Lucifer 公演情報 Lucifer」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★★

    大きな収穫。
    ボスニア・ヘルツェゴビナの民俗紛争の物語で、思いの外理解しやすい脚本のおかげでそのただ中で生きる人達に心臓を持っていかれました。ギャラリーでしか観たことのなかった南さん演出、当時は沈む夕日や夕闇を見方につけた才覚に驚いた記憶があり、劇場ではどのような演出をするのだろうと想像が付かなかったかったのですが。映画のようにドラマチックな照明や美術に感嘆。特に主演の荒川ユリエルくんのサッカーボールを蹴りながらの後姿での登場、そして銃を構えて舞台を去る後姿での演出はいまだに目に焼きついて背筋を震えさせてくれます。役者さん皆さんのそれぞれの変遷も鮮烈で、争うことの悲しさ、空しさがずっしりと胸にこたえる演劇でした。観て良かったです。

    ネタバレBOX

    荒川ユリエル、という素晴らしい役者さんに出会えたことが大きな収穫でした。
  • 満足度★★★★

    国家分裂がもたらすものをワカり易く描いて鮮やか
    多民族国家の分裂が一般市民にもたらすものを解りやすく提示して見事。
    日本人記者の目を通して描いたことも解りやすさの一因か。
    また、終盤のある人物(…だけではなく恐らく他の人物たちも)の「他民族を嫌う」気持ちが本質的には理解できず、単一民族国家(←厳密にはアイヌ、琉球など少数民族もいるが「多民族国家」の対語として使用)である日本に生まれたことを幸いに思ったりも。
    そこから最近のヘイトスピーチなどにも想いが及び、一部の日本人にはその傾向が出始めているのかとも思いつつ、それでも島国で良かった、なんてことにも気付く。

    TEAM JAPAN SPEC.時代の作風に通ずるAmmo、Minami Produceと二本の柱として、今後も活動を続けていただきたい。

    ネタバレBOX

    前園あかり嬢の演技が兵士になるのをきっかけにガラリと変わったのも見事。
  • 満足度★★★★

    真っ直ぐでとても誠実
    ユーゴスラビア現代史を下敷きにしたフィクション。ドキュメンタリータッチで進んでいくストーリーはリアルでソリッド。ヨーロッパサッカーが如何に市井に根ざしているのかという部分に深い理解があって、そのサッカーを通して物語が進んでいく。真っ直ぐでとても誠実。

    ネタバレBOX

    ただ、相当ユーゴスラビア史やバルカン半島史に対して理解がないと難しい部分が多い、劇中である程度説明をする部分はあるが、そう簡単には浸透しない。悪い言い方をすると雰囲気で進行してしまっている感が拭えない。劇チョコの『サラエヴォの黒い手』観ていたから相当助かった。

    前園あかりのキャラがストーリーの進展と連動して変化していく様がとても良かった。友達にアクセサリーをねだる女の子が、徐々に凄烈さを備えていって兵士に成っていくプロセスは、もうそれ自体が悲劇で心に刺さった。あとチャントで一際声がデカイ。存在感の際立ちは流石。

    鹿島ゆきこをシリアス作品で初めて観たのが新鮮だった。コメディ作品の中でも感じていたが技術高い。セリフは聴き取りやすいし、所作がナチュラルで観ている側の納得度高い。今作は、あまり見せ場のある役柄ではなかったのが残念。自劇団の公演以外の客演ももっと観たい。
  • 満足度★★★★★

    新ユニット
    素晴らしかった。歌声に救われた。

  • 満足度★★★★

    池上彰?
    池上彰的に分かりやすく、ヨーロッパの一歴史を見せてくれる。
    南さんらしい、優しい感じがしつつ、スパッとさせるべきところの切れ味がすごい。またこのユニットでの次も楽しみだ。

    事前の情宣として、サッカーということをあまり押し出しすぎなくてもいいのではないかとおもった。もったいないと。
    サッカーに興味がなくても、純粋な「歴史」の話としても見れるので、そういう楽しみ方もあるのではないか。



    ちなみに私はサッカーが好きじゃない、というか嫌いです。
    接触プレーのルールが微妙なこと(あのしらじらしく倒れてアピールする姿とか)や、サポーターの異常なまでの行動とか。(とはいえ、サッカーを排除する気はないのであくまで「個人の趣味」の問題ですが。)



    ネタバレBOX

    スパッとしていたところは、民兵どおしのシーン。あれは緊迫感ありました。

    ちょっと残念なことでいうと、
    ● 全体を分かりやすくしようとしたせいなのか、意図的なのかはわからないが「重さ」がなかったこと。
     - あくまで個人的な趣味だけど、こういう作品は、気が狂うぐらいグサッと気持ちにささってくるところがあるか、泣いてしまうようなことがあるか、それぐらい期待してしまう。
    (ネタとして入っていないということではなく、それを如何に「強調」して見せるか、ということで、それが控えめにみえたということ。妊娠させる話など、ちゃんと組込まれてはいるが、見せ方が優しい、ということです。)

    ● もう少し掘って欲しかった話として、「少数民族」の話や「焼き討ち」する一連の流れ&ドラマ。

    ● 最後にイリヤのその後はもう少し描いて欲しかったかな、と。イリヤが全体として印象弱い。

    それに関連してもう一つ付け加えると、荒川ユリエルさんの配役がもったいなかったかな、と。荒川さんは(個人的な印象ですが)役になりきる「なりきり方」がいつも印象的なのだが、今回は(役として)結構みえづらかった。

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