伯爵のおるすばん 公演情報 伯爵のおるすばん」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
21-32件 / 32件中
  • 満足度★★★★

    楽しめました
    Mrs.fictionsの単独公演観るのは初めて。短編でのキレの良さがそのままで、長編でもタレるところがありません。時空を超える壮大な物語なのに、かなり卑近で庶民的。シニカルに笑えて、ホロリときます。相楽樹さん演じる女子高生のキュートさがいい。出演者全員の正装もゴージャスでした。

  • 満足度★★★★

    爽やかの中に懐かしさ
     何故、こんなにも懐かしいような感じがするのだろう? 確かに爽やかな中にも心に沁みる作品ではある。然し、それだけでこれ程、懐旧の情を催すだろうか? 無論、そのようなことは無い。

    ネタバレBOX

     伯爵と綽名された主人公は、物語では56億年を既に生きている。その中で、18世紀のフランス革命前夜からが、彼に恋の遍歴を刻む。都合、4人の女、1人の男と恋仲になる。尤も、最初の2人の女は、1人は主人を持つマダム、1人は、女子高生で自分の学校の生徒であった。2人目の女は体が弱く、漸く20歳を超えた頃に他界してしまった。その体の弱い彼女が、高校時代、伯爵に好意の在ることを告白し、卒業証書を貰った日、伯爵の答えを訊きに来たのだ。そして、迎えに来てほしいと頼む。待っているから、と。体が、弱いから、なるべく早く、と。この高校生、ひよ子との恋が、ハイライトだろうか。演じている女優の清潔感と感性の良さが伝わってくる。相楽樹という女優だ。
     因みに、ブルボン家の奥方やひよ子と伯爵との関係はプラトニックである。3人目に何故、ヘテロの彼が男の恋人を持ったか、ということであるが、ひよ子に、「自分以外の人は好きにならないで」と言われ「そうする」と約束をしていたから、女性との恋を自らに禁じていたのである。その後、更に2人の女性と恋に落ち、最後の女性は健在である。56億年に5人の人と恋に落ちた、とは言っても地球誕生45億年頃からであるから、実質、11億年。2億2千万年に一度、本気の恋をしている計算になる。まあ、野暮な計算だが。
     伯爵を演じた岡野 康弘もいい。劇の進行につれて、段々、良い顔に見えてくるのだ。
     今作については余り理屈をこねる気がしない。観て感じて欲しい舞台である。
     ところで、伯爵は、とても普通の人である。長生きであることの他は。だから、あなたの横に何食わぬ顔で居るかも知れない! ほら、そこ、直ぐ隣に!!
  • 満足度★★★★

    非常に良かったです!
    終始バカバカしさと愛しさで溢れている作品でした。中嶋さんの作品を見るのは15分の作品を合わせて三度目ですが、観ていて愛したくなる人間の描き方が非常に上手い。過去から未来に変わっていくとき、舞台スペースと限られた小道具の中でどのような世界を表現していくのか期待しながら拝見していましたが、見事にそれに答えてくれた。バカバカしい瞬間を絶妙に入れることにより可笑しな設定をこちらに飲み込ませる技術が素晴らしい。楽しい時間でした。

  • 満足度★★★★

    評判通り素敵な芝居です。
    不老不死という主人公、そして出生も解らない子供のような存在。
    そんな子供が遥かな時を経て、清々しくも最後を迎える事が出来るなんて
    序盤からは想像が出来ない、しかもこんな切なくも優しい舞台で
    あんなに笑の要素が盛り込まれているなんて、絶妙な匙加減とテンポ
    イケメン?の伯爵の誕生期・思春期・自暴自棄・家住期・そして解脱
    そんな弥勒のような長い時をキュンと笑と悲しみを持って見る舞台。
    それぞれの時代の大事な人が豪華リレーです。
    (彼女が邪魔で☆コロリ)

  • 満足度★★★★

    「百万回生きたねこ」の「その先」?
    言わば「伯爵クロニクル」。
    不老不死の主人公が愛した相手に関する5つの挿話。それぞれに味わいが異なり、後半ではスケールもアップ、そうして迎えるラストはて思いきりロマンティックかつ「もののあはれ」も漂うという…お見事♪
    途中では「百万回生きたねこ」の「その先」を描いた気もしたし。
    ただ、初日のためか暗転が微妙に長く、時として流れが切れかねなかったのは惜しい。
    なお、この日のマチネでコワい女子高生たちを観たので、こちらの二場でピュアな女子高生を目にして救われる。(笑)

  • 満足度★★★★

    愛と生を讃歌しなくちゃな
    小泉さんに招待状は出しただろうか?小泉さんは観に来ただろうか?彼女が観たら号泣したんじゃないだろか?小泉さんの歌ををこんなに感動的に聞いたことはかつてない。(ちなみに私はそれほど小泉さんのファンではない。)この歌を初めてて聞いたわけではないので脚本あってこそはもちろんのこと。ひとつひとつの言葉が良かった。ただし、前半の暗転の多用は私には耐えがたかったな。

  • 満足度★★★

    ウルヴァリン:HAKUSYAKU
    長いね。
    もっとすっきり見せられる腕はあると思うんだけど、
    その辺が苦闘の跡なのかな。
    各パートのヒロインはそれぞれ魅力的で、もっと見たかった。

  • 満足度★★★

    時を超える「ありがとう」
    不老不死の男とその恋人達の長い年月に渡る物語が、押し付けがましさの無い笑いと切なさでスマートに描かれた、ウェルメイドな作品でした。

    18世紀のフランスの貴族の家から話が始まり、現在より少し前の時代の高校、現在より少し未来のヤクザの事務所、1000年後の人類が滅びた時代、56億年後の宇宙消滅の日を舞台に、それぞれの時代で恋人との出会いと別れが描かれ、「ありがとう」を伝えることの大切が優しく表現されていました。

    各時代で主人公の職業が異なっていて、歴史物、学園物、任侠物(ボーイズラブ風味)、SF物、と様々なテイストを盛り込んでいたのが楽しかったです。
    後のシーンで活きてくる台詞や、時代設定をネタしたジョーク等、言葉の流れが巧みでありながら自然で心地良かったです。
    「宇宙が終わった後に行われる、生まれて死んで行った人全員が集まる飲み会」というイメージが素敵で、ラストにその場面が演じられ、そのままカーテンコールに繋がって行くのが洒落ていました。

    学園物の場面は連作ショートコントの様な仕立てだったので、暗転がテンポ感を出していて気になりませんでしたが、他のパートでも時間の経過を示すのに暗転を多用していたのにはしつこさを感じました。
    脚本と役者が良かったので、それをしっかりと見せるオーソドックスな演出にしていたのは、それはそれで良かったと思いますが、個人的には、映像や文章では出来ない、生の舞台ならではの表現をもっと見せて欲しかったです。

  • 満足度★★★

    後半のボリュームがもう少し
    いやー壮大(笑)ここまで壮大とは思わんかった。話はわりと淡々と進むのだがナゼか目が離せなかったなあ。後半のエピソードのボリュームがもう少し欲しいなとかは感じましたが、面白かった。

  • 19:30。
    後ほど。

  • 打ち上げ
    チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。

    ネタバレBOX

    伯爵(岡野康弘)…不老不死。橋の下の住人、奴隷、保健教師、ヤクザなどを転々とし、56億年ほどを生き、最期の日を迎える。愛したヒトは計5名。
    ブルボン(小見美幸)…貴族の妻。奴隷の伯爵を買う。母性から伯爵に教養をつけさせようと教育。伯爵と再開後、処刑される。
    佐久間ひよ子(相楽樹)…高校生。心臓など身体的に弱いけど精神的には強い。卒業の日に告白し伯爵の整理を待つが、3年後病死した。
    よっちゃん(野口オリジナル)…伯爵の所属する組と対立する組の下っ端。鉄砲玉として伯爵殺しを命じられるが、監禁され、死亡する。
    UHA(志水衿子)…生命のない地球に訪れた宇宙人の内の一人。伯爵の眠りを覚ます。地球に残ると決意した伯爵とともに過ごすが、結局先に寿命を迎えた。伯爵の子を身篭った。
    コリス(浅利ねこ)…伯爵とともに宇宙の最期を過ごす女性。20歳代。
    モロゾフ(工藤さや)…ブルボンの寝室に勝手に入る貴族。奴隷同士をマグワわせることを想像する。
    ロイズ(関原あさこ)…モロゾフの友人貴族。色んな貴族に会いにいこうとブルボンを誘う。
    右足(今村圭祐)…ブルボンの奴隷。つっこみが冷静な方。宵越しの物はもたない。
    左足(中舘淳一郎)…ブルボンの奴隷。好戦的な方。
    リスカ(佑木つぐみ)…ブルボンのメイド。エロメイドがスタンダードになると予言する。伯爵にふられた。奇跡の人。
    ユーハイム(三嶋義信)…奴隷商人。後に革命派の先導者。
    不二(工藤さや)…高校生。湖池の恋を応援する。
    湖池(佑木つぐみ)…高校生。伯爵にふられた。
    赤城(中舘淳一郎)…高校生。彼女あり。
    カバヤ(渡辺伸一郎)…高校生。ひよ子のストーカー。伯爵との仲を疑う。
    カクダイ(ひら凌一)…体育教師。ひよ子の兄。ひよ子の手紙を持参し、その死を伯爵に伝える。
    江崎(三嶋義信)…伯爵の組所属。伯爵のことが好き。
    ハリ坊(渡辺伸一郎)…伯爵の組所属の下っ端。
    でん六(ひら凌一)…伯爵の組所属の下っ端。レーザー銃を所持。
    ママ(関原あさこ)…UHAの母。パパのマイクコードをサポートする内助の功な妻。
    パパ(今村圭祐)…UHAの父。地球調査員的な宇宙人。人と出会うために生きている。
  • 圧倒的な短さで編む大河ドラマ
    手塚治虫氏の『火の○』に劣らない、壮大な物語を造ってしまった。
    ツッコミの炸裂する「笑い」が暗転を効果的に生かしてリピートし、全編で いつの時代も変わらない「愛」を映す。

    身分だとか、社会的なモラルだとか、男だ女だという性差だとか、人種だとか…。

    生涯5人の人間を愛した、1800年代生まれ の男爵には、時代ごとで愛すべき対象との大きな障壁があった。

    ネタバレBOX

    例えば 初めの恋人を拒ませたのは、登ることのできない「階級」(中世 フランス)である。

    しかし、考えてみれば、次の時代1990年代には「階級」という概念すら政治家の頭にはなくなっていた。
    「階級の否定」に他ならない。

    一方、その時代の障壁は「社会的モラル」である。

    日本で私立高校の保健教師となった男爵の目の前に、「透明な」女子高校生が現れたのだ。
    もちろん、「教師と生徒の愛」など社会的にNOだから、公職の彼は 障壁を破ることすらできない。


    そして、次の時代は2030年代。

    アウトスロー界を浸かった男爵は 、組の構成員の若い青年と「愛の生活」を過ごす。
    これからは近未来の人類の仮定を指すが、「社会的モラル」で人々の恋愛が制限される価値観=障壁も吹っ飛んだのかもしれない。


    こう人類の歴史を辿っていけば、「愛」の障壁は 時代ごとの闘いや草の根の運動によって崩れてきたのだ。

    今、インドなど世界中に身分制は存在し、完全に是正することは不可能だろう。
    だが、人類の潮流、流れ としては、「身分制」を葬り去る方向へ動き(人民の武装)、性差や人種を越える方向を求めてきた(草の根運動)。


    今作が型どった時代は その境目であり、非常に思慮を感じる構成だった。



    「エロいメイドの時代が来ます!」に象徴される「笑い」は、暗転を利用したからこそ生まれる。それはコントの形式で多用する方法だろう。
    だから少なくとも前半は、ショート•ストーリズを重ねた「アップルパイ」のような舞台である。
    逆の見方にすれば「薄っぺらい」感触も感じつつ、チラシ(絶賛したい)にも登場した女子高校生との「愛」「障壁」を映す第二幕でカーテンコールの時刻だと思った。

    しかし、私は冒頭、手塚治虫氏の『火の○』を わさわざ引用している。
    特に、二幕(女子高校生)、それに続く三幕、四幕、五幕がメッセージを帯びており、観るものをゲーテの世界に落としてしまった。

    一幕はメッセージ性というか、貴族社会のショート•ストーリズのようだったが、結局のところ中世フランス時代の「日常観察」の比較で 次幕以降の男爵の姿が浮き彫りになる。
    「人類の歴史」を語るメッセージを放つためには日常的な「笑い」を徹する演出も必要だろう。





    「たまたま窓にカナブンが入ってきただけ」

    男爵は、女性貴族の呟く この言葉を身にまとい、各時代を歩んだのだろう。


    話の中で「フランス領インドシナで日本軍の捕虜になった」事実も明かされた。
    1940年代の幕を描いてもよかった。
    対象は、雑用スタッフとして働く現地人女性か、紛れ込んでいたフランスの女性兵士で どうか。



    「いつ終わるのか」さえ解らない構成で、観客は「時間」のテーマに接しざるを得ない。
    この不安感が男爵に置き換えられる感情だとすれば、「やられた!」の一言である。


    世界的ベストセラー『ソフィーの世界』の光景を彷彿させる内容も 見受けた。

    何か、作品に影響を与えた書作や映画等あれば、聴いてみたいものだ。

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