黒い砂礫 公演情報 オレンヂスタ「黒い砂礫」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    演劇を観に来た……!、という嬉しい興奮を味わえる開場時間。制作スタッフの方々に迎え入れてもらえるというこの感覚は、小劇場のひとつの魅力だなと思っている。空間もまた、近くの方々に愛されているのだろう空気が漂う。

    ネタバレBOX

    「山と女性」の話らしい、という情報だけで観劇したけれど、これは「女性と山」を主軸とした演劇だと感じた。女性の切実さ、無念さ、傲慢さ、特権などを盛り込んでいて、胸抉られるシーンや表情や主張が幾度も出てきた。それでも、そこに終始せずにだんだんと人間の傲慢さと欲望とが膨らんでいったことが好ましかった。また、登山部のメンバー達の明るさと、運動量と、あえての「部活」としての記号的な演出が、この作品を外に開いていた。

    キーパーソンの女性登山家の葛藤とそこへの立ち向かい方は、今の世、もしかしたらこれからの世でもっと一般的になるかもしれない。演劇という方法で描こうとすることそのものに希望と強さを感じる。

    山に見立てた美術の組立と、ロープのアイデア、そこから広がるイメージはさまざまなものを想起させた。ロープの色も、さまざま想像してみたが結果良かったと思う。強いて挙げるのであれば、クライマックスの巻き戻しの方法についてはなにか他の方法があるような気もしますが……俳優達の力強さによって説得力があった。

    作品としても、劇団としても、個性がありながらもその一体感はとても力強いです。ずっと、あと何十年も上演できることを願います。また、もし実現できることがあれば、ニノキノコスターさんの書くこの物語の先の光景を観たいと思います。

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    2020/05/01 03:40

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