満足度★★★
難解かも…
物事の常識・非常識などは、その境界が曖昧であろう。そういう、いつの間にか思い込み、または刷り込みに対する警鐘のようであった。
一方、自分は何者か…という自問自答に時間を費やしたくない。目に見える物体は、その外形で何かを判断している(それの善し悪しは別)。人間に関しては、名前をはじめ何らかの証明書がある。その証明は、人間性になんら関係ないだろう。しかし、人物を特定するには案外役立つ。
さて、本公演は禅問答や比喩的な場面が内容を難しくしたようだ。芝居にある意義的なものが垣間見えるのが好きな観客には面白いだろう。しかし、観たままを受容し楽しむ観客には、少し抽象的に観えた。自分は、どちらかと言えば、後者のタイプ。
舞台美術は雰囲気があり、演出には工夫があって楽しめた。
主人公の「遺失物安置室の男」の特長(パンフレットの裏面に素っ気なく書かれている)を考慮して観ると面白いと思う。