満足度★★★
効率と創造性
ある科学研究所に効率化を進める為にビジネス・アナリストが雇われたことをきっかけに所員それぞれの思惑が交錯する様子を、スタイリッシュなビジュアル表現とユーモアのある会話で描いた作品で、数値で人生を測ることが価出来るのか、絶え間ない科学の発展は善なのかといったことを考えさせられつつも、堅苦しくない雰囲気で楽しく観ることが出来ました。
研究所の室内を表す正方形のステージの周りにロの字型の廊下があり、その外側の4方向を客席で囲み、2階客席の手前を帯状のスクリーンが一周するという変則的なセッティングでしたが、意外な所から現れて始まる冒頭シーン以外はスタンダードなストレートプレイの形式で、役者達のナチュラルな演技もあって海外戯曲であることを感じさせませんでした。
終盤は都合良く話が進んで全員の今後の幸せな人生を予感させる雰囲気で終わるのですが、シニカルな結末を期待していたので、甘く優しい終わり方には物足りなさを感じました。
モノトーンと透明な素材で統一されたセットがクールで、その上で展開する登場人物達の滑稽な姿が引き立っていました。
4辺がシームレスに繋がった映像のクオリティが高さが印象的でしたが、モノトーンやシンプルな絵柄の時は美しかったものの、カラフルでポップな絵柄は中途半端な表現に感じられました。