満足度★★★★★
大きな収穫。
ボスニア・ヘルツェゴビナの民俗紛争の物語で、思いの外理解しやすい脚本のおかげでそのただ中で生きる人達に心臓を持っていかれました。ギャラリーでしか観たことのなかった南さん演出、当時は沈む夕日や夕闇を見方につけた才覚に驚いた記憶があり、劇場ではどのような演出をするのだろうと想像が付かなかったかったのですが。映画のようにドラマチックな照明や美術に感嘆。特に主演の荒川ユリエルくんのサッカーボールを蹴りながらの後姿での登場、そして銃を構えて舞台を去る後姿での演出はいまだに目に焼きついて背筋を震えさせてくれます。役者さん皆さんのそれぞれの変遷も鮮烈で、争うことの悲しさ、空しさがずっしりと胸にこたえる演劇でした。観て良かったです。