満足度★★★★★
大きな収穫。
ボスニア・ヘルツェゴビナの民俗紛争の物語で、思いの外理解しやすい脚本のおかげでそのただ中で生きる人達に心臓を持っていかれました。ギャラリーでしか観たことのなかった南さん演出、当時は沈む夕日や夕闇を見方につけた才覚に驚いた記憶があり、劇場ではどのような演出をするのだろうと想像が付かなかったかったのですが。映画のようにドラマチックな照明や美術に感嘆。特に主演の荒川ユリエルくんのサッカーボールを蹴りながらの後姿での登場、そして銃を構えて舞台を去る後姿での演出はいまだに目に焼きついて背筋を震えさせてくれます。役者さん皆さんのそれぞれの変遷も鮮烈で、争うことの悲しさ、空しさがずっしりと胸にこたえる演劇でした。観て良かったです。
満足度★★★★
国家分裂がもたらすものをワカり易く描いて鮮やか
多民族国家の分裂が一般市民にもたらすものを解りやすく提示して見事。
日本人記者の目を通して描いたことも解りやすさの一因か。
また、終盤のある人物(…だけではなく恐らく他の人物たちも)の「他民族を嫌う」気持ちが本質的には理解できず、単一民族国家(←厳密にはアイヌ、琉球など少数民族もいるが「多民族国家」の対語として使用)である日本に生まれたことを幸いに思ったりも。
そこから最近のヘイトスピーチなどにも想いが及び、一部の日本人にはその傾向が出始めているのかとも思いつつ、それでも島国で良かった、なんてことにも気付く。
TEAM JAPAN SPEC.時代の作風に通ずるAmmo、Minami Produceと二本の柱として、今後も活動を続けていただきたい。
満足度★★★★
真っ直ぐでとても誠実
ユーゴスラビア現代史を下敷きにしたフィクション。ドキュメンタリータッチで進んでいくストーリーはリアルでソリッド。ヨーロッパサッカーが如何に市井に根ざしているのかという部分に深い理解があって、そのサッカーを通して物語が進んでいく。真っ直ぐでとても誠実。
満足度★★★★
池上彰?
池上彰的に分かりやすく、ヨーロッパの一歴史を見せてくれる。
南さんらしい、優しい感じがしつつ、スパッとさせるべきところの切れ味がすごい。またこのユニットでの次も楽しみだ。
事前の情宣として、サッカーということをあまり押し出しすぎなくてもいいのではないかとおもった。もったいないと。
サッカーに興味がなくても、純粋な「歴史」の話としても見れるので、そういう楽しみ方もあるのではないか。
ちなみに私はサッカーが好きじゃない、というか嫌いです。
接触プレーのルールが微妙なこと(あのしらじらしく倒れてアピールする姿とか)や、サポーターの異常なまでの行動とか。(とはいえ、サッカーを排除する気はないのであくまで「個人の趣味」の問題ですが。)