公演情報
「野兎たち【英国公演中止】」の観てきた!クチコミ一覧
満足度★★★★★
久々のala公演、当りであった。
可児市発alaシリーズを知った最初は、懐かしい「秋の蛍」(2013)..プロデュース公演の匂いを初めて嗅いだという記憶が。頑固親父の背中、渡辺哲、おしん以来の小林綾子、今やお馴染み粟野史浩、福本伸一らも居たんだな。とある湖畔でのウェルメイドな鄭義信作のお話を松本祐子が演出。2度目の「黄昏にロマンス」(2015)は平幹二朗・渡辺美佐子による二人芝居、二人の出会いと別れのユーモラスで切ない劇は可愛げで機能的な装置が印象的。最後が谷崎潤一郎の戯曲「お国と五平」(2016)だから今回3年半振りになる。昨年の別役実「移動」には手が届かず悔しい思いをした。
新国立の主催でない公演を「小劇場」で観るのは初めてだが、この劇場が似つかわしく感じられる作品だった。優れた海外戯曲を闇の中に浮かび上らせる小劇場THE PIT。
片言日本語の英国人俳優2名(ダンとその母)と、婚約者ダンを両親に紹介するため英国から日本に帰国した主人公咲子(俳優自身はハーフのよう)が、時折Englishで会話する。その字幕を映す電光掲示板は、縦長~のと横長~い(調度仕立ての家庭用高級スピーカーのような)洒落た箱(全長3m程度か)が二つずつ計四つ。場面ごとに縦横に移動(横長のはバトンを使って上下に、縦長のは左右に)、庭の場面では緑を、別の場面では街区の風景を映し出す。この美術は・・と見れば松井るみ。新国立など大型劇場で馴染みの重鎮美術家は「目の醒めるような」装置を作る・・これには例外がないな、と確認(しかして「目の醒める舞台を作る美術家」と命名、思い浮んだ時はもっとタイトな気がしたが..まあいい)。
岐阜県可児市の一公共劇場が英国北部で精力的に活動する著名な劇場と共同し、質の高い舞台を作り上げた事に素朴に驚いた。物語も日英にまたがる新作戯曲。見開き4頁の当日パンフに載った三氏の原稿が、公演の背景を密度濃く伝えているが、それによると英国リーズ・プレイハウスなる劇場との提携契約は何と13年前。観客と相見える舞台としては初めて、漸く実った成果という。
「drama」とはこういう舞台を指す言葉ではないか。事態を興味深く進行させながら、狭間に微かだが確かに提示される社会的なテーマ。社会生活の中で「問題」を背負った当人の「不在」(このドラマの主題は失踪)が、彼を思う舞台上の人物たちと同じステージへ観客を引き込んで行く。微細を描いて太い幹を感じさせる優れた仕事であった。
満足度★★★★★
鑑賞日2020/02/09 (日) 14:00
家族の歯車が狂っていくさまを描いた胃の痛くなる作品。字幕が左右両端や上で固定ではなく、フレキシブルに動き、役者に近いところに移動するなど、見せ方にも大いに工夫が見られた。これが言語の障壁を乗り越えるための突破口になることを期待。
満足度★★★★
早紀子がイギリス人の婚約者とその母といっしょに、10年ぶり(数日の帰国を含めれば4年ぶり)に可児の実家に帰ってくる。結婚の報告のためである。実は早紀子はイギリスで失業したために、ビザ更新のための結婚という要素が強い。ふたりが愛し合っていることは事実だが、同棲でもなんの問題もなく、わざわざ結婚するのは別、というのが昨今のイギリスのようだ。
早紀子は、出来のいい兄と比べられて、両親に邪魔者にされ、いつも干渉されてきたと思っている。前半は早紀子の、親が今回も結婚に介入し、自分を支配しようとしているという「思い込み」が目立つ。良心の些細な言葉尻を、悪く悪くうけとめて、いら立ちを募らせていくのである。早紀子役のスーザン・もも子・ヒングリーがいい。日英両語を操りながら、女性らしい不器用な苛立ちを好演していた。恋人役のサイモン・ダーウェンの受けの演技も自然でよかった。
母親役の七瀬なつみも、客を迎えて上品にふるまう母親を好演していた。
満足度★★★★
国を超えた共同制作というのはなかなかむつかしい。演劇は特に。
これが、日本人が海外へ行った話、とか逆に外国人が日本で経験するドラマとなると結構面白く仕上がった作品があるのに、共同制作となると、議論も随分尽くしているはずなのにぎごちない。きっと、共同で取り組むと素材の選択から難しいのだろうと思う。その結果、まぁまぁの素材が選ばれ、一つの舞台にするために、作者も演出も演じる俳優も妥協を重ね、結果はどちらの国の上演も、やってみただけで終わってしまう。
今回はまず脚本。日英の男女が結婚することになって、名古屋に近い地方都市の女性の実家に夫となる英国人とその母がやってくる。結婚をめぐるそれぞれの両親との葛藤、結婚式への考え方の違いなど、よくある話から入るが、途中から妻になる日本人女性の兄の失踪の話になり、母を連れて日本にやってきた夫となる英国人と母親は置いてきぼりになってしまう。バランスの悪い本で、いかにもの風俗は色々見せられるが、どこが焦点だかわからない。テレビの連ドラによくある「身の上相談ドラマ」ならこれでいいのだが、演劇は、これではもたない。テレビは顔なじみのスターが出て、わかったような気分になるが、必ずしも実績の多いとは言えない日英の俳優では、本の不備を割引しても苦しい。客も正直で、ようやく半分しか入っていない。
家族劇というが、両国の家族の一面を素材に、それぞれのお国ぶりがある、というだけに終わってしまった。昨年は帰郷ものの家族劇としては秀逸な「たかが世界の終わり」が二つのカンパニーで上演されたが、いずれもが消化しきれていなかった。身近な素材だけに茶の間で見るだけのテレビと違って、肉体をさらす演劇では難しいのだ。
リーズの劇団の日本人女優(スーザン・ヒングリー)は、この物語のホンモノの経験者らしく、英国でたくましく生きていく日本人を生々しく演じている。新しいタイプの日本人ともいえるが、それを浮き彫りにするには、周囲がまるで追いついていない。
公共劇場の国際共同制作(日本側は可児市の劇場。英国側はイングランドの地方都市リーズの劇場)は劇場の一つの旗になるし、やって見れば、関係者にはいい経験になるから無駄ということはないが、こういう形の仲良し共同制作はどこか修学旅行を思わせて、むなしい。典型的な「ことなかれ共同制作」の、残念ながら同じ轍を踏むことになってしまった。
満足度★★★★
脚本が秀逸で映画向きの題材。英国にて暮らす女主人公が結婚する予定の英国人とその母を伴い四年ぶりに故郷、日本に降り立つ。なかなか一筋縄ではいかない実家に待つのは・・・。主人公の母親役、七瀬なつみさんが美しく巧く惹き付けられる。この空間にずっしりと君臨する薫りのような存在感。父親役の小田豊氏も抜群のキャラクターで場を盛り上げる。リアリティーに拘り抜いた演出。英語の台詞には可動式の柱のような数本のヴィジョンに同時進行で字幕が映し出される。夢のような舞台装置だ。これさえあればありとあらゆる国の最新の舞台を十分楽しむことが出来る。音楽も素晴らしいセンス。一瞬も飽きさせないよう工夫を凝らした濃密な空間。日本人論としても面白い。役者のレベルが高い。薔薇のプレゼントもあり。
岐阜の劇場と英国の劇場による新作。約2時間20分、休憩15分含む。面白かった!国際結婚する男女の家族が日本で初対面。双方が問題を抱えており…。転換も展開もスピーディーで会話に説得力あり。説明しすぎないのもいい!ラストの余韻が持続。いいもの観た♪東京、岐阜の後に英国公演あり。
満足度★★★★★
初日。脚本も役者さんも素晴らしい。テーマも普遍的で飽きない。テンポやエンディングも私は好きです。キワドイ内容や表現もないので誰でも楽しめると思います。可児市さんありがとうございます。