満足度★★★★★
再演!
「エゴ・サーチ」の再演は脚本・演出ともに全く変わらなかったので、劇団員の方達の成長を楽しむ以外に目新しい要素がなく正直ちょっと残念だったのですが、今回の再演は驚くほど舞台にも役者さんの演技にも奥行きや深みを感じて驚きました。根本宗子さんの客演がもしかしたら大きな要因かもしれません。大久保綾乃ちゃんの隙のない緻密な演技も好きでしたが、根本さんの愛らしく柔軟な表現が、新しい風として今までにない虚構の劇団の空気を動かした・・・そんな気がします。ゲイの幽霊を演じた小沢道成くんは、見た目はもちろん大人びましたが、演技でピュアさを軽やかに感じさせてくれて逆に幼く思えました。劇中劇の「桃太郎」、早くDVDで観たいです。ダンスシーン、カッコ良かった><
満足度★★★
もうあれから6年。
虚構の劇団旗揚げ公演から6年ぶりの再演。
えー!もうあれから6年。
初演は「虚構の劇団」立ち上げメンバーによるフレッシュで、
刺激的で、めちゃくちゃ楽しい公演でした。
感激のあまり同じ演目を3回も観たのも初めての経験でした!
あれから6年…。
劇団メンバーも変わってしまいましたが、そこには固執しない
ようにと心がけて?観劇したつもりですが…。
まずは冒頭のエピソード、炎上の理由などが今の技術に合わせて
より現代的に改訂されていて、さすがです。
中盤以降のダンスや楽曲も差し替えられていましたが、
作品自体の良さを再認識しました。
特に劇中劇「モモタロウ、愛と憎しみバージョン」が凄い。
終盤、結末も大好きな作品です。DVDも買いました。
但し鑑賞は公演2日目。
今回も前回公演も同様、今一つセリフが乗っていない感じで、
聞き取りにくく、間が悪いような気がしました。
やっぱり初期メンバーの感じが好きでしたね。
まだ忘れられません。
満足度★★★★
初鴻上作品
虚構の劇団、初観劇です。
目をひく演出の数々、勢いのあるダンス、2つの劇中劇
と見所がたくさんあり楽しめました。
初演は未見なのですが、
twitterやfacebookといったSNS、炎上や2chなど時事ネタも比較的鮮度の高いネタで、
かなりリライトされているのかな?と思いました。
満足度★★★
あまりに見事で浮き上がったのは…。
今まで観てきた演劇のうちでもっとも「できている」ものであったがゆえに、演劇の限界のようなものを感じた。見ているものが違う人の見ているもの、正直に言えば、その内容にコミットできなかったときのどうにも耐えられない面白くなさを払拭できなかった。
満足度★★★★
拝見出来てよかった
忙しくてブログならず、こちらもコメントが出来ずにおりました。
土日休みないので平日に休んだものの、水曜のマチネ公演は
されているのが少なく、初めて虚構の劇団さんを拝見する機会となりました。
再演との事ですが最初の炎上から時間経過を考えると今っぽい
日本での傷を異国の日本人コミュニティの中に持ち込んで
様々な問題を抱える人々、グローブジャングルのタイトルに込められた
何かは正直解りませんが、幽霊というファンタジーを要素がありつつも
最後には、グッと切なくさせる別れのシーンに少なからず感動。
序盤はバラバラな展開も、後半ダンスとともに劇中劇が始まり
スピードに乗ると目が離せない展開、ハラハラ?ワクワクしました。
根本さん、オレノさんは勿論良かったですが、小野川さんが素敵でした。
今後は観れたら行きたいなと思います・
満足度★★★★★
ネットという名のゴミ山を越えて行け
「ネットは人類がどれだけ最低になれるかの実験の場だ」
この台詞が強烈に印象に残るこの演劇。
濡れ衣を着せられ、ネットで祭りの対照となり、
人生をズタボロに引き裂かれた
七海(小野川晶)は炎上の口火を切った人間に
復讐する事を思い立ち、ネット上を血眼で探した結果
沢村(オレノグラフィティ)という人物を突き止め、
少ない手掛かりを頼りに、彼を追いロンドンに降り立つ。
復讐が成就した暁には自殺すると決めていた。
そこで彼女は、意識の有無に関わらず絶望し自殺願望の
ある人にしか見えない幽霊・住田(小沢道成)、
一見凄く明るいが実はネットでの
暗い過去を持ち人生再挑戦をかけこの地に
やってきた唯(根本宗子)、昔どこの公園でも
あった遊具・グローブジャングルの営業をしていた
長谷川(渡辺芳博)、住田の生前のブログを見て
彼をソウルメイトだと思い込み日本から
尋ねてきた中学生・千春(木村美月)と出会う。
唯と長谷川には住田が見えるが、千春には見えない。
長谷川の絶望はグローブジャングルが子供には
危険だと訴える世間の声に押され、問答無用で
次々に撤去されたからだ。
沢村は、自らが主宰する劇団の団員たちから三行半を
突きつけられ居場所が無くなり、ロンドンに
逃げて来た。七海を祭りの生贄にしたのは、団員たち
との関係の憂さ晴らしのためであった。
演劇を捨てるつもりだった彼だが
旧友の北野(三上陽永)のたっての願いで、芝居を
演出する事になる。芝居を利用して出世しようという
北野の野望も知らずに。沢村のもとに、ネットで
正義を振り回す千葉(杉浦一輝)、沢村に
恋心を告白したが彼に受け入れてもらえなかった
麻美(森田ひかり)が合流。
何とその芝居に七海たちも出る事になった。
が、唯は日本での暗い過去が原因で世間体を
気にする北野から出演を拒否されてしまう。
沢村にも住田は見えた。
(北野、千葉、麻美には見えない)
稽古が進んでいく中で、七海と沢村は、お互いの
因縁を知る事になる。
果たして七海は鬼と化し、復讐を果たすのか?
沢村は運命にどう立ち向かっていくのか?
登場人物の間柄は、住田を合わせ鏡にした
好対照を成している。
被害者の七海と加害者の沢村、明白な自殺願望を持つ
七海と無意識下の唯、絶望している七海と
していない千春、恋心を抱く麻美と抱かない沢村、
世間に評価されたい北野と世間から突き放された
沢村と長谷川・唯、
昔ネットで正義をかざしていた沢村と現在進行形の
千葉、そして七海と麻美も決定的な
場面で好対照を成す。最後は沢村・七海と長谷川。
悪ふざけした写真を自慢げに投稿する者、
そんな馬鹿者を見付け執拗に追及し個人情報や
写真をさらし自らの正義に酔いしれる者、
上から目線で些細な事にクレームをつける者、
嘘をでっち上げ拡散する者、
自分の意見を持たずただ世間に流される者・・。
ネット上の最低と化した人間たちの言動が今では
あまりにも身近すぎて、観客は誰しも切実さと
生々しさを感じたに違いない。観客自身が
己は最低人間か、または傍観者という加害者か、
はたまた被害者か、考えざるを得ない程に。
最低と化した人間の情報は、ネットを通じて
グローブジャングルのように世界中をグルグル回り、
どこまでもその人間を追いかける。
それゆえに、最低人間になるか否かの七海の宿命に
似た切羽詰った決断の場面に、観客は手に汗握る。
冒頭の台詞に加え、拙者は
「ネットは様々な絶望を見させてくれると同時に
体験させてくれる場だ」と思っている。
例えるとネットはスモーキーマウンテンのようなものだ。
途上国にある悪臭や有害物質が漂うゴミの
山・スモーキーマウンテン。
そこで暮す子供の大半は短い一生をそこで終える。
家族も周囲の人間も貧乏から抜け出せず絶望しここに
留まらざるを得ないからだ。
ネットにも至る所に絶望があり、酷い臭いが漂う。たまに
幸運が転がっているが、見つけられるのは稀だ。
その臭いをかぎ続けると人は死に至る。
今まさにネットの死の臭いに七海や沢村らは飲み込まれ
かけている。今はその心配がない千春の将来の姿は
七海や沢村かもしれないと思わされ、胸がざわめく。
生きていくには、そこから逃げるしかない。どんなに
絶望がグルグルと地球を回って追いかけてきても。
ここではないどこかへ。絶望の丘を越えて人を信じ、
愛し、許しながら。過去ではない未来へ。今までの
自分ではない新しい自分を探しに。
スモーキーマウンテンを抜け出した数少ない子供の
中には苦難の末、希望を掴み取った子もいると
いう。その一歩を踏み出す姿に人々は心動かされる。
七海や沢村たちも歩み出す事が出来るのか?
登場人物たちが下した決断に、観客は今の時代を
生きる勇気を分け与えてもらったと感じるはずだ。
(終わり)
満足度★★★★
これはいいよ!
いや~、これは面白かった!
鴻上尚史さんの世界観って、良いなあ!
今後も観劇決定だ(笑)。
あと、誘導係の女性の対応が素晴らしかった。
この劇場は何度も来ているので座席は分かっていたのだが、
穏やかながら積極的な姿勢を感じたので誘導されてみた。
チケットをみせたとき、こちらを見て「拝見します」と言ってから、座席番号を確認。席まで丁寧に誘導した後、こちらが座席に座るまで、誘導した近くの通路に立ち、座ったのをみて、「ごゆっくりお楽しみ下さい」と一礼して去っていった。他の人にも同様にしており、動きに無駄がなく、心地良かった!
きっと人に言われた対応ではなく、お客に対する自分なりのおもてなしなのだろう。
開演もほぼ定刻どおりスタート。受付の対応が速やかだったからだろう。
また、公演後の出演者によるお見送りも良かった!
私の観劇した回は、鴻上さんも来られていたため、一緒にお見送りに加わっていた。
当たり前であるが、公演は舞台上だけで行われているわけではない。
脚本・演出家、出演者、スタッフの皆さん全ての集大成だと思う。
上演内容は勿論のことながら、こういう姿勢の劇団は人にお薦めできる!
上演時間105分。アフタートーク20分。
満足度★★★★★
千変万化
リアリズム演劇には作り出しえない、千変万化の劇世界を堪能。
それでいて題材はリアル。
汎ネット時代の「現実」が生み出す切実な諸問題は、もはや写実的リアリズムでは描きえないのかもしれないと本作を観て強く感じた。
本作では根本宗子さんが自分の劇団ではまずやらないハジけた役を演じていて、その滅多に見られない素っ頓狂な演技も併せて楽しみました。
昔は遊具が 子どもたちの「グローバル」だった
鴻上氏には敬服してしまう。
開演5分前に劇場へ到着したのだが、外で迎えてくださったのが鴻上氏であった。
「こりっち」レビューを読むと、あの柄本 明氏も お出迎えする演劇人らしいが、社会一般に認められてなお、現場を厭わない姿勢はブラボーにつきる。
6年前に初演された、インターネットとロンドン・日本人コミュニティを探る作品だ。当時キャスト陣の平均年齢は21.7歳。
それから6年間が経過し、役者を辞めたキャストや新たに入ったキャストも ごった返す再演だから、27.7歳とはいかない。
私もインターネットには悩まされている。確かに計算機能といい、メール機能といい、それらは毎日飲む水のように なくてはならない存在である。
「なし」でも生きていけるが、基本ビジネスに欠かせず、パソコンを「夢の島」に廃棄する日など妄想できない。
本作の冒頭シーンは「炎上」から 始まる。それがインターネット「負のスパイラル」であり、映像を利用されると 余計に生々しいかった。
だが、「なくてはならない」その存在も、遠く離れた地域性から教えてくれたように思う。
また、ロンドンの「外国人」をマネキン・ボードで表現する演出も斬新だった。
「つぶやき は、世界を変えることができるか?」
Twitter、Facebook、LINE、Blogといったソーシャルネット・ワーキング・サービス(SNS)が日本に定着し、内閣府さえも書き込む時代なのだから、その答えはイエスである。
ただし、インターネットそれ自体、東西冷戦を背景とした「軍事の産物」だろう。米国防総省のガレージ内で開発されたエピソードは あまりに著名である。
安全保障政策は国家と国家を平和的につなぐ「ライフ・ライン」だ。自衛隊音楽祭にタイ王国・陸軍が招待されていたが、NATO(北大西洋条約機構)、上海機構 等の安全保障枠組みは その地域の「信用醸成装置」である。
一方だと、安全保障政策は軍事的衝突を招き、防衛研究所が「東アジア戦略概観2014」に指摘するように、日本の防衛力強化も含め「自国の安全を高めるための国防力の増強が他国には脅威とみなされ、結果的に軍事的緊張が高まる」という事実も認めざるをえない。
何が言いたいのか。
それは、インターネットが「軍事の産物」である以上、「炎上」なる集中砲撃や、「乗っ取り」なる相手の中枢施設に忍び込む情報活動、「中傷」なる情報プロパガンダは 安全保障政策と同じく、24時間対処しなければならない「宿名」だ。
国防総省が70年代、カーター大統領の理解を得て、インターネット開発に予算計上したのは「指令機関(コンピュータ・システム)の多極化」である。
そのシステム基盤は潜水艦内の通信技術だった。
顔と顔を合わせるリアル・コミュニケーションの大切さを識者は語るが、要するに、インターネットというのは安全保障上、「非実体生」をメインに構成された革新技術=イノベーションでしかない。
私は、多くの人が傷つく「炎上」「乗っ取り」「中傷」は、インターネット=検索エンジンを まずは国営方式で運営すれは ここまで顕在化しなかった問題だと思う。
海洋貿易、電気事業、郵便事業、タバコ産業、宅地事業などは みな当時の革新技術=イノベーションである。
それらは、国家が責任をもって投資、産業育成し、その後は自由競争のため民間企業への「払い下げ」方式により、「民間化」してきたビジネスモデルだ。あるいは、郵便事業のように、郵便局ネットワークを育てた後、「上から民営化」する例もある。
検索エンジンは それこそビルゲイツ氏などの「秀才」、Googleなどの「頭脳集団」が牽引してきたわけだが、広告モデルを採用したため、「非実体性」に加え、個人情報の面でインターネットモラル崩壊を導いてしまった。
こうした諸問題を避ける政策こそ、政府がインターネット検索エンジン公社を設立する ことだった。世界中からIT研究者を集結する。兆円単位の大規模財政支出をし、システム運営をサポートする。
本来は、中国のように日本も国産サーバーを確保する「別の道」はあった。
「国にとって都合のよいインターネット空間が生まれる!」という声もあるだろう。
だが、Googleを含めた米インターネット関連会社は国務省管轄組織と契約を結んでいる。「匿名性」は 限りなく嘘に近い。
いざ、政府が「ネット遮断」を宣言すれば、いつトルコ共和国のようなニュースが発信されても おかしくなはない。
そして、現在ですら、好ましい発展へ、総務省、文部科学省、国土交通省、内閣府の一部機能を集約した「情報省」が設置されるべき時代ではないか。
満足度★★★★★
面白かった
初日2日目だからか、初めのうちは「台詞は面白いのに、間が悪いな」と残念に感じたところが少々ありましたが、見ている間にどんどん引き込まれていきました。
劇団鹿殺しのオレノグラフィティさん、月刊「根本宗子」の根本宗子さんが魅力的なことは知っていましたが、この劇団の小野川晶さんと小沢道成さんがとても良かったです。
虚構の劇団は以前に『イントレランスの祭』を見て、正直なところ、物足りなく思っていたのですが、今回は面白かったです。
鴻上尚史さんらしい、風刺の効いたストーリーに、大小ちりばめた笑い、キレのあるダンスで、2時間があっという間でした。
客席の一番後ろで(ディレクターチェア持参で)鴻上尚史さんが見守っていました。
満足度★★★★★
何故、涙が流れたのか自分で分からず
劇団初見、どころか鴻上尚史初見だったりするのですが。
なんでしょう、やっぱりセンスが抜群に良いのでしょうね。
満足度★★★
僕の劇団
第三舞台は、憧れの劇団だった。
大人気でなかなかチケットを取れず、
唯一見ることができたのが、
「朝日のような夕日をつれて」だったと記憶する。
素晴らしいシナリオ、テンションの高い芝居、
大会場の観客が呼吸をともにするような感覚。
鴻上尚史のエッセイで紹介された、
お客さんの感想からは、
劇団とその観客が切磋琢磨する様子が伝わってきた。
けれど、僕がやっと東京での日々を手に入れた頃、
第三舞台はその活動を停止してしまった。
鴻上尚史が若手の劇団を作ったと聞いて、
見に行ったことがある。
「天使は瞳を閉じて」だったと思う。
ああ、シナリオが素晴らしいと感じた。
その後、同じ劇団を何度か見るも、
言葉と演技に魅了されながらも、
どこか上滑り感を覚えていた。
けれど今日、その「虚構の劇団」
演じる「グローブ・ジャングル」は素晴らしかった。
初めて見たとき、容姿先行の感のあった
小野川晶は主演女優の風格が漂っていた。
美しさの中に凄みとコミカルが同居していた。
これまで劇団を支えてきたコアの俳優と、
新人・客演が相まって、複層的な深みがあった。
かつての第三舞台が観客とともに歩んだように、
僕もこの劇団と真剣勝負してみたいと思う。