猛獣のくちづけ 公演情報 猛獣のくちづけ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-8件 / 8件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/02/27 (火) 14:00

    人間が突然ワニになってしまうという異常な事態の中、自分がワニにならないよう、また、知人と共にワニになった者を人間に戻そうと奔走する主人公……なハナシ。
    事前に目にした感想の大半で語られていたように確かに「シュール」ではあるがむしろ寓話として「ワニになるとはどういうことか?」「人間であり続けるとはどういうことか?」を問い、「人としての在り方」というか「人生の愉しみ方」を示唆しているのではあるまいか?
    なお、観ながら黒沢監督「回路」(2001年)を想起し、終演後に山本主宰に問うてみたらご存知ないそうで、やはり似た発想をするクリエイターはいるのだなぁ、と思ったりも。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/02/27 (火) 14:00

    座席1階

    自分の周囲の人がワニになってしまう。どうしたら、ワニにならずにすむか。あるいはワニになった人を人間に戻せるのか。単純な肉体労働に就く派遣労働者たちの微妙な人間関係をベースに、人間として生きるということはどんなことなのかを客席に問う。今日は千秋楽。俳優たちの熱演が最高潮に盛り上がる場面を目撃する。文句なしに面白い舞台だ。

    2018年に仙台でのフェスティバルで上演した短編をベースに作り直したという。
    面白いのは、登場人物たちの人間関係。宅急便を安アパートにいつも配達してくれる女性に「世間話をする友だちになってほしい」と叫ぶほど、日々の人間関係が薄い主人公。ペヤングのソース焼きそばを本当に食べながらの演技は、とてもリアルだ。単純労働の作業や舞台転換をビールケースの移動、積み上げを通して描いていくのは演出の勝利と行っていい。
    演出といえば、OFF-OFFシアターの上手にある柱をうまく利用して回転ドアのように登場人物の出入りさせているのは特筆すべき工夫。また、渡良瀬川に充満していくワニたちのうごめきを音響と照明で見せたのもおもしろかった。
    何よりも、「ワニになる」という不条理を目の前にした人間関係の変化が秀逸だ。ワニになってしまった上司に「もう上司じゃないんで」とため口をきいたり、ワニになるのは寂しい人間だといううわさを信じて「友だちになって」と同僚に頼み込んだり。その同僚の対応も変化に富んでいて、あきることはない。ワニになりたくないのは当たり前のことだと思っていたら、実際にワニになった同僚が「これ、楽なんだなあ」とまったりする場面も。そうしたことから、人間として生きるということは人間関係の構築が大変で面倒だという示唆が浮かび上がるが、実はそれこそが人間として生きる意味なのではないかと思わせたり。100分のシュールな舞台はメリハリが利いていて、あっという間に過ぎてしまう。

    余談だが、タイトルにある「くちづけ」はこの物語のキーワードだが、実際に役者の口から発せられた言葉はキスでなく「接吻」だったのには笑ってしまった。

    開演前に作・演出の山本タカが激しい音や光が出るシーンに注意を促すため実際にやってみるという前説がいい。大音響や激しい光の点滅はいきなり出てきてびくっとさせられることが多いが、この人は客席に優しい配慮ができる人だ。また、来場者にもれなくその日限りの珈琲チケットが配られた。シモキタで舞台を振り返るいい機会になったと思われる。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、自分好み。
    舞台は渡良瀬川近郊の街、派遣労働者として働く男の 不思議な出来事を通して、世の不条理を浮き彫りにするような物語。
    男の周りの人がワニになっていく中、孤独にならないよう友達作りを始めたが…。ワニがどんな比喩をしているのかハッキリしないが、世の中の不安・不穏といった雰囲気が漂う。それがコロナ禍の閉塞感・不寛容といった状況に重なるような気がする。
    (上演時間1時間40分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、冒頭 色違いの収穫コンテナが半円を描くよう、不規則に積み上げられている。真ん中にも1つ置かれ、主人公 大貫の部屋のテーブルを表している。その上には 漫画本・TVリモコン、そしてカップ焼きそばを頬張る姿が、一人暮らしの中年男の侘しさを醸し出す。

    仕事は荷運びの単純労働、ロボットでも出来るようなもの、と自虐的な台詞。承認欲求と連帯意識といった自己と他者ー人間の根底にある<思い>を描く。演出は、コンテナの配置や積み上げ方を変え、場所や状況を巧みに現す。またワニは、ミニ縫いぐるみや全身 グリーンの衣裳を着ることによって、周り(世の中)の危機的な状況を暗示する。ただ、その滑稽な姿や仕草によって深刻さを緩和するよう。

    親や近しい人も含め、多くの人がワニに変身していく。その様子がコロナ感染拡大、その危機的な状況を想起させる。頑張らねば、そんな励ます 又は 煽るような音楽が聞こえる、その幻聴・妄想が人を追い詰める。同時に 周りの状況の緊張・緊迫が社会(世間)の不寛容を増長させているかのよう。八方塞がりの中で人と人が繋がることによって、微かな希望が…。
    人間が抱える感情や 社会の課題・問題を、サイエンス・フィクション風(間接説的)にして描き出す。その現実感と演劇の虚構性がうまく融合した好公演。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    面白かったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     解釈次第で様々に読み取れる舞台。華4つ☆

    ネタバレBOX


     板上は下手中段から上手中段迄ビール用ラックサイズの色違いも混ざったコンテナが積み重ねられた状態で置かれているのが見える。所々スペースが設けられていることから通路が確保されているのだと類推できる。
     舞台美術の意味する処は場面、場面で当然変化してゆくが、物語の展開する場所は渡良瀬川流域の一地方であり、川が運河として利用されこの地域が栄えていた頃にはこのエリアは物流の拠点として倉庫が多く建てられ今も残っている。こんな設定である。オープニングの状態はそれらの倉庫の1つの内部であり、場面が変われば主人公・大貫(ボッチの腰痛中年派遣従業員)のアパートにもなれば、渡良瀬川河川敷にも、変身した元人間たちの一時収容所にもなる。舞台美術の表現すべきコンセプトが大幅に異なる為、コンテナの色を何時、何処にどのように配置するかで倉庫内作業を演じつつ次の場面のレイアウト変更をする為に段取りは随分考えられ素材として色違いのコンテナを用い抽象化することが選ばれている訳だ。
     その分、人間から訳も良く分からない原因で実は鰐に変身してしまう状況を生きる登場人物或いは元人間で今は鰐、又は既に鰐の登場者たちが、入れ小細工になりつつその意味する処を追求せざるを得ない、という事件当事者と未だ変身はしていないものの変身するかも知れないという未知に対する戦きに苛まれている人々、変身途上の人物たちの心理や、そのような不安を通して原因追求が為されてゆく中で必然的に我々人間が構築してきたキチンとしたシステムであるはず、或いはそうであるべきシステム自体への疑義が濃厚になってゆき、遂には変身し鰐になってしまった元人間たちや、変身途上に或る者たちとが未だ人間である者(たち)と協同してその解を得たと信じる理由に逢着する。その解とは? それは観て自分で見出して欲しい。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    土曜夜アフタートークまで拝見しました。不思議な話なのですが面白かったです。内容としてはシュールで重い話だと思うのですが、なんだか不思議と悲壮感が出ないのはなぜなんだろうですね。
    世の中がどうなっちゃうのかは気になりましたね。不思議な時間楽しかったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    シュールな話なのだけど、すごく身につまされますね。いろんな意味でググっと惹きつけられます。しかしながら、主宰は観客にえらく親切だなー。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    話は説明通りです

    で なかなかに
    話のインパクトと演者さんの熱量に圧倒されて
    眠気も出なかった100分の作品
    不条理SF系となるかしら
    結構自分的には気に入りました

    もとは仙台演劇祭での
    40分の短編だったものに
    今回は追加をしてアフタートークまで付けての
    出血大サービスな作品と
    あいなっておりました

    ネタバレBOX

    前作は人が象になる話だったそうで
    そうゆーのが好きなのかしら
    さて
    B級映画の新アリゲーター 新種襲来に近いかなぁと
    思ってたら
    カフカの変身みたいな感じだったかなー
    コメディな感じはニャイトオブリビングキャットみたいだったわ

    なんでヒトがワニ化するのかは
    明確にはわかんなかった感じですが
    タイトル回収してのヒト戻りで
    とりあえず作品は幕になります
    渡瀬川にワニは溢れてる状態ですー

    リアルに飲み食いして
    底辺な派遣労働者の生活環境が
    なかなか精神にキますわね

    舞台セットはビールケースさん
    みたいな箱をたくさん積んで運んでの
    切り替えで
    アウタートークによると
    舞台上の照明が透過できる網目状のサイドが
    気に入っての購入だったそうです
    千秋楽後の処理はどうしようか迷ってるそうですが
    無料持ち帰りOKなら
    自分欲しいかも・・とかは思ったっす

    チケット購入者には
    お近くのコーヒー店での
    コーヒー一杯無料券が付いてて
    観劇後にあわただしく去るのではなく
    演劇の余韻をカフェで味わって欲しいとの
    配慮だそうです=よいですね=

    身体が冷たくなってる違和感とか
    毛布からニュッと緑の手が出るシーンは
    真正のホラーでしたが
    模型のかわいいワニをもって出てくる
    黒子仕様の変身後のワニとの会話は
    なかなかコメディで面白かった
    あと
    緑のスエット上下での
    ワニとするのも
    独特の間のある
    その時の会話シーンも
    なかなかのものでした

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