ボクの四谷怪談 公演情報 ボクの四谷怪談」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.2
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★

    う〜ん…
    橋本治が昔書いたという脚本を、若手の勢いある俳優が演じ、蜷川幸雄が演出する、ロックミュージカル! というだけで、期待は高まった。

    だけど、カッコ内だけど、「ロックミュージカル」とうたっているのだが、音楽がイマイチ。
    もの凄くイマイチ。
    ロックと言えばロックなのかもしれないけど…。

    演出が望んだロックではなかったのではないだろうか。

    ネタバレBOX

    いや、もちろん一口に言ってロックにはさまざまあるのは承知しているし、劇中の曲はロックであるか、ないかということはそんなに重要ではなく、とにかく、あんまり楽しくはなかったな、というのが感想だ。

    また、ミュージカルってうたっているのも違うように感じてしまった。劇中で歌えばミュージカルっていうわけではないだろう、と思うのだ。
    劇中の音楽が耳に残り、帰り道で口ずさみたくなるような、あるいはCDを探すような、そんな楽曲がないとミュージカルは寂しい。

    橋本治が翻案した物語もそんなには面白くない。

    四谷怪談を今風の時代背景と融合させ、侍が背広姿で、ってな風になっているだけで、特に面白いものではない。中途半端に古さが感じられる。
    会話がポンポンとリズム良く交わされるのであれば、また違ったものになったであろうが、これはミュージカルなのだ。
    やはり歌のパートになるとスピードやリズムが落ちる。

    そうなのだ、今、役者が即興で歌っているんじゃないか、と思うぐらいのパッとしない音楽だった。
    蜷川演出としては、ロックなんだから、シャウトして、という感じにしたかったのだろうが、肝心のメロディがこれではシャウトはできない。
    できないのに、ロックっぽく役者たちは熱唱風に歌おうとしている(つまり、演出としてそう歌わせようとしている)。それがまったく曲調とマッチしていない。ギャップがあるのだ。
    つまり、演出が望んでいた曲調ではなかったのではないだろうか。

    明らかに、作曲の人選ミスだろう。そういうシャウト風の曲を望んでいて、「ロック」と付けたのならば、そういう作曲ができる人を選ぶべきだった。
    もしくは、出来上がった曲でなんとかするという方法もあったのではないだろうか。

    ただし、物語全体が、若者のもやもやした焦燥感のようなものを感じさせるのであるから、やっぱり若さを発憤させるようなシャウト系のロックであったほうが良かったのだ。

    もちろん、すべての曲悪いわけではなく、ギターを弾いて歌う歌は、もの凄くいい曲だと思う。
    だけど、ほかの曲はまるで役者がいま即興で歌っているようにしか聞こえず、楽しめないのだ。

    それは、小出恵介さんの歌が下手すぎということもある。上手い下手という前に、声が出てないし、聞いているこちらが恥ずかしくなるほど。

    主人公については、初めからきちんとキャラ立てておけよ、と思うぐらいで、中途半端で魅力を感じない。脇の手堅い固め方は、アイドルや若手人気俳優を使うときの、蜷川風なのだが、それによって舞台経験の力量の差がありありとしてしまった。
    小出恵介さんは、そんなに演技は下手ではないはずなのだが、歌がダメだってことは当然自分も気づいていることから、芝居も萎縮してしまったのではないだろうか。

    演出としては、ラストだけはがんばったように見えてしまう。
    第一部から、とにかく人がわさわさしていて見づらいし、歌のシーンをすかっとしないと、なんだかなー、と思っているところに、ようやくスカッとするシーンがラストに来て、観客はホッとする。

    ここのロックにはきちんと熱量があるし、ダンスもいい。
    これができるのならば、なぜ最初からやらないのだ! と逆に怒ってしまう。

    ただし、多くの観客は、この舞台に望んでいたシーンなので、気持ちが解放され、ノリノリになっている。ラストの、この感じだけで、「この舞台よかった〜」となる人多いのではないだろうか。……チケ代高いしから、そう思わないとツライしね。

    ラストにこういう演出を持って来たことに、蜷川さんの老獪さ(笑)を垣間見た気がする。
  • 初日
    良かったです。
    独特の熱が、思いが、パワーが篭もっていました。

  • 役者はよかったのですが
    キャストを見てぜひ見たい!と思い、観劇。
    見た目は昭和3~40年代ですが、四谷怪談でした。若くてエネルギッシュな役者さんたちがたくさん見られたのは、眼福でした。三浦くんがかわいらしく、一方でめちゃめちゃダンスがうまくて、素敵でした。勝村さんのむちゃっぷりが勝村さんらしくて、楽しませていただきました。

    ネタバレBOX

    しかし、だいぶ退屈でした。音楽も私好みではなく、ミュージカルみたいに歌を聴かせるようなものでもなく、全体としてはあまり楽しめませんでした。楽しみにしていただけに残念です。
  • 満足度★★

    う~ん
    内容はわかるけど、ミュージカルという感じではなかったかなあと思います。。芝居と歌で別々なものなイメージをうけました。
    蜷川さん演出は初めて拝見させていただきましたが、所々すごいなあと思う部分があり、ほかの作品もみたいなと思いました。
    出演者が豪華で期待が大きかったせいか、なにか物足りないなと思ってしまう部分があり残念でした。

  • 満足度★★

    手練手管
    橋本作品、蜷川作品をある程度知っている人たちの間で、問題作、異色作、実験作、意欲作などと称して語られればよいのであって、単体としては評価し難いというのが本音。これが、ぽっと出の作・演出家の作品で、無名の劇団員が演じたら評価されないと思います。そういう意味では「名声ありき」の作品と言えるでしょう。副題の読みは(そうおんかぶき)の方がいいと思います。(ロックミュージカル)だとちょっと違いますね。

    ネタバレBOX

    ある劇作家は言った。四谷怪談は「誰かを想う」物語だと。岩は伊右衛門を想い、喜兵衛は梅のためを想い、小平は又之丞を想った。
    この作品はそういう「想い」をことごとく切り捨て、憎しみや怨みといったマイナスの感情もばっさりカット。岩は毒を盛られず病死し、伊右衛門は人を殺さず、袖や直助は事故で死ぬという、どうにも素っ頓狂な内容になっている。
    想いも怨みも無いのにそれでも眼前に現れたお岩の亡霊に伊右衛門は困惑し、「俺が何をしたのか」と問う。そして自分と、「ボク」と、向き合うことになる。「ボクの四谷怪談」。
     
    本来なら感情面で盛り上がるはずの場面を軽くいなしているから、観る側の心も動かず、感情の波は終始真っ平らで盛り上がる所がない。それでも休憩含めて約3時間半、飽きないのだから不思議。
    「ちっとも面白くないが、まったく飽きない作品」に仕上がっている。その点、ぽっと出の演出家には創れない作品と言えるでしょうね。それだけは間違いないと思いました。
  • 満足度★★

    橋本治さんが好きならば……
    正直にいえば「さすがに古い」と感じました。
    四十年前にこれを書いた橋本治さんはすごいとも思いましたが。

    ネタバレBOX

    特にオチがいくらなんでも「いま」これをやるのは手垢がつきすぎてやしませんか。お岩の亡霊=伊右衛門の自意識、「おまえは俺だったのか」オチ。四十年前にこれはすごいと思うが、いまとなってはあまりにもありすぎの展開です。それでいて微妙に古典にもなり得ていないように(私には)見えて、きつかったです。

    合間合間にあるベタベタな笑いは好きです。「兄さん、抱いて」「大学に入ってから抱いてもらえばいいじゃない」のあたりとか。

    あと、ラストの広い空間でみんなが走ってきて踊る感じはとても好きでした。フィナーレがかっこいいのは気持ちが上がる。
  • 満足度★★★

    やっぱり橋本治は面白い
    若き日の橋本治が歌舞伎ソウル全開で書いた作品と聞いて想像してた通りの、ドライブ感のパないまさに破天荒な脚本。
    熱量に引きずり込まれるあの感じ、面白かった。
    40年前の作品ということで古さはあるものの、2012年の今の上演でもちゃんと響く普遍性があり。

    反面、演出は密度が足りてなかったかなあ。
    特に音楽、録音流してるだけだったのは明らかに舞台上の熱量殺いでて、なんだかなあ・・・だった。
    コピーに「絃の調べは七五調 鼓の響きは八拍子」と謳っているのだし、直近のコクーン歌舞伎のように生演奏でよかったのではないかと。
    音もなんだかペラくて、音響空間に演出についてとか、あんましちゃんと考えられてないんだろうなあって感じ。脚本的にも、そういう非言語面での充実はほしかったところ。
    また、「歌舞伎」としても「ミュージカル」としても、歌えない/踊れない役者をなんとかして輝かせるような戦略も足りていなかったように思います。

    ただ役者勢はみんな好演の印象。特に佐藤隆太と栗山千明の熱と清々しさは印象的。
    脇にベテランを持ってきたのはちとバランス悪かったかな?

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