効率学のススメ 公演情報 新国立劇場「効率学のススメ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    「効率」という看板の向こうに見えるもの
    「効率」という、分かったようでいて、その実よく分からないものを
    めぐってのドタバタの喜劇、というのがこの作品、『効率学の
    ススメ』に一番合った紹介ではないかと。

    目に見えないものに、いかに人がよくも悪くも翻弄されるのか、
    その一端に触れたような気がします。

    ネタバレBOX

    表面上はうまくいっているようで、実際三者それぞれが
    違う方向を向いてしまっている研究所の職員たち。
    そこに、「最大効率化こそがわが使命」と自ら恃んで止まない
    ビジネス・アナリストのケン・ローマックスが送り込まれてきた。

    関わった先では、数々のリストラや事業縮小が引き起こされ、
    その名がとどろくケンを目の前に、研究所の所員たちも
    自分達も「効率化」の名の下にリストラを迫られるのではないか、と
    疑心暗鬼を抱くようになる…。

    という話。ここまで書くと、なんか凄惨な話を想像する人も多そうですが
    自称「イケメン」研究員のジェスパーと、なんとか威厳を保とうとしつつも
    実は小物だったという研究所の責任者ブラウン氏の存在が、なかなかに
    いい味を出しています。

    ブラウン氏の場合、奥さんまで巻き込んで、ケンを懐柔しようと
    しているのに、全然うまくいかない、そのダメぶりが、もう何というか…。

    「効率」の守護神のようなケンが徐々に変化して、ラストでは
    「ブラウン氏の非効率的な運営こそが、最大の効率化を生むのです」
    「そのため、ただちに、ブラウン氏を昇格させて、もっと多くの部下を
    持たせ、さらなる効率化を図りなさい」と提案するのは、

    映写された「科学的発見の第三段階:人は間違った人物に功績を
    認める」の一文とあいまって、すごくよく効いていましたね。

    ただ…ケンという人物が、どのくらい「効率主義」の権化なのか、
    序盤をのぞき、描写が無かったので、「効率」「効率」と連呼しても
    伝わらなかったかも…。普通に所員たちと長話をしているし(笑

    テーマは面白かったんだけど、そういうところも含めて、ツメの甘さが
    目立ちました。でもラストはなかなかに微笑ましくていいです。
    ジェニファーがジェスパーに電話番号を書いた紙を叩きつけて
    出ていく場面とか。ケンが必死に天気の話を予習するところとか。
    ああいうの、いいなぁ。

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    2013/04/21 08:39

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