満足度★★★★
飛躍するイメージ
気づけば桟敷歴5年、本公演観劇8本目。チラシの暗示に違わず、(私の知る桟敷童子とは)異種の劇世界を堪能した。
様変わりにも程がある、と言い放って拍手をしたくなるのは、毎回みせる舞台作りへの凝り具合を今回のような異種の芝居においても発揮された、という感想からだろう。
話のほうは、東氏の頭に若返りが起きているのか、と考え込んだ程、架空世界の「架空度」、イメージの飛躍度が半端でない。初っ端から「憂い」の影が垂れ込み、シュールさを帯びるが、どこかコミカルでもある。この両面のバランスが絶妙であったと思う。後でパンフを読んで飲み込んだのは、今作は東氏が十代の頃初めて書き上げた戯曲(を改稿したもの)との事だ。
舞台の作りは、装置の凝り具合はいつも通りだが明らかに傾向が異なり、不思議であったのは客席前に1.5m幅程の通路が左右に渡してある点。これまでの土着的なお話ではどちらかと言えば写実的な、草木とボロ屋なんかがあるほっこりする美術だったのが思い切り抽象的である。とは言え劇場を覆い尽くす感じの、胎内の心地良さに通じる作り込んだ装置ではあるが。受付付近で既に衣裳に着替えて立ち働く役者らの衣裳も様相が違い、『モモ』の灰色の男たちを連想させ、ファンタジーだと判る。音楽担当は同じだが既成曲(デヴィッド・ボウイを多用)の使用が目立ったのも、異色だった。これらが舞台作り上すべてうまく行ったとは言えない面もありそうだが、、フィクションを突き通した脚本と俳優の熱がこの不思議な劇を印象づけた。従来の群像劇風の中でもキー役の多かった大手忍がガッツリと主役(少年時代の体夢)として立ち回った事や、最後に来るカッチョいい装置ドッキリもいつもと違っていて、つまり「異種」の世界がガッチリと作られた事への驚き、なのでありました。次回作が不安で楽しみ。
満足度★★★★★
感じる…時間
普通、時間は過去から未来に向かって流れると思われる。しかし、屁理屈は承知の上で、例えば砂時計は、上部が未来、括れた所が現在、そして下部が過去として見れば、時間の流れは逆転している。
本公演は体夢(タイム)の悲惨な出生から物語が始まるが、9歳の時、15年後と初老期の自分が現れ、同時並行して存在する、という、通常の“時”の概念がない。将来から来た自分が告げる未来の姿とは…。
満足度★★★★
楽しめました
今までの桟敷童子とはちょっと変わっているようで、かなりファンタジー色が強かったですね。それでも現代的アングラのアーシーな感覚はそのまま。違った側面を楽しめました。
満足度★★★★
賛否両論、さまざまな意見を見て
観てからかなり日数が経ってしまいましたが、「今までとはひと味違う桟敷童子の世界」に賛否両論、さまざまな意見があるようなので、コメントすることにしました。桟敷童子は「風撃ち」以降、毎回観ている思い入れのある大好きな劇団です。しかし、これまで観た3本の本公演はどれも同じ作風、同じテイストの作品に感じられ、正直言って前回の「海猫街」では、「海」がテーマになっている点が同じということもあって、最初に「風撃ち」で受けたほどの面白さと感動を感じませんでした。作品としては「海猫街」の方が上だったようにも思いますが、初めて観た時ほどの新鮮さを感じなかったのが理由かもしれません。
そして今回の「体夢」ですが、作品自体は楽しめたし、「ひと味違う」点の興味も満たされましたが、「桟敷童子らしさ」が少なかった点が残念に思いました。作風とテイストの違う作品は番外公演でも観ていますが、その時でも「らしさ」は満載でした。それが今回はちょっと違いました。劇団の持っている個性と作品のマッチングに少し違和感を覚えました。それは創る側演じる側の問題というよりは観る側の問題(劇団に対して先入観を持って観てしまった)かも知れません。しかし、これまでの路線を続けていたら、新たな観客を獲得できても、古い観客は少しづつ離れていくかも知れません。その意味で今回の作品が劇団としての幅を広げ今後さらに飛躍するための1ステップとなることを切に願います。
「劇団の個性と新たな進化の両立」は老舗劇団に共通の難しい課題だと思います。差し出がましいようですが、演じる側に立った経験のない私が敢えて言わせていただくと、「桟敷童子の劇団員さんが演じて楽しい」作品が「観て楽しい」作品になるという気がします。ぜひその方向に向かうことを願って今後の公演を楽しみにしたいと思います。
満足度★★★★★
ヒトというカオスに夢はまだあるのか
多くの男たちにレイプされ水底に沈められた母から生まれた待夢。彼は復讐を誓うが、レイプ犯は全員、既に自殺してしまっていた。
満足度★★★★
この劇団は好きなんだけど・・・
まず,この劇団は接客が良いよね。メイク済の役者さんによる開場後の席への案内も丁寧できちんとしているし,これだけ席が狭くて満席状態で遅れてくる客もちらほらなら開演が遅れるのも仕方ないよねと思うも,「開演が3分遅れて申し訳ありません。只今より~」と,よく通る声で宣言があり,芝居が速やかに始まる。5分も10分も開演が遅れて平気でいる(と思われる)劇団は,ぜひこの姿勢を見習って欲しいところである。さて,問題の芝居だが・・・賛否両論あるのわかるなぁ。新たな挑戦はわかるんだけど,アングラ色が強くて苦手かも。これまで観た桟敷童子の芝居が良すぎただけに,ちょっと否定的に思えてしまう。これまでの路線で行ってほしいなぁ。とはいえ,舞台装置,役者さんの演技はさすがです。苦手感があり入り込めない部分はありましたが,それでも十分芝居を堪能させていただきました。
満足度★★★★★
流石である。
仕事で少し遅れてしまいましたが、受付で丁寧な対応。演者がスタッフもやっており、座席対応も良くていつも姿勢が謙虚。前列だったので何か来ないかとビクビクしていましたが、思ったほど被害(良い意味で)はなく、しかし迫力はあり。
舞台装置の迫力、細かいところは何かしらあるけど、しっかりとした芝居でアングラでも分かりやすい部類のストーリー展開。海猫街の方が好みだけどこちらも充分な面白さでした。バックステージツアーは時間なくて残念。長年観てきた方からすると、色々変化もあるのかもしれませんが、私は観れて良かった。
満足度★★★★★
とても良かった!!
初めて観る劇団です。最初は、唐十郎?風なのかなと思って観ていました。物語が進むにつれて、これは黒テント?寺山?古典的な群像劇?いろいろ考えて観ていましたが、その内どうでも良くなりました。これが桟敷童子なのですね。子供の夢を大人に託して、磨かれた役者たちの手で紡ぎ出された、世紀末のおとぎ話。なるほど、ファンの人が大勢いるのも納得です。最後は絶対に、後ろの壁が開いて、バックの夜景の中でエンディングを迎えるんだと思っていたけど、開かなかった。そういう劇場ではなかったか、あは。でも、今まで観たことないくらい美しいラストシーンでした。また、観たいと思います。
満足度★★★★
初めての桟敷童子
おもしろかった。
東さん演出の舞台は観ていたので、なんとなくの雰囲気はわかっていたのだけど、やっぱり初めての劇団を観る時はドキドキした。
最初は少しだけ入りづらかったのだけど、後から引き込まれていって、
集中してた。
満足度★★★★
芯に流れる劇団魂は不変
長年のファンの方が開演早々帰られたりもして賛否両論渦巻いているという劇団桟敷童子の公演に出かけてきた。これは、知り合った役者もりちえが所属している関係からであるが、劇団としてもなかなか実力のある団体で一度観ると次作もみたくなるという衝動に駆られるからでもある。
粗筋は・・・と書こうとしたが、これがなかなか難しい。人々にレイプされ死んだ女性から生まれた体夢という少年が、未来から時を逆戻りして現れた自分の未来の姿である青二才と狂人2人とともに、世の中にはびこっていた奇病を退治する。というか奇病を抑えこむ不思議なチカラを持っていた体夢が、様々な体験を経て奇病を収めていく。しかし、しかし、奇病というのは人間性の回帰であり、結局は輪廻のごとく繰り返し現れては消えていくものなのであった・・・・というような。そうか、ここからもういつもの桟敷童子の公演とちょっと違うかも。
さて、舞台はというと、いつもの様に桟敷童子色の演技で気持ちは舞台に引きつけられる。のではあるが、話の内容からか、演出の関係からか、時折舞台に流れる心地よい時間というか空間というかリズムというか、そういうものが壊される。それは出演者が突然全体舞踏というような踊りをしたり、スローモーションになったり、客から笑いを取るセリフだったり。まぁ、話が堅苦しくて気を緩めるシーンが無いので意図的に客から笑いをとったり、進行上スローモーションが効果的だったりする箇所もあるわけだが、どれも使い古されてきた手法だけに「桟敷童子もこういう手法を取り入れるんだねぇ」という思いを持ったのは確か。特に全体での踊りというのは、舞台転換や役者の着替え時間が必要という場合にのみ認めるという自分にとってはちょっとガッカリだったかも。しかし、それを除いたら桟敷童子らしさの芯のようなものは確実に舞台を支配していた。
役者の的確適度なテンションとその維持、舞台を左右奥行き高低と3次元にくまなく使い切る動きには、いつもながら感心させられた。
特に、体夢を演じた大手忍はなかなかの演技達者。客演の劇団円の2人の存在感もバッチリ。いやぁ、この2人、アジのある役を演じきっていましたなぁ。もりちえはというと、後半の娼婦役の印象がなかなか強かった。
それにしても、この劇団、今回も誰を主役に作品を演じても舞台をつくり上げることが出来る演技の上手い役者が揃っているなぁと感心させられたのだった。
最後に、今回の舞台、賛否両論が渦巻くというのは分かる。おそらく、全体を流れる筋書きがもっと太く、そして陳腐な演出がなければ否の部分はかなり少なくなるのではないだろうか。今回の公演が、今後更に躍進するための方向転換というか微妙な舵切りになり得たかどうかは、次作以降の舞台ではっきりするだろう。さらなる洗練された演出を期待している。
満足度★★★★
もっと笑っていいトコ、
本作の作劇により、今後もしばらくは足を運ぼうと思わせる仕上がりだった。
とても取っつき易くすっきりとした印象の舞台。多少センチメンタリズム寄りな軽さを感じつつも楽しめた。
*座席の間隔はもう少し広くならんのかなァ、とても窮屈で時折集中力が途切れるから、ここのハコは苦手・・・。
満足度★★★★
新型桟敷童子、発売中!
従来は暗色だったチラシが白を基調にしたものになったことから漠然と抱いていた予感が的中?
桟敷童子としては異色の作品となった。
最初は「作風が変わった」と思うも、作風と言うよりは題材が変わったと言った方が的確かと思い直す。
抽象というよりむしろ素に近い舞台で描かれるのはハードSF、時間の環、ゾンビ、ナウシカ、英雄伝説などどこか既視感のある世界だが、複数組み合わされている上に桟敷童子流に変換されているので明確に思い出せないのがまた巧いところ。
そうして戦争や殲滅戦、欲望などを取り上げて語るのが新味。
どちらかと言えば物語よりもテーマを重視した感じか。
そう言えば洋楽…というか英語の歌詞が付いた歌を使うのも初では?
さらに普段よりもアングラ色が濃かったのではあるまいか。
これはこれでアリと思うが、賛否は分かれそうだよね。
あと、カプセル兵団の某作品(内容)や別役実作品(ビジュアル)も連想。
満足度★★★★★
無題1335(14-384)
13:00の回(晴、寒い)。12:15会場着、受付、12:28外で整列、(自由席)12:30整理番号順に入場、何時ものように暖かい対応。5作目、大手さんは「シャワー(2014/10@風姿花伝)」を観ました。座って舞台をみると、鬱蒼としたものではなく、無機質、冷たい美術。13:00前説(110分)、開演〜14:54終演、バックステージツアー。当パンの役名、元ネタがわかるものが多い。
終末SF的、未来の幻想物語、廃退、運命、少年だけが持つ力…ジュブナイル物の王道。
劇中、D.ボウイの曲が聴こえてくる…どの音源?「Ziggy Stardust」は1972年リリース、今でも聴いている人はどのくらいいるんだろう。
椎名さん…「アロマ(2015/1 予約済み)」に客演、ちょっと声をおかけする。
満足度★★★★★
引き裂かれた夢
まさに夢のように中心の物語から逸脱し様々に広がっていくイメージが面白かった。
私は古くからの桟敷童子のファンではないので、昔の作風は知らないが、近年の作風からすると少しテイストが違う。
平たく言えば、幻想奇譚というか、シュールレアリスム的世界。
そのチャレンジ精神が素晴らしいと思う反面、強度としてはいつもより弱い印象。
と言っても、このどのようにでも解釈できる世界を、そして多義的に張り巡らされたコードを、観劇後に色々と思い出し、考え直したら、観劇中にはわからなかった発見もたくさんあった。まるで夢解釈のような作業。
解釈に頭を悩ませるという二次的体験も含めて、珍しい体験ができた。
何より、今まで採用してきた方法と違う試みをするという姿勢が素晴らしいと思う。そして実際に新たな表現が見出されていたと思う。
※12/15:ネタバレの最後に追記しました。
満足度★★★★★
シュールな芝居は苦手だ!の自分が...
シュールなのに、『訳がわからない』ではない。ドロドロに見えて案外そうでもない。ストレートに入ってくる感じ。ある意味、スタンダードなのかもしれない。実際、カラフルに感じられたんだけど。寒い夜、終演後はスカイツリーが見下ろしてました。「どうだった?」そんな気がした公演でした。