遺失物安置室の男/改 公演情報 劇団夢現舎「遺失物安置室の男/改」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    掲諦 掲諦 波羅掲諦
     兎角、この世は、一切空、空即是色、これなり。(因みにタイトルは、般若心経の一節)維摩経は、一説によると仏教の本義とか。それが、判定できるほど、自分は仏教に詳しくないので、興味のある方は、ご自分で調べて頂きたい。(一部追記2014.12.4)

    ネタバレBOX

     自分は以上の程度の仏教認識ではあるのだが、今作は、意外と仏教と近い所に、その認識の根底があるように感じた。平家物語の杓子定規な評価に従えば、無常感ということになるのだろうか? 何はともあれ、物にまともに向き合う、という感覚は、ユマニスムを神との「契約者」との関係で打ち立てて来た欧米文明に於いては、疎外・狂気の中でしか現れ得ないコンセプトであると考える。然るに、これが東洋的コンセプトの中に収まることによって、生き物である、ヒトとその「所有物」であった物達の関係が、逆転した“物格”ある物と遺失した物の所有者であることを証明できないヒトとのあり得べき齟齬や関係としての諸々が、示されている。遺失物を管理している男は記憶を失っているとされている為、通常、ヒトが常識と考えている関係の在り様、論理構築のパラダイムからは自由である。この為、所有者を名乗り出た者に、様々な設問をだすのだが、中でも答えにくいのは、所有者だと言い張る者が、自分自身であることの証明である。

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    2014/12/04 02:39

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