こわれゆく部屋 公演情報 こわれゆく部屋」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★

    メインの男二人が・・
    わりと分かりやすいのが不満と言えば・・(苦笑

    ネタバレBOX

    本当に心から思ってるのか、思ってないのか?ともかくも躊躇わずに口に出すホスト君。
    笑っちゃうくらいに中身がない。
    「ダサくない?」自分のことをホスト君の彼女だと思ってる妹の、姉の彼氏(元公務員)に対するコメント。
    口に出す前から心の中身はガラスで透けるくらいに見えている。

    二人に本質的に大きな違いはない。
    ただ、外見上の大きな違いを生み出してるのは「メリハリがあるかどうか」・・ただそれだけ。
    街を歩けば似たようなコントラストはどこにでもある。

    何年ぶりかで帰った付き合っている女性の妹を前にして野暮ったい寝間着でウロウロする男もそうなんだが、逆に妹の彼氏(ではないが)の方はその姉の守ってきた大きな家に赤いパンツ(ズボン)と金属のウオレットチェーンを垂らしながら乗り込んでいく。

    見た目の違いは極端なんだけど、やることが極端な男たち。
    ちょっと物語を見ただけで、「この二人の男、普通じゃない?」と気づく。
    そこら辺の描き方が非常に巧い。

    ただ逆に巧すぎて割とすぐにどういった男たちか感じてしまう。

    本来だったら物語的にどんでん返し(実はホスト君は非常に良い人で夢を持っていて、元公務員氏は複雑な心をもった優しい人間である、とかとか)がジェットコースターみたいに繰り返し出ても良いと思うんだが・・リアリズムに徹しているせいかそういうのはない。

    人にもよると思うんだが、舞台を見慣れていると「この物語を20分に縮めて戦国武将でも出して目の前の男たちを叩き斬ったら盛り上がらないかな?」とか思い始めてしまう(汗
    きちんと細部を描ければ物語は途中で切っても別段問題は無いような・・予測できるから。

    そもそもタイトルが物語を暗示しすぎているような・・

    リアリズムは悪くないんだけど、登場人物の男たちが本質的には同じ種類すぎて物語としてのメリハリがない。
    そこが残念。

    もっと、ダサいけど派手で真っ直ぐな男たちが暴れる話の方が観たいなぁと思ってしまう・・

    教科書としては良いと思う。
  • 満足度★★★★

    モラハラ
    高橋三船夫婦の離婚訴訟が話題になっている中、タイムリーでした。

    ネタバレBOX

    両親ともに亡くなって姉と二人暮らしをしていた妹が、姉のモラハラに嫌気が差して飛び出してから十数年、ホストクラブに作ったツケを家賃を節約して払うように馴染みのホストから促され、ホストとともに実家に戻ってきてからの話。

    妹の彼氏であるホストが居座り続けて家を乗っ取ろうとするなど困ったことになり、イライラさせられるストーリーになるのかと期待していましたが、単に妹を監視していただけで、数ヶ月後取立てに成功したらさっさと出て行ってしまいました。まさに金の切れ目が縁の切れ目でした。

    どちらかと言うと、姉や姉の同居人たちの職業である看護師の患者の死に際しての意識のあり方等を考えてみようとすることが主眼のようでした。

    姉は社会規範や職業倫理に関して理想的な考え方を持っていて、同居人も最初は彼女のプロらしさに憧れて同棲を始めたわけですが、結局はあまりにも切り替えが早いことに、理屈では分かっているものの人間味が感じられず心が離れていきました。妹が正論を押し付けてくる姉のモラハラ振りに嫌気が差して出て行ったのと同じことになりそうです。

    患者が死ぬ度に風俗に行って変態プレーをしなければ気持ちが切り替わらないというのは極端過ぎて、少し看護師に不向きなのかとも思いますが、患者に感情移入し過ぎないことが如何に難しいことなのかということは理解しました。

    ラスト、姉が妹に共依存の状態のようで驚きました。同居人の心が離れたためか、モラハラの相手としてもう一度妹を対象にしようとしたのかもしれません。しかし、もしそうならば妹が家出したときにもっと積極的に探すはずだったのではないかとも思いました。
  • 満足度★★★★

    まったりした家族崩壊劇
    ゆるやかな時間の流れの中で、軋み歪みが増幅しその限界を超えるとき、いとも簡単に大事だったものがあっという間に手の届かないところへ飛び去るのを、どうしようもなく見送るしかない。その悲しい現実をただただ受け入れることができないために、周囲とのコミュニケーションも取れず、孤立化していく有様がGOODでした。

  • 満足度★★★

    カツ丼
    面白い。85分。

    ネタバレBOX

    秋子(兵藤公美)…看護師。秋子の母代わり。同居の彼氏・高橋から人のつらさに鈍いと批判される。
    高橋(柳沢茂樹)…看護師。秋子の彼氏で同僚。元浪人生。風俗で色々発散する。
    麻里(富田真喜)…秋子の妹。16の頃家出。ホストなヒロと付き合っている。秋子のことは嫌い。
    ヒロ(工藤洋崇)…ホスト。母子家庭で育ち、家族のありがたみを切々と説く。
    三浦(木下崇祥)…看護師。患者に移入してしまうと思い悩む。水が飲めない。

    住居に困った麻里とヒロが秋子の家に居候しに戻ってくるが、秋子は高橋と同居していた…。

    2年前くらいの公演と比べて、キャラが随分真っ当になってきたなと。キャラが真っ当な分、会話に別なパンチが欲しいかなと。ちょくちょく面白いんだけど、全体的に圧倒される感覚がほしいというか。
    85分飽きなかったけど、もう一声なんかほしかったなと思った。
  • 満足度★★★★

    「部屋」。誰が主人公か
    現実世界を切り取る切り取り方の面白さこそ現代口語演劇の真骨頂で、こいつはいいや。と今日観た芝居の切り取りのうまさを感じ入りながら帰路についた。適度に不快で、不快を除去せぬまま終わるが、切り取りの妙が不快を補うというか、反転して不快要素が会わせ鏡式に相殺される。ナイーブな妹が最後に見せる若干の脳天気さが姉には若干ながら大いな救いを見出だすのを若干ながら我々も感じ取るせいだろうか? 俳優の的を外さないリアル演技にも感服しきり。

    ネタバレBOX

    一点、看護師や福祉医療に携わる者なら「患者の死」のショックと慣れ、患者に寄り添う心と節度(割り切り)といったテーマはとうに経てるはずで、新人看護師に問われて「あァ。」「うーん」と言い淀むなんて事は想像がつかない。それは新人の方にも言えますが。
  • 満足度★★★★

    会話主体の派手さに乏しい劇の中に様々な人間ドラマが…/約90分
    ある家庭を舞台に展開される、会話主体の派手さに乏しい劇の中に様々な人間ドラマが織り込まれていて、おおいに引きつけられた。

    説明文に示されているテーマとは無関係に思えるエピソードもあったが、それも含めて面白い。

    この劇団を観るのは前作『コンタクト』に次いで二度目だったが、前作のようにSF味がなく日常劇に徹している今作のほうがこの団体にはお似合い。

    ネタバレBOX

    両親がすでに他界し長女と年下のカレシが二人きりで暮らす家に、長らく家出状態だった次女が男連れで帰ってくる話。

    次女のカレシ面をしている同伴者が実はホストで、ツケの回収のため次女に付きまとっているだけだったとおいおい判る展開がいい。

    ただ、次女とホストは脇役に過ぎず、本作の主題と直接的に関わっているのは次女の秋子とそのカレシである高橋、そして家に遊びに来た二人の同僚・三浦の三人。
    三人は大病院の小児科で共に働く看護師であり、時々起こる、入院していた子供の死をどう受け止めるかをめぐって激しい口論が交わされる。

    看護師としてのキャリアが浅い高橋と三浦は子供が死ぬたび、あまりのショックに食事も喉を通らなくなるが、キャリアが長く子供の死にも慣れている秋子は、子供が死んだ直後にカツ丼を平らげてしまうことさえある。

    人の死が日常である病院という社会に「順応」しているとも言える一方、子供の死という重い事態に直面したとき当然発動すべき感覚が「麻痺」しているとも言える秋子のことを高橋と三浦はなじるが、秋子は「子供が死ぬたびに落ち込んでいたら仕事にならないから悲しみを抑えているだけ。私も実は悲しんでいる」と言い返す。

    このやり取りを聞いて素朴に思ったのは、子供の死を悲しむこととカツ丼を平らげることは両立できるのではないか、ということ。それも、秋子のように小児科看護師として長いキャリアを積んでいるのなら尚のこと。

    日本では通夜の席で酒を飲むのが慣習化しているが、あれが許されるのなら、秋子の行動も許されていいのではないだろうか?
  • 満足度★★★★★

    初回の参加ですが,良かったです!
    駒場アゴラ劇場には一度いってみたかった。内容は,なんでも良かった。退屈するかと心配したが,そんなことは全くなかった。むしろ,どんどん入りこんでいった。今までにも,なんとなく同じ雰囲気の演劇がなかったわけではないはずだが,演劇のあり方,劇の表現,セリフの発し方などに非常に特徴があって,興味が増した。

    内容は,まず,事情があって,家出していた妹が,彼氏をつれて姉のもとにもどる。姉は,姉で,彼氏ができていた。ぎこちない,二組のカップルのぶつかり合いが前半のテーマだ。ひとりが少し何かを語ると,思いのほかおもしろいキャラクターがわかって来る。テーブルを囲んで,喧嘩したり,仲直りする場面に,たまたま自分が居合わせたような錯覚に陥る仕組みがある。

    後半の,大きなテーマは,ざっくりというと,介護士の隠された苦悩だ。経験を積むと,医療関係者は,ひとの病とか,死についても,無感覚になって,慣れていってしまう。たくさんの事例を扱うことによって,このあいだまで遊んであげた少女の死を知って,その日のカツ丼が食えるのは,あって良いことかどうかと・・・

    スピード感はほとんどない。ぶつぶつ,テーブルを挟んで,なんとなくつきあっている男女が,じつはどんな感覚を持っているのか,少しわかって来る。結婚しているひとたちには,それぞれに,なるほどこんな夫婦もいるのか,とか思っているのだろう。とても良い演劇であった。おそらく,こういう演劇がだんだんと支持される時代なのかもしれないと考えた。

  • 満足度★★★

    ネタばれ
    ネタばれ

    ネタバレBOX


    水素74%の【こわれゆく部屋】を観劇。

    日本における家父長制を扱った物語。

    小さい頃に父を失い、姉と妹と二人暮らしだった姉妹なのだが、
    妹は家出をしてしまい、その間もひとりで家を守っている姉の下に、
    妹がひょっこり彼氏を連れて戻ってきたのである。

    家を守らなければいけないという家父制度の女性版だ。
    ひとりぼっちの姉は結婚しないまま、家を守り、内縁の夫らしい人とはしっくりいってない。
    そして何年か振りに再会した妹との和解を出来ずにいるのだが、どうやらそれは長男(今作では長女)は家を守らなければいけない、家族の面倒をみなければいけないという家父制度の呪縛にしばられてしまっているからだと気がつかせてくれる内容であった。決して姉はそんな意気込みなどはないのだが、知らず知らずのうちに掏り込まれている日本の風習にのっとって生きてきただけなのだが、それで家族間で誤解を生んで、家族関係が壊れてしまうのだという事なのかもしれない。

    不条理ドラマを得意としている劇団だが、不条理という題材がこんな日常の身近にあるのだという事を気がつかせてくれる作品であった。

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