シカク 公演情報 シカク」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.6
1-20件 / 50件中
  • 満足度★★★★

    繊細な
    23日の夜、 竹石 加藤 高橋 松嶋

    27日の昼、 竹石 加藤 大神 大友

    を観劇。

    脚本・演出はお見事。

    脚本に関して、気になるところも多少ありますが、それでも十分に洗練されていたと思います。

    オープニングも素晴らしい。

    脚本・演出だけで十分に☆5の価値がある作品でした。

    ですが、繊細なお芝居なため、キャストや調子によって大きく完成度が変わるのでしょうね。

    23日の夜が☆5、27日の昼が☆3のため評価は☆4にさせて頂きました。

  • 満足度★★★★★

    ほぼ4人芝居
    開演前に4人芝居と聞いて、シンプルなステージを見た時の予想を見事に裏切って、深さも広さもある壮大なストーリーを体験できました♪
    当初おかしいと思われていた男が、実は一番まもとだったこと、タイトルにたくさんの意味があったこと、まさにサスペンス劇場として申し分のない内容だったと思います!
    椅子や柱をプロジェクターに絡めた光と闇の演出や、乾パンとのど飴の配布(笑)もオリジナリティーがあって良かったです^^
    2014年のラスト観劇として、印象深い作品となりました!

  • 満足度★★★★★

    さまざまな『シカク』がある
    竹石さん、沖野さん、中村さん、大友さんの回を観劇。
    序盤、竹石さん演じる男A(恭一)の突然の提案に驚き、その時点では恭一を疑ってすらいたが、物語が進むにつれ謎が少しずつとけてゆくとその真意がわかって納得した。むしろあれだけ冷静に提案できたのはすごいなと。
    あとの3人については、人によっては悪者と思うかもしれないがそれぞれやむにやまれぬ事情があるし誰も責められないと思った。まさか、序盤に出てきたおぼっちゃまくんのくだりが単なるネタではなく最後に重要な役割を果たすとは・・・
    あとは、大音文子さんが演じた看護師・川中島さん。
    あの空気の読めなさ加減は天才的、とまで思い大いに笑わせていただきましたが、あれも恭一を欺くための芝居だったとしたら・・・終盤ではそう考えてました。一見、隠し事とかできなさそうな人に見えますもんね。

  • 満足度★★★★★

    濃密な140分
    (ほぼ)4人の会話の積み重ねで進むストーリー。
    いくらボクラ団義さんでも4人芝居だったら90分位でしょ・・・なんて思ってたら140分!!
    「長過ぎない?」なんて疑問は杞憂に終りました。
    観劇姿勢もだんだん前のめりになり、「えぇ!」「あ、そうゆうこと?」と自分の勝手な先読みを裏切られ続ける140分w

    とにかく一人一人の小さな表現が伝わって来て、舞台からの圧力で倒れそう。
    大きく派手なステージだけが舞台じゃないぞ!ってことを知らしめるには十分な舞台。
    役者の魂を堪能した数日間でした。

    ネタバレBOX

    しかし愛佳さあ、いくら兄二人が双子でも、入れ替わったことに気づいておくれよ 笑
  • 満足度★★★★★

    企画演劇集団ボクラ団義!!
    心底、この劇団を好きで良かったと思いました。
    ストーリーは、久保田節(?)が炸裂した極上のサスペンスで、雷鳴と共に、謎が深まったり、死角がクリアになって視覚を取り戻したりする度に「ひゃぁ・・・(・Д・)!!!」と心の中でゾワゾワしてました。感情移入して涙を誘うというより、シカクで作られたパズルのようなサスペンスを堪能するっていう舞台だったような気がします。←ちょっぴり泣いてたけどね、私はw。
    そもそも『シカク』は、ほぼ四人芝居。回替わりでメインの役者が異なり、同じ組み合わせは無い。しかし、投票回という観客の投票で出演する役者が決まるという回が1日(マチネとソワレの)2回のみ設けられてて、そこはどうなるか分からない。
    前途の通り、ストーリーそのものも、もちろん面白いんだけど、変な話、役者たちのぶつかり合いでもあって、A○Bの総選挙を彷彿させたり、単純に自分の感情の動き方が、演じる人が変わる事で、こんなにも違うって思い知るのが、本当に面白かったし、楽しかった。
    『シカク』を複数回(可能な限り様々な役者の組合せを)観ると“良い悪い”ではなく“自分の好み”が分かるんだと気付いたりもした。きっと通常なら自分の演じる役を自分なりの答えを作って持ち寄り、稽古場で共演者や演出家とひとつひとつ答え合わせをして、100点の答案用紙を本番で広げてくれるんだと思うんだけど、今回は本番の舞台で、観客と、その時に共演している役者とで答え合わせをしてくれたような、そんな感じでした。本当に、こんな事は初めて。ボクラ団義の、迸るチャレンジングスピリッツに心を震わせました。
    『シカク』は(7周年なだけにw)7回観に行きましたが、これだけの期待を胸に『シカク』を観に行ける環境に自分の身を置いている自分と、この作品を素晴らしいと感じる事の出来る自分の価値観をほめてやりたいと思った位です。
    もしも、企画演劇集団ボクラ団義を一度も観た事のない方がこちらを読んでらっしゃいましたら、私は「観て損はないよ!」と申し上げたいです。

    ネタバレBOX

    たくさん書きたい事があるけど、キリがなくなるから、一番好きなシーンについて。
    男Bの最期「俺にはシカクが無い・・・」の後。
    この台詞の後、聞こえないけど口は動いてて、何かを囁いてて、言葉にならない、笑っているとも泣いているともとれる表情を浮かべて、川に飛び込む。
    この囁きは毎回、違う事を言ってるような気がしたんだけど・・・。本当のトコロはどうなのかな。何はともあれ『シカク』で一番好きなシーンはここです。
    男Bは女に殺されたんだけど、それたけじゃなくて、自ら選んだ結末でもある。
    甚八にもらった命で生きていた澤田が、甚八に、奪われる以外の命の使い方(選択する権利)をあげたんじゃないかな・・・とか、深読みし甲斐があるシーンだったと思います。
    見れば観るほど、もっと観たくなる、もっと見付けたくなる。本当に、凄い舞台でした。
  • 満足度★★★★

    久保田脚本の真骨頂
    雨の夜に襲われ視力を失った女性と彼女をめぐる3人の男…。
    中盤で事件の表層が明らかになってからが久保田脚本の真骨頂、二転三転どころか五転も六転もする展開は角を曲がる度に新たな景色が見えてくるよう。
    そんな中、バレにくい嘘に関する台詞は久保田式の演技メソッドか?なんて見方をしたりもして。
    で、主要な4人の他に2人が助演、そして多人数のシーンが1つ(複数回演じられる)という「変則4人芝居」形式が独特だが、この多人数のシーンを何らかの方法(会話で処理とか?)で他の役者を使わずに済ますことができれば商業系での上演もあるのではないか?とも思ったり。
    あと、前方2列の小さな椅子での150分はさすがにキツいよね。

  • 満足度★★★★★

    やっぱり凄かった
    ほぼ4人でのお芝居。 台詞量も半端ないけど熱量も半端ない。 ベースは変わらないけど、いつもとテイストの異なる脚本・演出に、しっかりキャスト達が応えている。 期待をはるかに超える舞台だった。 佐藤修幸さんの演技がすご過ぎ。 表情のひとつひとつが見逃せなかった。

  • 舞台演劇「シカク」に隠された最後の死角(もしかしたら久保田さんが見せたかった本当のもの?)
    「ち、違う、佐藤ノブさんの男Cは!」
    というネットの噂を耳にして、
    まだ回収出来ていなかった佐藤ノブさんの男C
    (この噂を聞くまでは、結構な回数観劇したし
    今回はもう諦めていたのですが)
    かなり興味が湧いてつい再度観劇。


    しかし、まず目を引かれ、
    そして目を離せなくなったのは男A福田さんでした。


    福田さんの男Aは公演期間序盤に1回観劇していて、
    「後半に向かうほどに上手く感情がこもっていく、
    しりあがりに良くなっていった回」と以前感想をあげています。


    その福田さんが、

    ・ 福田さんという役者としての自然体

    ・ 福田さんとしての男Aに対する理解の深まり
      (この時の男Aはきっとこんな気持だったのだろう、という)

    など、色々なものが活かされたのだと思いますが、
    今日はもうしょっぱなから(あくまでも自然体でありながら)
    とても感情を載せた男Aを演じていました。


    その感情の起伏の見せ方が「男Aの1つの形」にして、
    (観劇している自分が)
    「男Aの立場に立ったのならまさにその時その気持ちになるはず」、
    というぐらいピッタリハマるものだった為か、
    その豊かにして感情爆発といえるぐらいに
    熱の入った表現にもう夢中になりました。

    ※ おかげで「シカク」の中で自分には謎だった部分が
      また1つ解明されました。


    主目的だったはずの佐藤ノブさんの男Cについて、
    これもまた良いものを観せてもらいました。

    まさに芝居経験年数の違い、芝居巧者としての演技、
    「シカク」を1回でも観劇している人なら
    ぜひ自分の観た男C役とノブさんの男Cを比べる事で、

    役者の役に対する理解と想像力、役作りによって、
    同じ脚本でも舞台上の表現はここまで変わる、
    という事が比較できて楽しいと思います。
    ※ あくまでも演出の許可あっての事でしょうが( ´ー`)


    沖野さんについては「いわずもがな」、
    言える事は「表現力がスゴイ」の一言。

    沖野さん同様平山さんについても初日から既に完成されていた、
    今日もまさに「演技上手」と言えるお芝居でした。
    (その表現についても、微細な部分について
    表現方法を変えてきた(?)と思われる部分があり、
    「更に」分かりやすく共感しやすくなった部分がありました。)


    そして、男A:男B、男A:男Cのそれぞれの感情爆発が共鳴しあうように、
    今までに自分の観てきた「シカク」とは
    また別の色合いを持った(自分の知らなかった)
    ミステリ要素よりも感情劇としての
    「シカク」を見せつけられたような気がします。

    ※ 初回からの竹石さんの「男A」が一番ピッタリ(適役)、
      とずっと思っていましたが、
      劇の色が変わると今度は福田さんがピッタリ、と見えてくる。
      舞台「シカク」の自由度の高さに驚きです。


    あと、「少々のトラブルで慌てない」、
    これが今日の役者陣全員徹底出来ていたようで、
    多少のミスなど気にせず自分の芝居を続ける事で、
    (観劇する側に動揺を与えない)
    求心力を落とさないままに閉幕までを演じきっていたと思います。
    (これがある意味一番褒めたい点かも知れません。)

    ネタバレBOX

    【今日の感想】
    ・ 「佐藤ノブさんの男Cは狂気すら感じる」という噂を聞いて、
      今までの男Cの方はそれぞれの自然体かつ
      妹(女)との関係を自らバラした後も、
      (自分が「弟である」という事が女にバレるまでは)
      あくまでも1人の人としての人格でもって、
      ある人はひょうひょうと、
      ある人は大人として、
      ある人は(妹への優しさを含め)感情を表に出した形で
      演じていたと思います。

      しかし、ノブさんの男Cは全く別のアプローチで役作りし、
      攻めてきました。

      序盤からの表面上おだやかに感情を表に出し、
      時に芝居がかったリアクションを取る、
      やさしめな刑事さん、といった感じが、
      (「狂気」の噂を聞いていた自分には、その言葉の端々にすら
      狂気の片鱗が感じられましたが、それは単に勘ぐっただけ?)

      男Aに妹との関係について指摘された時から、
      別人のように隠された人格を表に出します。

      開き直った形の演技というよりも、
      ・ あの父親の子供であり、業の深い血を受け継いだのだと自ら認めている
      ・ 社会を生きる上で全てを隠し、表面上善人としての仮面をかぶる
      ・ 妹と共に弟を殺した事(共犯者としての顔)
      ・ とみせかけて兄を殺して兄になりすましている事(妹すらだます)
      といういくつもの仮面をかぶっているように見えました。
      (多分平時と裏の顔、以上にいくつかの人格が
      ノブさんの役作りの中ではあるのでは?と
      思えるぐらいの多彩な表現でした。)

      ※ このいくつもの仮面について、まさに妹同様の名優にして
        (血の繋がりはなくとも)仮面の兄妹として
        2人の重なる面を感じました。

        本来男Bだけが自分の中にいくつもの異なる記憶という
        感情を持っている劇、
        というイメージがノブさんの男Cに覆されました。

      その男Cが「君は、あいかの本当の姿を知らない・・・」と言うからこそ、
      悲劇のヒロイン、失明を装い犯人を追う女、という女の姿に
      「この兄の妹である」という事ゆえの「狂気」の色を感じました。
      (他の役者の演技が派生して別の役者への観方を変化させる、
      のを今回一番感じました。)


    ・ 福田さんの男Aについて、
      女の「嘘」への気付き、「不信感」に始まり、
      女の「嘘」、男Bの「嘘」、男Cと女の「真実」に至るまで、
      何かを知り何かとぶつかるごとに変化する男Aの
      感情面を見事に演じてみせ、

      今までこの悲劇について何も知らなかった、
      その真実に触れてしまい、
      「自分の今までの世界が全て嘘であった、と思いたい」
      と言う男Aは、まさにやり場のない葛藤の中にいるようでした。


      そして、今回の福田さんの男Aの表現によって、
      「シカク」の中で語られる
      「これは恋の話だ」という言葉についての説得力が感じられるようになりました。


      今までは、男Aは愛した女にずっと騙され続けた上、
      兄弟妹のドロドロの愛憎劇の真実を客観的にストーリーテラーとして見守り、
      そしてバーベキュー当日、川へと飛び込んでいく(逝く)3人を見送る第三者、
      という兄妹(きょうだい)達とは結局距離を置いた
      位置にいる(しか立たせてもらえなかった、かわいそうな)存在だと思っていました。
      (その為、「シカク」は完全な正方形ではなくいびつな四角形なのではないかとも)

      しかし、
      ・ 妹と兄に共謀して殺されかけ、逆に兄を殺して兄を演じ、
        妹の愛を勝ち取っていた男C

      ・ 弟に殺され、その死を臓器提供という形で葬られた事に始まり、
        男Bの記憶をどんどんと兄としての記憶(弟と妹への憎しみの記憶)で
        埋められていき、
        ついには女への凶行へ及ぶも、かつての憎悪と愛情の間(はざま)で女を殺せず、
        ならばいっそ女のそばで生きてみよう、と考えた男B(ある意味、兄)

      ・ 兄と共に(双子の)弟を謀殺し、その秘密をかかえたまま
        兄である男Cを愛し、世間体から身を守る為に男Aと偽装の恋愛を演じてみせる女

      に対して、

      ・ 女の双子の兄(兄弟)と同様に、狂おしいほど女を愛し、
        その愛を受け入れられたと喜び一緒に暮らした2年間、
        そして起きてしまった事件と前後して、
        女の今までに隠された「嘘」に気づき、
        そして失明すらも「嘘」という不信感から、
        その目的を追ううちに男B、男Cの存在から
        女とその兄にあたる双子の兄弟との秘密、
        そして自分が信じ続けていた女との恋愛感情含め全てが「嘘」だった、
        と知らされ、「一体何を信じればいい、いっそこんな世界なら・・・」と
        苦悩する男Aもまた
        恋愛劇としての「シカク」の一角を担うにふさわしく、
        この「シカク」が正方形的なものだったのでは、
        と改めて感じました。

        ※ 今回の福田さんの感情爆発と言えるほどの熱の入った芝居によって、
          この「シカク」の形を正方形と想像させた事もまた、
          久保田さんの予想を超えた役者の力量という
          「伏線」だったのかも知れません。

      そして、先の男Cと同様、ここまで純粋に女を愛した男A、
      それを完全に騙し続けていた女について、
      「ものすごい名優」でかつ「悪い女だ!」という観方を持たされました。


    ・ 感情爆発の共鳴
      感情爆発する男A福田さん
      同じく熱のこもった演技をする男B沖野さん
      とうとう裏の顔を見せ悪魔的に感情を露わにする男C
      この激しい感情のぶつかり合いがすごかった。

      この時は、
      「もし、今日が落ち着いた芝居上手の女を演じる平山さんではなく
      最初から感情を表に出して演じていた女役の方だったら
      どこまで求心力を高められただろう?」
      と、そんな組み合わせの妙を想像してしまいました。

      しかし、最後の最後、弟を兄と共謀して殺した事、
      更には兄と思っていたのは実は弟だった事、に対して
      平山さんの女が激しく感情を表に出した時、

      「感情の四角形『シカク』の完成や!」
      (調和の逆もまた調和、とでも言うのでしょうか?)
      という気分にさせられました。

      いや、いいもの見たな、と(毎回思うけど)


    【本劇についてずっと思っていた事】
    どうせまた観劇に行くのなら、やっぱりツッコミ入れておこう、
    と観劇前から思っていた事があります。

    以前から書いてますが、4人のメインキャストを
    それまでバイプレイヤーにしてアンサンブル的な役割を得意とした
    各役者陣にも演じさせる、その上組み合わせは毎回変わる、
    という高すぎるハードルを持ったこの企画について、

    ・ ボクラ団義やその役者陣のファンには楽しすぎる催しである

    と同時に

    ・ ボクラ団義について、噂を聞いての初観劇など初見の方や、
      いつものクォリティを求めて来た方にとっては、
      (特に初回を迎える各演者陣の緊張その他から来る
      ミスなどのトラブルから舞台の空気自体が壊れてしまった場合)
      「ハズレ回」となってしまい、二度とボクラ団義を
      観に来てくれないかも知れない

    そして、「シカク」の4人についてはそれぞれ型があり、
    その型にピッタリマッチする役者と、
    その型に合わせるのに苦労する役者とがいる。

    型=設定された性格や台詞、演出上の表現方法(オーバーアクションでの笑いネタ、など)など。
    ※ 特に組み合わせが毎回変わる事も合わせて、
      各役に熟練するのが難しい

    そうした場合に、脚本/演出側の歩み寄りが必要だったのではないか?

    どの回もある一定以上の水準を満たす為に
    各役者の苦労している点について、補助的な修正、補正をかける必要が
    あったのではないかと思いました。
    (役者に合わせて役の演出を若干変える、
    本来感情を抑えての長台詞に感情を載せる事を許す、
    自分なりの言い方に変える事を許す、など)


    しかし、福田さんの1回目と今回2回目を観て、

    ※ 前々から「のびしろ」その他色々言っていますが

    まさに「悪戦苦闘」「苦悩」する姿に始まり、
    「本領発揮」または「成長」した姿
    (本来持っていたものが「覚醒」した、と自分は感じていますが)
    を観せつけられると、

    この「覚醒」する姿を見せる事こそが、
    「舞台上で行われる『シカク』と同時進行するもう1つのドラマなのでは?」

    と思えました。


    福田さんだけじゃありません、
    2回以上観劇出来た各役者さんについては
    (元々ベストの状態に持って行っていた各役者さんについてもなお)

    それぞれが個性の出し方、感情の載せ方、表現の方法など、
    また組み合わせによってうまく相手を立てる事を考えて、
    回ごとに色々工夫/努力している姿が見受けられました。


    そして今回のように、まさに「覚醒」といえるほどに
    前回よりもあきらかに「いい芝居」をしている姿を観ると、
    舞台上での物語以上に感動してしまいました。

    ※ 客観的に舞台上の演劇のみを楽しみにしている人にとっては、
      先の話の「初見でミスの多い回にあたってしまった場合」など、
      劇団に対してマイナス評価して終わり、という感じでしょうが

    ボクラ団義という劇団とその脚本/演出、その劇団員達が作るお芝居と
    その各人の活動を応援し、また楽しみにしていた人達(ファン)にとっては、

    この「覚醒」する姿をその目で直接観られる事が一番嬉しい出来事だったと思います。


    もしかしたら久保田さんは、
    まさに自分の劇団の役者達の元々のポテンシャルと
    舞台上での成長、覚醒を信じていたのかも知れません。
    そうだとしたら各役者達は見事に公演期間中に主催の期待に応えたと思います。


    この過程を観てしまうと、「観客第一」とは思いつつ、
    舞台の上でのもう1つの劇「成長劇」を観せられた自分にとっては、
    やはり「シカク」は革新的な試みであったと思います。

    そして、こんな大博打をうった久保田さんには、
    きっと(長い年月を一緒に芝居を通してつながって来た仲間たちへの信頼による)
    勝算があったのかと思います。


    一見(いちげん)さんの評価を下げてしまう可能性はありつつも、
    ボクラ団義のお芝居に始まり、各役者までを応援してくれるファンにとっては、
    かけがえのないもの、
    芝居だけではない劇団員と劇団の向上心、
    そして1枚また1枚と「脱皮」していく姿を
    舞台上のお芝居と同時進行で表現して魅せた、
    と言えるのかも知れません。


    この隠されたもう1つのドラマまで本当に計算づくだったのだとしたら、
    叙述トリック、ロジカルミステリの大家にして
    舞台空間上で「芝居表現以上のモノを観客に魅せ、感じさせる」
    演劇界のスーパーコンピューターか、
    はたまた(成長という)未来の預言者か、
    すごい先見の明を持った人ですね、久保田唱さんは。




    更にすいません、
    自分は基本的には同じ劇を同じ方があまり複数回観劇する事に
    好意的な気持ちを持っていません。

    叙述トリック、伏線をうまく張るボクラ団義のお芝居でも、
    初見の1回、伏線回収で1、2回、計3回が気持ち的に楽しめる限界かな、
    と思ってます。


    そして、ある役者さんが好き、劇団を支援したい、
    などの気持ちはありがたいものでしょうが、
    同時に劇団/役者さん自身の成長機会を奪い、
    最悪内輪向けの芸しか出来なくなってしまう可能性すらあるのでは?
    と思っていたので。


    しかし、今回の覚醒/成長する姿を観て、

    例えば舞台を1回観て、
    「まあ、こんなものか」と物語/役者/座組自体を
    判断したとしても、

    その公演期間中に(「役が降りてくる」などの言葉のように)
    ノリにノリ、ハマリにハマリ、
    そして役者さん自身がその元々持っていたポテンシャルを本領発揮したり、
    今までの自分以上に成長した姿を見せる、
    (逆に全員不調な回もあるとは思いますが)

    その輝くまでの成功回と、何より役者さんの「覚醒」する姿を観るのは、
    (演劇を客観視する、と決めている方はともかく)

    演劇を「自分の気持ちを引き込んでくれるもの、
    (現実世界に抱いているモヤモヤした全てから引っ張りだして)
    感情を持って行ってくれるもの」として愛するものにとっては、

    舞台上のお芝居以上に素晴らしいものを
    観せてくれた瞬間だと思います。


    それに出会う為の複数回観劇であったとすれば、
    「なるほど、演劇にはそういう楽しみ方もあるのだな」
    と納得するしかありません。




    今年最後のめっちゃ長文失礼いたしましたm(_ _)m


    PS.今日の観劇でめちゃくちゃ興奮した為に、
      劇場でずっとアンケートに感想書いてたら、
      尊敬する名優「竹石悟朗」さん
      (ツイッターへの感想投稿でつい(慌てまくった為)漢字間違えてしまい、
      今ツイッターでツッコミいただいたばかりです( ´ー`))
      にお声がけいただいちゃいました。
      元々「お見送り」とか苦手なのと
      「感想は感じたまま良い事も悪い事も書きたい」
      と決めていたのもあって、(距離を置く意味と人見知りとで…)
      役者さんとお話した事はなかったので、
      かなり慌ててしまいつい自分からベラベラと、
      今日観た福田さんに対しての興奮を語ってしまいました。

      後でツイッター観たら、お見送りでの役者さんとのお話では、
      役者さんの今回のお芝居、自分の役にかける想いなど、
      (僕がいつも一番聞きたいと思っている)
      そんな事を聞ける場だと言う事を思い出しました。。。

      それもみんな「妖怪のせいだ!」ならぬ、
      「福田さんの(演技が輝いた)せいだ!」( ´ー`)

      今年最後の更に最後に(演劇自体以上に)いいもの観ました。


    PS2.深夜にふとまた考察
      どうしてここまで自分が興奮したのか?

      考えてみたら(自分が観た限り)、感情爆発型の男Cはノブさんだけだった。
      ────────────────────────────
      男A福田さん:男B沖野さん(同じく感情を猛烈に爆発させる)
      ────────────────────────────
      で生まれた求心力が今度は
      ────────────────────────────
      男A福田さん:男C佐藤ノブさん(の暗黒面の爆発)
      ────────────────────────────
      で更に高まり、
      ────────────────────────────
      男A福田さん:男B沖野さん:男C佐藤ノブさん
      ────────────────────────────
      3人がぶつかり合う(というか男A+男B VS 男C)所で
      更に感情が高まり、
      そして最後の最後で
      女平山さんが感情を表に出した所で
      ────────────────────────────
      男A福田さん:男B沖野さん:男C佐藤ノブさん:女平山さん
      ────────────────────────────
      の感情の「シカク」が完成して、
      感情を引っ張る劇として頂点まで来た、
      という事かしら?

      ────────────────────────────
      男A竹石さん:男B沖野さん:男C大神さん:女平山さん
      ────────────────────────────
      が(自分が観た中では)一番バランスがとれている形として、

      もし
      ────────────────────────────
      男A福田さん:男B沖野さん:男C佐藤ノブさん:女????
      ────────────────────────────
      の女役に感情を最初から表に出すタイプ
      (自分が観た限りでは誰だったろう?)
      が来てたら、
      完全に別の「シカク」が出来上がってた訳か。。。

      その組み合わせ回もあったのかな?
      パンフレット観なおしてみよっと。


    PS3.男Cについて、各役者さんは男Cの基本人格を
      まず定めてそのそれぞれの感情
      (序盤若手をあしらう所から、中盤後半と「真実」が暴かれていく際に
      怒りや恐怖や悲しみをいだく)を表したと取れるけど、

      佐藤ノブさんの男Cは
      「この男は二重人格者(更に三重四重)的な狂気を秘めてる」と定めて、
      善人の仮面を剥がされた時、感情だけじゃなく
      人格自体を豹変させた、という違うがあるのかな?
      
      こういうのは役者さん本人に聞かないと分からないな。

      今回のDVD/BDはオーディオコメンタリだけじゃなく、
      「自分は○○をどう表現したかったか?どう演じたか?」
      について全役者さんに一言(それ以上)ずつ
      語ってもらったりとか出来ないのかな?
      (めちゃくちゃ楽しそうな気がするけど)

      補足.ただし「上手さ」は絶対的にあると思うものの、
        ノブさんの表現こそが「シカク」にピッタリか、
        というのはまた別だと思います。
        あまり男Cの表現方法が突出しすぎるのも
        「シカク」の空気自体を変えてしまう可能性
        (4人が主役、から男Cのミステリに変わってしまうかも)
        もありますし、笑いネタで若者をあしらう男Cなどは
        大神さん、中村さんなどのひょうひょう、大人びた
        形の方がマッチしていて会場に笑いが起きやすかった、
        など、脚本で定義される男Cとの適合度合いは
        逆に遠くなったのかな?という感じもありますし。
        ※ ただし、ここまで違うと「比較」「考察」
          (どっちが自分には表現としておもしろい?
          また、どっちが男Cっぽい?など)
          などを楽しむ意味でのいい「素材」(隠しキャラ?)
          だったのは間違いないかと( ´ー`)


    PS4.そう、当日帰りにこれだけは書きたい、と思っていたにも関わらず、
      書き忘れてた内容を追記させていただきますm(_ _)m
      ・ 各感想で「看板役者」「劇団の柱」
        「バイプレイヤー(脇を上手にこなす人)」
        などの事を書いていましたが、
        福田さんは既に十分過ぎるほどに
        久保田さんの懐刀的な意味合いを持った役者さんだったんじゃないかな、
        (同様他の役者さん達も、久保田演劇の
        各ピースを埋める為の重要な存在、
        それがたまたまサブキャラなどの
        メインではない存在だった、というだけ)
        と思いました。

        齢(よわい)29?にして、
        少女たちとの淡い恋愛に悩む男子学生の役を演じられる役者さんは
        劇団中多分福田さんだけ、
        そういう「活かせる個性」と「(自分だけの)見せ場」を
        十分に持っていたんじゃないかと。
        (あ、これは「さよならの唄」での役の話です。)

        以上、今年の感想を締めくくらせていただきますm(_ _)m
  • 満足度★★★★

    衝撃的会話劇
    2時間を超える上演時間ですが、のめり込んでしまって、全く飽きませんでした。衝撃的展開のサスペンス、お見事!としか言い様ありません。

  • 満足度★★★★★

    熱演に感動!(≧∇≦)☆☆☆!
    看板役者の沖野さん大神さん竹石さんは、やっぱり鉄板!さすが!でした。シンプルな舞台セット…と思いきや⁈映像や仕掛け的にもセンスの良さを感じました☆狭い劇場なのに、カッコイー贅沢な空間なんです!役者の熱いものが凄く凄〜く伝わってくるし、♪音楽も映像もセット(仕掛け)もホントいいの‼︎…キュン♡ときます◎4人以外、団員メンバーのシーンも好きです◎久保田社長⁉︎&ボクラ団義 サイコーです‼︎千秋楽、楽しみですo(^▽^)o

  • 満足度★★★★★

    ボクラ団義の新たな挑戦…お見事!
    タイトル「シカク」…解説では『視覚』と『死角』が作り出す 出演者全回変わりの異形のほぼ四人芝居 『会話』と『静』が織り成すサスペンス超会話劇、という謳い文句。あらすじから犯罪絡みであることは容易に想像できよう。
    言葉で紡いでみると、「罪」を犯せば「罰」を受ける、そしてその報いは「死」か「苦」…。生きながら責め苦を味わう恐ろしさ。そんな人間姿が炙り出される秀作。その描き方は、タイトルの文字列変更、つまり「シカク→カクシ」のとおり芝居のいたるところに伏線が隠されている。

    ネタバレBOX

    ボクラ団義は、「殺陣、ダンスパフォーマンス」、「群像劇」というイメージであった。それが、メイン4名による濃密な会話劇を展開したところに驚きを感じた。

    しかし、公演の内容は素晴らしい!。ストーリーの展開で少し強引なところもあったが、総じて飛躍するが現実にありそうな…そんな微妙に納得するような筋書きが、キャストの確かな演技力で描ききれていた。

    作・演出 久保田唱 氏の挨拶文では「ちょっと挑戦であるこの公演を番外公演ではなく『本公演』として銘打ってやりたかった。」とあるが、その意気込み、想いは十分表現されていたし、観客としての自分も満足させてもらった。

    次回公演はどうなるのか、楽しみであり、期待もしております。
  • 満足度★★★★★

    静けさの中にもスリルとパワー
    とにかく会話劇でありながら静けさの中にもスリルとパワーを感じる舞台だった。これだけのセリフ量がありながら出演者が毎回入れ替わるというからさらに驚きだ。作品の構成も大胆でありながら緻密で、役者も力量と個性を兼ね備えておりエネルギッシュだ。筋書きに無理があるとか、セリフを噛む箇所が多いとかは些細なこととして忘れさせてくれる。この劇団としては本作はいつもと違う異色作とのこと。今後の作品を注目していきたい。

  • 満足度★★★★★

    投票会選抜チーム
    投票会によって選ばれたチームを観に新宿@サンモールスタジオに
    さーすが、オープニングから竹石さん、加藤さん、大神さん、大友さん
    息もピッタリ、静寂した雰囲気も更にあいまって
    ドンドン惹きつけらました!
    この作品も明日の2公演でラスト
    是非、今日の夜公演 仕事帰りに観に行くだけの
    価値が有りますよ\(^o^)/

    ネタバレBOX

    『シカク』愛するが故の不信感
    信じていた彼女は、実は、お兄さんと恋仲とは
    今まで通りとは、いかない、哀しい別れ
    見応え有りました!
    女優さんの演技力半端なかった!
    三田寺さん、大友さん、中野さん、春原さん、平山さん
    松嶋さん
    有難う御座います\(^o^)/
  • 満足度★★★★

    ぐ~
    疲れた~!気持ちよく疲れた~!
    こんな会話劇初めて。なんだかね、変な表現なんだけど、目を閉じてても観れる?そんな舞台でした。会話劇の素晴らしさを改めて実感。
    途中、隣の友人のお腹が「ぐ~」って鳴ったのは、劇団さんの前説でのお心遣いが逆に刺激となったようだ(笑)
    静まり返るシーンが多いので、空腹では観劇しないように。

  • 満足度★★★★★

    見ごたえあり
    上演時間2時間20分。相次ぐ展開で見ごたえがあった。ずっしりくる内容と、上演時間と、この会場の椅子が組み合わさって、観るには意志の力が必要で、1回は観てよかったが再見はなさそう。

  • 満足度★★★★

    衝撃的な幕開けから
    会話を中心に熱量の高いお芝居が見られました。この長尺で台詞の多い劇を何組もの役者さんが演じることができるなんて、すごい劇団ですね。また、マッピングの技術をこんなにうまく使いこなしている劇団を観たのは初めてです。ライティングも素晴しい。何度もグルーヴするシーンから次々に謎が明かされていって、ぞくぞくするような会話劇の素晴らしさを味わえました。ただ、テンションの高い前説も入れると、2時間40分を優に越えるこの劇、やっぱり長過ぎる。俳優さんたちの声量や声のトーンもバラバラで、噛みも「ここで噛むか・・・・」という大事な所で発生したりして、全体にちょっと無理があるかな、と感じた。前説をバッサリ切るか、素人的にはわかりにくいチェホフの部分など、(入れたいんだろうなぁ、とは思います。思いますがあのシーン長かったな・・・・・)割愛して、何度も足を運びたくなるような舞台にして欲しい。

    ネタバレBOX

    もう2回ぐらい見たいけれど、あの長さを思うと足が萎えますね。あと、なんとなくこうしたお芝居ってこの劇団の本領じゃ無い感じがする。パンフにも異形のお芝居とありますが・・・・。でもこんなすごい脚本があるのだから、ベストメンバーでもう一度見てみたいなぁ。鮮烈でした。
  • 満足度★★★★

    芝居らしい芝居やと…
    6回目の観劇で改めて感じた事。

    本来の芝居。言葉と演技力だけで観せてくれる舞台だと。

    役者によっての演技が違うのは当たり前だけど、いい意味でも悪い意味でも引き込まれ方が違いすぎておもしろい。

    細かい糸を見つけるのも楽しみの1ツな舞台です。


  • レアポケモン2匹ゲットだぜ!(今は妖怪ウォッチですかね)
    まず、

    ・ 感想連投してしまっている事
      (僕が書くほど他の方が引いてないか心配です…)

    ・ 今回、ボクラ団義という劇団で
      今まで色々サブキャラクター的な役割を
      担当してきた皆様の隠された力というか
      新しい可能性をどんどん見せつけられるのが嬉しくて、
      「お芝居1回としての面白さ」よりも、
      ・ この役者のここがすごかった!
      ・ ここがすごくなる可能性がある!
      みたいな事書いちゃってます。
      (客観性にも欠けまくってます、きっと。)

    すいませんm(_ _)m
    はっきりいって僕の感想は観劇の役には立ちません。


    12/23(火)18:00 竹石加藤高橋松島回観劇。

    まず、
    ・ 高橋さん松嶋さん2人初回かつ本日千秋楽
      =この「シカク」に舞台上で慣れていくチャンスがない。

    ・ 高橋さんは今まで結構変わったサブキャラを
      短時間芝居で演じられるのが
      (自分が観劇していた限り)中心だった事。

    ・ 松嶋さんは演劇自体に数年のブランクあり。

    という事から、「シカク」慣れした2人(竹石さん加藤さん)に対して、
    この2人がどこまで失敗せずについていけるかどうか、
    という結構心配される回かと思いました。

    ※ 回りの方が開演前「今日はハズレかも」的な事を言っていたので
      (多分上記の点を心配してでしょうが)
      自分としては「グギギ」(見返してやってちょうだい!)
      という気持ちで見守りました。


    しかし、2人ともすごかった!
    (レアポケモンゲットしに来て正解でした。)


    (詳細はネタバレとして)
    ・ 高橋さん、この4人だけの長編舞台を(多分)男Cという役よりも
      「役者高橋雄一自身の個性」を使って等身大で演じたのか、
      台詞も自分の口調でスラスラと、
      感情の込め方も見事で、
      「ここまでメインで張れる役者さんだとは気づかなかった」
      と正直思いました。

    ・ 松嶋さん、(ネタバレになる部分は避けつつ)
      見事感情の起伏をクライマックスに向けて
      盛り上げて女を演じきっていたかと。


    場慣れしている竹石さん加藤さんと相乗効果的に歯車が噛み合って、
    ベスト回が☆5つとしても、
    この4人の回も(比較せず)普通に観たら普通に「面白い!」、
    と感じられる回に仕上がってました。


    役者試しの「虎の穴」みたいなお芝居ですね、この「シカク」は( ´ー`)

    ネタバレBOX

    ・ 「男C」について、他の担当の方々はひょうひょうと、
      または大人として、若者(男A、B)を軽く受け流す感じで接っし、
      女への感情も序盤あまり表に出さない、
      あまり感情的にならない演じ方をしていたと感じました。

      対して高橋さん、あくまでも「役者高橋雄一」として
      素の感情も表に出し、自分本来の口調/しぐさを使っての
      「高橋雄一の男C」を演じていた、と感じました。

      それが妹を心配する「歳の差のあるお兄ちゃん」という
      雰囲気を出していて、きっとこのお兄ちゃんは
      「妹が小学校4年の頃に高校生ぐらい、
      両親がいなくなってからは父親代わりになって妹に接し、
      その面倒を見てきたんだろうな」
      となんだか温かい気持ちが湧いてきました。

      最近客演でどんどんもらえる役どころも上がってきて、
      しかしお芝居中名誉の負傷をしてしまう、という
      苦難の道を進んでいたとは聞いていますが、

      (本来のポテンシャルなのかこの修行のたまものなのか)
      「全然メインで張れる役者さんじゃないか!」
      というイメージをいだきました。


    ・ 「女」、松島さんについて
      自分の席位置が完全壁際で序盤女の表情、芝居が全く見えなかった事もあり
      中盤までのあくまでも感情を抑えた(抑揚のない)台詞回りに、
      「自分なりの女の個性を狙っているのか?」
      「あるいはブランク明けの長編芝居ゆえに覚えた台詞を(感情を載せずに)
      発するだけで精一杯なのか?」
      自分が松嶋さんのお芝居自体をほとんど観た事がないゆえに
      判断がつかずに時間は流れました。

      しかし、女がとうとうその「本性/本質」を見せる段になって、
      見事に感情を台詞や芝居に載せてきました。

      そして、表情が見えた時、想像以上に表情で色々語る(表情芝居の出来る)
      女優さんなんだな、と感じました。


    と、本日初回の2人が思わぬパフォーマンスを発揮。


    対して、

    ・ 「男A」竹石さんについては、今回何度も感想で褒めちぎっているので、
      今日思った事を1つだけ。
      今日は座席の悪さゆえにその表情、姿自体が見えない場面も多々ありました。

      しかし、その台詞の発し方、そこに載ってる感情だけで
      今どういう表情をしてどういう芝居をしているのかが
      観える気がしました(だから見えなくても進行上まったく問題ない)。
      ※ 自分が複数回観劇しているからその記憶で分かるだけ、
        という訳ではないと思います。
        自分は朗読劇が好きで良く聴きに行くのですが、
        竹石さんの台詞回しは映像なしでもイメージが見える、
        朗読者としても一流になれるんじゃないかな、というぐらいにお見事でした。

      ※ 考えてみたら、声だけで映像がイメージできてしまうと
        死角(暗闇)での芝居もバレバレになっちゃいますね、
        竹石さんが「女」役じゃなくて良かった( ´ー`)
        って事ですよね。


    ・ 「男B」加藤さん、序盤の男Aとの感情を載せてぶつかり合い笑いを取る場面、
      男Bだけのせいではなく、両者の熱量や求心力の方が勝ってしまった為かと思いますが、
      いつもの「シカク」のように笑いが起きず、観客みんな静かに見入っている。

      ※ 思い出しました。耳蒼を複数回観劇した際、
        初日は全演者の熱(あるいは緊張感?)がどの場面でも
        入りすぎているように感じ、
        「笑い」ネタの場面でも求心力の高さゆえに
        観劇しているこちらも集中しすぎて
        「笑う」という反応すら出来ず、自分は
        「すごいモノを観ている、とは分かるが何故かいつもの
        物語としての起伏、バランスの良さを感じられなかった」と
        ☆4つにしたのでした。
        2回目以降は熱量が丁度良いバランスになったのか、
        自分が慣れたのかとてもとても楽しめましたが。


      そんなやりとりを見ていて、
      「男Bは役の形が☆型で、加藤さんは○型のように、
      型自体があってないのではないか?」

      元々クリーンなイメージ、正義感などを演技その他で自然と
      醸し出す(かもしだす)加藤さんには
      「男A」の方が合ってるんじゃないかな?
      という気もしました。

      ※ 特に本日観劇前いろいろモヤモヤ考えていて
        ──────────────────────────
        「男A」は演者次第で色々な方向に性格付けできる、
        またそうしても物語に影響は出ない、

        「男C」は後半の本性を見せる所まで、
        笑いはとりつつ若者達と自由に接する、
        女への接し方も同様

        「女」はもともと「元役者」で「暴行の被害者」という事で、
        後半の本性を見せる所までは、
        この理不尽な状況への怒りを見せてもよいし見せなくてもよい
        (演者ごとの個性の付け方)、

        それに対して、「男B」は
        ・ 序盤の興奮しての「男A」とのやりとり

        ・ 心の中にかかえた「じんぱち」の記憶、
          暴行の記憶、「刺客」として女に近づく自分、
          死んでしまおうとする自分など、
          色々な心情を場面場面でなんらかの形で
          表現し続けなければならない
          (というかそれをするからこそ「伏線」になる)

        ・ 「男A」へ真実を打ち明ける場面、
          「男C」と対峙する場面などでの感情の盛り上がり

        など、かなり脚本/演出で性格/演技自体を決められている、
        役者の当てはめが難しい役なのではないかな?
        と思ってました。
        ──────────────────────────


      加藤さんが「男B」を演じる場合、加藤さん自身が本来醸し出す
      雰囲気/色(クリーンなイメージ、正義感)に対して、
      脚本/演出側で少し補正を加えないと行けないのではないか?
      と勝手に考えました。

      しかし、そんな事でへこたれるCM男(JAL?の顔)ではありませんでした。

      加藤さん自身が元々得意としている感情(「葛藤」「悲しみ」など)の伝わる、
      求心力のある演技力、芸力を駆使して、
      (沖野さんの「男B」のように狂気すら含んだ葛藤、
      悲しみの観せ方とはまた違った演じ方で)
      見事に「加藤さんの男B」に場の空気ごと補正していったように思います。
      ※ 多分「純粋な自分自身の状況、自分を殺した弟と妹への愛憎」を
        醸し出していたのかと。

      ※ 虹鋼のサンゴ、ゴーストライターズの秘書、と
        元々愚直なほどに正義の心を持ちながら、善悪その他に葛藤させられる、
        そんな役をやらせたらやっぱりいい芝居をするなあ、
        涙腺に来る演技をする役者や( ´ー`)、と思いました。
      ⇒
      2014/12/24(水)
      ─────────────────────────────────
      すいません、長い説明のわりに何言ってるのかよくわかりませんね、これじゃ。

      「男B」が芝居がかったバカっぽさのあるオーバーリアクションで
      ネタを振って、それを「男A」がスルーで返す、という笑いネタの場面

      男B「本だよっ!!!!」
      男A「(スルーして)彼女は?」

      沖野さんの大きな体躯で芝居がかったオーバーリアクション/台詞だからこそ
      合う笑いネタの振り方であって、

      加藤さんの場合、もともと醸し出す「純粋さ」「正義感」「一本気」という
      雰囲気や「自然体」「等身大の演技」が似合う(と思う)為、

      いきなりキレ芸をやってみせた時、まわりがその内容を理解して笑う前に
      場の空気を「緊張感」として掌握してしまった、という感じでしょうか。
      
      そしてそんな雰囲気をまとった加藤さんだからこそ、

      ・ 男Aの方が似合いそう

      ・ 男Bをやるなら、男Bの常時のテンションを少し下げた形で演じる
        男B「ほら、本だよっ」男A「(スルー)彼女は?」男B「無視かよっ!(ちょっと怒る)」

      方が、加藤さんらしさが活きるのかな、と思ったと。

      ただ、この笑いネタを外してしまったのはともかくとして、
      「純粋さ」を持った男Bの「葛藤」する心理については
      加藤さんが今までに演じてきた作品と同様、
      基本は「善」であるがゆえに、自分の行ってしまった「悪」の行為や
      記憶に対してものすごく内面で葛藤する「男B」、
      というイメージを見事に表現されていたのかな、と。

      思いましたが、ボクラ団義とかかわる限り、
      葛藤しない加藤さんを観たことがない、
      そしてその葛藤が物語、場面を盛り上げるきっかけとして
      毎回必ず活きているかと。
      (虹鋼のサンゴがやっぱり一番加藤さんを
      「この人誰だ!?すごく気になる演技をする」
      と意識した場面でしたね。)
      そういう意味で「葛藤」のキャラである「男B」に
      「葛藤」の芸風を持つ加藤さんが合わない、という事は”絶対”
      (って言っちゃっていいのかな?)ない訳で( ´ー`)

      (本日もう1回予約しちゃったので、もう1回確かめられそうです。)
      ─────────────────────────────────


    ・ と、今回の組み合わせでは、「会話劇」だからという事もありますが、
      台詞/声に見事に色々な感情を載せて魅せる台詞回しの芸達者が多かったな、
      と思いました。


    ・ この4人での「会話劇」にして「感情劇」、
      ベスト回とは言えないとしても
      この回だけを観たら「これが『シカク』」とちゃんと認められる
      そんな良回でした。


    ・ 久保田さんは「シカク」にて、
      自劇団の各役者陣のその力量や
      見え始めた「のびしろ」に対して、
      今後どう対応していくのかなあ・・・

      それぞれいい個性/色を持っているので、
      主役級で物語を作っても
      面白いんじゃないかな、と自分は思います( ´ー`)
      (というか観てみたい。)


    毎回毎回長文すいませんm(_ _)m
  • 満足度★★★★

    いろいろな「シカク」
    今までに4回観劇。
    今日のマチネの平山空さんの女以外は2回目に見るキャスト。
    男A~Cは各3役者ずつ見てきたが、役者ごとに印象が違うように感じた。
    特に男Cは、大神さん、中村さん、佐藤さんで印象が全く違った。
    23日のマチネは、添田さん、沖野さん、佐藤さん、大友さんの組み合わせで観たが、こう、なんというか今まで見た4回の中で一番熱量が高かったのではと思う組み合わせだった。

    いろいろな「シカク」を取り込んだ、役者さんの新たなる一面を観られたように思う公演でした。
    大シャッフル回はどうなるか、期待。

    辛口コメントを言えば、結構噛んでるかな。
    1公演に最低でも1度は噛んでる印象。
    長セリフなのもわかるけど。
    後は、とある公演のとある役者さん。
    噛む以前のお話。喉も管理は大切ですね。

    ネタバレBOX

    ネタバレに入るのかどうか。
    男Cのそれぞれの印象。
    たっくんは、なんだか少し飄々とした感じ。たっくんの独自のイメージが取り込まれた、そんな印象。
    あぁ、たっくんは男C役にピッタリだと思った。
    中村さんは、たっくんに比べて少し冷静で大人なイメージ。なんか少し同情しちゃいそうな感じ。悲しい、そう感じた。
    妹と別の出会い方をしていれば起こらなかった悲劇じゃないかなとか思った。
    のぶさんは、こう狂気じみている感じ。特に中盤からラストにかけては、そう思った。
    あぁ、この人、狂ってる。そう思いました。

    沖野さんの男Bは、ライトが当たっていなくてもその時の演技までもつい注目して見てしまう。
    ライトが当たっていないところでの伏線の演技は、いつもながらにすごいなぁと思う。
    こういう所もDVDに残してもらいたいなぁと毎回思ってしまう。

  • 満足度★★★★★

    役者さんのパワーが伝わってきた!!
    正直に言うと、ホームページやブログでは
    それほど観たい!!って気持ちはなかったです。
    あらすじ見てもあまりそそられなかった。
    好きな劇団だから1回は観とこうかなって感じ?
    そもそも劇場がいつものように大きくないし、
    二、三日前に休みが変わって予約したから
    後ろの方かと思ってたらまさかの最前列!!
    いつも通り楽しい前説が始まり、その間見てたのは
    何とも変わっている舞台セットでした。
    確かに題名『シカク』だけど…。
    そして暗転から舞台が始まると、まあ、役者さんの
    近いこと!!
    明るくなるとすぐ目の前に加藤凛太郎さんがいて
    その後も、福田智行さん、大神拓哉さん、平山空さんが
    入れ替わり立ち替わりで話が進み、気になる事が
    あることの伏線だったり、予想外の展開になったり
    時々笑わせつつも、話は容赦なく核心に迫り
    表情も汗も涙も見える近さで起こる感情の渦が
    見事に表現されてて、それがこちらにも伝わってくる!
    個人のと言うよりは、ホントにこの4人でしか味わえない
    凄い物を観た!!と言うのが正直なところです。
    今回の公演はメインの役者さんが毎回違うので、違う回を
    観てみたいけど、観たくない方が強い?
    生物のお芝居に完成度なんて考え方はしたことなかったけど
    この4人のお芝居だから、こんなに胸に来るのかなと考えると
    他の役者さんも大好きな人ばかりなんだけど、観に行くのは
    なんか違うと思っちゃいました!!
    あくまで個人的な感じ方なので、他の役者さんも観たい!!
    って思う方も多いのでは!?
    営業妨害になったらごめんなさい!!
    1回寝れば考え方変わるかも!?
    あの熱量に当てられて、今日は冷静な判断ができてないかもです。
    それから、毎回出演されてる福丸繚さんと大音文子さんも
    よく観といた方が良いですね!
    ふとした表情にクセモノぶりが…。

    長文書いてしまいましたが、簡単に言うと面白かったです。
    役者さんってホントに凄い!!

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