ホイッスル・イン・ザ・ダーク 公演情報 ホイッスル・イン・ザ・ダーク」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.8
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★

    いい芝居なんだけど
    演技はさすが俳小であり,じっくり芝居に向かい合うことができた。しかし,その物語は粗野で暴力的で救いはなく,個人的には好きな物語ではなかった。イギリスの中におけるアイルランドの位置づけがこの物語のとおりだったかもしれないが,それでどうなんだろう。爆弾低気圧のおそれということで外出を控える中,無理して観劇に行ったが,降りしきる雨の中,暗い気持ちで帰宅の途についた。繰り返しではあるが,芝居自体はいい芝居である。次回作にも期待している,暗くならない物語を。

  • 満足度★★★

    何を想像するか
     アイルランドの気違いじみた一家族の物語。他のファミリーとの抗争を背景にイングランドとの確執を描いた作品だが、トマス・マーフィーが、何故、このような作品を描いたのかを想像してみた。タイトルも意味深長である。

    ネタバレBOX

     現在の世界の国際紛争は、英国の植民地支配による悪影響が原因となっているものが、殆ど総てと言っても良い。無論、フランスもかなり関与している。幾つか例を挙げれば、パレスチナ問題は、英国の三枚舌外交が齎した結果だし、インド、パキスタン、バングラデッシュ問題、フォークランド問題、イラク、クウェート問題、シリア、レバノン問題等々、枚挙にいとまが無い。第二次世界大戦後で言えば、アメリカが世界の悪をイギリスから引き継いだわけだ。
     一方、名誉革命など、革命とは名ばかりの表層再編で、為政者の権力維持はそのままに、勃興した新興勢力たるブルジョアジーを取り込んで懐柔しただけの茶番がまかり通るのもイギリス流というわけであろう。大衆のガス抜きには、談論風発の議論をさせるなど、中々にしたたかではあるものの、狡猾そのものでもあるようなブリテンに対し、アイルランドは、矢張り被支配、被差別の関係に置かれて来たと言ってよかろう。 
     このような背景を考えなければカーニー家の気違いじみた振る舞いは理解し難いのではないだろうか? 即ち、ここに在るのは、支配・被支配と差別の関係である。そのことが、人々個々人の生活にも歪を齎しているのだ。
     因みにアメリカに渡ったケネディー家は、アイルランド系であるが、競争するとなれば、例え兄弟同志であっても一切手加減を加えず、時には大怪我をするようなこともあったと言う。英国を引き継いだアメリカで、それほど、自らを奮い立たせることによってしか、他者に対抗できないと考えることこそ、アイルランド的と言い得、そのようにしてしかイングランドに対抗し得ないのであったとしたら、またIRAの長い抵抗運動を見るならば、そこでこそ、この作品の意味する所が見えてくるのではないだろうか。
  • 満足度★★★★

    全編粗野で暴力的
    こんな父親とこんな家族があったのかと思いました。

    ネタバレBOX

    父親が子どもたちに暴力を躾けていた一家の成れの果てでした。

    夜中に父親に突然起こされて子どもたち同士が殴り合いをさせられる、そんな躾をされたらこんな好戦的な兄弟になってしまうのでしょう。長男だけは少し教育を受けたせいか暴力が嫌いな人間に育ちましたが、あとは本当に愚連隊一家でした。そのくせ父親は言い訳を付けて決闘から逃げ回る卑怯者でした。長男やその妻は父親の本性を見透かしていて、次男も分かっていたとは思うのですが、三男以下は父親の言い訳の武勇伝を信じてしまう鉄砲玉的思考能力しかありませんでした。

    散々暴力をはやし立て、そして自分は参加しない父親とその息子たちが招いた最後の悲劇、五男の死を前にしてもまだ逃れようとする父親のクソッタレ振りに、クズのクズを見た思いでした。

    全編粗野で暴力的、酔っ払っているのですが、時々父親や次男の友人などが一人芝居的に演じるシーンがあって役者さんの見せ場もありました。若い役者さんたちは粗野を全面に出したり酔っ払いを演じたりするため、大声になったりと大変だったと思いますが、少し棒読みっぽく感じました。

    父親役の役者さんは親分肌で恰幅も良く演技も素晴らしかったのですが、あれなら誰と喧嘩しても負けないだろうと思える体格でした。もしかしたら実際の父親はもう少し貧相な男だったのではないかという気もしました。子どもの立場から父親を見ると大きく見えるという象徴なのかもしれませんね。
  • 満足度

    がっかりな話でした・・・・
    役者さんの演技は良いとしても、話の内容は大変残念な出来と思った。
    久々に無駄な時間を喰われた感が強い舞台でありました。

    <全2幕 10分の休憩入れて2時間半>

    ネタバレBOX

    前作「さぶ」の出来が良くて期待していた分、がっかり感も強く出たようです。

    原作はイギリスとアイルランドの民族対立を上手に表現していたと推測します=だから舞台化したんでしょうが。表現しきれていなかったですネェ・・・。
    ひたすら酔っ払いの大声討論を聞かされ続けた芝居でありました。
    (父=ダダ役を本当に酒瓶でどつきたくなる感情が芽生えるほど役者さんの演技はよかったっす)

    で話は、後を追ったマイケルは酒飲んでへべれけになって戻ってきて、喧嘩にも参加せず。(ほんとへたれてました)。妄言壮語のオヤジも喧嘩に行かず酒呑んでるだけで。そのこと問い詰められると他の喧嘩してたと弁解。そして決闘に勝利して戻った兄弟達をオヤジは昔のように兄弟同士で争わせて最強を決めろと囃し立て、愛想の尽きたベティは家を去り。残ったマイケルはコレまで目をかけて他の兄弟達のようにならないよう言い聞かせていた末弟デズを激情にかられた衝動のまま酒瓶で殴打し殺してしまいます。弟の死を煽った父親に他の兄弟達は責任を取れと詰め寄り終劇です。

    結局、皆がわかっていたヘタレ親父に誰も逆らわず悲劇を招き。
    民族抗争というよりも、町の鼻つまみ者同士の諍い=酔っ払いどもの=って感じが見てても不快でありました。まぁ反面教師で飲酒はよくないと言いたかったのでしょうか?

    ひたすら酒呑んでて大声で叫んでるだけのチンピラ達には感情移入し辛い。
    舞台設定を出来事のあった時代より未来にして、こんな事件があってと資料室での会話→過去ドラマの再現芝居にして、要所要所に当時の時代背景や民族間抗争、人種の違いなどなどを解説で入れるような芝居にすれば、楽しめたかもしれないなぁと思いました。

    芝居をされる方には、酔いの演技が参考にはなるのかなぁと。
    ”お薦めはしない”とはしませんでした

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