THE GAME OF POLYAMORY LIFE 公演情報 THE GAME OF POLYAMORY LIFE」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-5件 / 5件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ポリアモリーを浴びる観劇体験

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    10年前の初演を(同じKAATで)観た縁に託けて、今回も観に出かけた。稲葉賀恵演出、が後押し。
    知った顔と名の上田遥のAチームは叶わず、Bを観た。そのため上田女史の方だったら・・という想像を観ながらやってしまう。が、Bのムーン役(笠木泉)のウラだろうと踏んでいたのが実は違ってた。男女比も両チーム違う。エンジェル(豊田エリー)は男女二刀流で先のムーン・女とタイガー(小川ゲン)・男(ムーンが先に付き合っていてエンジェルに紹介し、三人の関係が生まれた)。だがAチームではムーンが男(加藤啓)、タイガーが女(これが上田)、そしてチームで性が異なるエンジェルの友人アリス(これが複雑な要素を持ち込む)は、Bでは男(阿岐之将一)、Aでは女(前原麻希)である。
    豊田と共に、エンジェルが新たに出会う相手・ガンダムがシングルキャスト(笹川幹太)。この舞台、難しい設定にしては心情表現がリアルに迫り、興味深く観たため、自然別チームも観たくなったがそれは叶わずであった。

    舞台は両面客席の間にほぼ正方形の台が、エンジェルの室内として置かれる。廊下に近いゆるいスロープが四角の一辺に渡され、反対側には逆向きのスロープ。片側は玄関へ、片側は抽象的な使用。
    高級感あるフローリングの台上には金持ちらしい簡素さで、伝統色無しの瀟洒な調度(ベッド、テーブル、高めの台・・ふかふかの起毛布で覆われカグスベールで俳優が一人でよく移動させる)、冷蔵庫、低い木製台、観葉植物、書籍、柱、椅子。
    ポリアモリー(複数との愛)が果たして成立するのかの実験=ゲーム?が、初演では「成立しづらいな」という感想。今回も基本同じなのだが、裕福で生活に困らない相手、そのパートナーに相応しい肢体を備えた相手、生活苦から解放された条件下でしかこの「実験」に果敢に取り組むエネルギーもモチベーションも湧かないだろうな・・と。
    三人が恋人同士という関係(女2+男1)の始まりは、エンジェルとムーンの二人でいた所、ムーンが「もう一人」の恋人をエンジェルに紹介した。エンジェルはこの相手をすぐ好きになり、三人共が「同じ考え」(同等に愛を分かち合える)である事を悟り、その関係に入った、と語られる。(ここで興味深いのはBでは女性同士の関係に、バイのムーンの男恋人が入る、という形なのに対し、Aでは男女の恋人に、男のもう一人の女恋人が入る、という形。Aの方が中々ハードルが高そうだ。)
    偽りの無いその感情と関係性を、舞台上に描く事が本作では大きな課題だったろうが、流石それが成立するのを見る事は出来た。その上で。

    Bチームの感想となるが、女性二人の関係が倦まないための刺激剤、あるいは間隙を埋める「豊かさ」をもたらす人材として「もう一人」(男)が「仲間」となり得たのは、三者が個として持つ「豊かさ」(物理的・才能的=人間的)ゆえで、その豊かさ=富を惜しみなくシェアする関係として、実は利害関係にある、という(貧しい庶民の)発想に私は持って行かれる。彼らが特権者に見えるのは否めない。(無論、世に「経済・生活」を捨象したドラマは幾っくらでもあり、物語の伝えたい核がそれによって見劣りする事のないドラマも存在する。ただしポリアモリーという形が現実の中でどう成立し得るかは、やはり検証の俎上に置かずには通過できない。)
    友情は感じるがエロスは別枠に思える点が、言ってしまえばそれである。
    明治のエライ人は妾を別宅でなく妻と同じ屋根の下に住まわせたようだが、「秘め事」に関しては暗黙のルールがあった事だろう。3人が規則性も無しに常にエゴも含めて相手の前に出したり出さなかったりを、他の二人が居る前でやるのか、それともやはり一対一の時間をそれぞれ作る事にしているのか・・。3Pはやらない、とすれば一対一の時間、残る一人は孤独である、という具合。「パートナー」の別表現である「まぐわいの相手」の側面が、どうしても乗り換えられない。

    感情の揺れ動き、そして「成立するか実は危うい」という実際この関係が誕生しても忍び寄るだろう要素にも言及しながら、それでも「今は続けて行く」(そして私達は愛のただ中にある)と、愛の多様性を謳いあげてドラマは終って行く。

    この世界を描けるのは、性欲を離れた関係をリアルに想像できるのが女性だから、だろうか。
    愛がリスクからの、暴力からの防波堤であると考えれば、つまり平和が自然な状態としてでなく暴力を忌避し回避する「態度」として捉えると、「あなたを守りたい」感情は確かに、セックスを抜きに存在し得る。
    コザ騒動を背景にした「hana」に登場するジラースーと呼ばれる旦那さんは、ママのパートナーだが「そういう関係」を好まず、子どもたちを助けるために戸籍上の夫となった人。愛の広さ、深さが沖縄の地上戦の悲惨を背景にする事で「あり」に見えてくる。むしろ輝く。
    本作で描こうとした定義しようのない関係とは、実はそのようなものではないか。

    さて観客の少なさには「あ」と思わず驚いた。通常の客席ならどの程度埋まっていただろうか。対面客席の「客の多い側」に座れば、対面の少なく淋しい客席が見えてしまう。もっと多くに観られて良い舞台だと思う。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    〈Aチーム〉

    広い一軒家の透視図のセットを二面4列の客席で挟む形。舞台美術の松岡泉さんは見事にこの奇妙な世界を開放的空間として成立させた。

    高校美術教師のエンジェル(豊田エリーさん)はムーン(加藤啓氏)、タイガー(上田遥さん)と同棲している。3人共それぞれ愛し合っているトライアッド(パートナーシップ)。大学時代の友達でずっとエンジェルに恋しているアリス(前原麻希さん)にはそれが理解出来ない。到頭、家に乗り込む。同じくInstagramで彼女達のことを知ったガンダム(笹川幹太氏)はムーンに取材を申し入れる。

    ポリアモリー(複数愛)なんて初めて知った。関係する全員の合意のもと、複数のパートナーと恋愛関係を築くライフスタイル。よっぽどルックスが良いか、金が無いと成立しない気もするが。しかも今作の登場人物は全性愛者(パンセクシュアル)も兼ねている。男も女もない渾沌。一昔前なら柴門ふみに漫画を描かせて月9でドラマ化もあったネタ。

    豊田エリーさんはた組で沢山観てきたが、今作が一番魅力的。この妖精のような圧倒的ルックスがないとなかなか成立し辛い設定だと思う。(旦那が柳楽優弥氏だとさっき知った)。こんな綺麗な人だったらこんなことも有り得るのかもと思わせる。

    上田遥さんの独特な声は誰かに似ている。芹那かな?
    加藤啓氏はやたら感動屋なので人間的には胡散臭い。
    前原麻希さんはヒールの女子プロレスラーみたいな威圧感。
    笹川幹太氏は細かい仕草が巧い。存在にリアリティーがあった。

    多分、作家は人が人を自然に愛することを肯定したかった。そこに嘘がなければ何も間違ったことではない。純粋に幸せに向かって生きていくことを許容し合える共同体。自分が心からそう思えればそう生きられる筈だと。

    Bチームだと豊田エリーさんと笹川幹太氏以外のキャラが男女入れ替わる仕様。どう見えるのかちょっと気になる。

    ネタバレBOX

    驚く程、客が入っていないことに不安を感じた。意識高い系の糞つまらない作品を危惧していたらシンプルでストレートな人間讃歌。『かぐや姫の物語』を匂わせもするファンタジー。これは討論を削ってミュージカルにすべき題材だと思う。理屈立てて言語化されると一々ムカつくが、歌と踊りで「本能なんだから仕方ない」とやられると納得せざるを得ない。

    嫉妬がなくなるということは相手にあんまり興味がなくなること。ラストの「(豊田エリーさんに)好きな人ができました」「おめでとう!」のくだりも独占欲を超越した理想の関係性というより普通の友人関係に見える。独占欲のない愛、しかも無関心ではない···!?。

    昔、「恋愛=友情+性欲」だと考えた。性欲だけだと人間の関係性としては一面的に終わる。友情だけだともう一歩奥に踏み込めない。今作の登場人物も「性行為」がなければ仲の良い共同体だと観客は普通に受け止められたと思う。やたらキスをして肉欲を表現しているが仲の良い友人関係では駄目なのか?性的快楽の共有がなければ物足りないのか?セックスのない共同体ならヤマギシ会とか新興宗教的な共同生活を思い浮かべるが。

    一度、普通のルックスのもっと年代が上の役者で今作を上演して貰いたい。果たして観客にはどう映るのか?
  • 実演鑑賞

    合意のもとで複数のパートナーと深く親密な恋愛関係を築くライフスタイル「ポリアモリー」をモチーフにした一作。初演は2016年とのことで、10年振りの再演になります。僕は初見でした。10年前の客席の反応と、現在の客席の反応に差異があるのか? など、一定時間を置いて上演することに意味がある戯曲だと思います。もし2036年に上演したら……という未来も気になりつつ。

    観客各々が、この「ポリアモリー」という概念とどう向き合うか? という、自身への問いかけ、あるいは自身への問題提起に終始してしまうと、やや勿体ない作品に感じました。僕自身も、ついそれについて考えてしまうのですが、上演を観る限り、ポリアモリーはあくまでモチーフであり、本質は「人間は他者とどう親愛を分け合うか?」という、コミュニケーションの根源を見つめる一作に感じられました。

    ネタバレBOX

    劇中で描かれるポリアモリーというライフスタイルを見ていると、とても自然に感じられ、概念としても自然と受け入れられる感覚がありました。それに対する賛否の発想よりも、情報や登場人物たちの感情をスッと受け入れて、人物相関や物語を追いかけている自分がいました。これは、脚本や演出の整理の仕方が巧みだったことや、俳優たちの演技体などが背景にあると思います。観劇前は「難解な物語なのかな…?」と想像していましたが、想像以上に飲み込みやすい物語でした。一方で、「私とあなたの本音を交わして、できれば分かり合いたいです」という、できる限り心を開き、極力嘘を無くしたコミュニケーションの物語なので、ある種の討論劇のような、演劇上演の「型」として、やや単調な一面もあるように思いました。

    また、これは余談ですが、どこかで「ハイヤーセルフ」(高次元に存在するもう一人の自分)という概念を知りまして、観劇しながら、それを思い出したりしていました。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「パートナーシップのかたちを模索する人々」

     合意のうえ二人以上のパートナーと親密な関係を構築している「ポリアモリー」について丹念に描いた2016年の作品の再演である。Bチームの初回を鑑賞した。

    ネタバレBOX

     高校教員のエンジェル(豊田エリー)は医師のムーン(笠木泉)とタイガーという青年(小川ゲン)の三人で共同生活を送っている。三名は互いを恋人と認めているが、学生時代にエンジェルに焦がれていたアリス(阿岐之将一)や、同じくエンジェルに恋するガンダム(笹川幹太)は強い拒否反応を示す。将来は子どもを持ちたいと盛り上がる三人の日々は順調そのものだが、アリスがタイガーと交際をはじめたときから少しずつ変化が生じていくのだった。

     日本に馴染みがあるとはいえないパートナーシップを結ぶ登場人物たちを観ていて、愛情と所有の違いや、互いを認め寛容であることの困難さについてなど、さまざまに思いを巡らせることになった。説明しすぎない照明と音響が、俳優のイキイキした芝居を浮き立たせることに成功していたように思う。ポリアモリーを実践する三名とそれ以外の二名の討論劇のようになった感はあり、やや教条的で図式的になった向きは否めない。各登場人物を掘り下げた内容を観てみたいとも思った。

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