遺失物安置室の男/改 公演情報 遺失物安置室の男/改」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.9
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★

    あくまで個人の感想で
    実験的な芝居だと思いましたが、よくわかりませんでした。
    正直に言うと、面白くなかったです。

    でも、こういう芝居を作ろうとする劇団と役者に☆ひとつ追加で。
    集中が途切れ、子どものようにモゾモゾ動いてしまって周りの人に申し訳なかったです。すみません。

    ネタバレBOX

    あの男が何者なのかとか、国会議員の黒沼との関係はとか、二重人格の娘は本当に娘なのかとか、どうしてあんなになっちゃったのかとか、疑問に思ったことが全てわからないままに終わってしまいました。
    ラストは暗すぎて、どよーんとしました。

    「黄金時代(仮)」では、その世界観に引き込まれた劇団でしたが、今回は、単に個人的に、合ってなかったということだと思います。

    「言葉はむなし」といいながらも、いろいろ言葉遊びがあったのが楽しかったです。
    「馬のおきもの」とか、樽に貼られた「吾唯足知」とか。

    あの変な言語でのバイオリンとの会話は、いらないかなーと。個人的に。
  • 満足度★★★★

    2度目はここが違ってた<2度観>
    “2度観”を推奨している劇団夢現舎、二度目の観劇である。
    「2度来てください」というだけあっていろいろ変えてくるのが夢現舎のすごいところ。
    台詞も増えてるし、ラストの演出も違う、美術もヨゴシを加えているらしい。
    パリでの公演を視野に入れているというが、このタイプは万国共通ではないか。
    そちらはまたどんなふうに変化させるのか、興味津々。
    海外公演バージョンも観る機会があったらいいなあ。

    ネタバレBOX

    男がバイオリンと交わす会話がさらに加えられている。
    切々と“安置するより弾いてほしいのだ”と訴えるバイオリン、
    それを一生懸命説得して厳かに安置する男。
    不思議な言語で交わされるこのやり取りは、黒子によって文字で示される。

    崩壊した彼の城と衝撃のラストのあと、天井から降ってくる白い紙片。
    「あなたは安置されました」という言葉が書かれた紙が、客席にひらひらと舞ってくる。
    そうか、私は持ち主が手放した引き取り手のないモノになったのか。
    持ち主は誰だ?
    その持ち主は自分で自分を証明することができるのか?

    モノを偏執的に愛し、一方的に愛情を注ぐ人は多い。
    コレクションという形で所有したがる人もたくさんいる。
    だがモノの声に耳を傾けるという謙虚さを持ち合わせている人は少ないだろう。
    荒廃した心が引き起こす事件の数々や、環境問題、自然破壊など
    謙虚さを失った人間の過ちが次々とカードで文字になって提示されると
    改めて日頃自分がないがしろにしていることに思い至る。

    これは私個人の問題かもしれないが、無言のやり取りが続く間、
    時々集中力が途切れそうになってしまう。
    後半、バイオリンの音や娘の「お父さん、思い出して!」と叫ぶ声が入ると
    やはり空気がピリッとする。

    忽滑谷氏の謎に迫るエピソードも知りたくなる。
    キーワードが抽象的・観念的なので、彼の存在に現実世界との接点が見えたら
    ラスト、あの選択の衝撃がより身近に感じられるかなと思った。

    しかし同時に、この観念的な世界を舞台に上げてかたちを与えようとする、
    この劇団の取り組みにはいつも感心させられるし、独自の世界は素晴らしい。
    赤い照明に照らし出された安置室で、男が見せる恍惚の表情が
    まぶたに焼き付いている。


  • 満足度★★★

    難解かも…
    物事の常識・非常識などは、その境界が曖昧であろう。そういう、いつの間にか思い込み、または刷り込みに対する警鐘のようであった。
    一方、自分は何者か…という自問自答に時間を費やしたくない。目に見える物体は、その外形で何かを判断している(それの善し悪しは別)。人間に関しては、名前をはじめ何らかの証明書がある。その証明は、人間性になんら関係ないだろう。しかし、人物を特定するには案外役立つ。

    さて、本公演は禅問答や比喩的な場面が内容を難しくしたようだ。芝居にある意義的なものが垣間見えるのが好きな観客には面白いだろう。しかし、観たままを受容し楽しむ観客には、少し抽象的に観えた。自分は、どちらかと言えば、後者のタイプ。

    舞台美術は雰囲気があり、演出には工夫があって楽しめた。
    主人公の「遺失物安置室の男」の特長(パンフレットの裏面に素っ気なく書かれている)を考慮して観ると面白いと思う。

  • 満足度★★★★★

    掲諦 掲諦 波羅掲諦
     兎角、この世は、一切空、空即是色、これなり。(因みにタイトルは、般若心経の一節)維摩経は、一説によると仏教の本義とか。それが、判定できるほど、自分は仏教に詳しくないので、興味のある方は、ご自分で調べて頂きたい。(一部追記2014.12.4)

    ネタバレBOX

     自分は以上の程度の仏教認識ではあるのだが、今作は、意外と仏教と近い所に、その認識の根底があるように感じた。平家物語の杓子定規な評価に従えば、無常感ということになるのだろうか? 何はともあれ、物にまともに向き合う、という感覚は、ユマニスムを神との「契約者」との関係で打ち立てて来た欧米文明に於いては、疎外・狂気の中でしか現れ得ないコンセプトであると考える。然るに、これが東洋的コンセプトの中に収まることによって、生き物である、ヒトとその「所有物」であった物達の関係が、逆転した“物格”ある物と遺失した物の所有者であることを証明できないヒトとのあり得べき齟齬や関係としての諸々が、示されている。遺失物を管理している男は記憶を失っているとされている為、通常、ヒトが常識と考えている関係の在り様、論理構築のパラダイムからは自由である。この為、所有者を名乗り出た者に、様々な設問をだすのだが、中でも答えにくいのは、所有者だと言い張る者が、自分自身であることの証明である。
  • 満足度★★★

    悪くはないんだけど・・・
    スッキリしないなぁ^^;劇団の世界観だろうけど,落ち着かなくなるよね。トーンは暗いし,ラストの崩壊は良いにしろ,あの人形にはなぁ・・・重くなってしまいました。でも,否定しているわけじゃないっすよ。面白い芝居ではあると思います。ただ一つ言えるのは,これから口説こうとしている女性を連れて行けはしないということかな^^:

  • 満足度★★★★★

    やはりうまい
    物を通して、社会を俯瞰しているように感じた。久しぶりの公演(2年くらい前か)だと思うが、今回もやはり楽しませてくれた。(楽しませるというより心の奥底にある襞にうたい掛けるという感じか)
    この劇団が持っている独特な雰囲気には、なぜか引きこまれる。次回作にも期待をしよう。

  • 満足度★★★★

    忽滑谷(ぬかりや)さんっ!<1度観>
    様々な遺失物を預かる場所は、“据え置いて祀る”という意味の安置室となっている。
    そこを管理するのは記憶を失くした、物と会話する男…。
    “人よりモノを優先する”という価値観が面白く、普通の人々とのずれが可笑しい。
    益田さん、声を封印するとはまた何という縛りだろう。
    声なき声を聴きたかった…と思わせるラストが秀逸。

    ネタバレBOX

    遺失物安置室の男は変わり者だ、引き取りに行っても返してくれない…。
    物と会話する男は、物の感情を理解し、ひいては持ち主の感情をも見通している…。
    そんな噂の男は、確かに人よりモノを優先し、モノたちが寝ている日中は
    探し物に来た人々が声を発することも許さない。
    ある日彼を「お父さん」と呼ぶ少女が訪れ、男は混乱する。
    やがてこの部屋が役所の通達により取り壊されることになる。
    モノたちの行く末、そして男の行く末は…。

    声を出さずに交わされるやり取りが、台詞が聴こえるようでやたら可笑しい。
    益田喜晴さんの全身を使った豊かな表現力が素晴らしい。
    イラつく高橋正樹さんの台詞も変化に富んで面白い。
    不気味な安置室の照明、上から吊るされたメッセージの数々、
    黒子が示す音のない台詞など、
    演出に様々な工夫がされており、台詞以外の舞台表現に関心した。

    自分の記憶を失うのと引き換えに、彼はモノと会話する力を得たのだろうか。
    人を拒否した結果、モノに心を寄せるようになったのかもしれない。
    モノを通して、人の身勝手さを痛感していたのかもしれない。
    モノは自然へ、環境へ、地球へと広がる入り口の象徴となっている。
    ラスト、遺失物安置室の崩壊は私たちの行く末を暗示しているようで慄然とする。

    それにしてもあの終わり方、思わず彼に問いかけたくなった。
    「忽滑谷さん、あなたの人生にいったい何があったのか」と。




  • 満足度★★★★

    驚愕の最後
    モノと人の関係について思索を深めることの出来る時間。排水管や外の車の往来の雑音のおかげで怪しい雰囲気アップ。

    ネタバレBOX

    セットの一部がガーッと崩れる最後、本当に地震がきたかと思いました。

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