満足度★★★★
ドキュメンタリー・資本論
これは面白かった!
「ドキュメンタリー演劇」なる手法も面白く、出てくる人間がまた魅力的。
資本論について、ドキュメンタリータッチで紐解く。メディアは演劇。といったところ。
資本論の解説ってわけではないけど考えさせられる内容で、というか、
今起きていることって全部「資本論」に書かれているんじゃないだろうか、
とまんまと思ってしまった。
すごい予言書だったんじゃないか?資本論。
満足度★
いぇーい資本論祭りだぜー
\4500円は痛いっすねー、うっ、字幕上に出るのな、上のほうの席行けばよかったー、からの。ドキュメンタリーの厚みというか歴史の厚みを差し引いて、資本論読まない人が資本論読まされるというコントみたいな状況のおかしさを差し引いて、職業役者じゃないからマイク使うし段取りとちるしでもへたうまって言うでしたっけ?あはははみたいなアットホームな心地よさを差し引いて、って何が残るかっていうと、えっとわかったこれはお祭りだったんだ。資本論祭りだ。もうなんか違うんだもん。終演後の拍手のニュアンスが明らかに違うしおかしいし。すごいすごーいみたいな。おつかれさーんみたいな。がんばってーみたいな。初めて資本論読めたしまあいっかーみたいな、だ! なんかぬるいぜ。そこで拍手する行為が含意する政治的態度というか政治的非態度が気にならないのかなあ。このポップさというかみんなのお祭り感の演出はとりあえずうまいと。しかし上手な啓蒙イベントたりえたか?演劇としては成立したか?あとの祭りとかいう悪い冗談か?なんか言い過ぎてる気がしてきたのでおしまい。フェスティバル/トーキョーはもっとチケット安くして欲しかったでーす、いぇーい!
満足度★★★★
1冊(?)の本に振り回される人達の話
劇中で配られる資本論の文庫3冊の質感がずしりと重い。持った瞬間、全部読む気が失せる人が大部分だと思うし、翻訳やダイジェスト版がマルクスの書いたことを厳密に伝えているのかということまで考えると、この本が得体のしれないものに見えてくる。
そんな得体の知れないものなのに、この作中に登場する人達も含めて資本論について多くの人達が語れるし、時には運命さえ左右されてしまう。そんな光景に遭遇すると何ともいえないシニカルさを感じてしまうと同時に、それに振り回される人達に愛おしささえ感じてしまいました。
目の悪い自分にとって字幕が少々読みにくかったことと、開演前の対応にやや問題があった分だけ☆1個分マイナスにしましたが、とても面白い作品だったと思います。
満足度★★★
良くも悪くも・・・
面白い大学の授業って感じでした。
頭は興奮してるけど、体まではその興奮が及ばない、というか。
遊び心は感じるんだけど、一緒に飛び跳ねたくはならない、というか。
面白いし、こういうこと考えちゃう人たちがいるってのは、とても素敵なんだけど。
あ、舞台美術は最高にかわいかったです。
満足度★★★
舞台美術がかっこいい。 ここでなら、誰でも15分は有名人になれる?
日本人キャストの大学教授と院生(市民活動家)の対比が興味深く、
大学教授による資本論の朗読にはマルクスへの「愛」が感じられる一方で、
院生のそれは、シュプレヒコールのように聞こえてしまった。
ウォーホルの「誰でも15分は有名人になれる」よろしく、
舞台に立てば、誰でも役者になれる?
しかし私には、大学教授のような専門知識も、院生のような熱い思いもない。
舞台にいるのが役者でなかったとしても、「選ばれた人」には違いなく、
院生の主張をウザいと感じる一方で、その信念を羨ましく思う自分もいる。
リミニ・プロトコルは、キャスティングのリサーチに時間をかけるらしいが、
そのアンテナに、私が引っかかることは、まず無い。
フィクションと現実が混じった不思議な空間が、境界線の存在を感じさせる不思議。
アマチュアリズムが通用する小劇場界においても、
プロとアマを分かる「決定的な何か」はあるような気がする。
満足度★★★★
『資本論』の実感。
演出家集団・リミニ・プロトコルが、『資本論』を再構成した。
何かを解釈する時に例示は有効で、彼らはそれを有効に利用する。
それも、実際の経験談を本人に語らせるという形で。
その人の経験談が『資本論』とクロスする瞬間がある。
つまり、『資本論』が実感される時だ。
そして、今の時代状況と『資本論』がクロスする。
1867年に刊行された書物が、2009年を説明する。
これ以上に滑稽で痛快なことなどない。
前方の席は、字幕が舞台の上部にあるため、少し観づらい。
後方の席の方が、役者と字幕が同時に観られる可能性が高いと思われる。
字幕を必要とする劇はどうしてもそういったジレンマがある。
かと言って、その人のヴォイスは大切だから、吹替えは望まない。
字幕で巧く見せる方法をどこまでも模索していただきたい。
1年に1度、リミニ・プロトコルが来日してくれることを切に願う。
これほど新作を楽しみにできる団体はなかなか無い。