黒い砂礫 公演情報 黒い砂礫」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-12件 / 12件中
  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2020/03/16 (月)

    総論として、ヂスタ得意の演出「描く対象とは異質の素材を使った美術/道具の運用により、具象と抽象の狭間で揺れ動いている感覚」は今回も秀でて、身体表現とも相性が良い。ドミノノで培ったモノが高密度に圧縮され、七ツ寺の近距離で身体/心理が迫る力は小劇場の醍醐味そのもの。

    そして綺麗事では済まない登山の裏側を感じさせる現実味にも痺れた。マイナーな中にも厳然と存在する悪意なきマジョリティとの軋轢、否応なくカテゴライズされ切り捨てられる個人としての存在。一般的に山屋(登山家)のドラマとして注目されそうな、自己と極限状態との闘いではなく、多分に…題材として「個人と社会の軋轢そのもの」をそのままライブで提供している感触でした。結果として問題解決としての切り込みの甘さは否めませんでしたが、その渦中で思い悩み苦しむ人物の表現は人間ドラマとしての魅力に長けていました。

  • 満足度

    観客として、想像力の焦点が合わせづらいなと感じました。舞台美術、衣装、身振り、それぞれの要素で観客の想像力を必要とする量がちぐはぐに思いました。

    ネタバレBOX

    同色の木材が段差になっているだけのシンプルな舞台美術を山に見立てるのと、ちゃんとしたアウトドアウェアを着た人が山を登る身振りをするのと、ハリボテが混ざった小道具でスープを飲むフリをするのとでは、観客の想像力を必要とする量がバラバラです。ここはリアルな設えでリアルにやるのに、そこは嘘でやるの…?と、そのバラバラさは私を困惑させました。バラバラであること自体が問題にならないようにもできると思いますが、そのバラバラさと他との関連が見つけづらく、私にとっては単にノイズとなっていました。

    急に緑のムービングライトが下からバッと光って、俳優がギャグを言うシーンは面白かったです。そこだけやけに記号的な演出で、とことんバカらしく見えつい笑ってしまいました。そこで床下のムービングライト使うのか!的な驚きがありました。

    また「負荷のかかった身体」の魅力をそのまま押し付けられたように感じるシーンがあり、私は距離をとってしまいました。流れに乗れませんでした。またその見せ方にも疑問があります。激しく運動し、息があがり紅潮した身体を無理なく見せる構成をとっていることは推察します。しかしその構成に乗れていたとしても、出演者全員が真面目な顔で皆同じく抽象的な身振りをしている場面では、いやさっきあんなにふざけてたじゃん!と、三枚目的な役につっこみを入れたくなると、私は思います。出演者全員でやらなくても良かったのではないでしょうか。

    加えて、演技態が気になりました。必要以上に大きな声で発話してたように思いますが、それが良い効果を生んでいるようには思えませんでした。声でかいな!と思うと観客はある種の没入から離脱するわけですが、そのことによって観客を批評的な視点に持ち込むわけでもなく、単に流れから外れさせるだけであったように思います。
  • 満足度★★★★

    演劇を観に来た……!、という嬉しい興奮を味わえる開場時間。制作スタッフの方々に迎え入れてもらえるというこの感覚は、小劇場のひとつの魅力だなと思っている。空間もまた、近くの方々に愛されているのだろう空気が漂う。

    ネタバレBOX

    「山と女性」の話らしい、という情報だけで観劇したけれど、これは「女性と山」を主軸とした演劇だと感じた。女性の切実さ、無念さ、傲慢さ、特権などを盛り込んでいて、胸抉られるシーンや表情や主張が幾度も出てきた。それでも、そこに終始せずにだんだんと人間の傲慢さと欲望とが膨らんでいったことが好ましかった。また、登山部のメンバー達の明るさと、運動量と、あえての「部活」としての記号的な演出が、この作品を外に開いていた。

    キーパーソンの女性登山家の葛藤とそこへの立ち向かい方は、今の世、もしかしたらこれからの世でもっと一般的になるかもしれない。演劇という方法で描こうとすることそのものに希望と強さを感じる。

    山に見立てた美術の組立と、ロープのアイデア、そこから広がるイメージはさまざまなものを想起させた。ロープの色も、さまざま想像してみたが結果良かったと思う。強いて挙げるのであれば、クライマックスの巻き戻しの方法についてはなにか他の方法があるような気もしますが……俳優達の力強さによって説得力があった。

    作品としても、劇団としても、個性がありながらもその一体感はとても力強いです。ずっと、あと何十年も上演できることを願います。また、もし実現できることがあれば、ニノキノコスターさんの書くこの物語の先の光景を観たいと思います。
  • 満足度★★★

    空間に充満する熱量に圧倒されました。多数の登場人物もきちんと整理されていて、テンポよく話が進んでいきます。計算された演出と、それを具現化するため俳優の努力がとても見て取れました。だからこそ、お客さんが呼吸できる時間があるともっと相互関係が生まれるのではないかと感じる部分もありました。

    コロナ対策が徹底されており安心して観劇できました。地元名古屋の人々に愛されているのがよくわかる公演でした。

  • 満足度★★★★

    女性登山家によるK2無酸素登頂の顛末、周囲の人々の心模様を描きながら、彼女の挑戦の根底にあった思いをあぶり出す意欲的なエンターテインメント作品。ドラマティックで緊張感を途切らすことのない場面展開、演出で、特に段差をつかったシンプルなセット、白線、俳優の演技のみで山の厳しさを表現した終盤には見応えがありました。
    また、主人公のサポート役をつとめる登山家役の松竹亭ごみ箱さんの奥行きのある存在感も印象に残っています。

    主人公のモデルとなった登山家は男性で、がむしゃらで無謀ともいえる挑戦がしばしば批判された人物です。この作品ではそれを女性に置き換え、現代社会における女性のあり方への問いを山への挑戦と重ねて見せていました。

    大学の登山サークルでの飲み会や訓練シーンのホモソーシャル感、マネジメント会社の社長が体現する(感動)搾取の構造などは、登山という特殊なテーマを背負ってはいるものの、現代女性の前に立ちはだかる壁としてもビビッドに機能していたと思います(一般の企業などでも、歴史があり規模も大きい組織ならそうした意識は残っているかもしれません)。また、田舎に住む妹をはじめ、立場や考えの異なる女性の登場人物を複数配したことも、より視野を高くする試みとして好感を持ちました。


    ネタバレBOX

    とはいえ、壁の大きさと、周囲の期待に応えようというプレッシャーの大きさ、それをも覚悟したうえでの挑戦への熱意が、最終的に払われた犠牲(胎児も含めた遭難死)やそれを引き起こした無謀さをすべて許容するほどなのかというと、現実においても劇中においても、疑問を拭い去るほどではなかったかもしれません。

    当日パンフレットには、多くの資料を漁りつつ書かれた戯曲であること、そして「演出の都合上、ルートや装備など数々の省略を行っています」との断りもありました。山のリアルを描くのではなく、「山を見つめた人々」を描きたいという想いは十分納得できるものですし、そうした省略のセンスこそが、演劇の、この作品の面白さでもあるでしょう。ただ、その一方で、もし、もう一歩踏み込んだ取材、ディテールの多角的な検討、あるいはドラマターグの起用があれば、より効果的に、確信犯的にフィクションの力を発動させることもでき、彼女の生き様に共感できるような仕掛けをつくる可能性もあったのではないかという気もしています。
  • 満足度★★★

    鑑賞日2020/03/15 (日)

    「山に消えた女性の足跡をたどる」

    ネタバレBOX

     四角いブロックが組まれた舞台上は凹凸が目につき、SEの風音が耳に入る。明転すると、山中で人気登山家の前地悠子(宮田頌子)がビデオカメラを使い自撮りをしている。場所は変わり大学の研究室。准教授の前地弥太郎(今津知也)が妻の悠子の自撮り映像を観ていると、登山家の屑木和伸(松竹亭ごみ箱)に平謝りされる。悠子は屑木と一緒にネパールのK2に挑み命を落としていた。悠子の死には不審な点が多くやがて彼女を取り巻く人々が登山隊を組みK2へと挑み、厳しい環境に直面しながら悠子の足跡をたどっていく。

     K2とはインド・中国・パキスタンに横たわるカラコルム山脈に位置する標高8,611メートルの高峰で、その遭難率の高さから「非情の山」と恐れられているそうだ(公演パンフレットより)。これまで登山に親しみがあったわけではない作・演出のニキノコスターはさまざまな資料にあたり本作を書き上げたという。私は登山に明るいわけではないが、登山道具や大学登山部の練習風景、入山前の健康診断の様子など細かなところまでよく取材したものだと感心した。本作の主軸は「非情の山」に挑む人々とその過程になるわけだが、それ以外の場面にもきちんと気配りしている点がいい。

     登山者を演じた俳優たちは険しい山道を進む姿を手足を大きく動かして表現していていかにもそれらしい。なかでも撮影をしている田部敦子を演じた大脇ぱんだが緩急自在で面白い。

     反面、人間関係が込み入っており時間や場所が頻繁に移動するため、物語の筋の把握には一定の困難がつきまとった。登山シーンが本作の白眉であるからには、もう少し焦点を絞ってもよかったのではないだろうか。くわえて説明的な台詞やBGMが土臭くエネルギッシュな身体表現・照明変化とミスマッチを起こしているようにも感じた。

     悠子が「非情の山」に挑んだ理由から女性登山家について問うという作者の企みは中途半端になってしまったという感は拭い難い。しかし悠子を演じた宮田頌子の芝居は印象に残る。登山中でテンションが上っているとはいえ感情過多で、なんらか事件を引き起こすような危うさをうちに秘めているかのような熱演を見せてくれた。今際の際で幻覚に取り憑かれる狂気じみた表情、妹の凛(暁月セリナ)の幻影とあやとりをする姿は忘れがたい。

     なお、上演と直接は関係ないが、この劇団の感染症対策が他と一線を画す入念さであった点を記しておきたい。
  • 満足度★★★★★

    宮田さんの後ろ姿が美しすぎて、何度観ても震えた。鳥肌もんだった...
    幻覚を繰り返すとこで、山の恐ろしさを感じたなぁ...

  • 満足度★★★★★

    過酷で、美しく芸術的でした。
    山登りのところ、すごいよかったです。強く印象に残っています。

  • 満足度★★★★★

    今回のアタック、オレンヂスタの到達点は凄く高かったと思います。
    この次も観ようと思います。

  • 満足度★★★★★

    すっごく刺激的な作品でした。笑いや恐怖など、いろんな感情を味わうことができました。

    ネタバレBOX

    詳細をブログ記事にまとめたので、読んでいただけると嬉しいです。

    https://z0n0.jp/archives/7198
  • 満足度★★★★★

    話の構成的に終始どちらかというと重めな雰囲気でオレンヂスタの新境地。
    衣装はわかりやすい色味があるけどそのギャップで無色の美術はまさに人間の力の及ばぬ世界。演劇に必要な説得力がこの題材であるのはすごい。

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2020/03/14 (土) 14:00

    価格2,800円

    初日見てきました
    オレンジスタでまた強い演劇が観られた
    舞台美術も役者も照明も話も何もかもが良い
    楽日も観に行く予定です

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