東京ノート 公演情報 東京ノート」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.8
1-10件 / 10件中
  • 満足度★★★★★

    広大な空間に浮かぶ人間と人間の関係性
    とにかく圧倒されました。観劇している間、これほど緊張を強いられる舞台は初めてでした。平田オリザさんの芝居を見たのはこれが初めてだったのですが、演劇というものが、決められた時間に決められた出し物を見せるといった枠組みを超えた、日常と繋がった空間であるということを思い知らされました。素晴らしかったです!

  • みた
    ネタバレとかあらすじを書くという行為を無効化する作品。
    起承転結じゃなく、起、承、起、承みたいな。

    遠い国で何百何千と人が殺されることより、目前のひとつの愛の消滅の方がよほど重かったりする。と解釈した。

    過ぎていく時間が気持ちよくて、思わず舟を漕いだ最前列。
    それもまた贅沢。

  • 満足度★★★★★

    よく作りこまれた、美しい芝居でした
    紛れもない名作。今回は新国立劇場メインホールの大階段を背景に据え、客席から見ると舞台奥がせりあがっていく構え。この大階段を青年団の役者がゆらゆら歩くのですが、これが美しかった。天界を天上人が散策するみたい。舞台の視覚的な美しさと、そしてもうひとつは芝居のアンサンブルの美しさ。静かな海を思わせる破綻のない流れるような芝居が続く中に、ふと挿入される破れ目。そこから生きることの意味を見出そうともがく登場人物の葛藤が垣間見えました。これぞ演劇。

  • 満足度★★★★

    日中韓版鑑賞
    何度も再演されている有名な作品ですが、やっと今回観ることが出来ました。

    音楽や照明の演出もなく、役者の発声も日常の会話みたいで、さらに別々の会話が同時進行していたりで、芝居を観ているというより、その物語の現場に実際に立ち会っている様な気分でした。

    特に事件もなく、淡々と会話(あるいは沈黙)が続いて行くだけの
    なのですが、最後まで全然飽きるところがありませんでした。

    新国立劇場の奥行きのあるエントランスホールを使っての公演で、遥か遠くから役者がゆっくりと近づいてくる美しさは、他の会場では味わえないものだと思います。

    オリジナル版ではどうなっているのかわかりませんが、中国と韓国の役者が出演していたことが、良い効果を生んでいたと思います。

  • 満足度★★★★★

    【青年団版】鑑賞
    新国立劇場中ホールが美術館の一角へと演出され、美術館特有の
    静謐な空間がそこに自然に現れたように感じました。 

    時折後ろで聞こえる足音さえも不自然に思えないほど、舞台と
    それ以外の空間の境界が溶け合って一つになったように。
    私には思えました。

    この劇の一番最初、「マヨネーズ腐らせて~」の件、ピンター「帰郷」の
    出だしの台詞「ハサミは~」を何故か思い出した。 

    そういえば、設定も、何もかも違うけど両者そんなに遠くないように感じる。 日常にある、得体の知れないモノ、を客に感じさせる、みたいな。

    ネタバレBOX

    静謐な空間で話されるのは、何気ない呟きのように儚く、次の瞬間には
    霧散し忘れ去られるような言葉の数々。 

    でも。

    その中に時折微かな「違和感」が混じっていく。
    それはひたひたと忍び寄る戦争の影だったり、終焉を迎えそうな夫婦の
    姿だったり、未だに清算されることのない慕情だったり。

    その「違和」は透明に広がる水の中にほんの一滴落とされたインクの様に
    最初は目立たず、でも時間が経つにつれて表面を徐々に浸食していく。

    ただの普通の、何も起こらない美術館での一日のはずが。
    そこでほんのわずか同じ空間を共にする人間達それぞれが、
    言葉には表れない思いを抱えて生きていることが、徹底的に
    選び抜かれた言葉、恐ろしく緻密に計算された構成でもって
    時折鋭く私たちの心のひだを抉ってくる。

    必ずしも「強い言葉」が核心を突くとは限らない。
    一見、他の言葉と一緒に聞き流してしまうような微かな言葉にだって
    衝撃を与えるものがたくさんある。

    それに気がつくと、この「静かな演劇」の代表作がどこか不気味で
    スリリングで緊迫した雰囲気の中、一瞬も台詞を聞き逃せず、
    役者の動作一つもうっかり見逃せないような、恐ろしく重厚な作品となって
    私の前にあるような、そんな気がしてならなかったです。
  • 演劇的装置
    この「東京ノート」という演劇的な装置を発明したコト、それだけでも平田オリザという人は演劇史に名を残す資格を持っている。

  • 満足度★★★★

    東京ノート・日中韓3カ国語版
    新国立劇場エントランスから中劇場へ向かう大階段がランドスケープに。日中韓3カ国語が発せられることで、世界の中のアジアが見えるようでした。特設劇場は公演期間中にバラし・建て込みもしているようです。またとない機会だと思います。音響機材がミラクルな仕事をしているようで、セリフが聴こえないなどの心配もありません。

    ネタバレBOX

    夫に浮気を告白された妻とその義理の姉が向き合う最後の場面は、いつも胸にぐっと来ます。美術館を舞台にしたこの作品で、客席に座る観客も「見ること」「見られること」の両方を体験し考えることができるように思います。
    通行人を含め、出演者の多い芝居です。贅沢。
  • 満足度★★★★★

    【日中韓3カ国語版】面白かったなぁ
    会場である新国立劇場中ホール前の階段がうまく使われていた。
    日中韓3カ国語版のほうには、それに伴う、ちょっした工夫や変化があった。
    この機会を逃したらもうないだろうし。

    約2時間、字幕あり。

    ネタバレBOX

    ヨーロッパでは戦争が泥沼のようになっており、日本にもその陰が届いてきそうな頃の、アジアからの観光客が多くなるであろう、近未来の東京にある美術館ロビーでの話。

    物語は、美術館のロビーで交わされる、日常の夫婦だったり、恋人だったりの、会話。
    しかし、時代の不安は、一見普通の生活をしている人々の胸にも、なんとなく陰を落としているようだ。それは、夫婦間の揉め事の芽であったとしても、そんな感じを受けた。
    時代の空気は、確実に伝染するというところか。
    また、戦争は、会話の端々に姿をちらつかせる。
    不安定になりがちな、夫婦や恋人たちの関係にも。

    今回の、韓国と中国の俳優さんに、それぞれの言葉で会話させるという試みは成功だったと思う。

    アジアの観光客が増えつつある現代から、やや未来の話なので、その状況が、またリアルな印象を放つ。
    ヨーロッパから避難してきた西洋名画が日本の美術館に集まって、展示されるとすれば、当然アジア近隣諸国からも見に来るであろうし。
    その設定によって、少しだけ台詞が変わったりしていて、また、外国の人との絡みの部分の変化なども楽しめた。

    一見何気ない会話だが、その積み重ねで、いろんな人々のいろんな想いが浮かんでくるのは素晴らしいと思う。
    それぞれの背景まで見えてくる。
    さらに、こちらの版では、登場人物が日本人だけでないことから、(世界観など)視点の広がりを感じることができるのだ。
    やはり名作だ。

    今回の会場は、新国立劇場の特設舞台ということで、中ホール前の階段部分を使ったので、セットでは出すことのできない、重量感や奥行き(階段がずっと後ろに続いている)、さらに声が響く様子まで、とてもよい効果を上げていた。
    したがって、階段の上から人が降りてきたり、という姿や音がとてもいいのだ。
    今回は、そのためのエキストラも配されていた。
    また、階段の途中や、ロビーの脇にオブジェを配するセンスも良かった。

    役者は、長女・由美を演じた松田弘子さんが、頑張り屋の長女という役割を果たしながら、そのため自分も哀しみのようなものを胸に秘めていつつも、好恵に接している演技がとても印象に残った。
    次男の妻・好恵を演じていた能島瑞穂さんは、壊れてしまいそうな危うい雰囲気を醸し出していてよかった(なんとなくこういう、耐える女性の役が多いような気がするが気のせいだろうか)。

    日本人女子大生を演じていたペ・ジンファさんは、時折日本語のイントネーションが違うので、韓国の人のままで、この物語に当てはめてもよかったような気がする(元家庭教師に対する気持ちを、無言で見せるところは、素晴らしいと思ったが)。

    また、中国人カップルには「夜間飛行」から「やかんか飛んでいる」というだじゃれのような台詞があるのだが、これって、日本語の台詞として成立していると思うのだが、中国語はどうなっていたのだろうと思った(字幕は「やかん」のままだったけど)。

    ラストの由美と好恵の、2人の泣き笑いのようなにらめっこは、最後の最後に、由美が好恵を、もっと見てやるぞ、という意志をみせて、手を双眼鏡のようにして見るというシーンがとてもよかったと思う。
    この展開には、場所がら暗転ができないという理由も、ひょっとしたらあったのかもしれないが、にらっめっこしながら終わるというよりも、もっと由美の気持ちが表れているようで、私は好きな終わり方だと思ったのだ。

    青年団版との見比べもしてみたかった。

    また、残念なことに空席がそれなりにあった。
    初めから単独チケットを販売したほうがよかったのではないだろうか。
  • 満足度★★★★★

    静謐で壮麗な交響詩のような
    日中韓三カ国版を見た。
    劇場構内が美術館に見立てられる。
    奥行きが深く、天井が高い、広大な劇場空間を実に効果的に使った演出だった。きっちりと構築されたセリフの重なりが美しいハーモニーを奏でる。
    素晴らしい舞台だった。

    平田オリザの代表作であり、彼が確立した現代口語演劇のスタイルで書かれた傑作戯曲が、理想的な空間のなかで再現され、その潜在的可能性が引き出されている。平田オリザ/青年団の芝居が好みでない人も一見の価値がある舞台だと私は思う。
    リアルな言葉のやりとり、繊細な演出の総体が壮大で奥深い象徴的な世界を描き出している。

  • 満足度★★★★★

    『青年団版』観ました
    よかったです。特設会場もうまく使ってました。

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