満足度★★★★★
『山に登る』は,何を意味しているのかしら。
坪田文の教室短編集で,『リボン』は,もっとも格調の高い作品だと思いますね。
確かに,『チェリーボンボン』の出だしで,無難な人生なんて,ごみ箱に捨てて,アイドルを目指します。つまり,これは,女優をめざす少女たちへのエールそのものです。
では,『山に登る』は,何を意味しているのかしら。山という名の「普通の人生」かな。「女優の道」は,みんなが選ぶ道ではないので,たいへんそうだって言う意味かな。あるいは,劇団14歳みんなが登る,山=「女優の道」は,はたして登る意味があるのか,ないのかって,話かもしれませんね。私は,意味あると思いますよ!
『春の日』は,どうして,少女が自殺していった話をせつなくも,みんなで追悼しているのか。もしかして,サエコが,女優をめざしていたら,と考えてみました。本人は,すごく悩んで自殺までいっちゃうんだけど,教室の仲間には,ごく普通のかわいいお友達でしかなく,とにかく生きて一緒に卒業したかった。あんなに歌が上手で,変な芸もできて,そうか,「ミュージカル女優になりたい」なんて言えないし,両親の理解もないし,うつ病になっちゃったかな。悲劇だよね。
『リボン』は,谷賢一演出だし,もっとも教室短編集の核になる作品でしょう。女子校生の間で,お互いが,お互い一番理解したい,されたい,そういう世界があること。そのことを,普通の大人=観客に,「あなたたち自身で,表現し,伝えてみて!」といったものでしょうね。これが,たぶん一番,深い世界で,現代演劇的で,劇団14歳らしい,難しい部分ではないかな,と思いました。
満足度★★★★
♦&♠ 観劇
14歳の微妙な年齢での教室内での出来事!演出家の違いもいいアクセントになっていました。ただ、どちらも感情の起伏が激しすぎたようにも感じました。劇団名に1限目ということは、1年間、成長を見守る的なことなのでしょうか!?今後の動向が気になりました。
満足度★★★★
ダイヤ&スペード観劇
泣いたと思ったら怒って、次の瞬間には笑ってて、本当に忙しいな~14歳女子達は。1作30分位の短い物語で14歳ならではの等身大の葛藤が描かれていました。作品を通して感情を一貫させるためには、テクニックや魅せ方を丁寧に伝えて物語を立ち上げないとならず、演出の力がとても大事だなと思いました。僕自身は割と物語至上主義なのですが、演出が変わると同じ14歳でもこんなに見え方が違うのかという新鮮な印象でした。
今の14歳って、何も考えてないように見えて、「見られてる自分を知ってる感じ」というか、「日常的に空気を読んで生きてる感じ」というか。サバイブして生きてる分、たくましいと思う。自分が中学生の時分、女子は何考えてるかわからないのにキラキラしてて近より難い存在だった。15年以上経った現在でも、その感触はそのまま。わかんない存在、だから面白い。
「♢」も良かったけれど、DCP目当てで行ったので、「♠」見れて良かったなと思いました。喋ってない時の役者の隙もなく、その表情は一瞬一瞬がとても生々しく、怒ってるんだけど笑うとか笑ってるんだけど悲しいみたいなダブルバインドな動きと台詞にゾクゾクさせられる。
満足度★★★
考えさせられる
酷評も然りですが、評価からの想像より自然なやり取りも見受けられ成長している感じもしました。
役者さん達は若くて経験も多くはないのだから、役作りの細かいところやイメージなど、手間が掛かっても基礎からもっと時間を用いるべきではなかったかと思います。
方針も見に来るお客さんの雰囲気も、色々斬新でした。所属事務所は知っているところ多いです。キャスティング、内容、値段諸々、誰の為に芝居をするのか。これは本作品に限らずあらゆることに言えますが、それを意識し考える面でも勉強になりました。
満足度★★★★
次いでクローバー・ハート組(+総論)
ダイヤ・スぺード組と同様、1編目がキャピキャピ系(←私見)で2編目はじっくり、な組み合わせ。
チームクローバー(三浦演出)は4編中一番コミカルなこともあり、スピードやリズム感を持たせようとしたのだろうが、早口の台詞はともかく「間」がないのでせわしないどころか薄っぺらに感じてしまう。
また、吉本新喜劇風を狙ったようなコケも思い切りが悪く「みんな揃って倒れただけ」のようだし…。
とはいえ劇中のメンバー紹介に重ねた各人の挨拶はイイ感じ。
続くチームハート(中村演出)は4編中最もシリアス。
クラスメートを喪った哀しみを1年間に亘って(←これも他と比べて異色)描き、迎えるラストの切なさよ。
なお、こちらも各人それぞれを印象付ける演出があり感心。
総じて言えば、4編それぞれに色合いが異なり(良くも悪くも)特徴的なので観た甲斐はあり、2編ずつの組み合わせや上演順、誰がどれを演出するかなどの「内幕」はどうだったか?を想像すると楽しい。
それにつけてもこういう企画ならセット券か半券割引が欲しい。
満足度★★★★
まずはダイヤ・スベード組
まさに「14歳のリアル」? 1編目(チームダイヤ:佐々木演出)は内容にいたく共感するも台詞のテンポが速く(イマの中3生の会話なのかとは思うが)聞き取りにくいのが難点。
対して2編目(チームスぺード:谷演出)は、いかにも女子校な内容をじっくり見せて好感を持つ。
満足度★★★★
♦♠
事前に「観てきた!」を見ていて不安を覚えながら観に行ってきましたが,いやいや良かったですよ。確かに役者としてのスキルは不足しており,学園祭?って見られても仕方ないけど,14歳という幼く揺れ動く心情,自分たちが既に忘れてしまった(まぁ,思い出して戻りたくもないけど)感情や不安定さが溢れており,感じ入るものがありました。作演出の見事さですね。私はこれも立派な演劇であり,こういう舞台は大好きです。
満足度★★★
♦と♠見ました
「山に登る♦」と「リボン♠」を見ました。
ともに教室内ですべて進行し、中学生の友人どうしの共感コミュニケーションにふとしたところで亀裂のようなものが現れ、それが激情の発露につながり、、、という筋も共通していました。いたたまれない空気、いらいらした感情がよく伝わってきて、教室を舞台にするってよくあるけど空間を共有する演劇に向いた素材なのかなと思いつつ、いずれにせよ丁寧な作劇と演技力がないと伝わらないと思うので、そういう点でよい作品だったと思いました。
「山に登る♦」は学校行事の準備をめぐる話で、結構はげしいつかみ合いの場面があって、子どもっぽいケンカでも大人っぽいケンカでもない、14歳くらいのケンカという感じがよく出てて見事でした。一部セリフが聞き取りにくかったけど。「リボン♠」はまずタイトルバックがかっこよくて、テンポよく進む中でキャラが完全に立っててかなり圧倒された。
どちらも泣きわめいたり大声出したりする展開があって、その演技自体は胸を打つものがあったんですけど、中学生って教室でこんなやりあわないだろという気もしてやや白けるような感想も。そういうのがなくても「14歳」的なテーマを演じられる力量はありそうに感じたので、今後は激情のない演出の作品も見てみたいなと思いました。あと、企画自体が女優育成なのかもしれないけど、そもそもなんで男子がいないのかと。
満足度★★★★
バジリコⒻバジオ & DULL-COLOREDPOP 演出作品
強烈な御評価か続いていて・・・「その御評価、ごもっとも!」なんだけど、とりあえず他の2本も観ておこうと、グニャグニャで脂ベチャな吉野家のうな丼を食べてから、シアターグリーンへ。
まずは、バジリコⒻバジオの佐々木充郭さん演出の『山に登る』。
内容は、題名のまんま「中学生が遠足で山に登る、までの話」。
演技レベルは、『チェリーボンボン』『春の日』より、ワンランク上(ただし、前2本は初日に観たので、公平な比較ではないだろうけど。てか、公平でないことを願うけど)。
脚本もそれなりにイイ。「大泣き」のタイミング・必然性もイイな、と。
ラストの大演説は、14歳の幼さ・輝き、そして自立の芽生えをヒシと感じたなあ。とても良かった。
DULL-COLORED POP谷賢一さん演出の『リボン』。
この作品が、4作品では一番好き。
内容は、「中2の夏休みに仲良しグループでどこに遊びに行くか?」ってだけ・・・のように思われて、途中でガラっと様相が変わって・・・ボクのようなD.T.感度バリバリの中年の胸がキュンキュンする展開となるんだよねー。
坪田さん、ズルイよ(笑)
「どこに行くか?」の会議(?)も、ベタといやぁベタなんだけど、楽しいです。
思わず「富士急ハイランドにしようぜっ!」って言いたくなっちゃったもん(笑)
演技のレベルも、4グループで一番良かった(もちろん、現時点で)。
キャッキャキャッキャの騒ぎ方も、きちんと演技されてたし。
「騒ぐのはいっつも教室でやってるから、いつもの通りで」って感じでやると、観てらんないくらいにわざとらしくなっちゃうのに、きちんと演技をして「騒ぐ」と「おー!中学高の頃の女子ってこんなんだったよなー」と素直に受け入れられる・・・演技するってオモシロイナ。
セックスん時の「声」も同じようなものなのかもな!笑
日曜日まで公演は続くとのこと。
『山に登る』『リボン』のステージで、甘酸っぱくなっちまうのも、梅雨の過ごし方として悪くないと思います(笑)
満足度★★★★
ダイヤ&スペード
ダイヤは「山に登る」をテーマにした作品。シナリオの良さに、ストイックな演技が効果的に組み合わされていて、驚いた。演出の技量も高いのだろう。特に、少女たちのべシャリの無い時の表情には、大人には出せない真剣さがあって好感を持った。
スペードでは、女子同士の憧れ・疑似恋愛をタイトルの「りぼん」やボタンなどの授受で象徴し、女子校ならではの微妙な心理の綾を描いていたが、こちらは、ダイヤほどの完成度は感じなかった。然し、ストーリーの運びなどに関してはちゃんと落とし所も拵えてあり、一定の成功を収めているといえよう。
満足度★
高校演劇
脚本がひどい。大人が言わせたいせりふを可愛い子達が拙い芝居で見せる。
どうしたら、この芝居で3500円がとれるのか!
三浦さん演出だから見てみたけど、本当に演出したの?
満足度★★★★
ロロ主宰&JACROW代表 演出作品
え~。
縁ありまして、ロリロリチラシを一目して「こりゃ観ねーな」な芝居を観ることに。
間違いなく自分の娘くらいの「女優の卵さん」の芝居を最前列で(座席指定なの 泣)。
小・中・高校生に将棋囲碁を教えてるからか、ほとんど保護者感覚。
ハラハラドキドキ・・・でも目は優しい、みたいな。
こりゃモノホンの「お父ちゃん」だね。ヤバいよね。
まずは、ロロ主宰三浦直之さん演出の『チェリーボンボン』。
本当に、学芸会・文化祭を観ているような。
ただただ可愛いんだ、これが。
秋元伊織さん。
もうヤバいくらいにイイ!
剛力彩芽と志田未来を、足して「0.7」で割ったくらい可愛いんだよなあ。
リズム感をさらに磨けば、良い女優さんになると思うなあ。
『チェリーボンボン』という作品については、ものすごく公演を重ねれば良くなるだろうな、って感じ。
やっぱ、ロ字ックのお姉さま方の女子学生っぷりには完敗だよね。
でも、かわいい。
次いでJACROW代表中村暢明さん演出の『春の日』。
まず冒頭が、すっごくイイんだよなあ。
坪井文さんの脚本と中村さんの演出、どちらの作業かは知る由もないんだけど・・・「14歳」という年齢を、そして女優さんたちをうまく表現・紹介してるんだよねぇ。。。
照明の使い方、セリフの言わせ方・・・演出がとっても良かった。
話の内容・演技のレベルともに、今のところは、こっちが上。
飯田杏実さんの「この子は、舞台で光るな」って雰囲気がイイ。
水谷彩咲さん。ピュアって言葉が陳腐なくらい透きとおってる美人。
6人の女優さん、皆さん良かったと思います(ま、手放しで褒めてるわけじゃないんだけど)。
話も、ベタっぽい感じなんだけど、それだけじゃないような。
ラストの言葉、これはしみる。
女優の卵たちを青田刈り感覚で観るもよし。
中学生時代の生意気さ&もろさを懐かしみ、恥ずかしがるもよし。
ただただ可愛い女の子を観るもよし。
こういう公演もたまにはよろしいのではないでしょうか。。。
「その瞬間だけに放つ輝きを、彼女達自身は知らない。 その瞬間は二度と戻らない。」という説明文の文章。もし、この世代の子たちとの触れ合いがない方は、この文章を胸に観ると、いつも観ている芝居とはちょっと違う視線で観劇できるのではないでしょうか。