伯爵のおるすばん 公演情報 Mrs.fictions「伯爵のおるすばん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    爽やかの中に懐かしさ
     何故、こんなにも懐かしいような感じがするのだろう? 確かに爽やかな中にも心に沁みる作品ではある。然し、それだけでこれ程、懐旧の情を催すだろうか? 無論、そのようなことは無い。

    ネタバレBOX

     伯爵と綽名された主人公は、物語では56億年を既に生きている。その中で、18世紀のフランス革命前夜からが、彼に恋の遍歴を刻む。都合、4人の女、1人の男と恋仲になる。尤も、最初の2人の女は、1人は主人を持つマダム、1人は、女子高生で自分の学校の生徒であった。2人目の女は体が弱く、漸く20歳を超えた頃に他界してしまった。その体の弱い彼女が、高校時代、伯爵に好意の在ることを告白し、卒業証書を貰った日、伯爵の答えを訊きに来たのだ。そして、迎えに来てほしいと頼む。待っているから、と。体が、弱いから、なるべく早く、と。この高校生、ひよ子との恋が、ハイライトだろうか。演じている女優の清潔感と感性の良さが伝わってくる。相楽樹という女優だ。
     因みに、ブルボン家の奥方やひよ子と伯爵との関係はプラトニックである。3人目に何故、ヘテロの彼が男の恋人を持ったか、ということであるが、ひよ子に、「自分以外の人は好きにならないで」と言われ「そうする」と約束をしていたから、女性との恋を自らに禁じていたのである。その後、更に2人の女性と恋に落ち、最後の女性は健在である。56億年に5人の人と恋に落ちた、とは言っても地球誕生45億年頃からであるから、実質、11億年。2億2千万年に一度、本気の恋をしている計算になる。まあ、野暮な計算だが。
     伯爵を演じた岡野 康弘もいい。劇の進行につれて、段々、良い顔に見えてくるのだ。
     今作については余り理屈をこねる気がしない。観て感じて欲しい舞台である。
     ところで、伯爵は、とても普通の人である。長生きであることの他は。だから、あなたの横に何食わぬ顔で居るかも知れない! ほら、そこ、直ぐ隣に!!

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    2013/10/08 03:52

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