満足度★★★★★
あまり難しく考えすぎないほうが
良いように思います。
自分は、昔から映画が好きなので、
ケンブリッジから出ている
「The films of Roberto Rossellini」(Peter Bondanella著)を読んでいて、
今回も行く前にその本のあちこちに付箋を付けて観に行きました(苦笑
ロッセリーニはネオリアリズモの作品のイメージとは対照的に、
金持ちの子息で
魅力的でハンサムであり、
映画監督としてよりかはプレイボーイとして運命づけられ
飛行機とレーシングカーが大好きで、
たぶん女優目当てで映画界に飛び込んだ、
というような、今回の舞台そのままの人物であったようです。
それこそ自分がこの劇を見る前に行った明日館の朗読会で、
関東大震災から衝撃的な早さで立ち上がった
築地小劇場のシーンとはすべてが対照的。
そのこともまた、この作品が
芸術の揺籃期のひとつのシーンについての
想像力を膨らませた風刺であり批判でもあったように
自分に強く感じられた原因のひとつであったかもしれません。
自分はもう少し先の本やロッセリーニ、あるいはファシズムや戦争、
あるいは後に続くヌーベル・ヴァーグについて考えてみたいと思います。
そうするきっかけになるだけの力が、
あの舞台から湧き出るイメージにはあるように感じます。
観客一人ひとりのそうした考え始めの一歩を、
ポレシュは与えたかったのではないかと思います。
満足度★★
全く分からない作品だった
しかし、これほどまでに理解不能な作品はそうそうお目にかかれないなと思いました。台詞が分かるには、現代思想やドイツ史についての深い理解が必要。資本主義の矛盾を皮肉っているみたいだけれど、それが全面に出てきているわけではない。また、映画「ドイツ零年」も観たけれど、なぜあえてこの映画なのかも不明でした。他の方のレビューを見る限りでは、色々と想像を膨らませる余地はあるみたいですが・・・。
満足度★★★
理解出来ないもどかしさ
政治的、思想的用語を多用してまくし立てられる会話と、複数の車が走り回る屋外ならではのスペクタルシーンが印象的な作品でした。知識不足のため表面的な部分しか理解出来ず、奥が読めたらもっと素晴らしく感じるだろうという雰囲気に満ちていました。
だだっ広い空き地に客席用のテント小屋、映像と字幕を映し出すスクリーン、移動ステージ車が設置され、その中を役者や車が動き回るダイナミックな空間の使い方が面白かったです。
役者達をカメラとマイクを携えた撮影クルーが追い掛け、ライブ映像をスクリーンに投影するという多層的な構成になっていて、中盤辺りからは車の向こう側やキャンピングカーの中など、客席から見えない場所のシーンが多くなり、同じ時間・空間にいるのにスクリーンに投影されたライブ映像を通じてしか見ることの出来ない状況がアイロニカルで興味深かったです。
政治経済や映画には疎いので引用の出典がほとんど理解は出来なかったのですが、おそらく作者も観客に全ての台詞を理解してもらおうとは思っていなくて、過剰に飛び交う情報の中にいる人々のやりようのなさを描いているように感じました。
話される膨大な台詞の量に対して字幕の文字数が少なく、かなり情報量が削られていて、複数人が話すシーンではどの台詞が誰のものか分からず、また主に演技をするエリアとスクリーンが離れていて役者を見ながら字幕を読むことが出来ず、ドイツ語が解ればなあと、もどかしく感じました。
映像を左右や上下で分割して映し出し、物がワープしているようなトリッキーなギャグ的要素を入れたり、映画の撮影シーンでは父親役を演じる女優がコントみたいな馬鹿馬鹿しいやりとりを繰り広げたりと、意外に笑いの要素が多い作品でした。
最初の方で女優がこんな所で生声で台詞を話していたら声帯が潰れるという旨をわめくシーンがあるのですが、丁度その時に上空をヘリコプターが通過して台詞が聞こえないという、狙ったかの様なハプニングがあって、笑えました。
満足度★★
過去、現在、そして…未来は?
前もってロッセリーニ「戦争三部作」から材を取った、と断られていますが
むしろ内容的にはドイツ演劇特有の「過去との対立」「資本主義」「見えない
未来」が、過去になされた議論を下敷きに展開されている印象を持ちました。
したがってドイツ史(特にナチス時代~東西分断~現在まで)について
知らないと、何を言っているのか、何が、誰が風刺されているのか、
よく分からないところがありますね。
満足度★★★★★
ゲルマン魂が炸裂!!
ダイナミックな舞台装置に、豊洲の夜景を堪能するだけでも一見の価値あり。個人的には、これは理想主義に陶酔してる田舎者たちの遠吠えなんだろうなぁっていう見方をしていたら、だんだん可笑しくなってきちゃって笑いをこらえるのにたいへんだった。日本と同じ敗戦国ってのもあるのかな。めっちゃ親近感沸いたよ、ドイツ。