実演鑑賞
満足度★★★★
初日をSTスポットにて観劇。
プロジェクトの中でも前作『theirs』は「男性の背負っている加害性」、今回の『ours』は「女性の背負っている加害性」を一つのテーマとしていますが、私が勝手に思い込んでいたイメージとは全然違う演劇で、そのことに多くの気づきや内省を得ました。
男女二元論、そして、「男女二元論が生み出してしまう加害性」は私の中にも確かに存在する。その事と向き合う観劇でもあった。俳優さんのリレー書簡からも。一人ひとりの眼差し、答えを一つとせず、いくつもの選択肢や可能性を"みんなで考える"シリーズだと改めて痛感しました。
男性、女性、そして全ての人が背負っている加害性を考える本プロジェクトにおいて、おそらく私は、一人の女性としてだけでなく、2人の子どもを育児する親としての視点も持ちながら見つめざるをえないと考えていますし、その必要を感じています。
実演鑑賞
満足度★★★
1作目とほぼ同じ内容ですが、女性が演じると、いわゆる暴力性とか攻撃性とか薄れて、かなりマイルドに感じます。相変わらず平行線のままの会話が続いて、交わりません。作者の意図の理解までは遠いです。3作目まで行くと分かりますかね。
実演鑑賞
満足度★★★
第一印象は何を伝えたいのか といったテーマや世界観の暈け 解り難さが手強い。かと言って見巧者向けとも違うような。自分の感性が問われるような感じがする。なお トリガーアラートは、それほど気にならなかった。
説明では、男女二元論が生み出している「加害性」について考える1年間のプロジェクトで、リクリエーションを重ねながら三つの上演作品を発表する。本「OURS」は その二作目、女性(役者は全員女優)も背負っている加害性を表面化し加害性を生み出している社会構造を描くとある。にもかかわらず、劇中で「僕は」「俺は」等 性別に関係なく自分を表していると説明。男女は対立する存在なのか、それを意識させるものが分からないため、肝心の加害性が浮き彫りにならない。現代的に言えばジェンダー論を紐解く内容だろうか。
受付でネタバレに係る紙が用意されているが、読むのは 観劇前でも後でも関係ないように思える。それは 物語をどのように観せ伝えるかに苦慮した末のヒントのようなもの。二つのレイヤーを錯綜させ、物語を敢えて曖昧にさせているように思えた。つまり登場する人物に担わせた役割ー個性の ぶつかり合い と 何をしているのかといった作業を見せている。その二つのレイヤーは、スクラップ&ビルドといったことを連想させる。
何より 戸惑うのが舞台美術。タイトルにあるファジーという浮遊感あるものだが、同時に<死>といった重みを感じる。劇団の特徴として、異なる視点を持つ人間同士の対立や堂々巡りのフラストレーションをうず高く積み上げることで、ストレスフルだが、ワンダフルな作品を生み出すとあるが…う~ん。
(上演時間1時間20分)