東京ノート 公演情報 BeSeTo演劇祭「東京ノート」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    【日中韓3カ国語版】面白かったなぁ
    会場である新国立劇場中ホール前の階段がうまく使われていた。
    日中韓3カ国語版のほうには、それに伴う、ちょっした工夫や変化があった。
    この機会を逃したらもうないだろうし。

    約2時間、字幕あり。

    ネタバレBOX

    ヨーロッパでは戦争が泥沼のようになっており、日本にもその陰が届いてきそうな頃の、アジアからの観光客が多くなるであろう、近未来の東京にある美術館ロビーでの話。

    物語は、美術館のロビーで交わされる、日常の夫婦だったり、恋人だったりの、会話。
    しかし、時代の不安は、一見普通の生活をしている人々の胸にも、なんとなく陰を落としているようだ。それは、夫婦間の揉め事の芽であったとしても、そんな感じを受けた。
    時代の空気は、確実に伝染するというところか。
    また、戦争は、会話の端々に姿をちらつかせる。
    不安定になりがちな、夫婦や恋人たちの関係にも。

    今回の、韓国と中国の俳優さんに、それぞれの言葉で会話させるという試みは成功だったと思う。

    アジアの観光客が増えつつある現代から、やや未来の話なので、その状況が、またリアルな印象を放つ。
    ヨーロッパから避難してきた西洋名画が日本の美術館に集まって、展示されるとすれば、当然アジア近隣諸国からも見に来るであろうし。
    その設定によって、少しだけ台詞が変わったりしていて、また、外国の人との絡みの部分の変化なども楽しめた。

    一見何気ない会話だが、その積み重ねで、いろんな人々のいろんな想いが浮かんでくるのは素晴らしいと思う。
    それぞれの背景まで見えてくる。
    さらに、こちらの版では、登場人物が日本人だけでないことから、(世界観など)視点の広がりを感じることができるのだ。
    やはり名作だ。

    今回の会場は、新国立劇場の特設舞台ということで、中ホール前の階段部分を使ったので、セットでは出すことのできない、重量感や奥行き(階段がずっと後ろに続いている)、さらに声が響く様子まで、とてもよい効果を上げていた。
    したがって、階段の上から人が降りてきたり、という姿や音がとてもいいのだ。
    今回は、そのためのエキストラも配されていた。
    また、階段の途中や、ロビーの脇にオブジェを配するセンスも良かった。

    役者は、長女・由美を演じた松田弘子さんが、頑張り屋の長女という役割を果たしながら、そのため自分も哀しみのようなものを胸に秘めていつつも、好恵に接している演技がとても印象に残った。
    次男の妻・好恵を演じていた能島瑞穂さんは、壊れてしまいそうな危うい雰囲気を醸し出していてよかった(なんとなくこういう、耐える女性の役が多いような気がするが気のせいだろうか)。

    日本人女子大生を演じていたペ・ジンファさんは、時折日本語のイントネーションが違うので、韓国の人のままで、この物語に当てはめてもよかったような気がする(元家庭教師に対する気持ちを、無言で見せるところは、素晴らしいと思ったが)。

    また、中国人カップルには「夜間飛行」から「やかんか飛んでいる」というだじゃれのような台詞があるのだが、これって、日本語の台詞として成立していると思うのだが、中国語はどうなっていたのだろうと思った(字幕は「やかん」のままだったけど)。

    ラストの由美と好恵の、2人の泣き笑いのようなにらめっこは、最後の最後に、由美が好恵を、もっと見てやるぞ、という意志をみせて、手を双眼鏡のようにして見るというシーンがとてもよかったと思う。
    この展開には、場所がら暗転ができないという理由も、ひょっとしたらあったのかもしれないが、にらっめっこしながら終わるというよりも、もっと由美の気持ちが表れているようで、私は好きな終わり方だと思ったのだ。

    青年団版との見比べもしてみたかった。

    また、残念なことに空席がそれなりにあった。
    初めから単独チケットを販売したほうがよかったのではないだろうか。

    0

    2010/07/07 06:09

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大