満足度★★★
ステレオタイプな結論が残念。 新しい『効率化』はこういうものをススメます、と主人公が推し進めるような展開が良かったのに。
『効率学のススメ』という題名とは裏腹に、結局「効率至上主義」は
悪として、それを勧めたコンサルタントも、「一見非効率な放任主義」
がスタッフの自由な活動と創造性を生むため「新たな効率化といえる」
という逆説的な?結論に至り、効率一辺倒な生活から解き放たれて
自由になることを思わせて終わる。
結局、効率化=非人道的=悪、非効率=人間的=善という、これまでの
古い安直なステレオタイプに落ち着いてしまって、非常に残念。
現代の現実は、もっと複雑でありシビアであるはず。
「効率化=非人道的」=リストラではなく、これからの「効率化」は、
もっと人間的で、現実的で、複雑だ、あるいは単純だ、
新しい『効率化』はこういうものをススメます、と主人公が
一見破天荒だけれど論理的な展開を引っ張っていくような、
要するに『ドラゴン桜』のような展開が本来ではないか。
私の大好きな「囲み舞台」+四辺の壁面と、舞台四辺の床面(回廊)を
一周する細長いスクリーン、というユニークな舞台装置は良かった。
満足度★★★
効率化して残るもの
冒頭ぎょっとする演出で幕開け、勢いがあったのはここだけだったな。
笑わせる要素も少しはあったが、話の内容からか、全体的に硬いイメージが流れていたような気がした。
仕事の価値観を巡り、人生の豊かさとは何かと、淡々と辿り着いた感じで、効率と銘打っているけど研究所内の非効率さの点を追求した箇所まで行き着いた所までなんかアバウト。
模造紙に描いた模式図もわかり易く、映像も駆使し、綺麗だったし眼は惹いた。
満足度★★★
「効率」という看板の向こうに見えるもの
「効率」という、分かったようでいて、その実よく分からないものを
めぐってのドタバタの喜劇、というのがこの作品、『効率学の
ススメ』に一番合った紹介ではないかと。
目に見えないものに、いかに人がよくも悪くも翻弄されるのか、
その一端に触れたような気がします。
満足度★★★★
効率性も功罪相半ば
最初は豊原功補さん演じるケン・ローマックスが宙ずりになって、
子供のころの思い出や効率性についての考え方を訴えかける場面から
始まります。
ここにこの話の一貫した切り口を垣間見ることができると思いました。
経営効率性の検証結果として、研究所のメンバーが解雇になってしまうが、
上司の無能であるがゆえに部下が育っているという、非効率であったが
ゆえの産物も同時にあったということが付記されていた点は、効率性だけの追求も万能ではないんだということを教えてくれた気がしました。
劇自体は決して堅苦しいものではなく、笑いを誘うところもあって、
退屈しませんでした。
座席表を見て中央にステージがある形態でしたので、初めてバルコニー側のB席を取りました。B席だとステージから遠いと敬遠してしまうのですが、中央にステージがあるので、それならばと思い取りましたが、意外に快適に観れました。
満足度★★★
効率と創造性
ある科学研究所に効率化を進める為にビジネス・アナリストが雇われたことをきっかけに所員それぞれの思惑が交錯する様子を、スタイリッシュなビジュアル表現とユーモアのある会話で描いた作品で、数値で人生を測ることが価出来るのか、絶え間ない科学の発展は善なのかといったことを考えさせられつつも、堅苦しくない雰囲気で楽しく観ることが出来ました。
研究所の室内を表す正方形のステージの周りにロの字型の廊下があり、その外側の4方向を客席で囲み、2階客席の手前を帯状のスクリーンが一周するという変則的なセッティングでしたが、意外な所から現れて始まる冒頭シーン以外はスタンダードなストレートプレイの形式で、役者達のナチュラルな演技もあって海外戯曲であることを感じさせませんでした。
終盤は都合良く話が進んで全員の今後の幸せな人生を予感させる雰囲気で終わるのですが、シニカルな結末を期待していたので、甘く優しい終わり方には物足りなさを感じました。
モノトーンと透明な素材で統一されたセットがクールで、その上で展開する登場人物達の滑稽な姿が引き立っていました。
4辺がシームレスに繋がった映像のクオリティが高さが印象的でしたが、モノトーンやシンプルな絵柄の時は美しかったものの、カラフルでポップな絵柄は中途半端な表現に感じられました。