満足度★★★★
1冊(?)の本に振り回される人達の話
劇中で配られる資本論の文庫3冊の質感がずしりと重い。持った瞬間、全部読む気が失せる人が大部分だと思うし、翻訳やダイジェスト版がマルクスの書いたことを厳密に伝えているのかということまで考えると、この本が得体のしれないものに見えてくる。
そんな得体の知れないものなのに、この作中に登場する人達も含めて資本論について多くの人達が語れるし、時には運命さえ左右されてしまう。そんな光景に遭遇すると何ともいえないシニカルさを感じてしまうと同時に、それに振り回される人達に愛おしささえ感じてしまいました。
目の悪い自分にとって字幕が少々読みにくかったことと、開演前の対応にやや問題があった分だけ☆1個分マイナスにしましたが、とても面白い作品だったと思います。