玉ノ井家のエンゲル係数(公演終了しました!) 公演情報 玉ノ井家のエンゲル係数(公演終了しました!)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★

    謎に引き込む女優2人の腕力
     会場は地下の小さなカフェで、舞台は小さなダイニングと併設されたキッチン。実際に料理をして食べるシーンもあります。東京、大阪、福岡の3都市を2人芝居でまわるカフェ・ツアーなんて、いいアイデアだと思いました。

     両親が死んでから7年間2人きりで生活してきた姉妹が、キューピー人形の姿をした“神様”に導かれて過去を回想していきます。登場人物は“美しい女(三坂恵美)と不細工な女(中村雪絵)”(←当日パンフレットではっきりと役名紹介。どちらが姉でどちらが妹かは明記なし)。片方が人間ではないかもしれないという意外な展開から、さらにそれをも覆す事実が現れます。

     チラシの第一印象からきっとコメディなのだろうと思っていたら、全くそうではなく・・・これは残念でした。でも、予想外の出来事が次々に起こって、目の前の人物が誰なのかがわからなくなり、小さな食卓に漂う空気がドラスティックに変わっていく感覚は、とても演劇的で面白かったです。
     女優さんも堂々とした演技を見せてくださいました。歌うシーンでは、お2人ともお腹からしっかり声が出ていてお上手でした。

     チケットが飛行機の切符のデザインになっており、開演前におしぼりを手渡しでもらったり。これからフライトをする気分を素敵に演出してくださいました。

    ネタバレBOX

     ※人物名はセリフから聞き取ったので、正確ではないかもしれません。ストーリーも誤読の可能性あり。

     最初はたしか、中村さんが姉で三坂さんが妹の演技をしていたように思います。神様と自称するキューピーが出てきたところから、中村さんは“人形がしゃべる夢”を見てるのだと自分に言い聞かせます。夢の中で三坂さんは人間ではなく、“父が隠し持っていたダッチワイフ”ということになっていました。でも本当は、殺された“姉”だったんですね。

     両親が事故であっけなく死んだ後、美しい姉(三坂)は仕事に出て、不細工な妹(中村)は美大に進みます。姉は四条畷アキラという作家の小説「裏庭」の熱狂的ファンなのですが、姉が四条畷氏のテープリライター(口述筆記をする人)になったと聞き、姉を刺し殺してしまいます。そして姉の名前をかたって姉に成り代わるのです。

     小説「裏庭」に若貴兄弟(?)のようなシャム双生児が登場し、片方が片方に吸収されてしまうエピソードがあると妹が語っていました。妹は吸収されることを恐れて、姉に殺意を抱いた可能性もあります。嫉妬に狂っただけではないことがうかがえました。

     5年前を思い出すシーンで、妹は肉をサランラップにくるんで冷蔵庫に入れていたのですが、あれは人間(姉)の肉だったんですね。だから舞台にあるテーブルの上の料理にも、もしかしたら姉の肉が入ってるのかもしれない・・・スプラッター・ホラー度が急にアップ(笑)。

     妹がビールで錠剤を山ほど飲み込む演技があったように記憶しています。つまりこの物語は、妹が死ぬ前に見た夢・・・だったのかしら。
     最後には、二人ばおりの体勢になり、姉が料理を手でつかんで妹にむりやり食べさせます。グロテスクで正視に耐えませんでした。迫真の演技だけで充分に汚なさも恐ろしさも伝わりますので、具象にするのはやりすぎな気がしました。小さな空間で客席とも至近距離ですしね。そういえば中村さんのメイクも“不細工”にしすぎの感あり。
  • 満足度★★★

    女優
    女二人、微妙なアンバランスさが、面白い取り合わせでした。
    底力のある女優っぷりが伝わってきました。

    ネタバレBOX

    カフェを上手く使い、包丁やら食べ物やらを使っていましたが、
    あまりに近い距離感に、少々演出過多も感じました。
    ただ場面ごとのつなぎや、工夫など、興味を感じた部分も多く、
    今後どういう作品を書かれるのか、その行方が気になります。
  • 満足度★★★★

    二人の女優魂を見た。
     私も前の人の意見と似ている。劇団名、タイトル、そして何より強烈なチラシのイメージ等から、とびきりのコメディを見せてくれる劇団だとかってに勘違いしていた。

     その先入観が抜けるまでに若干時間を要した。その先入観を除けば質の高い二人の姉妹の心理劇である。あたかも寺山修二の初期の作品を見ているような感じだった。実際に料理を作り、その料理を食べながら、夢の中と現実とが次から次へと交差し、物語は進行していく。

     幻想的な芝居だ。狭い空間をうまく生かし、女優二人だけで独特の世界を見事に作り上げた。 

    ネタバレBOX

     そこで繰り広げられたのは、シュールな心理劇。笑いはあるにはあるが、どちらかというとちょっとどす黒い、少し背筋の寒くなる笑いである。全体として、面白いというより真面目な幻想劇だと思った。初期の寺山修二に似た、独特の雰囲気の漂う芝居だった。

     事故で両親を亡くした姉妹の奇妙な共同生活。この二人の不思議な会話に何故かキューピーの人形がからんでくる。そういえば、キューピーとは天使のことだったのだと想い出す。神としてのキューピー人形と哀れな二人の姉妹の織りなす不思議な不思議な物語だ。

     そこでは夢か現実かわからない不思議な世界が繰り広げられる。登場人物も自分たちが何者か、そして、現在何が起こっているのかわからないのだ。それを探るように過去の日記を一頁ずつひもといて自分探しの旅をする。その当時のヒット曲と合わせて、自分の記憶をたどる旅に出る演出はとても面白かった。

     そうやって記憶をたどっていくと、だんだん色々なことがわかってくる。ただ、それが事実に近づいているのか、妄想が広がっていっているだけなのかは見ている方には判然としない。

     最後に冷蔵庫にあった肉は姉の肉ではないかと想像させるシーンがあり、そして、衝撃のラストシーンにつながる。殺され、食べられた姉が妹の体を乗っ取り、嫌がる妹にさらに食べさせようとするとても怖いシーンで物語が終わる。

     しかし、その食べる食べられる、そして無理矢理食べさせるという関係も、決して憎しみから出てきているわけではなく、愛情の裏返しなのだというところがこの芝居のポイント。

     最後の最後まで何が現実で何が夢なのか判然としなかったが、そういう幻想の中で、二人の女優魂と熱い気持ちはしっかりと感じられた。素敵な劇団である。
  • 満足度★★

    結果、ホラー。
    福岡からの交通費が26000円、場所代が96000円。客席は14席。こんなことを聞いちゃうと、酷評を書くには残酷だと思うが、忌憚なく書かせていただきます。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    病んでる妹は、背がすらっと高くて、とてもキレイな姉をいつも羨ましく思っていた。甲斐甲斐しく妹の面倒をみていた姉の行動を、「自分より不幸で辛い奴を見てると、自分が安心でしょ。安全でしょ。だから可愛そうな妹を面倒みてるんでしょ。」なんて妄想を抱き姉を殺して肉の塊にして冷蔵庫に保管して、毎日少しずつ、姉の肉を喰ってた!というホラー物語。

    舞台中にキューピーの声を神の声としてセリフを言わせるが、このセリフが聞きとり難い。終盤のホラーと思わせる展開までの演出がだらけて間延びしていて退屈してしまった。役者が歌を歌うシーンでは一緒に観客にも歌を歌わせようとするが、この時点でもちょっと興ざめ。
    舞台って観客もノリに乗ってる時はついつい、一緒に口ずさみたくなるんじゃないかなー?それまでの芝居次第だよね。

    姉の霊がずんぐりむっくりでブスの妹の口に無理に色んな食べ物を押し込める辺り、オゾマシイ。とは思ったものの、全体的にちょっと退屈な芝居だった。

このページのQRコードです。

拡大