満足度★★★★
まったりした家族崩壊劇
ゆるやかな時間の流れの中で、軋み歪みが増幅しその限界を超えるとき、いとも簡単に大事だったものがあっという間に手の届かないところへ飛び去るのを、どうしようもなく見送るしかない。その悲しい現実をただただ受け入れることができないために、周囲とのコミュニケーションも取れず、孤立化していく有様がGOODでした。
満足度★★★★
「部屋」。誰が主人公か
現実世界を切り取る切り取り方の面白さこそ現代口語演劇の真骨頂で、こいつはいいや。と今日観た芝居の切り取りのうまさを感じ入りながら帰路についた。適度に不快で、不快を除去せぬまま終わるが、切り取りの妙が不快を補うというか、反転して不快要素が会わせ鏡式に相殺される。ナイーブな妹が最後に見せる若干の脳天気さが姉には若干ながら大いな救いを見出だすのを若干ながら我々も感じ取るせいだろうか? 俳優の的を外さないリアル演技にも感服しきり。
満足度★★★★
会話主体の派手さに乏しい劇の中に様々な人間ドラマが…/約90分
ある家庭を舞台に展開される、会話主体の派手さに乏しい劇の中に様々な人間ドラマが織り込まれていて、おおいに引きつけられた。
説明文に示されているテーマとは無関係に思えるエピソードもあったが、それも含めて面白い。
この劇団を観るのは前作『コンタクト』に次いで二度目だったが、前作のようにSF味がなく日常劇に徹している今作のほうがこの団体にはお似合い。
満足度★★★★★
初回の参加ですが,良かったです!
駒場アゴラ劇場には一度いってみたかった。内容は,なんでも良かった。退屈するかと心配したが,そんなことは全くなかった。むしろ,どんどん入りこんでいった。今までにも,なんとなく同じ雰囲気の演劇がなかったわけではないはずだが,演劇のあり方,劇の表現,セリフの発し方などに非常に特徴があって,興味が増した。
内容は,まず,事情があって,家出していた妹が,彼氏をつれて姉のもとにもどる。姉は,姉で,彼氏ができていた。ぎこちない,二組のカップルのぶつかり合いが前半のテーマだ。ひとりが少し何かを語ると,思いのほかおもしろいキャラクターがわかって来る。テーブルを囲んで,喧嘩したり,仲直りする場面に,たまたま自分が居合わせたような錯覚に陥る仕組みがある。
後半の,大きなテーマは,ざっくりというと,介護士の隠された苦悩だ。経験を積むと,医療関係者は,ひとの病とか,死についても,無感覚になって,慣れていってしまう。たくさんの事例を扱うことによって,このあいだまで遊んであげた少女の死を知って,その日のカツ丼が食えるのは,あって良いことかどうかと・・・
スピード感はほとんどない。ぶつぶつ,テーブルを挟んで,なんとなくつきあっている男女が,じつはどんな感覚を持っているのか,少しわかって来る。結婚しているひとたちには,それぞれに,なるほどこんな夫婦もいるのか,とか思っているのだろう。とても良い演劇であった。おそらく,こういう演劇がだんだんと支持される時代なのかもしれないと考えた。