ボクの四谷怪談 公演情報 シス・カンパニー「ボクの四谷怪談」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    手練手管
    橋本作品、蜷川作品をある程度知っている人たちの間で、問題作、異色作、実験作、意欲作などと称して語られればよいのであって、単体としては評価し難いというのが本音。これが、ぽっと出の作・演出家の作品で、無名の劇団員が演じたら評価されないと思います。そういう意味では「名声ありき」の作品と言えるでしょう。副題の読みは(そうおんかぶき)の方がいいと思います。(ロックミュージカル)だとちょっと違いますね。

    ネタバレBOX

    ある劇作家は言った。四谷怪談は「誰かを想う」物語だと。岩は伊右衛門を想い、喜兵衛は梅のためを想い、小平は又之丞を想った。
    この作品はそういう「想い」をことごとく切り捨て、憎しみや怨みといったマイナスの感情もばっさりカット。岩は毒を盛られず病死し、伊右衛門は人を殺さず、袖や直助は事故で死ぬという、どうにも素っ頓狂な内容になっている。
    想いも怨みも無いのにそれでも眼前に現れたお岩の亡霊に伊右衛門は困惑し、「俺が何をしたのか」と問う。そして自分と、「ボク」と、向き合うことになる。「ボクの四谷怪談」。
     
    本来なら感情面で盛り上がるはずの場面を軽くいなしているから、観る側の心も動かず、感情の波は終始真っ平らで盛り上がる所がない。それでも休憩含めて約3時間半、飽きないのだから不思議。
    「ちっとも面白くないが、まったく飽きない作品」に仕上がっている。その点、ぽっと出の演出家には創れない作品と言えるでしょうね。それだけは間違いないと思いました。

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    2012/09/29 23:09

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