獣唄2021-改訂版 公演情報 獣唄2021-改訂版」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.6
1-11件 / 11件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    2021/6/3(木)。午前中はバタバタするもなんとか開演10分前にたどり着き、最後列の席に着く。角度があるので舞台もよく見える。なかなかに面白そうな舞台装置だ。

    日本の山里のプラントハンター:ハナト(花人?)の父と三姉妹が、戦前から戦中という時代と村社会、花卉事業(東亜花産業みたいな名前の会社)を営む社長一家との間で織り成す物語だ。

    予習はほとんどしない性質[たち]なので新鮮だった。

    舞台装置も立体的に使いこなしていて見立てによる場面展開もお見事!

    物語の設定は、昭和初期から昭和15年の「花禁止令」の頃の日本。

    九州の福岡あたりの「欄花産土神」が御座す架空の山里(地名を忘れたたがうんたら嶽の村)での数年間に起こる出来事は見ていても辛い。

    絶望のときに姿を現すという幻の花「獣唄」はどんな登場をするのだろうか?

    この劇はメッセージ性の強いファンタジーでもあり、今回復帰したらしいのだが客演で主役を務めた村井國夫も大したものである。

    ▼劇団 桟敷童子
    https://www.sajikidouji.com/blank-1?_fsi=AAg0Zvmh&_fsi=AAg0Zvmh

    https://www.facebook.com/sajikidouji/

    ▼獣唄
    https://natalie.mu/stage/news/425384

    #来福録 #享楽三昧

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    初演時に「悲劇ではあるが桟敷童子作品の中ではマイルド?」と思ったことを覚えていたが、終盤で「もしや受け取り方によっては悲劇性が強調されないか?」と気付き、しかし(忘れていた)ラストで「あ、それでそう思ったんだ」と納得。

    ネタバレBOX

    せっかく父娘の絆が回復したのに終盤で娘3人が次々に命を落とすのは哀切……ではあるが、最終場で死のうとした父が娘たちの幻影(?)により生き続けることを選択するのがもうたまらなくあたたかい。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    ずーと観たかった作品!震える舞台でした。迫力のあるセットと照明と出演者の熱。
    刺さるようなセリフが沢山ありました。大満足。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    獣唄を再演すると聞き、チケット発売日と同時にすぐに予約。
    錦糸町まで2時間くらいかかったが、それでも来たかいがあったなと
    思わせてくれる舞台でした。

    知人に今回の劇団桟敷童子の獣唄を観なければ後悔するぞと言われたが、
    本当にその通りでした。評判通りの凝った舞台セット、演出に度肝を抜かれました。
    演者さんたちの熱量も全然、違いました。

    帰りの電車の2時間も余韻に浸っていたらあっという間に家につきました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    5月30日午後、錦糸町のすみだパークシアター倉で上演された劇団桟敷童子の『獣唄 2021改訂版』を観た。実は2019年に村井國夫主演を想定して桟敷童子の座長・東憲司が書き下ろした作品であったが、公演期間半ばに主演の村井が心筋梗塞のため降板し、副座長の原口健太郎が代役を務めて上演が再開された作品を、改めて村井を主演として上演するために一部改訂して作り上げられたもの。

    舞台の粗筋は2019年と大きく変わっていないので、その時書いた感想から粗筋の部分を引用させて頂く。

    舞台は貴重な種類の蘭の花が採取出来るというとある仙石嶽という山村。そこでハナトと呼ばれる蘭採収人である梁瀬繁蔵(村井國夫)と彼の娘3姉妹トキワ(板垣桃子)・ミヨノ(増田薫)・シノジ(大手忍)の間で起こる愛憎悲劇。そのきっかけを作るのが、東亜満開堂(社長役・原口健太郎、社長夫人役・もりちえ)という花屋で、時代は太平洋戦争中。花で東亜の繁栄を夢見る満開堂社長の望みは、蘭の中でも最も珍しい品種「獣唄」の獲得であった。その獣唄を観たことのある繁蔵と、蘭採取人の後を継ぎたい長女トキワ。この二人の葛藤は、満開堂だけでなく妹たちや村人達をも巻き込み、最後には3姉妹がそれぞれ命を絶っていく。

    見物であった。主役の村井と満開堂社長役の原口の存在感。そして、長女であるトキワ役の板垣桃子の熱演とキノコ採りの名人役の鈴木めぐみの怪演は、今の桟敷童子の実力の高さを見せつけていた。社長夫人・もりちえの存在も大きい。実は、こうした主要な役どころは2019年と同じなのであった。悲劇が悲劇を誘発するその魔性というか偶然性を、蘭の花の採取人という設定で観客に迫った東憲司の脚本と演出そして舞台装置に感服させられた。もちろん、その脚本の持つ迫力を演技で見せつけた村井國夫を筆頭とする役者陣も凄かった。
    2時間という上演時間を忘れさせ、観客は舞台上の世界にのめり込んでいった。
    いやぁ、凄い作品を観せてもらった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2021/05/25 (火) 18:30

     東憲司氏、桟敷童子を率いてもはや他と比べるべくもない演出家となりました。桟敷童子ほど、内容・時期共に安定した公演を行っている小劇団は、他にそう類は見ません。また、これほどの新作数を舞台装置含めながら考案していることにも驚きます。ただし、これが東憲司というような代表作が認められないと思うのは、私だけではないのでないでしょうか。
     その理由の一つとしては、総じて作品の質が高いというという事が挙げられますが、桟敷童子作品が、かなり特殊な構造を抱えていて、他劇団での再現性が低いという事が挙げられると思います。もちろん、ラストの舞台総崩し的な見せ場は、他の小劇団では再現可能性が低いと思われますが、それ以上に驚くのは、頻繁に登場する過剰な悪意や欲望の放出です。
     過剰な悪意や欲望の放出は、桟敷童子芝居の大きなレンズであり、物語の進行を前半と後半を一転集約で繋ぎ、舞台にダイナミズムを生じさせる、大きなファクターです。しかし、これはともすると、観客の混乱と不安を招き、それまでの感情移入を引かせる要素とまおなりかねません。(一方で中毒性もあるのですが) この点が、東憲司以外の桟敷童子作品の演出を困難しているように思われます。

     さて「獣唄」この作品には、この過剰さがないのです。意図的に削ぎ落したように。観客は良くも悪くも、この作品でかの過剰さに向き合うことがありません。そのことは、脚本に演出側の自由度をかなり高めていると言えます。
     冒頭こそ、慣例の肉親憎悪をもって展開しますが、その後の展開はかなりニュートラルです。つまりどういう描き方がされても、どこに話がフォーカスされても、ラストへはいかようにもたどり着けられるように書かれていると思われるのです。
     今回の演出のように、あくまでも一地方での群像劇として描くのもありだし、梁瀬繁蔵を深く掘り下げる演出や三人姉妹の描き分けによる演出も可能なような気がします。つまり、桟敷童子版・東憲司版以外の「獣唄」が生まれる可能性があるということで、もしかしたらこれは新しい『古典』の誕生かもしれません。
     終焉後の村井國夫の屈託のない笑顔が、再演とは思わせない新たな(何らかの)誕生を象徴していたような気がします。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    新・すみだパークスタジオ倉へは二度目の訪問(二度とも桟敷童子の観劇)。新館の特徴はステージが奥深、客席の段も多い(と見える)。天井高め、最上段にオペブースが組まれ劇場全体にフェードアウト感があるのに対し、旧スタジオは横長で最上段は背中が壁、天井も迫る感じだったから閉塞感即ち一体感もあり、客席とステージも間近。前回、今回と最上段から観たことで、長い旧スタ時代に完成されたとも言える桟敷童子舞台の検証の機会となった。
    前作『花トナレ』は千秋楽、今回は初日を観たが、アングラの系譜を辿れる桟敷童子の「テント」に劣らぬ熱量が、新スタジオの最上段=「巻き込まれ感」圏外まで直接には届かず(地球が最適距離なら火星位か)、俯瞰の目線になるが、それでも前回の『花トナレ』は一個の有機体にも似る劇団の即応力(観客や場の空気に対する、また「同時代」に対する)にただ感服し、抑制から滲み出る純度がコロナ下の一つの理想形にも思えた。
    今回、「そこまでではなかった」との感想はまだ初日のせいか、客演率の高さ(主役も客演)のせいか・・。人間どうしても比べてしまうが、同じ回を観た知人は前作に比べて大満足だと笑顔をこぼしていた。
    詳細後日。

    ネタバレBOX

    村井国夫氏が初演では降板していた事を今回知った。初演も初日を観劇。微妙なバランスで成立した芝居だと感じたのを覚えている。家族を顧みない「花ト」(山地の崖を渡って蘭の珍種を採る名人=花を商う村に固有の職業)である老父と、彼を(生活苦で)母を奪った奴だと恨みながらも「花」に魅せられ父に弟子入りする長女、足の悪い次女、同じく花トに憧れる三女の三姉妹との関係を中心軸にドラマが展開する。
    満州に本社を置く花販売会社(東亜満開堂)の社長の「幻の花=獣唄」への情熱、社長の妻と古参の女中、社員が村に現地法人を設立し、長期逗留となり芽生える姉妹らとの仄かな恋、戦争の深化に伴う「花商売」の暗い雲行きと、戦争体制に迎合する在郷軍人会による「非国民」狩りとエピソードが分岐して行くが、時代という不安定要素が言わば写実的になぞられる居心地の悪さが「悲劇」の構造に収斂される事で(逆に)観客が安定を得るのは、三姉妹の死によってである。
    戦時の花禁止令で村と花ト、東亜満開堂は万事休すとなるのだが、辛うじて繋ぐ糸は幻の花と言われる蘭の一種「獣唄」の伝説、即ち「絶望の際で姿を見せる」花の存在だ。ただし現実的な敗勢の中では、この花の存在は希望とならない。もっと別の意味での絶望がこの花の存在と紐づけられている。
    花の生産地が戦争時代花禁止令で苦悩する古い戯曲を見たことがあるが、初演に無かったのは今や「不要不急」の典型である演劇がこの芝居の生業に重ねられている(と感じる)ことだ。
    さて老父は花きちがいの偏屈物だが長女トキワ(板垣)が弟子入りして一年、長女を花トにしようという気になっている。そこへ三女シノジ(大手)が「自分も弟子入りできるよう話を通してほしい」と姉に頼み、聞き入れない姉をよそに自分で山に入って珍種の花を採って来る。二人の感情的な対立は初演ではもっと肌の泡立つ感覚があった。次女ミヨノ(増田薫)は幼少時の事故で足を痛め「村の男らの慰み者」として存在を許されてきたとされるが、村では異質の者であった三姉妹が(そうとはっきり書かれていないが)花トとして村に貢献する存在となり、また東亜満開堂の登場により村に活気がもたらされ、長女と三女が村の宴席にも呼ばれると次女にも行こうと誘う等、本来対等な村の成員である権利意識も描かれる。男好きのする次女ミヨノにまず接近するのが東亜満開堂の社員加藤(稲葉)。同情・憐憫の域を出ないと見える加藤は招集を受けた時、ミヨノを袖にするがそれが良心の発露であるのか逃げであるのかが不明(初演では男の一時的な熱情であった事が露呈した、それに絶望して自死する経緯がはっきり見えた)。一方社員山浦(三村晃弘)は考え深いタイプ、これにトキワが惚れ、相思相愛となるが山浦は戦争に対する疑問を口にし、徴兵逃れの方法を教えた咎で捕まってしまう。三女は一本気で空気を読まない突進型に描かれているが、村で徴兵にも取られない男三平と何故か気が合いカップルのようになっているが、その三平がついに徴兵に取られる。・・・こうして老父(村井国夫)は、時々登場して我が儘ぶりや、長女との関係の変化を示す程度であった所が、(作者がそう書いたのだから当たり前ではあるが)三姉妹が皆死することで「望まずして」主役に躍り出るのである。
    初演での印象は、この老人は「花に捕えられた」男であり、人間関係には不器用だが花採りにだけは才気を示すような存在、その男が娘と(親子ではなく花トの一味として)関係を持つこととなる。全てを選んで来たようであっても宿命の中に生きるしかない存在、そのようにも見える余地があった。頑なな老人が、娘を失うことでまるで「思い出したように」そこにあったはずの何かに自らが(はからずも)依存していた事に気づき、絶望する。この懊悩の中で、男は三たび「獣唄」と出会う。そして終幕で辛うじて体を支え、生きてやると叫ぶ。ラストで受け取ったのは父の存在(を演じる俳優)それ自体であり、村井国夫の父あっての感動だった。
    この「感動」を基準に今回の初演観劇を振り返ると、父のスタンダードと「変化」の描写に物足りなさを覚えた。簡単には認めない父である。頑なさ、傍若無人さ、人の神経を逆撫でする存在を存分に感じてから、娘の怪我に狼狽する父の姿が見えたかった。
    次女の自死に必然性がもっと見えたかった。花採りが禁じられた後、冬山に入る長女と三女の衝動がもっと見えたかった。正直な感想だが、「比べてしまう」自分にも困ったものだ。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2021/05/27 (木) 14:00

    座席1階

    前回も☆5つを付けた感動の舞台。今回は2021年改訂版と銘打っている。やっぱり足を運んでしまった。
    国家総動員法が制定され、戦時色が濃くなっていく九州の山村。ここの断崖絶壁に咲くという、幻のランを追い求める「ハナト」(ランを取る人)一家の物語だ。
    ハナトである村井国夫の低くてよく通る声に舞台は引き締まる。その3姉妹は前回と同じ顔ぶれだが、明らかにパワーアップしていた。
    断崖絶壁を登り、珍しいランを取ってくるという物語の筋を追っていくだけでも、この3姉妹のきびきびとした演技で、舞台から目が離せない。さらに今回、自分の胸に刺さったのは、戦争に対する憎しみをぶちまける一言だ。前回もこの場面はあったと思うが、思わず体が震えるような感覚だった。
    客席は熱い。3姉妹を次々に襲う悲劇に、涙が止まらない女性も複数いた。舞台装置は前回の方が派手だったように思えるが、山の猛吹雪などは相変わらず迫力満点だ。
    映像で見ても味わえない迫力と、それとは別にガンガン伝わってくる何かがある。やはり、舞台でないとだめなのである。予約で満席の客席がその答えだ。

    いい舞台である。再演、ありがとうと言いたい。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    前回、五日目の公演後主演の村井國夫氏が軽度の心筋梗塞で降板。三日休演の後、原口健太郎氏を代役として公演再開。自分は初日に観ていたので、これらのニュースに心底驚いた。自分の観たその年ベストの舞台であったこともある。
    村井國夫氏主演での改訂再演の知らせに「もう一度観れるのか?」とそれにも驚いた。
    こんな作品を現在進行系で生み出せることに、コロナにも何某かの意味はあったとすら思える傑作。

    ハナトと呼ばれる珍しい蘭を採集するプロ(プラントハンター)と不要不急の現実社会では必要なしとされる演劇(役者)とを掛け合わせている。時代の要請で花の売買を禁じられ、生活に困窮する関係者達、「一体どうしたらいいのか?」とハナトの村井國夫氏に尋ねる。「ワシは花のことは何でも知っておるがそれ以外のことは何も判らんのじゃ」と頭を抱える村井氏。
    茸採りの名人役の鈴木めぐみさんが脇をきっちり固めて印象的。もう一人の主人公と言ってもいい原口健太郎氏の存在感と巧さ。原口バージョンの『獣唄』も観れば良かったと今更ながら後悔。

    コロナ禍に対する演劇界からの一つの回答がこの作品である。

    ネタバレBOX

    素晴らしい作品だった。
    それでも自分にとっては初演の前回の方が更に素晴らしく思えたのも事実。色々と理由を考えたのだが、はっきりとはしない。ラストシーンの花吹雪や舞台全体が嵐の大海原のように畝る光景も前回の方が衝撃的だった。座っている位置の違い(前回は最前列)や全体像を把握して観ている前知識の有無、妙にテンポが良く整理され過ぎている違和感、ハナト一家が急に仲睦まじ過ぎる、コロナを意識し過ぎた台詞・・・?『獣唄』の説明も丁寧に遣り過ぎでしっくり来ない。何か『獣唄』はもっと人知を超えた理解不能なものを垣間見せないと成立しないのだ。
    もう一回観ようかと思ったら当然だが全日程全席完売、そりゃそうだ。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    劇団桟敷童子らしい舞台美術と演出、そこに描かれる人間模様は実に悲しく儚い。が、一方で逞しい生命力を思わせる、その人間賛歌に身魂が震(奮)える。
    初演(2019年12月)は観ていないため、どこを改訂したのかは分からない。
    ところで、公演の当日パンフには「『獣唄』の再演をやると決めたのは去年の1回目の緊急事態宣言中である。(中略)得体の知れない何かが僕を搔き立てた。何故かしら『獣唄』をやらなければならないと思ったのである」と書かれている。
    何となくだが、その理由が分かったような気がした。
    (上演時間2時間 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、木枝の両端を紐で結わえ縄梯子状にしたものが複雑にそして幾重にも絡み舞台全体を覆っている。緞帳代わりに木々が立ち横たわる。それは急峻な山肌、山道を表し山奥の寒村を出現させる。中央は九州にある村の広場といったところ。そして登場人物は、この村の人々と外の者(種苗業者:東亜満開堂)に大別できる。

    梗概…時代は昭和13年~15年頃というから、日中戦争から第二次世界大戦へかけて軍靴が高らかに響いてくる。そんな時代を背景に、山奥の(仙獄)村にいる唯一の珍花採取人(通称:ハナト)・梁瀬繁蔵(村井國夫)と3人の娘(長女トキワ-板垣桃子、次女ミヨノ-増田薫、三女シノジ-大手忍)、その親子の愛憎、そして相克を描く。また村の掟や因習(現代的には男女差別だ)が時代閉塞と相まって重苦しくのしかかる。
     父・繁蔵と娘たちの愛憎は、母が生活のため山に珍しい花(蘭)を求めに行ったが、悪天候のため落命。にも拘わらず父は花採取に没頭し娘たちの生活を顧みない。女は山に入れないという掟を破ったがゆえに墓さえ建てられない。しかし、何時しか娘たちも珍しい花採取に心奪われ、父を恨みながらも弟子入りする。足が悪い次女は花採取人にはなれず村の男の慰み者に、長女と三女は次第に花採取人としてライバル意識が芽生え、父・姉妹の間で相克が。
     生活のため珍しい花(蘭)を採取するが、それは高く険しい崖に咲いている。命がけであるが、いつの間にか花の採取に明け暮れていく。一方、時代はますます軍事色が濃くなり、徴兵制はもちろん花禁止令…食料農作物以外の作物の栽培は禁止。そして不急作物とされた花を育てることへの統制。いつの間にか娘たちとの情を繋ぎ、なによりも生きるため逼迫した状況の中、かつて死の狭間で見た獣唄に命を救われたという繁蔵は、再び獣唄を探しに山へ向かう。獣唄-絶望の果てに咲く花、を見つけるために…。

    戦時下を背景に個々の心情変化や感情の通い合いを描き、さらに不穏な空気感を漂わせる。社会状況(村人と東亜満開堂の社員との諍い、召集による働き手不足、令状が来ない心理的圧迫等)と先の親子関係を重層的に紡ぎ合わせ、物語を叙事詩的に展開していく。ラスト、大吹雪の中 命を賭して獣唄を採りに向かった繁蔵の前に三体の獣唄…それは繁蔵の亡くなった娘達の姿を借りて現れ、生きろと叫ぶ。クライマックス、舞台が船甲板のように大揺れ、それが自分の感情の揺れとシンクロし感動に酔いしれる。そこに感情的なカタルシスが生まれる。

    桟敷童子らしい演出、薄暗い中に白い紙吹雪、そこに青白い照明を照射し幻想的な風景を出現させる。奥深い山、閉鎖的な村、その土臭さにあっても何故か純粋に美しく気高さを感じさせる。音響は、重低で寒風吹き荒ぶ効果音、同時に切なく物悲しい、それでいて優しく包み込むようなピアノの旋律。実に見事な印象、余韻付けであった。
    この時期(コロナ禍)に上演したいという思い、分かるような気がした。

    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    圧巻の初日を観劇しました。

この公演に関するtwitter

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  1. 劇団桟敷童子『獣唄2021改訂版』楽日…超自然なるカーテンコール三回の中で。客席も舞台の役者も共に拍手をしている。その景色が本作の熟度・素晴らしさを象徴と実感しました。そして本作を何故今演じるのか、その必然性をジワジワと実感なり(^^)

    3年弱前

  2. 劇団桟敷童子公演「獣唄2021改訂版」 無事本番を終えることが出来ました。関わって下さった全ての皆様ありがとうございました! (舞台センターは三平役の石原由宇君。上手奥は梶役の原田大輔君。下手奥は虹子役の羽田野沙也香さん。偶然だけ… https://t.co/VjNReZaBuE

    3年弱前

  3. 先日観た劇団桟敷童子『獣唄 2021改訂版』公演の感想を、BlogとFacebookにアップしました。 今日はもう一つ、兎座の舞台の感想を書こうと思っていたのですが、桟敷童子の感想を書いているうち、兎座の感想を同じ日に書けない無い事を悟りました。兎座の感想は、日曜にアップします。

    3年弱前

  4. 「獣唄2021-改訂版」 何とか奇跡の千龝楽を迎え 無事終幕いたしました 本当に本当に ありがとうございました! 灼熱のバラシ 最後までキッチリ収めます 取り急ぎ、御礼まで🙏 (心霊写真ではありません) https://t.co/uWNCjDznpY

    3年弱前

  5. お陰様で劇団桟敷童子『獣唄2021改訂版』、無事に千秋楽まで駆け抜けることができました。ご観劇いただいた皆様、ご来場叶わずとも気にかけて下さった皆様、すべての方々から勇気を頂いての、忘れられない公演となりました。 本当に本当に本… https://t.co/oWyFe1YX9a

    3年弱前

  6. 昨今の演劇界隈では、こんなご時世なので打ち上げなど無く、千穐楽後は即解散ですが、 なんと!バラシがまだ続きます! 明日もシアター倉でやってます! 『「獣唄2021改訂版」後日談』始まります。 注:こちらは無観客開催となっております。

    3年弱前

  7. 話題の公演 https://t.co/anAAnEhbOF ~6/7 劇団桟敷童子/獣唄2021-改訂版/4.8(6) ~7/11 NODA・MAP/フェイクスピア/4.8(5) #東京観劇カレンダー

    3年弱前

  8. 劇団桟敷童子『獣唄 2021 改訂版』千龝楽鑑賞。初演はチケットとってあった日が出演者急病で休演になり、2年ごしで念願の観劇。怪獣王のような村井國夫がすべてを失いつつも人間として再生していく話。「どんな苦しい時代でも花は必要」とい… https://t.co/u3xUGKP4qi

    3年弱前

  9. 【浅井伸治 出演】 劇団桟敷童子 『獣唄2021改訂版』 6月7日(月) 本日千穐楽! 12時20分 受付・開場 13時00分 開演 @すみだパークシアター倉 詳細→ https://t.co/lvwABQoV0Z https://t.co/vMXYl9hQQe

    3年弱前

  10. 劇団桟敷童子『獣唄2021改訂版』再見。 短期間に2回見ると、前半の説明的な描写はくどく感じ、とてつもなく出来が良い戯曲とは言えないことを痛感する。しかしそんなことは、この作品にとってほとんど関係ない。舞台上にみなぎる、泥臭く、… https://t.co/pQvviQj7LF

    3年弱前

  11. 話題の公演 https://t.co/anAAnEhbOF ~6/6 ピウス企画/シュベスターの祈り/5.0(2) ~6/7 劇団桟敷童子/獣唄2021-改訂版/4.8(6) ~7/11 NODA・MAP/フェイクスピア/4.8(5) →続く #東京観劇カレンダー

    3年弱前

  12. 劇団桟敷童子『獣唄2021改訂版』(すみだパークシアター倉) いざ再見! https://t.co/LuZwYgN5Gn

    3年弱前

  13. これから、すみパーにて 桟敷童子『獣唄2021改訂版』であります! https://t.co/KvsmJy8fn4

    3年弱前

  14. 【浅井伸治 出演】 劇団桟敷童子 『獣唄2021改訂版』 6月6日(日) 12時20分 受付・開場 13時00分 開演 @すみだパークシアター倉 詳細→ https://t.co/lvwABQoV0Z 6月7日(月)まで公演 https://t.co/AKpM5XTQRg

    3年弱前

  15. 獣唄2021-改訂版 感想まとめ https://t.co/Q6oE6Mi5hf ありがてえ ありがてえよう(ノω;`)

    3年弱前

  16. 話題の公演 https://t.co/anAAnEhbOF ~6/7 劇団桟敷童子/獣唄2021-改訂版/4.8(6) ~7/11 NODA・MAP/フェイクスピア/4.8(5) #東京観劇カレンダー

    3年弱前

  17. 劇団桟敷童子「獣唄2021改訂版」。観に来てくれて有難うと言うけれど、こちらこそ有難うございました!ですよ。観れて良かったです。 …ずっと気になっていたケモノウタ反転画像。 (初回のチラシの時に勝手なイメージで黒い花を描いてしまっ… https://t.co/Kbrej40Hn5

    3年弱前

  18. 劇団桟敷童子『獣唄 2021 改訂版』観劇してきました。 一昨年の獣唄は観劇する事ができませんでしたので、今回改めて観劇する事が出来てよかったです。 生で観るお芝居の迫力はすごいですね。 刺激になりました。 ありがとうございました… https://t.co/GkCY27jVgq

    3年弱前

  19. 公演前は、換気をするのに舞台奥の大扉(搬入扉?)を開けていて、装置の隙間から見える太陽と建物が不思議な感じだった。 けど、扉が閉まって物語が始まると、そこが雪山になる。座っている客席の足元まで雪山になる。こういう感覚を全身で得たく… https://t.co/r7PdFIQGaQ

    3年弱前

  20. 劇団桟敷童子『獣唄2021改訂版』@すみだパークシアター倉 ラストシーンはいつも驚かされるけれど、体感、という衝撃が強かった。歴代美術集ほしい…。村井國夫さんの、小さくても深い、弱弱しくも鋭く強い、声(台詞)にハッとする瞬間が幾度… https://t.co/mNWCoaQtMm

    3年弱前

  21. 話題の公演 https://t.co/anAAnEhbOF ~6/7 劇団桟敷童子/獣唄2021-改訂版/4.8(6) ~7/11 NODA・MAP/フェイクスピア/4.8(5) #東京観劇カレンダー

    3年弱前

  22. 桟敷童子さんの『獣唄 2021改訂版』 初演のパンフレットと見比べたら、村の人達の名前とか関係が結構変わってて「そこに拘るのか?!」と暫し吃驚ฅ(º ロ º ฅ)!

    3年弱前

  23. 【浅井伸治 出演】 劇団桟敷童子 『獣唄2021改訂版』 6月4日(金) 17時20分 受付・開場 18時00分 開演 @すみだパークシアター倉 詳細→ https://t.co/lvwABQoV0Z 6月7日(月)まで公演 https://t.co/0uFDp3qg2v

    3年弱前

  24. 「獣唄2021改訂版」 拝見したかった作品✨  圧巻!!! 生涯に観ておくべき舞台がいくつかあるとしたら、この作品は間違いなくその中に入ります。 とてつもない余韻が残る作品。 #劇団桟敷童子 #獣唄 さん https://t.co/Cysd95lbvn #劇団桟敷童子 #獣唄 #村井國夫

    3年弱前

  25. ずっと観たかった劇団桟敷童子「獣唄2021改訂版」 東京・すみだパークシアター倉で拝見しました! いやぁ〜圧巻‼️もう凄い‼️ 音無さんにも、久しぶりにお目にかかれて嬉しかったです。 #ケモノウタ #劇団桟敷童子 https://t.co/P8i7LhHhEz #ケモノウタ #劇団桟敷童子

    3年弱前

  26. 話題の公演 https://t.co/anAAnEhbOF ~6/7 劇団桟敷童子/獣唄2021-改訂版/4.8(6) ~7/11 NODA・MAP/フェイクスピア/4.8(5) #東京観劇カレンダー

    3年弱前

  27. 劇団桟敷童子公演『獣唄2021改訂版』観劇@すみだパークシアター倉 2019年に観劇した『獣唄』の再演。 面白かった!こういう時期だからなのか、初演よりもパワーアップしている様に感じた。最後はお見事としか言いようがない。 「すみ… https://t.co/L8OL6TMZ4N

    3年弱前

  28. 【浅井伸治 出演】 劇団桟敷童子 『獣唄2021改訂版』 6月3日(木) 13時20分 受付・開場 14時00分 開演 @すみだパークシアター倉 詳細→ https://t.co/lvwABQoV0Z 6月7日(月)まで公演 https://t.co/PtPaXBYcQA

    3年弱前

  29. 話題の公演 https://t.co/anAAnEhbOF ~6/7 劇団桟敷童子/獣唄2021-改訂版/4.8(6) ~7/11 NODA・MAP/フェイクスピア/4.8(5) #東京観劇カレンダー

    3年弱前

  30. 【5/25(火)〜6/7(月)】絶賛上演中🤩✨✨ あの衝撃を再び‼️ 待望の再演… 新演出・新美術で甦る‼️ https://t.co/lxDxb9Cp4r https://t.co/m91uB88zC8 #劇団桟敷童子 #すみだパークギャラリーささや

    3年弱前

  31. 【浅井伸治 出演】 劇団桟敷童子 『獣唄2021改訂版』 6月2日(水) 13時20分 受付・開場 14時00分 開演 @すみだパークシアター倉 詳細→ https://t.co/lvwABQoV0Z 6月7日(月)まで公演 https://t.co/ucX4h2JUR4

    3年弱前

  32. 桟敷童子『獣唄2021改訂版』で泣きすぎて頭痛。花を見るとしばらく思い出すだろうな。 https://t.co/jZzIMXM38z

    3年弱前

  33. お昼に劇団桟敷童子「獣唄2021改訂版」を観てきました。どうしようも出来ない、悔しい事が本当にたくさんあるし、それでもなんとか生きていかなきゃいけないんだなあ、とか色々感じました。劇場に行ったのは久しぶりだったけれど、生のお芝居は… https://t.co/YgVfFMdeyA

    3年弱前

  34. 劇団桟敷童子 『獣唄2021-改訂版』観ました。 すごかった…。 圧巻の特効が物凄くて、 舞台にかぶりついて 見入ってしまいました。 それに全然負けてないキャストの力。 カーテンコールでは、 心の底からの拍手が出ました。 あれ… https://t.co/NFvtXvU1u6

    3年弱前

  35. 話題の公演 https://t.co/anAAnEhbOF ~6/7 劇団桟敷童子/獣唄2021-改訂版/4.8(6) ~7/11 NODA・MAP/フェイクスピア/4.8(5) #東京観劇カレンダー

    3年弱前

  36. 劇団桟敷童子さんの獣唄2021改訂版を観劇してきました。 村井さん、桃子さんの圧倒的存在感、物語の強さ、舞台美術、芝居力。 マスクの中がビショビショになる程引き込まれました。 今、この作品が観られることに希望をもらったような。… https://t.co/r2AmcpEnZ0

    3年弱前

  37. 昨日は、桟敷童子「獣唄2021改訂版 」を観劇。ご案内してくれた増田薫ちゃんは物語の中で三姉妹の一人として出演していて、とても激情にあふれた役なのでガーン😨てなった。ぼくは彼女のお芝居大好きです。 https://t.co/EnWJrhxyKq #劇団桟敷童子 #獣唄

    3年弱前

  38. 【浅井伸治 出演】 劇団桟敷童子 『獣唄2021改訂版』 6月1日(火) 13時20分 受付・開場 14時00分 開演 @すみだパークシアター倉 詳細→ https://t.co/lvwABQoV0Z 6月7日(月)まで公演 https://t.co/m31ogb1LzI

    3年弱前

  39. 話題の公演 https://t.co/anAAnEhbOF ~6/7 劇団桟敷童子/獣唄2021-改訂版/4.8(5) ~7/11 NODA・MAP/フェイクスピア/4.8(4) #東京観劇カレンダー

    3年弱前

  40. 早いもので5月も最終日。 8月にはこちらのファミリーシアターに。 円でもお世話になった吉田小夏さんと青☆組の皆さん、そして客演さんと作っていきます。 吉祥寺シアターさんが名前入りの仮チラシを作ってくれて、出演中の「獣唄2021 改… https://t.co/fsOeSlBtrm

    3年弱前

  41. 【浅井伸治 出演】 劇団桟敷童子 『獣唄2021改訂版』 5月31日(月) 17時20分 受付・開場 18時00分 開演 @すみだパークシアター倉 詳細→ https://t.co/lvwABQoV0Z 6月7日(月)まで公演 https://t.co/OT3qXHkjEh

    3年弱前

  42. 日曜日に劇団桟敷童子「獣唄2021改訂版」@すみだパークシアター倉観劇。初演は村井國夫降板後の観劇で、原口健太郎の芝居に圧倒されたが、今回の村井國夫の演技は役者の底力といふ凄みを感じた。

    3年弱前

  43. 獣唄2021-改訂版 https://t.co/Q6oE6Mi5hf 感想まとめ ありがとうございます(ノω;`)

    3年弱前

  44. CROWNSさんの蝶の筆が終わったあとは… こちらを観劇↓ JACROWさんの鋼の糸 青年座さんのアルビオン 桟敷童子さんの獣唄2021改訂版 どれも、ちぇご!!!

    3年弱前

  45. 感動しました。書きました。勉強になった。 劇団桟敷童子に惜しみない拍手を。舞台『獣唄2021改訂版』はあなたの心と魂を熱くする感動作。|竹下力 @take_tuto https://t.co/5XxNFla3a1   #note #劇団桟敷童子 #獣唄2021改訂版

    3年弱前

  46. 劇団桟敷童子「獣唄 2021改訂版」観た。 今やるべき、今観るべき作品。 戦争とコロナ禍が重なる。そして父娘の、姉妹の愛。 村井國夫さん、素晴らしかった。もちろん桃子も! 予想を上回る舞台装置。号泣。 無事に観られて幸せだった! https://t.co/ESdt1kjoLl

    3年弱前

  47. 話題の公演 https://t.co/anAAnEhbOF ~6/7 劇団桟敷童子/獣唄2021-改訂版/5.0(4) ~5/30 劇団BraveHearts/NEW MUSICAL「プロロ…/5.0(2… https://t.co/csG9tRQAn9 #東京観劇カレンダー

    3年弱前

  48. 劇団桟敷童子『獣唄2021改訂版』。九州の山奥で、花を採取して業者に卸す「ハナト」が暮らす村。太平洋戦争下の時勢を背景に、絶望の果ての希望をもたらす伝説の蘭・獣唄を求める物語。コロナ禍を受け、初演(2019年)よりも強化された、大… https://t.co/ofmMLIU6I8

    3年弱前

  49. 劇団桟敷童子「獣唄 2021改訂版」観劇。前回公演は客演の村井國夫さんが病で途中降板され、丁度その休演期間にチケットを取っていた為観劇が叶わず。今回村井さんも復帰されとても楽しみにしていました。 村井さんと板垣さんのお芝居はもう息… https://t.co/wxeAcg9pYG

    3年弱前

  50. 劇団桟敷童子の『獣唄2021改訂版』を観劇。初演の観劇日が村井さんが急病になって休演で観にいけず、ようやくという感じです。村井さんもお元気でしたし、登場人物の過剰なエモーションの絡み合いが好きです。 https://t.co/c8FlZYSLqN #劇団桟敷童子

    3年弱前

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