ロング・アゴー 公演情報 ロング・アゴー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.9
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★

    メタとマジとの狭間に
    とても奇妙な手触りの舞台だった。
    それは意図されているものと受け止めた。

    ネタバレBOX

    何か未知のものに冒され、ほとんど死滅してしまった村から、「何かの使命があって生きの残ったのではないのか」という思いに駆られて、長い間交流のなかった隣の村へ行く男を主人公としたストーリーだった。

    予想のつかない災難と、それは自分のせいかもしれないと思う。
    そして、なぜ自分だけが生き残ってしまったのかという想いと、そのことは、つまり「自分には何か役割があるのではないか」ということへの帰結、そうしたものが物語の根幹をなしている。
    さらに主人公のいつも聞こえる「異音」と見えてしまう「幻覚」、そして「(悪)夢」がある。
    そんなストーリーの中に、モロ、今様なテーマが垣間見える。

    しかし、妙に芝居がかった芝居がされている。
    特に、老人たちの設定の4人が。
    「おらたちが」とか「わしらが・・・じゃよ」という台詞回しに、やや腰を曲げたスタイル。
    ババと呼ばれる未来が見える女の、とにかくいつも片膝立てて座る様など。
    さらに、彼らが中心となって、腰が砕けるような、独特のセンスのユーモアを見せてくる。「笑ってください」という感じにはあえて作っていないようだ。

    それに対するように主人公と境界線を守る女戦士とその妹たちは、やけにマジなのだ。
    そして、台詞ごとのいちいちのポーズが、マジっぽくて、やや臭い。

    これって、(大変失礼なたとえかもしれないが)深夜ドラマでやっていた『勇者ヨシヒコと魔王の城』の構造に似ているかもしれない、と思い当たった。
    (もちろん、深夜ドラマのほうにはこの舞台で示そうとしている「テーマ」みたいなものは感じられなかったのだから、その点は大いに異なるのだが)

    ゆるさとメタと。

    そう気がついてからは、そういう「見方」をしようと思った。

    しかし、その「メタ」的な何かを孕んだストーリーは、もうひとつ「面白さ」に転がっていかない。
    それは、「お芝居をやっている」ということを強く意識させてしまう「メタ的」な部分が「面白さ」として響いてこないからではないだろうか。

    音楽の使い方もなんとなく「お芝居のBGMです」的で、舞台上の感情がモロなのが、延々流れる。これも「お芝居感」をさらに煽る。

    つまり、この舞台自体が「芝居」なので、その中での「お芝居」が、どこまでマジなのか、メタを意識しているのかが、観客に伝わりにくいということがあるのではないだろうか。
    特に、私のようにこの劇団を初めて観る者にとっては。

    先に挙げた深夜ドラマのほうは、RPGを下敷きにしてあるので、その「メタ感」は伝わりやすく、「ああ、このチープさはワザとなんだな」と認識しやすかったのだ。

    しかし、こちらはそこへ観客をきちんとガイドしていないのではないのか、と思ったのだ。
    つまり、そうした「意図」を見せるような演出が必要だったのではないだろうか。
    もちろん「説明」ではなく、面白くして、大多数の観客に伝わるように。

    そういう意味では、例えば、長老が白い付け髭や杖を持つといった小道具を使い、さらに「いかにも老人を演じてます」という様子を見せながら、それをひっくり返すような演出があれば、よかったのではと思う。

    しかし、そういう構造の中に、死体の山を作り上げるというエピソードは、不気味さがなかなか効いていたと思う。
    この「死体」とは何を意味しているのか、と考えればまた違った景色が見えてこよう。

    しかし、そこまで考えようと思わせないのは、このエピソードの位置づけと、全体とのバランスがあまりよくないからだ。

    また、女戦士と巫女が黒白の衣装で姉妹で、互いを気遣っているとか、そんな、いかにもありそうな関係も、そこはメタなのかマジなのかが判然とせず、村の若者たちの位置づけも、面白要素を加えたことで、わかりにくくなってしまっているのではないか。

    特に主人公の人柄がわかりにくく、さらに「異音」との関係も、もっときちんと観客に示すべきではなかったのだろうか。
    彼にしか聞こえない(のちに巫女も)異音は、彼らに何をもたらしたのかが、くっきりしてくると、全体の方向性も見えてきたのではないだろうか。

    何かによって死んでいく者たちが最後に踊るようにもがく様と、異音、そして、死体の山と、主人公の「使命感」それがうまくリンクしていきつつ、それらがメタとゆるさの中にある、そんな感じで、なおかつそれが観客に伝われば面白くなったのではないか、と思ったのだ。

    ……と、ここまで書いてきたが、実のところ、延々とまったく的外れなことを書いているかもしれないのだけど、という危惧もあるのだ。

    で、この劇団、実は今後も結構期待している。
  • 近くて遠くて
    近くにいても遠くに感じる時があって、また遠くに居ても近くに感じられる場合もある。自分にとって、今回の観劇はどちらかといえば前者であり、それは自分と題材との距離感からか、(完成品としての)作品との距離感からなのか。

    初めて観る作品(団体)は、その作り手の脳髄を覗き込むようなスリリングな体験でもあり、そういう意味で観れて良かった。

  • 満足度★★★

    そりゃそうだろう
    当たり前過ぎる、たわいもない話でした。

    ネタバレBOX

    ウイルスだか放射能だか、病気に冒されて死んでいく村の話。

    耐性のある人は生き残り、脱出せずにその地に留まった人たちは死んでいくという、内容的には全く面白みのない話でした。

    東北と南西に別れて交流を絶っているという前提も、朝鮮半島?、福島原発の影響を考えての東日本と西日本?、何を象徴しているのかいないのか、意味不明でした。

    死人を積んで塔を造る、死人を見つけることに使命感を見い出す人たちは不気味で存在感がありました。

    ダンスは良かったです。
  • 満足度★★★★

    コレでもかっ!
    前回の「新・芸術とは?」に続いた今回、セリフガたくさん、ダンスもたくさん。そんで、駄洒落や、ちょろっと下系のネタがちりばめられ、「コレでもかっ!」っていう感じ。意欲は良く伝わった・・。

    ネタバレBOX

     島の中で敵対しあって生きている。片方の住民がセキが出て全滅。残された若者が、敵対しあう、もう一方に住民に知らせようとするがなかなか受け入れられない。そんな筋道だけど、農民が死体を積んで神様に頼みにいくとか、もうひとつの住民の村の番人と女神が兄弟だとか、みんなで逃げりゃいいのに、殺しあうとか、「何で、こうなってるの」とよくわからない。大きな筋はなんとなくわかった。でも、そこにいたる必然性が私には理解が難しい。

    でも、ダンスとか身のこなしとかはすごく楽しめた。病気の苦しみとかすごかった。

    植物の肥料は窒素、リン酸、カリが必要だ。大きく育てようといきなり堆肥を入れようとするが、それでは失敗する。
    なぜか?有機質肥料の堆肥などは窒素、リン酸、カリにまで、分子が分解されてなければ、植物は吸収できずに栄養にする事はできずに枯れてしまう。

     今回は、コレでもか、とセリフやダンス、いいだろうと堆肥を目一杯突っ込んだみたいだ。でも、自分の理解力では分解して自分の養分として消化しきれなかった。
     一人一人の技量や工夫は伝わるけど、物語りとしては理解できない部分があってしんどかった。でも、INGらしいのか、やる気や意欲は良く伝わった。

    あと、朝10:00はいいね。終わって花見をした。今日は天気もよく桜がきれいだったよ。

  • 満足度★★★

    ダンス
    アクロバットな動きやダンスに魅了されました。
    下ネタは必要だったのかなと思いました。

  • 満足度★★

    インプログレス
    軸がしっかりしていない感じ。説明が多い、笑いが作品になじんでいない、不自然でぎこちない。終盤は水を得た魚のように舞台が生き生きとしていたので、得意分野に軸足を置いてほしい。

  • 満足度★★★★

    シチュエイション
     内容を取り違えるととんでも無い話になってしまうだろうが、冒頭シーンを見るだけで、この作品が扱っている主題は明らかだ。唯、問題は、現在も進行形であり、収束の兆しすら見えないので、このような形にしたのだ。
     ダンスにも、また、ゾンビか幽霊のような動きにも、ねじ曲がった指にも、滅びた村から、緊急を知らせに走る若者の聞く蠅の羽音のような音にも、地名にも、何もかもが、現在、この国で進行している破滅的な情況を表していた。
     ダジャレや下ネタに、必然性が無いのは、問題だが、ダンスや動きそのものには、大きな意味があった。前回のジャンヌ・ダルクより、随分、進歩した。その点を評価したい。

  • 満足度

    全く魅力が感じられず
    ファンタジー系のロールプレイングゲームかアニメのような世界観の作品でした。決して演劇を舐めていたり、手を抜いたりしているわけではないのが伝わって来たので、悪く書くのは気が引けるのですが、脚本、演出、演技、スタッフワークのどの要素もレベルが低く、かなりの研鑽が必要だと思いました。

    敵対する村の片方の人々が原因不明の病でほぼ全滅し、生き残った男が相手の村の長老に会いに行く物語で、ヒーロー、ヒロイン、老人、道化といったキャラクターがあまりにも典型的な演技で表現されるので、劇中劇として子供向け演劇のパロディを演じているのかと思い、どのように異なる階層の話に移行するのかを期待していたのですが、最後まで同じ調子で拍子抜けしました。

    役者の大半は基礎がなっていなくて、型に頼った表面的な発声・台詞回しになっていて、伝わって来るものがありませんでした。ダンス的な身体表現もポップス歌手のバックダンサーみたいな動きで、物語との関連性が感じられず異物感がありました。

    下ネタや駄洒落がかなり多い台詞も滑ってばかりで残念でした。何かと「変態」という単語を多用するのも必然性が感じられず、小学生が面白がって連発しているみたいに見えました。前半で台詞やシーンのループが何回かあって思わせぶりだったのに、後半で活かされていなくて勿体なかったです。

    上演時間の8割程度の間、テクノ系を中心とした音楽が流れていて、脚本や演技ではなく音楽に頼って雰囲気を盛り上げていたように感じられたのも残念でした。

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