二都物語 公演情報 二都物語」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-8件 / 8件中
  • グロテスク
    ひどい内容で、演劇とはいえない。私は今まで1000回以上の様々な公演を観させてきて頂いているが、グロテスクさではNo.2。リアリティーと演出や演技で魅せるのは全く違う。滑舌の悪い出演者も多い。
    あえて良い所を探せば、公演前の対応などくらい。
    二度と新宿梁山泊には行かない❗

  • 満足度★★★★

    登場人物の熱演に引き込まれた
    25日夜、新宿梁山泊が新宿花園神社紫テントで開催した唐十郎作『二都物語』を観てきた。この作品は、状況劇場の紅テント公演で43年前初演された話題作で、状況劇場以外では今回の新宿梁山泊が初めて取り上げる上、主演を唐の息子である大鶴義丹が演じるとあって、かなり話題になっていた。個人的にはそうした原作を巡る様々な期待感とは別に、最近気になる女優たちがこぞってこの劇団に属していた経歴を持っていることからどんな舞台を作る劇団なのか興味があったこと、そしてその気になる女優の1人である有栖川ソワレが今回出演するというので観に行くことにしたわけだ。

    この作品の粗筋を簡単に説明することは難しい。基軸となるのは、韓国から兄を探して日本に渡り通行人から100円をせびりつつ生きてきたリーランと、働いていた万年筆工場の火事で盲目となってしまった妹・光子を連れた内田一徹の出会い。一徹を別れた兄と思い込み追いかけるリーランと、彼女に惹かれていく一徹。その周りを、韓国から海峡を渡り日本にやってきた国籍のない男たちの集団や、ひなたぼっこの群れ、元万年筆工場で働いていた少女たち、獣殺しなどのが複雑に絡んでいく。
    劇としての核となるのはリーランと一徹の複雑な感情表現と理屈を超えた惹かれ合いだろう。今回はリーランを水嶋カンナ、一徹を先述したように大鶴義丹が演じていた。リーランの背負う儚さや悲しみ、一徹の悩む姿は、もう少しスケールの幅を持たせても良かったかもしれないが熱演と言うべきあろう。いや、ふたりに限らず、登場人物たちのエネルギッシュな演技に、新宿梁山泊の原動力を観たような気がする。

    演出的なクライマックスは、海峡に見立てた水しぶきの中を赤い木馬に乗って漂うリーランと、それをなすすべもなく見つめる一徹というラストシーン。テント公演の利点を活かし、膨大な水とショベルカーを利用した木馬の動き。それは、冒頭に水の塊とともに登場した国籍のない男たちの登場シーンと共に、迫力のあるもので、客席からは自然と驚嘆の拍手が沸き起こった。
    内容的にかなり息の詰まるものではあるが、適度にその毒気を抜いてくれるひなたぼっこの群れの存在は着眼点としてはなかなか面白い。
    また、劇中に挿入される歌の内容とタイミングは絶妙。これは、若手演出者は見習うべきであろう。

    ちなみに、この公演の獣殺し役の大久保鷹は、初演時に唐とともに不忍池から泳ぎ出てきた国籍のない男たちの集団の1人であり、この日客席に来ていた唐十郎が終演後舞台で紹介された折には熱い握手を交わしていた姿が印象深かった。

    観終わって、すっきり感とか消化不良感とかそういうものではなく、凄みが見るものの脳裏に強引に乗り込んできたような気持ちに襲われた、不思議な舞台であった。あお、上演時間は途中休憩を挟んで2時間15分あまり。自分は椅子の指定席での鑑賞だったので苦ではなかったが、平土間の自由席での鑑賞は疲れたのではないだろうか。最前列と2列めには、水しぶき防止の為ビニールシートと雨具が配布された。

  • 満足度★★★

    ネタばれ
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    新宿梁山泊の【二都物語】(作・唐十郎)を観劇。

    初演は1972年に状況劇場が、上野・不忍池を朝鮮海峡に見立てて行った伝説の舞台である。
    今作は、池のない新宿花園神社のテント芝居で、どのように朝鮮海峡を描くかが見所であったが、驚くような方法で海峡を表現してきたのである。

    唐十郎の描く世界は、社会の底辺でうごめいてる人々の個人のアイディンティーや宗教観などを背景に描きつつ、純愛を高らかに歌い上げる展開で、今作も日本と朝鮮の国境の狭間に生きる男女の三角関係の物語だ。
    特に唐十郎の作品は、主役、ヒロインの他に少年や少女が重要な役回りを担っていて、その俳優の力量次第では作品の評価も二分する。
    以前でいえば小林薫というところか。
    今作では、大鶴義丹と水嶋カンナというベテランで攻めてきたが、光子役(6/26日)を演じた若手女優が、実力か?演出力か?兎に角、唐十郎の描く世界の少女感を体現していて、リーランの愛よりも光子の愛が勝ったのは観客の誰もが納得するところだ。
    まぁ、ただあえて希望を言うと緑魔子の妖艶さが少し欲しいかな?
    そして唐十郎の戯曲は、本人が演出しようが、蜷川幸雄、金守珍など様々な人が演出しようが、やっぱり第七病棟の石橋蓮司が一番上手いという結論に達したようだ。




  • 満足度★★★★

    梁山泊テントの中興の今
    鄭義信作品と唐十郎作品の両輪で、テント主体で活動していた梁山泊が、劇場公演そして芝居砦へ拠点をシフト、その後韓国との交流や金守珍の映画製作もあったりする中、勢いのあるテント公演も維持、劇場公演では劇団1980との共同、そしてあの趙博の参入‥と様々な場面があった。そうした新宿梁山泊の幾つかのエポックの、また一つを数えたのが昨年のテントへの大鶴義丹の登場だ。これには過分に懐古趣味も入っている。先日逝去された扇田昭彦氏の著作に、私は当てられた一人。見てもいない60〜70年代のアングラ演劇を観た気になり、憧憬した。唐十郎作品を「飲み込む」のに歳月を要した自分だが「本家」の唐組に昨年初めて足を向けた。横国教授時代の氏の姿を一度目にした時とは変わり果て、杖をついて歩く姿に、涙した。その2ヶ月前梁山泊『ジャガーの眼』にて、大鶴は主役として舞台を走っていた。うまい(舞台)役者ではないと予想していたが、予想に違わず。にもかかわらず(親の七光でなく)遺伝子というものは何か不思議な働きをするものか、大鶴義丹というコナレない体に父の魂が乗り移りまるで操られ、そして本人は必死に付いて行こうともがく姿が見えた。理屈抜きとはこの事で、そう見えてしまう自分に客観的な評価は無理である。 ただ、そこには「受け継いでほしい」と思わせるものがある、という事は言えるだろう。何をか。‥唐十郎の戯曲にある、底辺からの声、祈りのようなもの?人間の根本に温かく寄り添い、永遠の正義としてあろうとする精神、とでも言おうか。(格好よすぎか..)
     そして今年。大鶴義丹はそこに居た。韓国公演に向けて作った40年以上前の作品の再演という事で、話の通りがシンプルである分、「飛躍しまくり度」は影を潜めた感じがした。それと、玄界灘を渡って‥‥朝鮮から日本へ、日本から朝鮮へ‥‥数多の涙を飲み込んだ歴史の海に、思いを馳せるところへ観客を導くのには、結構高いハードルがあったと思う。だがもう一点、「理屈抜き」の快楽がテント公演にはつきもの、今回も幻惑されたがこれは実際にその場で体感するしか。

     テント芝居を本気で作り込み公演を打つ事は、無駄を憚る世情ではきっと疎まれて来るに違いない。梁山泊のテントが未だ健在である時代を、来年もまたその先も噛みしめたいものだ。


  • 2時間15分。作品としては好きだけど、超満員で観客をむりやり詰め込んだことでつらい姿勢のままとなり、作品に集中できず、公演としてはNG。今後この会場へは行きたくない。

  • 満足度★★★★★

    蘇る唐十郎世界・・・また観に行ってしまいました!
    本公演は、既に日曜に観ていたのですが、その舞台の光景が頭の中で廻り続けて、ついにもう一度観に行く決心をさせました。_基本的な感想は前回と変わらないのですが、同じお芝居を観る1回目と2回目以降とは観る側の眼も自ずと変わるもので、最初は作品に、2回目以降は役者さんに眼が向くものでございます。_とはいえ日曜(第2夜)と今日(第6夜)とでは演じる側も間違いなく進歩したという印象です。_今日は役柄同士の掛け合いのタイミングが御見事でした。_そして私見ではありますが唐さんのお芝居の登場人物は、男性より女性のほうが言葉が多いようにな気がしていて、今回のヒロイン:リーランを演じたのは水島カンナさんの今日の彼女の演技は間違いなく唐十郎ワールドを現出しておりました。平成の新しい演技解釈がれば、それを否定するつもりは全くありませんが、水島カンナさんは唐さんのオリジナル世界を、とっても良く演じていたと思います。正直なところ唐さんの作品が今日再演されることがあっても、こういう演技をする女優さんはもう観られないのではないかと思っていました…役柄に没頭して取り憑かれたように演じ且つ言葉を発し続ける…これこそ唐さんが作品のヒロインに求めた姿なのではないかと思います。きっとそれが彼の台本の持っているオリジナルのリズムなんだと思います。そういう意味では平成の今、こういう演技(と芝居)が観られたことは奇蹟に近い事なのでは無いかなあと感じました。_特にラストに近いシーンでは汗なのか涙なのかの判別もつかないキラキラした瞳と表情を見せて頂きました。最後の挨拶の時にも、彼女は、とっても良い表情をしていたのが印象的です。御本人にとってもも、それなりの達成感があった舞台だったのではないかと思います。そして最後にもう一人、お芝居後の挨拶でキラキラした眼をされていたかたがいらっしゃいました。_それは唐十郎さんです!客席ビックリでした。唐さんは客席で舞台を見守っていらっしゃったようで、最後に舞台にあがったときの出来事でした。嬉しかったです!

  • 満足度★★★★★

    凄まじい演劇でした
    久しぶりに凄まじい演劇を魅せて頂き、とっても有難うございます!_唐さんの作品は時代の空気を深く呼吸して書かれていて、その時代の情緒や感情が一杯詰まっているものなのですが、だからと言ってリアリティに埋没したものでは全く無く唐さんが創作した唐十郎世界が、そこに展開しています。その奇妙で魅力的な世界は私を長年捉え続けています!_それは今時の、きゃりーぱみゅぱみゅワールドよりも、もっと奇妙で奇怪な情念世界でございます。_花園神社のテント芝居を観せて頂いたのは昨年夏の「ジャガーの眼」以来、一年ぶりなのですが、今回はその時よりも役者さん達が活き活きと人物を演じていたように感じました。二都物語は「ジャガーの眼」よりもずっと濃厚に時代背景が反映された作品でヒロインが手にするある小物などは今は眼にすることは無い物なのですが、かと言って舞台を現代に置換することはせず原作の時代のままに演出されていることが反って役者さん達が異世界に没頭できた要因のひとつになっているのかともしれないと思いました。特に一徹役やリーラン役には、それを感じました。 私はこの作品の初演をリアルタイムに観られた年齢ではありませんので、その前提での感想ではございます。_今も上演中ですのでネタバレ的な事には触れませんが桟敷席最前列の観客に対する主催者側の御気使いには感謝いたします~_その席では海峡をナマで実感いたしまして配られたもには随分と役に立ちました。もしかしてお稲荷さんの・・・・次回作品も楽しみにしています!!

  • 満足度★★★★★

    記憶
     1972年3月、戒厳令下の韓国ソウルにて、詩人金芝河の協力を得て上演された状況劇場の伝説の作品。
     先日観た『透明人間』もそうだが、唐さんの戯曲の奥深さを痛感。
    とって付けたような歴史への批評というものではなく、
    もっと身体とその痛みに根差した歴史の記憶を内包している。
    朝鮮半島と日本、その間にある海峡の記憶。

     初演にも参加された大久保鷹さんは強烈。
     申大樹さんと島本和人さんの演技も印象に残っている。

     ここのところ日韓関係がギクシャクしている(お互いの好感度が下がっている)。それに、日本の政府は右傾化し、戦争ができる国になろうとしている。そんな状況でこの作品を上演する意義はとても大きい。

    ネタバレBOX

    戯曲が内包している問題について書こうと資料を読んでいたら、
    山口猛氏の『同時代人としての唐十郎』(『紅テント青春録』も)にこの作品ができる背景とその解釈が仔細に書かれていた。

    私が感じていたものはほとんどは山口氏が既に指摘している。
    また、そこに大久保鷹論も書いてあって、これも正鵠を射ていると思う。

    改めて書きませんが、興味がある方はそちらを読んでみてください。

このページのQRコードです。

拡大