木健さんらに存在感があって素晴らしかった。

    次の作品も楽しみにしています。
    進化する献身をまた見せてください。




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    2016/06/06 04:13

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