公演情報
「マがあく」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★
「部屋」=領域をめぐる諍いを淡々とシュールに、ポップに描き出す不条理劇でした。
舞台は入浴中の男の部屋。「下見」と称してこの部屋に忍び込んだ女性と何も知らない女友達、不動産業者と客が鉢合わせし、権利を主張しあっているところに、大家も登場、さらに風呂上がりの男も交え、事態は混乱を極める。最終的には「部屋」自身が争いの幕引き役として乗り出してきて−−。
登場人物それぞれの主張に一貫性はそれほどなく「えっ!」となるような発言も淡々となされるため(それが笑いを誘うのですが)、今目の前で起こっている攻防戦がどういう状況にあるのか見失ってしまうこともありました。とはいえ筋やテーマでなく、目の前で展開する状況そのものを見せるという意味では、とても演劇的な試み、企みを持った作品だったと思います。「部屋」自身の声や目線の導入も、(ある種の「神」の存在のように)状況を俯瞰し、設定に立体感をもたらす役割を果たしていて、面白かったと思います。ドミノでつくられた部屋の境界線が、上演中ずっと、登場人物たちの身体との間に、えもいわれぬ緊張感を生み出していたのも、印象的でした。
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2022/03/30 (水)
部屋をめぐる「ちょっと、変」な不条理劇
ドミノが四方を囲んだ空間で、黄色いシャツを着た男が横になっている。どこからともなく人の声がする。「風呂が沸きました」。男はやおら起きあがり部屋の奥に姿を消す。客席後方から登場したスーツ姿の男は客席に向かい「ご来店ありがとうございます」と観劇上の注意を呼びかける。こうして『マがあく』は「ちょっと、変」な空気感を醸し出しながら幕を開ける。
実演鑑賞
この所初の劇団の観劇続き。シラカンは若手ユニットとして名のみ知っていたが今回STスポットで上演との事で足を伸ばした。舞踊や身体表現系、アート系を目にする事の多いSTスポットは白い四角いシンプルな空間が「実験場」に見える。初めて観るシラカンは照明変化も音楽も無い中で役者の身体と台詞が明るいフラットな明りに晒され、今思えばだが「部屋」をかたどる形で四角く配置された色とりどりのドミノも、役者の動く身体を際立たせる効果を狙ったもの、だったかも(私はこれが何時倒されるのかと待っていたが)。
自分の大括りなカテゴライズでは「味薄若手」の部類に属する。ある不条理が堂々と日常に入り込んでいるのだが、この日常性が「静かな演劇」のもので、劇中ヒートアップする場面があっても脱力の要素がある。「これ以上追求されず」「さしたる裏付け(人物の動機として)もない」と知れてしまう事で、あまり先を期待しなくなる自分がいる。語られる世界は彼らが日常目にしているだろう範囲を出ず、私には予想を爽快に裏切る展開はなく終わった。観終わった時はこの劇が順当に時間が流れるストーリーを見せたかったのか、(演劇の特権として)時間を歪める不条理性を狙ったのか、意図が判らないという感想を持ったが、両者は絡みつつも重心は後者にあり、ポイントは不条理の「扱い方」にある、と思えてきた。後述。
実演鑑賞
STスポットのお馴染みの白い立方体の空間。あるアパートの空室をめぐるお話です。床に並べられた小さなドミノによって、その部屋の輪郭が縁取られています。劇場のなかに箱庭があると言えばいいでしょうか。部屋の中が主な演技スペースなので、ドミノをひとつ倒すだけで総崩れになるかも…というスリリングな空気が持続しました。また、ドミノは子供の遊戯、崩壊の連鎖、脆弱な境界線、人間の創作物の儚さ、虚しさなどを想像させました。
登場するのは6人の若い男女です。残念ながら演技がおぼつかないのと、繰り出される会話がだいたい破綻しているため、一体何をやりたいのかな…と探り探り眺める時間がほとんどだったのですが、終盤に入って予想外の人物(?)が登場して状況が一変。全員野球のような総力戦状態になり集中できました。ロシアによる侵攻で始まったウクライナ戦争から約1か月の時期だったこともあり、空き室をめぐる争いを領土問題とも捉えられました。
上演時間は約1時間10分。当日パンフレットに配役と出演者名が載っていましたが、登場人物の名前をおぼえられなかったので誰が何の役なのかわからず…。配役にどういう人物なのかわかる簡単な説明が欲しかったですね。ネタバレを避けるのが難しいかもしれませんが。