猛獣のくちづけ 公演情報 くちびるの会「猛獣のくちづけ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     解釈次第で様々に読み取れる舞台。華4つ☆

    ネタバレBOX


     板上は下手中段から上手中段迄ビール用ラックサイズの色違いも混ざったコンテナが積み重ねられた状態で置かれているのが見える。所々スペースが設けられていることから通路が確保されているのだと類推できる。
     舞台美術の意味する処は場面、場面で当然変化してゆくが、物語の展開する場所は渡良瀬川流域の一地方であり、川が運河として利用されこの地域が栄えていた頃にはこのエリアは物流の拠点として倉庫が多く建てられ今も残っている。こんな設定である。オープニングの状態はそれらの倉庫の1つの内部であり、場面が変われば主人公・大貫(ボッチの腰痛中年派遣従業員)のアパートにもなれば、渡良瀬川河川敷にも、変身した元人間たちの一時収容所にもなる。舞台美術の表現すべきコンセプトが大幅に異なる為、コンテナの色を何時、何処にどのように配置するかで倉庫内作業を演じつつ次の場面のレイアウト変更をする為に段取りは随分考えられ素材として色違いのコンテナを用い抽象化することが選ばれている訳だ。
     その分、人間から訳も良く分からない原因で実は鰐に変身してしまう状況を生きる登場人物或いは元人間で今は鰐、又は既に鰐の登場者たちが、入れ小細工になりつつその意味する処を追求せざるを得ない、という事件当事者と未だ変身はしていないものの変身するかも知れないという未知に対する戦きに苛まれている人々、変身途上の人物たちの心理や、そのような不安を通して原因追求が為されてゆく中で必然的に我々人間が構築してきたキチンとしたシステムであるはず、或いはそうであるべきシステム自体への疑義が濃厚になってゆき、遂には変身し鰐になってしまった元人間たちや、変身途上に或る者たちとが未だ人間である者(たち)と協同してその解を得たと信じる理由に逢着する。その解とは? それは観て自分で見出して欲しい。

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    2024/02/25 18:46

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