花のゆりかご、星の雨 公演情報 花のゆりかご、星の雨」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-20件 / 30件中
  • 満足度★★★★★

    この上なく温かく、優しい時間。
    こんなにも穏やかな優しい気分でお芝居を観たのは初めてです。終始笑顔で見てしまい、最後には涙。胸がとっても熱くなりました。4日前に同じルデコ4でMUを観ましたが、同じメタリックな内装で対極の芝居(しかも両方とも極上!)を観させていただき、人間の力・演劇の力は凄い、と感動させていただきました。観て良かったと心から思います。

    ネタバレBOX

    扇子を傘・トレー・工具など様々なものに見立てたり、瓶を叩いて雨音に聞かせたり、ギターやウクレレで擬音を鳴らしたり、オリジナルの歌や演奏を聞かせてくれたり、そして衣装に可愛らしい布でそれぞれポケットを縫い付けていたり・・・どれを取ってみても手作り感溢れる優しい演出で、観ていてとても癒されました。
    ストーリーも親子愛という普遍の物語で、自分の状況と重ね合わせてホロリとさせられたり、反省させられたり。
    普段は熱量の高いお芝居ばかり好んで観る私ですが、このお芝居のように、静かな波が幾重にも押し寄せてくるように心を揺さぶられるお芝居も素敵だなと思いました。

    観たいと思ったきっかけはアロッタファジャイナの客演にて圧倒的な存在感で魅せてくれた菅野貴夫さんですが、ホームでの演技もやっぱり素敵でした☆ナチュラルで、それでいて指先まで神経の通った、芯の強い演技。バリトンの歌声やギターの音色も聴けて、菅野さんの魅力を存分に堪能させていただきました。素敵な時間を本当にありがとうございました♪時間堂さんの次回作、楽しみにしています!
  • 満足度★★★★★

    満足でした。
    演出力において。ここまで繊細な演出を見せられては脱帽。
    脚本力において。広がりが浅い。
    役者力において。一人とてもよい女優がいた。

    以下ネタばれボックスへ

    ネタバレBOX

    演出。チームワーク、まとまりが良かった。演出家の力だと思う。なぜ扇子なのかと思ったが慣れてくると面白いし素敵な発想だと思えてくる。
    SEについての工夫も好き。布の使い方も良い。
    繊細であり大胆な演出家さん。すごい才能。


    反面、脚本に広がりがない。設定は面白いのだが脳髄を刺激するような台詞がこない。浅瀬で書いてる印象。もっと奥の奥に踏み込んでほしい。

    役者力。全員上手でした。特に妊婦の方。すごい才能とお見受けしました。

    総じて満足でした。

    また行きます。
  • 満足度★★★★★

    気分転換
    になった久々のお芝居でした。昔カフスボタンを集めていた時期がありまして、月に一度骨董屋に行くのがささやかな喜びになっていた私。今回の時間堂はそんな風景と重なる興味深いものでした。別の場所であれば木目調の家具でも置きたいところ。ですが会場は無機質なルデコであるからそれに合わせたんだと思います。
     扇子で小道具を表現するのは面白かった。これは何だ、次は何だ、と聞こえる音と共に楽しくわくわくしました。扇子に柄が入っていたようですが、無地の方が良かったように思います。時間堂なら黒では寂しく茶、濃紺、サーモンピンクなど合いそう。

     「月並み〜」の時も私は涙したのですが今回も同じく物語に入り込むと涙が出た。アンティーク品って夢にまで出てくるほど欲しい!って思えるものが年に一度か二度、あったりします。手に入れることは誰かの時間も所有する覚悟が必要で、手放すとなるとそれは相当な覚悟が要る。時間を手放す勇気。モノへの気持ちも身に染みました。母子物語に意識を持ったほうが作家は喜ぶのかしらと感じつつ、こっちに反応してしまいました。
     雨森さん。彼女が喋る前から彼女のオーラに鳥肌が立ち、ほわほわしてしまって何度かペンを落としそうになった。とにかく一人一人がいい役者なので演技でかなり接近してくるが不安にならない。手が触れてもこの人たちなら平気と思う。

     そして星野さんが祖母を演じるシーン。膝と膝を擦りつけてしずしず歩く様にチラシの和服が浮かびます。まさかアラーキーの撮る女のような色香が発せられるとは想像もしていなかったので驚きました。それがあって★五つに相成りました。全体的に教育テレビの科学の時間みたいで、私は好きですね。大人だって遊びたいから。

    追伸。少し寂しかったところだけいいですか。地方のことで一般的に「何もない」としてしまいがちですが、せめて時間堂だけでも例えば「たんぽぽでネックレスを作れる女の子が多いです」とか「鮎の塩辛を作る名物ばあちゃんがいます」とか、都心にはない「ある」を言って欲しかったかな。

  • 満足度★★★★★

    肌で感じるように伝わる物語
    空気の硬さ、やわらかさ
    心のかたくなさ、広がり、癒し

    全てをべたに表すのではなく
    大切なものを
    水彩で繊細に描いていく感じ

    空間に浸潤されるなかで
    肌で感じるように物語がしっかりと伝わってきました。

    ネタバレBOX

    前半の骨董屋さんでの顛末、
    役者達の演技からお店の雰囲気がヴィヴィドに浮かんできます。
    仕草、視線、音、扇子の動き、それぞれがしっかりと観客を捉えていきます。

    淡く確かな光景のなかで
    役者達の想いや熱が
    しなやかにくっきりと観客に伝わってくる。

    しかも明確であることが余韻を殺さないのです。

    たとえば古道具屋の手違いで他の人に渡ってしまった
    ソムリエナイフが戻るのを待つミキと対応する店員との空気が
    紅茶の香りのなかでゆっくりと変わっていくシーン。
    バイト店員を演じた星野菜穂子の滑らかなテンションに
    花合咲が演じるミキの心が少しずつほどけていくところがすごく良くて・・・。

    そのトーンが菅野貴夫と雨森スウが演じる古道具屋夫婦の空気と違和感なくマージしていきます。するとひとくせありそうな近くのレストランのシェフを演じる鈴木浩司が馴染む居場所がそこに生まれて・・・。5人の役者達の色がぼけることなくその空間でひとつの色をかもし出すから、後半の幹の旅に導かれる成り行きにも不思議と無理がないのです。

    ソムリエナイフの記憶。星野が演じるミキの祖母と雨森が演じる母親の確執。祖母が母親を思う心と母親がミキを守ろうとする気持ち、それぞれの想いがミキの視点を凌駕して生々しいほどに観客を包み込む。鈴木が演じる朴訥としたミキの父の想いも本当に秀逸。

    さらに戦後混乱期の菅野演じるミキの祖父の祖母との再開へと物語が導びかれて。凛とプライドに心を隠す祖母の姿。そんな祖母への祖父のまっすぐな愛。ソムリエナイフに刻まれた兎の由来が語られて・・・。

    まるで仕付けられるようにつながれた3つの時代、祖母ー母ー幹それぞれがもつ、どこか言葉足らずで片意地で、でも真摯に相手を思う気持ちのあたたかさが時代の重なりのなかで浮かんできます。

    母と重なる「臭覚」の才能だけでなく、その生き様や想いにミキと祖母や母の血のつながりを醸し出すところ、旨いなと思う。

    最後の歌の響きが、やわらかく心を揺らします。いくつもの旋律の美しい重なりに、満たされた不思議な気持ちが降りてきました。

    この作品、WIPも見せていただいて、そのときから役者の方から伝わってくる思いには心惹かれていたのですが、本番では個々からやってくるものに浸潤されるだけではなく、全体が醸し出すふくらみのようなものに圧倒されました。前半の空気がWIPのときより細やかになっていて、その分後半にソムリエナイフがミキの心に満たしたものが、より豊かに伝わってきたようにも思えて・・・。

    終演後、拍手をするとき、べたな言い方ですが、すごく優しい気持ちに満たされていました。

    公演の終わりにもう一度観にいこうと思います。
    すでに間違いなく魅力的な作品だけれど、さらなる色が感じられるような気がするのです。

  • 満足度★★★★★

    ストレート過ぎるくらいの想いにほろり。
    本当に素敵な空間。芝居を観に行ってこんなにもてなされてる感を味わえることはそうそうない。(椅子のすわり心地は悪いけど。)心からくつろぎたいと思いながらの開演。本当に素直にゆったりと空間に浸り、びっくりするくらい切なくもまっすぐなお話に心洗われました。

    外部での演出も多い黒澤さんなので、どのあたりで差別化していくのかも興味があったけど、劇団としての再出発にあたってのあり方、作風、見せ方、しっかり考え抜かれてこうした、という感じの信念を感じ、これなら追いかけて行こうと思いました。さらけ出してこうなんだよ、って言われて、こっちも開かなくちゃいけないようなどきどきと、そうしても大丈夫と思える安心感、両方を感じることができました。

    時間堂カフェがあるとは知らずに行ったのはちょっと失敗だったな。その気で行ったらもっと楽しめたのに。ビールやジュースだけじゃなく、お薦めワインや自家製梅酒、コーヒー紅茶まで揃っているのは素晴らしい。何度も観て毎度入り浸りたい雰囲気でした。

    ネタバレBOX

    私が母娘ものに弱いっていうのもありますが、後半の娘が母・祖母の人生を振り返るシーンには大河ドラマのようなロマンを感じました。前半とのバランスをどうとったのか、気になるところ。結構しっかり雰囲気を変えるので。私は前半が若干長く思えましたが。

    少人数の劇団員でまわしていたこともあり、現代の役と回想シーンの一人数役。そこも含めて俳優さんの魅力が形を変えて伝わりました。私は女優さんは回想シーンが、男優さんは現在のシーンがおもしろかったです。

    いろいろな道具を使った生音もよかった。ギャラリーならではの姿の消し方と音の使い方が。

    脚本としてはいろいろなところでの再演がみられたらおもしろそう。
  • 満足度★★★★★

    見てよかった
    演劇でよかったと、あらためて思わせる作品。オリジナル曲もしみいりますなぁ

  • 満足度★★★★★

    このクオリティ
    うーん、黒澤世莉である。すごい演出力だった。
    もちろん持ち道具の使い方、エピソードのつなぎ方、そして何よりも、ストーリーの「少女マンガ」風というところに、さまざまなご意見がでるだろうことは、想像にかたくない、とも。
    しかし、演出のバランスのよさ。演技の統括の見事さ。
    学ぶところは、多すぎて、これまたすばらしいと思う。
    スターシステムと真反対の極北にいる「クロサワ」をもっと、顕彰せねばいかんよ、みんな。
    今日はちょっとえらそうなものいいね。

  • 満足度★★★★★

    今年演劇を観て、はじめて泣きました
    肩肘張っているし、ぎこちないところも多々ある。ほんとに「深呼吸できる演劇」?いや、ただ単に無意識で息吸って吐いてというのではなく、「深」呼吸なのだから、それってやっぱ空気みたいな芝居とはちょっと違うのかしら?気持の深度というか、深い誠実さというか、うまいとかうまくないとか、そんなことどうでもよくなるなにかがそこにあったのかなあって気がする。結果、ボロ泣きですから。やられました。

    ネタバレBOX

    年代をさかのぼるごとに、言葉遣いも現代的なものから遠ざかっていくのだけれど、そのハードルの上がり方が功を奏しているのか、みるみる役者のからだがフィットしてゆく(ように見える)。戦後の焼け野原、あのタイミングでのプロポーズ。プロット、演技体ともに決してスマートではないのに、無理を承知でやりきってしまう愚直さに、リュウ夫人同様わたしの心も動かされる。えー無理っしょ(笑)でも、そこがいいの。飾っていない、一生懸命な菅野貴夫がほんとに素敵。

    久々に琴線にふれるお芝居を観ました。
  • 満足度★★★★★

    みた。
    観てよかった。時間堂が観れました。

  • 満足度★★★★★

    20090613
    ン、)ノ 素晴らしい。演じているのではなく生きているのに近いかんじ

  • 満足度★★★★

    優しい
    柔らかい。暖かい。

  • 満足度★★★★

    DNA
    DNA.モノにも歴史がある。ヒトにも歴史がある。そして今がある。

  • 満足度★★★★

    命と時とモノが危うくも繋がり、危うくも続く
    たぶん作者が言うところの「ふつう」の感じで、まったく無理なく舞台は進行する。
    無理なはずの内容も、「ふつう」に見えてしまう。
    そういうマジックが、やさしくやって来る。

    ネタバレBOX

    アンティークショップが舞台。取り置きの商品を女性が受け取りにくるのだが、手違いで別の人に売られてしまう。その商品(彫刻のあるソムリエナイフ)を巡る、母娘三代の途切れそうだった命の繋がり、親子の繋がりが、危うくも繋がっていく様子を丁寧に見せていく。

    たとえ血が繋がっていても、いったん途切れてしまえば、おしまいになってしまう。それを繋げていくには、タイミングとどちらからかの働きかけが必要なのだ。しかし、それはわかっていても実際にはなかなか動けない。特に肉親だからこそ。

    前半のアンティークショップでは、いろいろなエピソードが多く盛り込まれている。このままこんな感じで進むのかと思い始めた中盤から、ぐるっと話が展開する。

    なるほど、前半の日常をきちんと描いたというのは、この後半の、三世代を遡るという非日常的な内容を、あまり突拍子もないことに見せないためだったのか。
    実際、劇中でもスピリチュアルと言っていた展開だったのに、さほど違和感を感じなかった。
    ふつうと地続きの非日常。

    「ふつうの、すごい演劇」というのはこういうことなのか。

    それは、前半の日常を描いたことだけではなく、扇子をコップや傘に見立てたり、暖簾や、ショーケースや修理している椅子まで、実際のモノ自体を使っても問題なさそうなものまで、すべてモノがない状態で演じるという演出によることも大きくかかわっているのだろう。特に花柄や破けた黒い布の使い方とイメージのさせ方はいいな!
    こうした観客へのイメージの委ね方で、「ふつう」さは補強され、またさらに、観客としてはそれをしっかりと受け止めようと、より舞台に集中するという効果もあるのだろう。

    効果音と音楽は役者がその場で作るのだが、その音と、無音の舞台の中に響く、外の自動車や山手線の走行音は、劇中のアンティークショップがある、街中をイメージするようで逆に生きた効果音だったように思える。花屋のシーンでも同様。

    母と娘の確執は、具体的にはどんなものだったのかは示さないが、母親を「あの人」と呼んでいた娘が、母になり、その娘から、やはり「あの人」と呼ばれているのは哀しい。
    ただ、同性の親子であること(特に女性同士)による、ドロっとした関係みたいなものがなく、意外のさらっとしていたし、最後の納得も実にあっさりした印象だ。

    これは勝手な思い込みなのだが、女性の書き手が同じ内容を書けば、「母娘」の関係だけに、誰かの何かを犠牲にしても、痕が残るような何かがあったのではないかと思った。
    であれば、作者が自分目線で、つまり、息子と母親の愛憎目線で描いたら、まったく別の世界が拓けたような気がするのだが、そういう、一見、赤裸々な感じは作者自身の好みではないのだろうなぁとも思った。全体の雰囲気とも違ってきそうだし。

    客として店を訪れた女性は、自分の母や祖母の、途切れてしまいそうな縁や命が、危うくも繋がっていく大切な場面に立ち会う。そこにはいつも自分が取り戻したソムリエナイフがあった。しかしそれを見た女性が、自らはそれに頼らず自分のみで向かうという決意には力強さを感じた。

    ナイフという、モノを切り離す道具が、結果、人をつないだり、つなぎ止めるような場面の需要な要素となっているスパイスの効かせ方は、なるほどと思いつつも、よく考えると、劇中のソムリエナイフは、モノを切り離すというより、ワインを開けて、人が集うという意味もありそうなだけに、おしゃれすぎるかも(笑)。
    ソムリエナイフだから、ワインを開けてしまえば、飲まざるを得ない(前に進まざるを得ない)という状況になるということもかけているのだろうか。ていうか、考えすぎか。

    アンティークショップの主人とその妻の関係と、また命の繋がりがさらに続くといのも、とても好ましいと感じた。

    ラストの歌には、単純に思わず涙してしまいそうになった。

    ちなみに、劇中で飲まれる紅茶どんな味なのか気になったのだが、実際に劇場内で飲める。結構強烈な香りと味わい。300円也。
    前半は、紅茶の香り、後半は花の香りがするといいのにと、紅茶を飲みながら思った。ま、実際には無理だと思うけど。
  • 満足度★★★★

    すごく近いお芝居でした。
    初めての試みというパパママDAY。お子様がいたことでかえって和んだような気がしました。ヤバイ時は外に出るなど、気を遣っていただき、お母さん方があまり観る事ができなかったのでは?物を使っての表現方法、素晴らしかったです。ホントに暖かくなる舞台でした。

  • 満足度★★★★

    この雨は冷たくなく、このゆりかごは母のように優しい
    いつもは、効果音のある芝居はほんとに苦手だったりするのだけど、生音だと、丁寧に作られた舞台だとこんなに楽しいのねと、全身が喜ぶ♪ 
    それを含めて、今回の役者と演出家の作る濃密な空間は、ほんとに心地いいなあ~
    この方向なら、劇団化によって、どんどんよくなる予感も☆

    ネタバレBOX

    脚本的には、もっと隙がない緻密な感じか、あるいは理解できない部分が多いほうが好みなんだけど(モノの記憶を読み取るぐらいは全然すんなり)、そういう部分をどうこういう芝居ではない、か。
    途中、実際の舞台上にはない、紅茶や花の香りが漂ってきたのだから。
    あるいは、物語の主軸ではない、ちょっとした台詞や仕草に涙してしまったのだから。

    ただ、だからこそ、怒鳴ったりするシーンがなければなあ、なんてことはちょっと思ったりも。ここまで柔らかく優しい時間を作れたのなら、さらに追及して欲しかったような。

    ちなみに終演後、劇中に登場したラプサンスーチョン(正露丸の匂いのする紅茶)と赤ワイン(安いほうにハチミツを垂らして!)を飲めたのも満足感、高し♪
    さすがに、シャートー・オー・ブリオン’87(劇中と同様に売り値10万円)は頼めなかったけど、もし購入したら、リーデルの手作りのボルドー・グラスとかで飲めたりしたんでしょうか?(こちらはそんなに高くないけど)
    ワインのコンディションも含め、ちょっと気になるw
  • 満足度★★★★

    少数精鋭。
    とある骨董屋を舞台に綴られる、親から子への思い。

    ル・デコの殺風景な(言葉が悪ければ飾り気のない)空間によくあった、静かな、でも「濃い」空気が観てて心地良かったです。

    上手い役者が揃えばたった5人でこんな事が出来ちゃう。
    芝居ってすげぇ。

  • 満足度★★★★

    淡くひかる心、
    すばらしい空間でした。
    とても素敵な物語を観ることができました。

    ひとりひとり愛しく思えてしまうキャラクターで、
    役者さんもみなさんよかった。

    ネタバレBOX

    扇子、楽器を使っての表現がとても素晴らしかった。

    最後の合唱も、とても良かったと思います。
    オリジナルの歌、とても心に残りました。

    親子の絆って、すばらしいと改めて感じました。
    公演の後、母に会いたくなりました。



    記憶をたどり、場面が変わるときに使用していた布は雰囲気が変わって良かったと思いますが、柄はどうなんだろうな?と思いました。


    次回の公演も楽しみにしてします。
  • 満足度★★★★

    やさしい気持ち
    数年前に父を亡くしてから、家族ものに弱いのですが
    本作品はなんともやさしい気持ちにさせてくれる、
    いい作品、というか美しい作品でした。観てよかった。

    ラストは恥ずかしながら、目頭がきゅぅとしました。

    ネタバレBOX

    店長が「モノの記憶」を辿れるという能力、
    スピリチュアルってキーワードが伏線になってると云えばなってるんですが
    あまりの唐突なトーンの変化に一瞬「?」と、我にかえってしまいました。

    店長をそんな特殊人間にしなくても、「モノには記憶がある」と説くだけで
    ミキが勝手に記憶を辿る旅にでてもよかったかなあ、と。

    いあ、このくらいしないとメリハリがなくなってしまうか‥
    終演後、そんなことを考えながら。
  • 満足度★★★★

    泣けました
    チケットプレゼントで観ました。ありがとうございました。

    母と娘のつながりを主軸に置いていたり、(終演後まで)黒澤さんを女性と思い込んでいたこともあり、、女性的なやわらかさ、繊細さを感じる舞台でした。
    場内では飲み物なども売っており、手書きのメニューが配布され、そういった空間構築の肌ざわりにも、スタッフの方々の細やかさを感じました。
    PPTで少女漫画が好きだと語っていたのを聞き、そこらへんが納得できた思いです。
    舞台という見世物の面白さを堪能するには、うってつけの作品だと思います。

    ネタバレBOX


    時を旅する場面が終わり、骨董店に戻ってきたときに感じた違和感だけが、少し気になりました。
    かぶせていた布をそのままにしていたことの狙いが、うまくつかめませんでした。時代を超えた合唱への布石なのでしょうか。

    合唱は胸の奥に響く素晴らしいものでしたが、一方で、おばあさんの物語が終わった時点で幕を下ろしても余韻が深かったかなと感じました。
  • 満足度★★★★

    “深呼吸できる演劇”そのものを、もっと味わいたい
     プロデュース団体だった時間堂が劇団化して初めての公演です。時間堂堂主の黒澤世莉さんが5年ぶりに新作戯曲を発表することもあり、自ずと期待が高まっていました。出演者5人全員が劇団員であることからも、新生・時間堂のお披露目公演という位置づけになるのでしょう。

     舞台は、地味ではあるが品揃えは良い骨董品店。木彫り細工のソムリエナイフをめぐって、現代人の素朴な喜び、悲しみがふんわりと、でも鮮やかに描かれます。心温まるストーリーの口語劇でした。
     ギャラリーLE DECOの4階をほぼそのままに使い、主だった小道具はマイム(という表現がふさわしいかどうかは疑問ですが)で表現します。演技スペースは舞台前方。後方は登場しない役者の待機場所であると同時に、楽器の生演奏ブースでもあります。

     黒澤さんの演出作品といえば一番の見どころは、舞台上で自らが演じる役柄として伸び伸びと生きる俳優たちだと思います。今作でも、舞台上で相手役とコミュニケーションを取り、その場で感じたままを発露させる、心理的リアリズムの手法にのっとった素晴らしい演技を見せてくださいました。

     ただ、俳優指導者としての黒澤さんのご活躍や、過去の上質なストレート・プレイ(コロブチカ『proof』)を観たことがある者としては、マイムや生演奏に気を取られて、肝心の俳優同士の演技のぶつかり、調和、そこから生まれる劇空間のうねりを存分に味わえなかったのが残念。

     劇場内で飲み物やグッズが販売されていました。オリジナル・ドリンクも豊富で、私は劇中に登場した紅茶(正露丸の匂いがする・笑)をいただきました。美味しかったです。

    ネタバレBOX

     リストラされたミキ(花合咲)は、母が手術を受けると知って実家に帰ることにした。上京した時に母の骨董品を盗んで売り払ったため、せめて少しでも買い戻して、手土産にしようと思いつく。母が最も大事にしていたソムリエナイフを見つけ、取り置いてもらっていたのだが、骨董品屋の店長ら(菅野貴夫&星野奈穂子)の不手際で、近所のフレンチ・レストランのシェフ(鈴木浩司)の手に渡ってしまい…。

     “モノの記憶をたどること”を特技とする店長の誘導で、ソムリエナイフが経験した過去が劇中劇の形で表現されました。1つ目は、ミキの母(雨森スウ)が父(鈴木浩司)と駆け落ちし、2人で富山に開店した花屋に、祖母(星野奈穂子)が訪れるシーン。母と祖母の間に確執があったことがわかります。2つ目は終戦直後の焼け野原の東京で、娼婦となっていた祖母(星野奈穂子)と、戦場から帰還した祖父(菅野貴夫)が出会います。祖父は、祖父の兄つまり祖母の許婚が戦死したことを告げ、彼女にプロポーズするのです。
     どん底の悲しみと、それを乗り越えて得た幸せがソムリエナイフに刻まれているように感じ、それまでは誰かの噂話のようだった物語の中に、やっと入ることができました。

     オリジナル曲を全員で歌うエンディングは、物語の結末としては少々ハッピーが過ぎて冷静に眺めざるを得なかったものの、6人の混声合唱の美しさには聴きほれました。ミキがナイフをシェフに譲ることに決めた時の、花合さんの笑顔がとても良かったです。

     店長の妻役の雨森スウさんは実際に妊婦さんなんですね。雨森さんがトランペットを演奏された時は、なぜかドキドキしてお腹をじっと眺めてしまいました。妊婦がリアルに妊婦を演じているのって、実は凄いことなんじゃないでしょうか。

     終演後のトークのゲストは演劇ライターの徳永京子さん。「骨董店の店員キリコの存り方に、時間堂が目指す演劇が象徴されている」という鋭い指摘に、劇団員の皆さんは驚愕のご様子でした。
     扇子を使って物体を表現する演出は、落語から来ているとのこと。アイデアは面白いし、そのこと自体を楽しめたお客様もいらしたことと思います。俳優の心の演技によって物語を伝えて欲しかった私には、必要性が感じられませんでした。

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