通りゃんせ 公演情報 通りゃんせ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★★

    やさしい気持ちになる
    日韓の役者が出演するので、セリフの言葉はどうなるのかな?と思いましたが、どちらかに決めるわけではなく、その場面に相応しい方の言語をセリフとしておりました。
    (ただ、韓国語のセリフ、必要な時は日本語字幕が映し出されてました)

    小刻みに変わっていく場面のテンポがなかなか心地よく、また役者のやり取りについても、韓国語のセリフの場面でもホントに普通の日常場面を見てるような雰囲気でした。面白かったです。
    時間があればもう一度観たいと思える舞台でした。

  • 満足度★★★

    肩の凝らない「異文化交流劇」
    とりあえず、雰囲気が良かった。
    「異文化交流」というと、結構「衝突」「相互理解」というところに
    スポットが当たりがちで、重くなり易いきらいがあるように思うけど
    凄くバランスの取り方が上手く、良い空気を保ちながらも
    伝えたいところはしっかり押さえられている。 

    この種のテーマのものでは良作品だと思います。

    ネタバレBOX

    最初、時間軸と場面、登場人物が交錯して誰が誰で
    どの場面なのか結構つかみづらかったです。
    慣れてきて話に入り込んでくると、あー、この
    キャラにはこういう背景があったのね、と腑に落ちる点もあったけど…。

    個人的には、話の本筋的にも星野さん他数人の人物は削った方が
    分り易さの点では良かったんじゃないかなー、と。

    印象に残ったのは。

    結婚相手の姉にバツイチに関わる事情を徹底追及され、苛立った
    長女がふと漏らした一言、「結婚、面倒くさい!」に、
    韓国人の旦那が、

    「あいつ面倒くさい」「仕事面倒くさい」「生きるの、面倒くさい」

    「面倒くさい、ってそういう言葉でしょ?」

    「五秒以内に謝って」

    「今なら忘れてあげるから。忘れるのが僕の特技だし」

    って向かって、謝らせたシーンかな。
    あそこに秘めた怒りを感じて、言葉がボディブローのように響いてきて。

    思うに「面倒くさい」って相手をやんわりと拒絶する冷たい言葉なんですよね。
    それでいて、自分は傷つかない、便利で「空気も読める」、けど厭らしい
    言葉だなぁ、って恥ずかしながら、あの場面で初めてハッと気付かされました。

    あと、気付かされたけど韓国語というのか、韓国人というのか。
    とにかく向こうの文化は、物事をあいまいにはさせておかない、と
    いうのもこの作品では巧みに描いていますね。

    唯一長女のお披露目式に参加しなかった長男と、その恋人なのか
    友達なのか良く分からないあいまいな立ち位置の娘との関係がまさにそう。

    娘の方は韓国語で直接的に愛の告白を投げかけるけど、当の
    言われている長男は曖昧な「えっと、何言ってんの」的な返ししか
    出来ない。 というか、しようとしない。

    この二組のカップルの、些細なやり取りに日本と韓国、双方の
    違いがさりげなく描かれていて、巧いな、とうならされました。

    ラストも含めて全体的には淡白でしたが、雰囲気は終始柔らかくて
    クスリとさせる場面もところどころで用意されてたりするのでお勧めです。

    余談。全面的に出張ってくる二人組の妖精的(?)存在の女二人のしぐさや
    表情がいちいちキュート過ぎる。 この劇のMVP。
  • 満足度★★★★

    楽しめました
    異文化コミュニケーションが題材なので、もっと込み入っていると思いきや、意外にすっきりとした話でした。現実にはこううまくいかないでしょうが、温かい芝居に2時間飽きずに楽しめました。

  • 満足度★★★★

    ほっこりとした気持ちになる
    日韓国際結婚の障壁を描くのかと思いきや、肉親や仲間の想う気持ちは国が違えど変わらず、な優しさあふれる内容にほっこりとした気持ちになる。
    また、人と人のつながりを表す大きな装置が上方にある以外はほとんど素とも言える舞台で、空港や列車内、走っているクルマの中などを音響・照明によって表現しながら関係者が各地から集まる過程を見せる前半と、祝宴での様子を見せる後半という構成も良く、登場人物たちには「見えない存在」でありながらストーリーに「干渉」する丈の短い浴衣姿の2人の「女」(座敷ぼっこ風?)の存在と使い方も面白い。
    さらに終演後のバックステージツアーでの装置、音響、照明の秘話も興味深く、満足度高し。

  • 満足度★★★

    少し綺麗事すぎませんか!?
    なぜか入り込めませんでした。上っ面だけを描いたような感じを受けました。

    ネタバレBOX

    両家の親は了解しているようですが、結婚はまだしていないんですよね?!キムの友人や姉夫婦を日本に招いたのに、両親を招かなかったのはなぜでしょう。キムの親の都合が悪かったのなら、まずは二人で韓国に行くべきではないですか。礼儀を重んじる韓国人に対してとても非礼なような気がします!!

    そして、キムの姉が将来親の面倒を誰が看るのかと言ったとき、キムは知美に通訳しませんでした。将来韓国に住むことになるかもしれないことを二人は真剣に話し合っていませんね、私にはそう感じられました。ちょっと変です。

    そして、何も回答をもらってないのに、パーティの席でキムの姉が宜しくお願いしますなどと言うのも流れからすると変!!

    単に日本人と韓国人が飲み食いして仲良くなったでは済まないでしょう。

    ところで、妖精のような少女二人が小道具を準備したり、はたまた恋の後押しをしたりと、素敵で効果的でした。
  • 凄く良い!
    日本人同士ならありふれている光景、韓国人同士でもそうだろう。
    でも、「日韓」という言葉が混ざると、ありふれることすらできなくなってしまう、もしくは多くの作家は過剰にしてしまう(しまいがち?)ように感じる題材を、
    美しさすら感じる物語の構成によって、「日韓」の「ありふれた」光景と感じさせてくれる、その劇作に感動をおぼえる。

    ず~~と観ていたい、と思える舞台に久し振りに出会いました。

  • 満足度★★★★

    幸福感溢れる舞台
    箱根の旅館での行われる日本人と韓国人のカップルの結婚パーティーを描いた作品でした。巧みな伏線とか予想外の展開がある脚本ではありませんが、暖かみのある演技と演出で和やかな時間を過ごせました。

    前半は場所や時間がめまぐるしく飛ぶのですが、説明的な演出が全くないのにどういう場面か分かりやすかったです。
    後半の宴会のシーンもその場に一緒に参加しているような雰囲気が上手く出ていたと思います。

    舞台上には天井から吊されたオブジェと円柱状の椅子が数個だけだったのですが、照明が素晴らしくて、それぞれのシーンが美しく立ち上がっていました。
    日韓の役者が大勢出演していましたが、個性が書き分けられていて無駄な役がなかったと思います。妖精みたいな存在の2人の女も良い効果をあげていたと思います。

  • 満足度★★★★

    縁(えにし)-演劇を通した日韓交流
    韓国語学校の韓国人男性教師と日本人の教え子女性が結婚することになり、箱根の温泉宿で親しい人たちを集めてパーティーを披く。登場人物が多いが、広い舞台を効果的に使い、立体感があった。
    観客も参加した気分で、心温まるひとときを過ごせた。

    ネタバレBOX

    開演前から舞台にいて、いろんなしぐさを見せている2人の少女(宮嶋美子/金恵玲)。子どものように短い着物を着ているが、しごきの結び方を工夫し、宮嶋は和服、金はチマチョゴリ風に見せている。何度か見ている女優・宮嶋だが、小柄なので、一見、本物の子役かと思い、宮嶋だと気づかなかった。劇が始まると、黒子役になったり、登場人物と会話したり、この2人の遣い方がとても面白い。
    物語が始まる前に、登場人物全員で「はないちもんめ」を始める演出がいい。会場となる箱根の温泉宿の主人・武田(平家和典)は新婦・知美(洪明花)のいる劇団の元劇団員で元カレ。宿の料理人の「鈴木さん(登場せず)」が体調を崩して急に来られなくなったので、女将の明子(高木直子)は対応に追われる。ピンチヒッターとしてアルバイト土屋(安木一之)の知り合いの自称「伝説のシェフ」星野(こちら役者名が鈴木義君 笑)が手伝いに来る。このシェフが怪しげで、化学調味料を平気で使うと言うので、鈴木さんの素材を生かした自然な料理に慣れた経営者夫婦は困惑する。
    知美が若い娘ではなく、離婚歴があることから、新郎キム・ソンホ(金世一)の姉ミョンヒ(金泰希)は快く結婚に賛成したわけではなさそうだ。姉が「最初の結婚はどうして失敗したのか」と知美に面と向かっていきなり理由を尋ねたため、気まずい雰囲気になる。「思ったことはすぐ口に出し、疑問点をうやむやにはしない」という韓国のお国柄が出て、新婦より新郎が腹を立てる。
    知美と同じ韓国語学校生徒で韓流ファンの香織(鈴木カンナ)は、新郎の友人で新郎の姉の夫と軍隊で一緒だったパク・ビョンホン(パク・ヨンホン)を見て、韓流スターとは似て似つかぬ容貌にガッカり。ハンサムなミョンヒの夫
    (ホ・ジョンギュ)のほうにモーションをかけてミョンヒがヤキモキする。いまの日本にはない徴兵制度での絆が3人の男の会話から浮かびあがる。
    もう一人の生徒・彩(久保明美)は、もうすぐソウルに帰るという韓国語学校教師ドンジュン(金成太)に好意を抱いており、ソウルでの再会を約す。劇団内恋愛禁止という劇団仲間たちの藤原(泉陽二)、小島(宍戸香那恵)楓(北見直子)の微妙な男女関係。子どもがなく、いまだに恋人気分の妹夫婦(古市裕貴・石本径代)。妻は夫のちょっとした行動にイライラするが、不妊治療にもう一度挑戦することを姉の知美に告げる。
    旅館の料理は好評で、鈴木さんの引退の意向を受け、武田は正式に星野に料理人になってくれるよう頼み、星野は快諾する。武田は親から受け継いだ旅館の建物が老朽化し、思うようにいかない経営に嫌気がさしていたが、改めて経営に本腰で取り組む決意を固める。
    このパーティーに参加していない知美の弟(中村祐樹)と恋人(生井みづき)の会話場面が挿入され、スパイスになっている。
    舞台中央奥に天井から吊るされた色とりどりの紐が結ばれた美しい舞台装置が、多くの人間の「縁(えにし)」を描いたこの芝居のシンボルにもなっている。最後に前方に出てくるような仕掛けがあるのかと思っていたらそれはなかった。


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