実演鑑賞
この所初の劇団の観劇続き。シラカンは若手ユニットとして名のみ知っていたが今回STスポットで上演との事で足を伸ばした。舞踊や身体表現系、アート系を目にする事の多いSTスポットは白い四角いシンプルな空間が「実験場」に見える。初めて観るシラカンは照明変化も音楽も無い中で役者の身体と台詞が明るいフラットな明りに晒され、今思えばだが「部屋」をかたどる形で四角く配置された色とりどりのドミノも、役者の動く身体を際立たせる効果を狙ったもの、だったかも(私はこれが何時倒されるのかと待っていたが)。
自分の大括りなカテゴライズでは「味薄若手」の部類に属する。ある不条理が堂々と日常に入り込んでいるのだが、この日常性が「静かな演劇」のもので、劇中ヒートアップする場面があっても脱力の要素がある。「これ以上追求されず」「さしたる裏付け(人物の動機として)もない」と知れてしまう事で、あまり先を期待しなくなる自分がいる。語られる世界は彼らが日常目にしているだろう範囲を出ず、私には予想を爽快に裏切る展開はなく終わった。観終わった時はこの劇が順当に時間が流れるストーリーを見せたかったのか、(演劇の特権として)時間を歪める不条理性を狙ったのか、意図が判らないという感想を持ったが、両者は絡みつつも重心は後者にあり、ポイントは不条理の「扱い方」にある、と思えてきた。後述。