アザゼルの山羊 公演情報 アザゼルの山羊」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★

    中国人らしく、韓国人らしく
    日本語学校の雰囲気が出ていました。

    ネタバレBOX

    今は日本語学校の先生をしている元小学校教諭の女性が、13年前に児童を体罰で死なせたとされる事件の真相やその背景が明らかになる話。

    日本語学校でお世話になった先生のために蒸し返された事件の真相を探ろうとしたチャンですが、子供が生まれるのを前にして、彼自身の育った家庭環境から父子関係に自信の持てないこともあって調査を通じて親子関係について学んでいく話でもありました。

    10月に水泳の練習を強要して死なせたと裁判では認定されましたが、新たに調査していくと、少年が自ら要望書を書いて練習したんだとか、その書面は他の先生による捏造だったとか紆余曲折があって、最終的には少年がいじめ側にいじめの辛さを味合わせるために生贄と呼ばれるいじめの対象を交代させる制度を作って運営していたものの破綻し、最後の生贄として先生を選んだ上で母親の狭心症の薬を大量摂取して自殺したことが明らかになりました。

    当時もマスコミで取り上げられていた事件という割にはおざなりな裁判でした。

    仲間外れを作り手を差し伸べる人たらし方式で自分が常に優位に立つ制度は一巡するとダメになってしまうものなのか、少し不思議でした。

    そもそも13年前の事件をほじくり返したのが上級クラスに昇級できなかった韓国人女性の逆恨みによるものだったことも明らかになりましたが、バイトに明け暮れていた本人のせいであったとしても本人にとっては切実な問題で、そんな他人から見ると何でもないようなことが引鉄になるという意外性には衝撃を受けました。

    ただ、少年が実は元教諭が産んだ子供だったという事実には、衝撃を通り越して何でもありかと思ってしまいました。
  • 満足度★★★★

    圧倒的な存在感
    先生役の女優さんに惹かれました。私にはサスペンスミステリーというよりサイコホラーの感覚でした。

  • 満足度★★★★

    熱演でした
    深いテーマで考えさせられる事が多く、だんだん謎が解かれていく過程が面白かったです。でも、淡々としていて少し単調な感じがしました。役者さん達は、皆熱演で、特に先生役の役者さんが印象に残りました。迫真の演技で怖いくらいでした!とても実力を感じる劇団なので、楽しいテーマの舞台も観てみたいと思いました。

  • 満足度★★★

    考えさせられました
    いじめか。いじめね。たくさんで一人を吊し上げるのって楽しいよね。

    キリスト教の聖書のなかの挿話。「アザゼルの山羊」と、芝居のほうの物語との関連性が、ぼくにはピンと来ませんでした。深いとは感じられないというか。ぼくがキリスト教徒じゃないからなのか。理解力が足りないのか。

    ネタバレBOX

    どうしてなんだろう、あれ。最初のほうのシーンから眠気を誘われて。

    教師三人の話し合いというか、教師三人の会話のシーンの直前まで、ものすごく眠たくて。特に日本語教室のシーン。
    台詞を順番に言ってるだけじゃ、芝居にならなくて、眠くなっちゃうんですよね。

    教師三人のシーンからはそんなに睡魔に襲われることはなかったけど、ときどきどこかのシーンでやっぱり眠くなって。順番に台詞を言ってるだけじゃ、眠くなっちゃうんですよね。。客席がくの字になってたので、向こう側の客席を観ると、やっぱり寝てる人がいて。ああ、よかった。ぼくだけじゃないんだって。ほっとした。いやいや、そんなんでほっとしちゃダメだろ。

    お話の内容は理解できた。でも、それがなんとなく訴えてこないのは、芝居が、脚本の朗読になってるからなんじゃないのかなあ。ちょっと厳しいですかね。ゴメンナサイ。

    そういえば『土曜の夜と日曜の朝』っていう小説は、嫌いな教師に復讐するために、ちょっとしたことをする生徒の話だったような。あ、ごめん。全然関係ないね。
    でも死ぬことはないよな。

    プールに飛び込む直前、男の子の声と女の子の声が聞えるのは、なんだろう。どういう意味なんだろう。箱が全部いびつなのは、何を表現してるんだろう。謎だ。ごめんなさい、いろいろ意図を汲み取れなくて。

    日本語学校が出てきて、たくさんの国の人が登場したのは、小学校のいじめのテーマを、国家間の紛争みたいなものにまで、発展させたかったっていうことなのかなあ。回し役のひとが中国人で、韓国人も登場。その辺に意図を感じるけど、なんというか、どうだったんでしょうね。
    ゴメン。読解力なくて。


    「野に放たれた山羊のほうが当たり」それがキーワードのような気がしたけど、発想がくつがえるようなこともなかったし、何か意味があるようにも思えなかった。やっぱり僕の理解力が足りないのかなあ。とほほ。
  • 何が「キー」か、ラスト5分間まで解らない…
    私は当初、日本の「教育崩壊」に対する、あるいはメディアに対するアンチテーゼに則り構成された脚本だと思った。

    しかし、むしろ本作は、社会派サスペンスというよりは、卓越した事件物のミステリー•サスペンスである。


    冒頭、中華圏やアラブ圏等の外国人に扮する日本語学校生徒達が その後のサスペンスとは似つかない「ほんわか」したリレーを繰り返すわけだが、唯一、「愛おしい」というキーワードは放たれた。

    ネタバレBOX

    「小学6年生 児童の事故死ー担任教師の有罪判決」(13年前)


    中盤にいたるまで思ったのは、今、問題視される学校現場の内側を中国の留学生が取材して、「断片」を浮かび上がらす構図である。しかし一転、「事故死」の小学6年生男子児童こそを元同級生の証言など で浮き彫りにした構図が進む。


    たとえば、映画化を果たした『桐島、部活やめるって』(朝井 リョウ著)も、バレー部キャプテンの本人は 一切 出演せず、周囲の抱く気持ち、証言のみに基づいて成り立つ。

    地方高校バレー部のキャプテンでありながら、ある日、部活を辞めた情報が校内中に知れ渡った。
    周りの反応、対立をとおし「桐島」なる青年の人物像を掘って行く、その作業自体が小説だ。

    本作『アザゼルの山羊』では針金で造った小さな人形のみ生徒の身体を表現したが、それは落語を聴きに行った時のような「膨らむ感覚」としかいいようがない。
    全会一致の「いい奴」でも、どこか「脆さ」は存在しており、証言ごとで浮き彫りになる屋上のプール•サイドの光景は全く別物…。


    これは、社会派の舞台ではなく、「親とは何なのか?」「教育者とは何なのか?」を含めた、ヒューマン•サスペンスかもしれない。

    コロンビア産コーヒー豆の深さ薫る脚本が、ほのかな「愛おしさ」を与えてくれる、そんな作品である。

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