生きてる風【公演中止】

アマヤドリ（東京都）

公演に携わっているメンバー：13人

【団体紹介】

2001年結成。2012年より「アマヤドリ」へ改称。年平均三本を越えるハイペースで約二十年に渡って作品を発表し続け、北海道から福岡まで、各所へのツアー公演も積極的に行っている。

作・演出の広田淳一の作品を中心に、近年ではイプセン、岸田國士、三好十郎など古典作品の上演も行う。現代口語から散文詩まで扱う「変幻自在の劇言語」と、共感性と個別化を主眼とした「自由自在の身体性」を活動の両輪とし、リズムとスピード・論理と情熱・悪意とアイロニー、とか、そういったものを縦横に駆使して「秩序立てられたカオス」としての舞台表現を志向している。シンプルで洗練された舞台美術によく動き、よく喋るアクティヴな身体を配して躍動感あるダイナミックな作品を発表。固定の劇団員と客演との混合で公演活動を行うことが多く、各公演ごとにオーディションを開催するなど、共通言語を蓄積しつつも幅広く門戸を開いて活動している。

【応募公演への意気込み】

本作ではいわゆる「社会的ひきこもり」状態にある人物と、その周囲の人々について描く。日本の封建的価値観と現代の核家族化の風潮とのすきまに「社会的ひきこもり」が生まれるとの仮説を立て、当事者性を持ったドラマを創造することを目指す。

昨今の自己責任論の高まりに対して一石を投じ、ひきこもり側と現在の社会の両者の視点も共有することで相互理解を高め、社会的包摂に貢献することを狙いとする。創作段階における劇団でのフィールドワークに取り組み、他分野を巻き込むことで生じる「舞台芸術の職能とのコラボレーションの可能性」を拡大させたい。その成果を創作過程として特設website上で公開、各種メディアへのリリース等を行う。願わくば当事者やその家族へのアプローチを通じて、創作過程そのものが問題解決の緒を提示することができるよう努めたい。新規顧客に対する低廉なチケットの提供など従来から続けてきた創客努力も継続・発展させていく。

【将来のビジョン】

来年は結成二十年。継続性と発展、演劇界への貢献をテーマに活動を進めていきたい。
１）もちろん中核にあるのはオリジナル戯曲による劇創作による、クリエイター集団として刺激的な作品を発表し続けること。リアリズム演技の技術的蓄積をベースに、より活発な動きのある身体性を伴う会話劇を追求していきたい。
２）また、年に数回開催し続けてきたワークショップ・オーディション、一昨年より始めた俳優のための継続的なワークショップ『演技のためのジム』なども発展させ、才能の発掘・後進の育成に努める。
３）加えて、来年には古典の演出作品の完成度も高めて海外公演を視野に計画を進めている。
４）さらに小劇場シーンで埋もれてしまっている名作を再演して名作を残していくプロジェクトを今冬には始動予定。世代を繋ぎ、様々な経験、バックボーンを持つスタッフ・俳優とともに、革新的である同時に、質の高いスタンダードを確立していきたい。