満足度★★★★★
鑑賞日2020/03/16 (月)
総論として、ヂスタ得意の演出「描く対象とは異質の素材を使った美術/道具の運用により、具象と抽象の狭間で揺れ動いている感覚」は今回も秀でて、身体表現とも相性が良い。ドミノノで培ったモノが高密度に圧縮され、七ツ寺の近距離で身体/心理が迫る力は小劇場の醍醐味そのもの。
そして綺麗事では済まない登山の裏側を感じさせる現実味にも痺れた。マイナーな中にも厳然と存在する悪意なきマジョリティとの軋轢、否応なくカテゴライズされ切り捨てられる個人としての存在。一般的に山屋(登山家)のドラマとして注目されそうな、自己と極限状態との闘いではなく、多分に…題材として「個人と社会の軋轢そのもの」をそのままライブで提供している感触でした。結果として問題解決としての切り込みの甘さは否めませんでしたが、その渦中で思い悩み苦しむ人物の表現は人間ドラマとしての魅力に長けていました。